1VOLT
「
その言葉とともにボクの身体は凶弾により貫かれる。
シアンがボクを呼ぶ声が聞こえるが彼の持つ特殊な銃弾により貫かれた身体は
そしてボク同様にシアンも凶弾に撃たれてしまう。
「シ…アン…」
途切れかける意識の中でボクは手を伸ばしたがその手は決して彼女には届く事はなく、力尽きてしまった。
◇◇◇◇◇◇
同時刻ーー
とある実験施設にて。崩れかけた実験施設の中で一つの人影が蠢いていた。
その人影はただ前に進もうと必死に手を伸ばし、地面を掴んでは力の入りきっていない腕で前進する。
しかし、その人影に向けて無情にも大きな瓦礫が降り注いでくる。
瞬間、蠢くものが急に光に包まれる。
容赦なく降り注ぐ瓦礫。地面と衝突し、周辺に凄まじい勢いで砂塵を巻きあげる。
砂塵が消えると同時に光も消える。その光はなんだったのか誰にも分からない、だが一つだけ分かるのは光と同時にその人影もこの世界から消滅したという事だけであった。
◇◇◇◇◇◇
ボクはアメノウキハシと呼ばれる
ここが何処かは分からない。あの後、治療でもされたのか身体には傷一つなく、医療用の服を着ていた。身体の状態からするとかなりの時間が経っているかもしれない。
「そうだ!シアンは!?」
辺りを見渡す。視力が悪いため、ぼやけた視界のなかで彼女を探す。倒れていた場所は何処かも分からない路地裏のような場所。それに近くにシアンも見当たらない。
「どうなっているんだ…」
現状が全く分からない。
身体が動く事を確認して辺りを見回す。装備も全て喪失している。
「コンタクトが付いてないからもしかしてと思ったけど、ダートリーダーすらなくなってるなんて…」
ダートリーダーというのは愛用していた銃である。
「このまま動くのは危険かもしれないけど、行くしかないか」
立ち上がって服についた汚れを払う。ここから動かない事には何も始まらない。幸い、建物が立ち並んでいるという事は街中という事になる。歩けばこの路地裏から出て、情報を得る事が出来るだろう。見たところ廃墟とも思えない。だが問題があるとすれば...
「この状態で出て、怪しまれないかが心配だ…」
医療服を着た男が街中を歩いていればすぐに不審がられ通報されるだろう。そして能力者と判断されれば直ぐ様
「
ボクの持つ特殊能力、
この力を使えば逃げられない事はないがこの格好で能力を使ってしまえば直ぐに顔が割れてしまう。
「それに装備もない状態でどこまでボクの
装備があってこそ、今までの任務をこなす事が出来ていたが、この状態での
でも
「ここで迷っていても何も始まらない」
そう呟いてボクは路地裏を歩き始める。
しばらくして、通りに近付いたのか声が聞こえてくる。だが、その声は悲鳴や叫び声だ。瞬間、ボクの身体は声のする通りに向けて駆け出していた。室外機やゴミ箱などの障害物を飛び越え、大きな通りに出るとそこには逃げ回る人々の姿が見えた。何から逃げているのか、逃げてきた方向を見ると、見た事のない異形の生物らしきものが人々を襲い、黒い何かに姿を変えている。
「ッ!?」
あまりにも酷い状況に口を噛む。今にも襲われそうな人達の方に直ぐに駆け出す。生体電流を活性化させ、ボクの駆け出す方向とは逆に進む人々の間をすり抜ける。我先に逃げようと大人達に押されて倒れていた人の前に割るように入り、雷撃鱗を展開させた。
この雷撃鱗はボクの
「えっ……」
子供、少女だろうか。割って入った存在、電撃の膜を見て何が起こっているか分からない表情をしている。
「ここはボクがどうにかするから、この雷撃が消えた瞬間に走るんだ!」
急に怒鳴るように言った事により泣きそうな表情になるが、直ぐ様人を黒い何かに変える存在を見て、自分の置かれている状況を思い出し、こくんと頷く。
そして、ボクは雷撃鱗を解除すると少女は立ち上がって走り出した。
その少女を追撃しようと怪物が襲いかかるが再び雷撃鱗を展開する。
雷撃鱗に触れた怪物。瞬間に、電撃が怪物の身体で拡散してそのまま全身に駆け回る。怪物はすぐに黒い塊となり、そのまま崩れ落ちた。
「なんなんだこれは…
こいつらが生物なのか、兵器なのかは分からない。だが、それでも目の前にいる怪物は無差別に人を襲い、人を殺す恐ろしい力を持つものには変わりない。ならばボクに出来るのは…
「迸れ!
この恐ろしき怪物達を倒す事だけである。
◇◇◇◇◇◇
特務災害対策機動部二課ーー
「司令!市街にてノイズの反応の後にそれ以外のエネルギー反応が出現。現在、謎のエネルギー反応により、ノイズが少しずつ反応が消失していきます!」
モニターを操作するオペレーターの声に反応した司令と呼ばれる男が驚きの表情を浮かべ巨大なモニタを食いいるように見る。
「どういう事だ!?」
司令こと風鳴弦十郎はオペレーターに確認する。
「解析を進めていますが現在出現しているエネルギー反応と該当するパターンがありません!新種の聖遺物の可能性も!」
「なんだと!?」
聖遺物、世界各地に存在するとされる超古代の異端技術の結晶。だがそのほとんどは劣化したり破損している物ばかりで、ほとんどは使い物にならない。だが、もしかすると……
「現場の付近にある監視カメラと接続しました!映像を映します!」
他のオペレーターが監視カメラと接続した事により、現場の状況が映し出される。
土煙の舞う中、蒼い雷がカメラに映り込む。その雷はノイズに当たるや否やノイズの身体を炭の塊へと変えると同時にカメラの映像が消えた。
「蒼い…雷?」
ノイズという人類が決して勝つ事の出来ない存在を容易く打ち破るその雷に目を奪われそうになる。その時、
『叔父さ…司令!現場に到着しました!』
現場に出動させていた幼き声が部屋に響く。幼いながらもノイズと戦う事の出来る少女。風鳴翼の声だ。不安が残るが今ノイズに対抗出来る手段であるシンフォギアを纏う事の出来る人類の希望。
「翼!現在ノイズと交戦する謎のエネルギー反応がある!少ししか映像を確認出来なかったが、蒼い雷を放っている何かだという事しか分からない!状況が分からない今は危険だ!すぐに避難しろ!」
翼に現場の状況を伝える。まだ幼い彼女は怒鳴られて、怯えた声で分かりましたと言った。
「怒鳴ってすまない、翼」
弦十郎は直ぐに怒鳴った事を謝る。彼女は大丈夫と少し鼻声になりながらも言った。帰ったらもう一度しっかり謝るとしよう。
そして先程のパターンを解析していたオペレーターがさらに驚く事を告げる。
「市街地から全てのノイズのエネルギー反応とエネルギー反応が消失しました!」
「この短時間で全て消滅!?」
あまりの事態の終息が早くついた事に驚きを隠せない。軍隊のような単位でくるノイズ達をものの数分で片付けられたのだ。
「すまない、翼!さっきの命令を撤回する!ノイズの反応が消えたため、直ぐに現場に入り、状況を確認してくれ!こちらも直ぐに現場へと向かう!」
そう言うと翼は分かりましたと返答して、オペレーターの指示に従い、高エネルギー反応が消えた場所へと誘導されていく。
「鬼が出るか蛇が出るか……」
弦十郎は未だ不明のその存在の事を考えながら呟き、自らも現場に向かい始めた。
◇◇◇◇◇◇
風鳴翼はオペレーターの指示通り、シンフォギアを纏った状態でエネルギー反応が消えたポイントへと向かう。ポイント付近にはノイズだったと思われる黒い炭のようなものがあちこちに散らばっている。
たった一人でこのような場所に来るとまだ身体が竦むのが分かる。戦場に出るようになってまだほんの数年、命を懸ける戦いに慣れる事は出来ない。
歩みを進めているとエネルギー反応が消えたと思われるポイントに到着する。
辺りは叔父の弦十郎が言った通り、雷によって焼けた跡や舗装された道がひび割れている。
「何が起きていたの?叔父様の言ってた通り新しい聖遺物なの?」
自然発生した雷でノイズを倒せたというのは聞いた事はない。自然発生するにしても難しい条件が重ならないとなかなか起きない。となると未知の聖遺物、もしくは自分と同じくシンフォギア装者の可能性もある。
辺りを見回しそれらしきものを探す。だが人だったと思われるものかノイズだったと思われる炭の塊だけだ。そんな中、どこかで荒い息遣いが聞こえる。
翼は生存者がいると思い、辺りを探すと建物と建物の間、路地の入り口に治療服を着た男が辛そうに座り込んでいた。
「大丈夫ですか!?」
「だ、誰だ?ってなんなんだ、その格好は…」
男はこちらを向く。顔色は通常通りだが尋常じゃない量の汗を流している。ノイズから全力で逃げていたのだろうか。
だがいくらなんでも初対面、それに辛そうなのにそんな事を聞くのはどうなのだろう。少しムカつきはしたが、直ぐ様弦十郎と連絡をとり、現状を伝える。その時に先程案内をしてくれたオペレーターから連絡が入る。
『翼さん!数は少ないですが付近にノイズの反応が再び!』
『翼!その人物の安全の確保を優先して、退避しろ!』
その声が聞こえると同時に男のいた路地の奥から建物をすり抜けるようにノイズが三体現れた。直ぐ様男より前に出ようとする。
瞬間、
「天体の如く揺蕩え雷、是に到る総てを打ち払わん!迸れ!
男が辛そうに立ち上がりながら、そう唱えると男の周りから蒼い雷の球体が出現する。
その球体は、ノイズ達に向かって飛んで行くとノイズに衝突する。ノイズ達は球体が当たった瞬間に身体中に雷撃が迸り、そのまま炭の塊となり朽ち果てた。
男は身体がふらつくとそのまま倒れる。翼はその身体に近寄って支えた。どうやら意識を失っているようだ。
『翼!大丈夫か!?』
弦十郎の声が無線から聞こえてきたので返答する。
「叔父様!先程の一般人がノイズと交戦し、ノイズを倒しました!蒼い雷の球体をどんな方法かは分かりませんが出現させた事から、叔父様の情報であった蒼い雷の正体はこの人と思われます!」
『なんだと!?もうすぐそちらに着く!それまでの間、その人物の安全を確保しろ!』
弦十郎はそう言うと車で移動しているのだろう、運転手に対して急ぐように言っていた。
翼は壁にもたれかかるよう男を座らせる。
「この人は一体…」
ノイズを倒したこの人物は一体何者なのだろうか。翼は考えた。聖遺物らしき物を持っているわけでもない。シンフォギアを纏っているわけでもないこの男はどうやってノイズを倒したのか。どうやって先程の力を使ったのか。いくら考えても分からない。
翼は弦十郎に言われた通りに到着するまでの間、気を失った彼の身の安全の確保に努める事にした。
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ガンヴォルトがフィーネ組に出た場合
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響、未来と同年代バージョン、ガンヴォルト
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