戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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異聞録にて白き鋼鉄のXのアキュラとロロがシンフォギア世界にたどり着いたものを書いてます。
敵は変態の能力者です。名前の由来はムカデ人間の英訳を元に付けております。あの映画も変態的だし丁度いいと感じてます。


11GVOLT

アッシュボルトはネフィリムの隔離された檻の前に立ちながら今にも襲い掛かろうと見てほくそ笑んでいた。

 

「これがネフィリムか…以前の研究施設で見たものよりも小さいな」

 

以前アッシュボルトは研究施設の襲撃を行なっていた際に見つけたネフィリムの動画。あれのようにもう少し巨大なものが覚醒すると思っていたが、些か小さい。

 

だが、その内包するパワーは絶大であり、アッシュボルトは檻越しに襲い掛かろうとするネフィリムから感じ取る事が出来た。

 

「素晴らしいな、これ程のエネルギーを内包しているというのにまだ貪欲に喰らい、力を上げようとしているのか」

 

その力をひしひしと感じ、アッシュボルトはさらに喜ぶように手をバイザーに当てた。

 

「ようやくだ!ようやく目的の第一段階が完了した!」

 

高笑いを上げるアッシュボルト。ネフィリムはそれが煩わしいのか檻を食い破る勢いで暴れ始める。

 

「はは!いいぞ!ネフィリム!その貪欲さ!それに私を餌だと思っているのか!」

 

アッシュボルトはそれでも尚焦る様子は見せない。

 

そして暴れたネフィリムは檻を破り、アッシュボルトを喰らおうと大きく口を開けて突撃する。

 

だが、アッシュボルトはそれを避けようともせずにただ面白そうに立ったままであった。

 

ネフィリムはアッシュボルトの喉元へと噛みつこうと飛び込んだが、アッシュボルトの身体がぶれると共にネフィリムはアッシュボルトをすり抜けて壁へと激突する。

 

「!?」

 

ネフィリムは驚いた風に口をパクパクとさせているが、何故か全く分かっていないようで再びアッシュボルトへと向かう。

 

「おいたが過ぎるな、ネフィリム」

 

今度はアッシュボルトがネフィリムの攻撃を躱すとネフィリムの脇腹へと向けて拳を叩きつける。ネフィリムはそれをまともに受けて再び壁へと身体を激突させる。

 

「全く、調教しなければならなそうで困ったな。まあ完全聖遺物、簡単には壊れんだろう」

 

そう言うと手から雷撃を放ち、アッシュボルトはネフィリムへと浴びせる。

 

「ギャァ!」

 

獣のように苦しそうに悲鳴を上げるネフィリム。だが、それでもアッシュボルトへと向けて雷撃のダメージを負いながらも襲い掛かろうとする。

 

「伏せ」

 

アッシュボルトはそんなネフィリムにも動じず、ネフィリムの大きく開けた口を避けて、頭を掴むとそのまま地面へと叩きつけた。そしてさらに掴んだ腕に雷撃を纏わせてネフィリムをさらに雷撃で痛めつける。

 

「暴れるな、ネフィリム。これで主人が誰であるか理解したろ?」

 

雷撃を浴びながら暴れるネフィリムへとそう告げるがネフィリムは理解していないのか何とか逃れようとする。

 

「伏せと言っただろう?」

 

アッシュボルトは更に力を込めるとネフィリムを地面へとめり込ませ、上下関係を教え込むように言った。

 

「いいか、ネフィリム。お前は私の物だ。物が主人(マスター)へと逆らうのならば相応の罰を与えなければならないんだ。こんな風にな」

 

「ガァァ!?」

 

アッシュボルトは更に雷撃を強めてネフィリムに痛みを与える。ネフィリムもなんとか逃れようと更に暴れるが、全く歯が立たず、押さえつけられたままである。

 

ネフィリムがようやく暴れるのをやめた為アッシュボルトは雷撃を止めてネフィリムから手を離す。

 

ネフィリムは地に伏せたまま、アッシュボルトへと顔を向ける。

 

「理解したか?私とお前、どちらが強いのかを?誰が主人(マスター)であるという事を?」

 

ネフィリムは何も答えないが、アッシュボルトが雷撃を再び手に纏うと痛みは嫌なのか、首を縦に振り、再び地面に頭を伏せて降伏するような態勢を取った。

 

「理解したようだな。ならば褒美をやろう」

 

そう言ってアッシュボルトが取り出したのは幾つかの欠片らしき物。それはかつてアッシュボルトが各国の聖遺物研究機関を襲撃して強奪した聖遺物の欠片達。

 

「さあ喰らうがいい、ネフィリム。そして力を蓄えろ」

 

そう言うとネフィリムはアッシュボルトの転がした聖遺物の欠片を喰らい始めた。

 

◇◇◇◇◇◇

 

その様子を監視カメラを通してナスターシャはネフィリムとアッシュボルトの様子を見ていた。

 

「まさか、貴方が第七波動(セブンス)能力者という者であったなんて…ガンヴォルトの持つ第七波動(セブンス)に詳しいのは何故かなんとなく理解出来ましたが…」

 

アッシュボルトの言っていたガンヴォルトと同じ第七波動(セブンス)蒼き雷霆(アームドブルー)を持っているという事は同じ第七波動(セブンス)である為にその力の詳細を知っているのならば合点がいく。だがそれでも電子の謡精(サイバーディーヴァ)に詳しい理由にはならない。

 

本当にアッシュボルトは何者なのであろうか。それに完全聖遺物を圧倒出来る程の力。それ程の力を持っていながら何故我々に力を貸すのか全く理解出来なかった。

 

「やっぱりアッシュは凄いな。完全聖遺物であるネフィリムを一人で圧倒して調教しちゃうなんて」

 

モニタールームへと入ってきたウェルがモニターを見て楽しげにそう言う。

 

「ウェル博士、アッシュボルトとは何者なのですか?これ程の力を持ちながら、何故今まで名が一切上がらなかったのですか?」

 

テロリストであったはずのアッシュボルト。だが、その素性は一切分からない。それにこれ程の資材、資金がありながら何故世界へと宣戦布告などをしなかったのか。

 

「彼は時が来るまで裏方に回りたかっただけさ。今の今までも活動はしていたみたいだけど、自分で痕跡を上手く隠していたみたいだしね。僕もアッシュに会って七年も経つけど、彼の本当の目的は分からないさ。だけどアッシュの目的は僕は知らなくてもいい。その目的の過程で僕を英雄にしてくれると約束してくれた。それだけで僕は協力するに値するんだから」

 

高らかに言うウェルに、この男に聞いた自分が馬鹿であったと思うナスターシャは視線を戻し、画面に映るネフィリムとアッシュボルトを見る。

 

「一体貴方はネフィリムを使い何をやろうとしているのですか…」

 

独り言のように呟くナスターシャ。だがその問いに答えを持つ者はおらず、消えていった。

 

◇◇◇◇◇◇

 

「ガンヴォルト、お前と同じアッシュボルトが第七波動(セブンス)能力者。そして元々お前の所属していた武装組織の人間である可能性が高いというのは本当か?」

 

「間違いない。アッシュボルトの出した蒼い雷撃。それにボクと同じ武術チャタンヤラクーシャンクーをベースとした体術。フェザーじゃないとあり得ない。それにボクのかつてのコードネームまで知っていた」

 

「そうなるとお前同様に何かしらの原因で流れ着いた能力者となる訳か…」

 

ボクは新設された二課の司令室まで足を運び、全員にアッシュボルトの説明をしていた。

 

「私がその人と戦った時に感じた違和感はガンヴォルトさんと同じ武術を扱っていたからなんですね。でも、それじゃああのすり抜けるようなやつは一体なんなんですか?」

 

響が説明で体術について納得していたが、もう一つ気になる部分があり、ボクに聞いた。

 

「響の言っているのは多分電磁結界(カゲロウ)というスキルだよ。なんであろうと攻撃を無効化する蒼き雷霆(アームドブルー)の持つ能力の一つ」

 

「それじゃあその人を倒す方法はないって事じゃないですか!?」

 

あまりの能力の無敵ぶりに響は叫んでしまう。

 

「落ち着くんだ、立花。それでガンヴォルト、貴方は何故アッシュボルトと戦う事が出来たの?」

 

翼がボクに疑問を投げかけた。

 

「同じ蒼き雷霆(アームドブルー)の能力者だからこそ、その弱点も知っているからだよ。電磁結界(カゲロウ)は完全に無敵のスキルなんかじゃない。EPエネルギーの底を突かせればしばらくの間は電磁結界(カゲロウ)は使えなく出来るし、強制的にEPエネルギーをオーバーヒートさせる事が出来れば攻撃を通す事が出来る」

 

「ガンヴォルト、ならあんたは会場から飛ばされた先で強制オーバーヒートさせたから、アッシュボルトと戦えたのか?」

 

奏がボクへと聞いてきた。

 

「そう、蒼き雷霆(アームドブルー)も最強のスキルと言われていたけど弱点がない訳じゃない。雷撃を纏った状態で許容量を超えた水を被ったりすれば強制的にオーバーヒートさせる事は可能なんだ」

 

「なるほどね。ん?だったら同じ蒼き雷霆(アームドブルー)の能力者のガンヴォルトはなんで電磁結界(カゲロウ)が使えないんだ?」

 

奏が疑問して更に問い掛ける。

 

電磁結界(カゲロウ)の方法自体ボクも知らないんだ。昔は使えてたんだけど、それはある人から貰った特殊な霊石を使用したペンダントによるものだったからね」

 

そう、アシモフに貰ったペンダントがあってこそ、電磁結界(カゲロウ)が使えていた。だからこそアッシュボルトが元はフェザーの能力者と断定している理由だ。

 

「でも油断しちゃダメだ。雷撃を纏えなくなったとしてもスキル、それに身体能力強化自体は使える。ボク同様にアッシュボルトもスパークカリバーを使えていた。多分、同じスキルを持っているのであればボク同様のスキルも持っている」

 

「ライトニングスフィアにはたまた広範囲のヴォルティックチェーンもかよ…っくそ、厄介過ぎるだろそんなの!」

 

クリスが情報を聞いて悪態を吐く。

 

「だけどそれならば他にお前の知る弱点というものはないのか?もしお前以外が相手しなければならない状態になった時にどうすればいい?」

 

弦十郎がボクに対してそう言った。

 

「方法がない訳じゃないけどあまりにも非効率だ」

 

「ない訳じゃないんだな?」

 

蒼き雷霆(アームドブルー)能力者には雷撃が効かない。だけど蒼き雷霆(アームドブルー)の力を超える雷撃でならダメージを通す事は可能になる。現存した兵器だとカ・ディンギルみたいな荷電粒子砲だけだ」

 

ボクがそう言うと誰しも口を閉ざしてしまう。それだけ、ボクの持つ蒼き雷霆(アームドブルー)という第七波動(セブンス)が最強と言われる所以だから。

 

だが、それに対抗する手段が他にない訳ではない。

 

シアンを殺し、ボクがこの世界に流れ着いた原因となった男、アシモフが持っていたアキュラの銃に装填された弾丸。

 

強欲なる簒奪者(グリードスナッチャー)

 

全ての第七波動(セブンス)を無効化する弾丸。あれであれば対策は可能だ。だが、あれは存在しない。

 

「そうか…ならばアッシュボルトに関してはお前に任せるしかないか…」

 

「悪いけどそうなる。唯一対抗出来るとすれば装者達じゃなくて同じ第七波動(セブンス)能力者のボクだけだから」

 

「分かった。アッシュボルトはお前に任せる。だから奴を必ず止めろ」

 

ボクは弦十郎の言葉に頷き、次にフィーネに所属する装者達の話となった。だが、その三人の素性はまるで分からず、唯一分かっている翼と共に歌を歌ったマリア・カデンツァヴナ・イヴの情報だけであった。

 

「引き続き我々で情報をかき集める。装者達はその時が来るまでゆっくりと休んでくれ。もちろんガンヴォルト、お前もだ」

 

そう言われて解散となり、それぞれが帰宅しようとする中、ボクは少し荷物を整理すると言って奏とクリスを先に帰らせる。

 

「GV、皆に伝えなくて良かったの?アッシュボルトの言ってた異なる意味のGVの事」

 

シアンが現れてボクに問い掛ける。

 

「その事はまだ報告するべきじゃない。ボクもその言葉が引っかかっているんだ。ガンヴォルト(GV)とは違うGV。アッシュボルトは何を知っているっていうんだ…」

 

アッシュボルトは何かを知っている。そしてこの世界に流れ着いた原因をも。何故かは知らない。だからこそアッシュボルトはボクの手で捕まえなくてはならない。

 

「絶対に貴方を捕まえて口を割らせて話してもらう。帰る方法を、そして何故流れ着いたかを…」

 

同じ流れ着いた第七波動(セブンス)能力者として。そしてこの世界を混沌に導こうとするアッシュボルトを止める為に。

 

「絶対に止めよう、GV」

 

シアンもボクの意見に賛同するようにそう言った。

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