戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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お久しぶりです。


15GVOLT

ボクは響と未来と別れた後、シアンと奏に未来との件をなぜ重要に責められなければならないのかと少し不満を覚えたが、ここで反論してはさらに二人から責められると感じてただ黙ってその二人の話を聞き続ける。

 

「だからGVは甘過ぎるのよ!特に女の子に対して!勿論、それはGVの良いところだからそのままでいて欲しいけどそうポンポンと口説いて良いってわけじゃないんだから!」

 

「シアンの言う通りだ!ガンヴォルトの優しいところは良いところだと思うけどそう目の前で見せられるこっちの身にもなってほしいもんだ!私だってそう言われたい!」

 

「優しいところを褒めてくれるのは良いんだけど、口説くって…未来はここ最近会えてなかったし、話したい事もあったから誘ってくれたんだし、断るのも悪いでしょ?と言うか奏は何を言っているんだい…」

 

二人にそう言うがその言葉に何が正解だったのかよく分からなくなり頭を悩ませながら、奏に先導されながら人気のない校舎を歩いていく。

 

「それよりもどうするの、シアン?もうある程度学祭の準備を見終わったし、ボク達がいても奏が準備に戻れないだろうし」

 

「でもでも!私だってこんな大掛かりなお祭りに参加した事ないし、知らない物だってあるかもしれないじゃない!奏!他にどんなものがあるの!?」

 

そう言って先程の態度が一変して奏に他にどんなものがあるか興味深そうに聞いていた。

 

「秋桜祭で目玉といえば勝ち抜きステージとかもあるぞ。学生や一般の参加者が歌で競い合うもんがあるな。当日じゃないと見れないけど…現場は準備でもそこそこ大掛かりで見てる分もどんなものになるか楽しめるけど、ガンヴォルトがそこに行くと絶対に準備どころじゃなくなるから行かないけど」

 

「…気になるけどそんな魔境に連れていくわけにはいかないわね」

 

奏の言葉にシアンは少し名残惜しそうにしていたが、何処か納得していた。と言うかなぜ魔境とか言い換えたのか謎であるが、深くは考えないでおく。そして今奏がこうして案内してくれるのは助かるが、クラスに戻らなくて良いのか、それと奏とクリスのクラスの出し物はなんなのか聞いてみる。

 

「案内してくれるのは助かるんだけど、奏のクラスの出し物とか手伝わなくても大丈夫?」

 

「うーん、確かにみんなに任せてきたけど後少しくらいなら大丈夫だと思う。クラスの出し物も展示会みたいなものと屋台の料理の盛り付けのデザインとか話し合いとかだし、後は私とクリスが売り子としての衣装作りで採寸も終わってるからな。あとは各自最後の見直しとかだけだしな。まあそれが結構忙しくて残らなきゃいけないんだけどね」

 

「だったら尚更早く戻った方が良いと思うんだけど…」

 

「まあ良いじゃない、GV。間に合うんなら。それよりも奏とクリスが売り子をするの?」

 

「おう!まだ復帰はしてないけど有名アーティストと可愛いクリスが売り子として出れば儲かる事間違いなしっていう事で決まったんだ」

 

二人が売り子をすれば確かにかなりの売り上げになるとクラスの人達は予想して組んだのだろう。確かに奏は有名アーティスト、クリスも可愛い女の子だ。男の人達も来るとなると二人がいるだけでかなりの客足が出ると思う。シアンも売り子に興味があるのか奏に聞いている。

 

機会があればどうにかしてシアンにもそういった催しにも参加させてあげたいのだが今のシアンでは無理であるため、弦十郎などに良い方法がないか今度相談してみるとする。

 

話しながら廊下を進んで行き、途中の教室で見知った二人が入っていくのが見えたために、ボク等もその教室の方へと向かう。

 

その教室の中にいたのはクリスと翼であり、入ったばかりなためか机を繋げて秋桜祭の装飾品か何かを作る準備をしていた。

 

「翼もクリスも学年が違うのに一緒に準備なんて何かあったのか?」

 

奏が教室に入りながらそう言って二人がこちらの存在に気付いた。

 

「奏こそ、雪音同様にクラスの子達から追われてでもいたの…ってガンヴォルト!?なんで貴方がリディアンに!?」

 

「お前が来たら騒ぎになるだろうが!というかシアンはともかくこいつと一緒にいるんだよ!?もしかして用事で少し抜けるってそういうわけだったのかよ!」

 

奏の言葉にこちらを向いて言葉を返すが翼はボクの姿を見て慌て、クリスは何故か奏に対して敵意ある視線を向けていた。

 

なんで普段は仲が良いのにたまにこんな事になるのであろうか。

 

「ひどい言い草だな、クリス。折角私が善意でガンヴォルトにお願いしたのによ。というかなんでクリスが翼と一緒にいるんだ?それにクリスがクラスの子達から追われるって何をやったんだよ…」

 

「まあ色々あるみたいだ。それよりも奏、なんでガンヴォルトがリディアンに?ガンヴォルトが生徒達に見つかれば大事じゃ済まないわよ?」

 

「安心しろよ、翼。ガンヴォルトには生徒が遭遇しない様に注意しながら来たからな。まあ、ガンヴォルトがいるのはちょっと夜食を届けてもらったのと、シアンが秋桜祭の準備を見て目を輝かせてたから案内してたところだ」

 

そう言ってシアンの方に目を向けるとシアンは浮遊しながら翼とクリスが出していた小道具に関して興味を示していた。

 

「黙っていたけど、なんでボクは他の生徒に見つかると大事になるの?確かに部外者の男がいれば騒ぎにはなるかもしれないけど、ちゃんと学院の見学許可証もあるし、何も言われないでしょ?」

 

そうボクが言うのだが、その言葉に先程小道具に興味を持っていたシアン、そしてクリス、奏、翼はまるで事前に打ち合わせていた様に溜息を吐いた。

 

そして近くにいたはずの奏まで翼とクリスの方に行き、シアンもその輪に入って何かコソコソと話し始めた。

 

「あいつ…自分の事を本当に分かってないのか?」

 

「全く持って雪音と同意見だ。なんでこんなにも自分に対しての評価が低いというか理解していないというか…」

 

「ガンヴォルトだから仕方ないだろ…こういう事に関しては本当に鈍感というか…あれはもうわざとだろ…」

 

「本当にGVは…これだから困るのよ…自分の事を理解してると思っているとか言っときながら全く分かってないのが悩みどころよ…というか、そんなのだからさっきの未来のお誘いの言葉の意味すら理解せずにすぐに答えを出すんだから…GVのあの鈍感さは本当に呆れるよ…」

 

「なっ!?あいつ!というかあの馬鹿の親友の言葉をすぐに答えたって言うのかよ!?」

 

「なんで二人もいながら阻止出来なかったの!というかそこは私とガンヴォルトが行くべきでしょう!」

 

「翼は何を言ってるの!?なんで翼はすぐに自分に置き換えようとするのよ!?その役割は常日頃から一緒にいる私の領分でしょ!?」

 

「何言ってやがる!シアンは常日頃から一緒にいるのならここは譲るべきだろ!ここは私が行くべきだろ!」

 

「お前も何言ってやがる!あんたも私に何も言わずに人の少ない校内を散策していたのなら私が行くべきだろ!大体、当日はお前は売り子だろうが!」

 

「そう言うクリスこそ売り子だろ!それなら私同様に結局は行けないって事じゃないか!私は何かと言って抜け出すから良いんだよ!クリスがいれば売上も何とかなるだろ!」

 

「私だけに任せようとか考えてるんじゃねえ!それなら私だってあんたに任せて抜け駆けしてやる!」

 

「二人とも折角の秋桜祭を何だと思っているの!二人はしっかりとクラスのみんなと力を合わせて売り子をしっかりとしなさい!小日向にも話して私がガンヴォルトを秋桜祭を案内するから!」

 

「ちょっと翼!隙あらば自分をねじ込もうとしないでくれる!?大体皆私がGVと常に行動している事を忘れないでくれる!?絶対にGVと二人きりなんて危ない状態なんて作らせないんだから!」

 

何やらコソコソ仲良く話していたのに急に大きな声で互いの意見をぶつけ始める。何がそんなに皆を駆り立てるのだろうと遠い目をしながら様子を窺っていようと思っていたが、流石に秋桜祭の準備をする手を止めるのもダメだと思い、全員に注意する事にする。

 

「本当になんでそんな言い合うか分からないけど、秋桜祭の準備をするんでしょ?いい加減言い合いはやめてやった方が良いんじゃないの?」

 

その言葉に全員はこちらへと鋭い目線を送りボクは少し警戒するが、何故が先程まで言い合っていたはずなのに先程までのピリッとした雰囲気が一気に霧散して、同時に息の合った溜息をついた。

 

「本当になんでこいつは…」

 

「全くだ…」

 

「この鈍感…」

 

「GVだから仕方ないとしか言えない…」

 

「さっきまでギスギスした感じだったのに…何が君達の蟠りを一瞬でなくなる方がボクには全く分からないんだけど…」

 

どこか腑に落ちない事も感じない事もないが諫める事には成功したのでそれ以上追求しない事にした。そしてクリスと翼は机を繋げるとどうせならと奏とボクに手伝う様に促したので少しだけ手伝いをする事にする。

 

「へぇー、紙で飾りってこうやって作るものなんだ」

 

シアンが飾りを作るボク達へとそう言いながら興味津々に見ていた。

 

「シアンはこう言った事やるのはあまりなかったの?」

 

翼がシアンにそう聞く。

 

「私は中学生だったからこういうのじゃなくて劇とかならやった事あるんだけど、役の練習とかが精一杯だったからあまりした事なかったのよ」

 

「シアンが劇か…どんな役やってたんだ?」

 

「猫さんの役をね。でも結局は練習したのに見せる機会はなくなっちゃったんだけどね…」

 

シアンの言葉に奏は失言してしまったと黙ってしまう。その言葉にクリスも翼もシアンへとどう声を掛けていいか分からずに作業を辞めて黙り込んでしまう。

 

ボク自身もその事を知っている為にシアンに対して何と声を掛けていいか分からなくなってしまう。皇神(スメラギ)をもっと早くに打撃を与えていれば、紫電を早く倒していれば。そしてアシモフの真意にいち早く気付いてシアンと共に誰にも知られる事のない土地へと逃げていれば。

 

後悔の念に駆られてしまう。

 

その事にシアンはすぐにボクが考えている事を察したのか明るく振る舞おうとする。

 

「でも、今私は大丈夫だよ!こうして皆んなとこうやって会う事が出来たし、それにまたGVに会えたんだから!それに普通では見えないはずなのに私の事をしっかりと見てくれる貴方達がいるから!まだGVと私にはやる事があるにしても貴方達との生活はとっても楽しいよ!」

 

「シアン…」

 

ボクは少しだけだが、シアンの気持ちに感謝する。こうやってシアンが思ってくれるだけでも救われた気持ちになる。だが、それでもなお、アシモフによって殺された肉体の事を考えるとどうしてもやるせない気持ちになってしまう。

 

「シアン…そう思ってくれて助かる」

 

奏はシアンの言葉に少しだけ表情が和らいだのだが、何か別の事を考えているのか、今度は何処か悲しそうな表情を浮かべた。クリスも翼も同じく何か同じ様に何処か暗いままであった。

 

何を考えているか分からないが深く聞くのも躊躇われ、シアンが秋桜祭の事で話題を切り替えてくれたおかげで三人の表情も徐々に明るさを取り戻していった。

 

そして少し時間を取り過ぎた為にこれ以上ボクはリディアンに居続けるのもまずいと思い、三人に別れを告げて家路へとシアンと共に足を進めた。

 

◇◇◇◇◇◇

 

残ったクリス、奏、翼はガンヴォルトとシアンを送った後、どうしても先程のシアンの言葉を思い出してしまう。

 

シアンは明るく振る舞っていたが、それでもシアンの肉体が殺されてあの様になった事。そしてガンヴォルト自身の目的の事も。

 

「やっぱり、ガンヴォルトはアシモフって野郎を止める為に元の場所へ帰っちまうのかな…」

 

奏がそう呟く。

 

「あいつだってやらなきゃならない事なんだから仕方ないだろ…」

 

クリスが奏にそう言うが自身の表情も何処か辛そうで悲しそうな表情を浮かべている。

 

「…元々の目的であるし、私達にはガンヴォルトを止める権利なんてないもの…ガンヴォルトには今まで助けてもらっていたし、私達の一存でガンヴォルトを縛るわけにはいかない」

 

翼もそう言うが、その表情はクリスや奏と同様に辛く悲しそうであった。

 

三人は正直ガンヴォルトには元の場所などには行って欲しくない。あちらでガンヴォルト、そしてシアンがどれほど辛い経験をしたのか話を聞いている為にこれ以上に二人には傷ついて欲しくないというのが本音だ。この話を聞いたら響や未来も賛同するだろう。

 

だが、それでもガンヴォルト自身の後悔、そしてアシモフという男が為そうとする事を止めなければならないという事から必ず戻ってしまうのだろう。

 

「…」

 

ただ三人は秋桜祭よりも静かに近づいてきているであろう別れを感じる事となった。

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