併せて新作ガンヴォルト続報をお待ちしていますよ、インティクリエイツさん。
「酷くやられたとは飛んだ言い草だな、
アッシュボルトはマリアへと向けてそう言うと共に雷撃鱗を強めてボクの雷撃鱗を弾き飛ばす。
一瞬の拮抗が崩れた事によりボクはそのまま弾かれるが、体制を立て直して装者達の前に勢いを殺して着地する。
「クッ!」
「大丈夫ですか!ガンヴォルトさん!」
「大丈夫だ!でもマリア・カデンツァヴナ・イヴが外にいるという事は最初からここには彼女達は!」
初めからこちらにはいない事に今頃気づいて歯噛みする。最初からアッシュボルトの手の上で踊らされていたという事にだったというわけであった為だ。
だが、仲間のはずのマリアとアッシュボルトは何故意思疎通をしていないのか。そこだけがいまだに謎である。アッシュボルトは彼女達に何か隠しているのであろうか。
「しかし、どうするガンヴォルト!数はこちらが有利だとしても、ギアが何故か出力が落ちてうまく機能しない!下手すれば解除してしまう可能性もある!」
翼は叫びながら迎撃のために剣を構える。それに倣う様に響も拳を構え、クリスも自分の力で立ち、武器を構え、奏も槍を構える。謎のギアの出力低下、
その時、弦十郎からの連絡が入る。
『ガンヴォルト!こちらも現場付近へと到着した!そして一課の部隊も付近への到着!装者達の様子はどうだ!?こちらからはバイタルチェックで異常が確認は出来たが、ようやく通信が回復したばかりで状況が掴めん!』
「弦十郎、最悪の事態だ。アッシュボルトに遭遇。ソロモンの杖に加えて、未確認の生物型の完全聖遺物まで所持している。それに加えて装者達のギアの出力が原因不明の低下。敵装者、マリアの他にも少女二人も無傷の状態で参戦してきた。ボク自身もアッシュボルトとの交戦で負傷した。シアンのお陰で何とか回復はさせているけどはっきり言って状況は最悪だ」
『クソッ!奴等はそんな物まで!早急に部隊をそちらに向かわせている!それまで何とか耐えてくれ!』
そう言って弦十郎は司令室で指示を飛ばしている。
「アッシュボルト。ソロモンの杖を所持していてもノイズを倒す事の出来る者達がいれば、援軍が来られたら撤退もままならないわ」
「分かっているさ。ここまでされては
「全くこの状況を作り出した本人が何を言うのかしら…。勿論、あの子達が既に済ませているわ」
アッシュボルトはマリアへと尋ねてそう返す。それを聞くとともにアッシュボルトは指を弾くと同時に背後の病院で大きな爆発が起きる。
ボク達は背後の爆風に煽られながらもアッシュボルトとマリアからは視線を逸らさない装者達。だが、ボクは爆風を受けてその推進力を利用してアッシュボルトへと接近する。
アッシュボルトは、それを既に予測していた様にボクへと向けてナイフを取り出して応戦しようとする。
だが、ボクの行動を予測していたかの様に奏と翼が前に出て、奏がアッシュボルトのナイフを受け止めて、翼が斬りかかる。ボクも合わせて
響とクリスもその二人を通過してマリアへと接近する。
だが、アッシュボルトは
「翼!」
飛ばされた翼へと声をかける奏もアッシュボルトに殴られてそのまま弾き飛ばされる。
「自分から
そう叫び、アッシュボルトはナイフを持った逆の手、何か握り締めた手でボクを掴もうとする。
「GV!避けて!」
シアンが何か嫌な感じ取り叫ぶ。ボクはそれに反応してスレスレの状態で身体を逸らし避ける。そしてその手の中にある物を視認した。
「ギアペンダント!?」
そう、アッシュボルトが握っていたのは装者達が首に掛けているギアペンダントの結晶そのものであった。
「ちっ…
アッシュボルトはそう呟く様に言うが、既にボクとアッシュボルトの距離は零に等しい。なんの聖遺物だか分からないが、それでもアッシュボルトを捕まえれば何か分かる。
ボクはシアンにより強化された雷撃を拳に纏いそのままアッシュボルトの顔面へと叩き込む。
だがアッシュボルトもそれに反応して拳を躱す。だが完全に躱し切る事が出来ず、バイザーが僅かに砕け、バイザーの片方の目の部分が露わになる。
「ちっ!」
アッシュボルトはすぐに後退してギアペンダントを握る手で片目を覆い隠す。
だがその一瞬だけ見えたその目にボクは見覚えがあり、そして何処か懐かしいものを感じる。
「そこまでの力を残していたか…
「どういう事とだ!?アッシュボルト!?」
アッシュボルトは憎しみを孕んだ声でボクへと向けて言い放つ。ボクはアッシュボルトの意味不明な言動を訝しむ。
だがその前にマリアへと向けてアッシュボルトは叫んだ。
「ソロモンの杖でノイズを出せ!すぐに撤退するぞ!」
「貴方という人は!自分勝手にも程があるわね!」
クリスと響を相手取るなんてマリアはマントを巧みに操り、近くの響に距離を取らせ、クリスの銃弾を弾き、ソロモンの杖を使い、大量のノイズをこの場に呼び出した。
「逃す訳ないだろう!」
ボクは付近のノイズを雷撃鱗で消し飛ばしながらも、アッシュボルトへと向けて再び接近する。
飛ばされた奏と翼もノイズと相対しながらアッシュボルトとマリアを逃さぬ様にノイズを蹴散らしていく。
響もクリスも付近のノイズを倒しつつ、マリアへと接近されており、苦戦を強いられていた。
アッシュボルトも後退しながら逃げようとする。そしてノイズを躱しながら、接近したクリスを蹴り飛ばし、ナイフで響をマリアから離すとマリアへ向けて言った。
「全く、この程度もろくに片付けられんのか」
「元はと言えば貴方がこんな勝手な事をしでかすから今の状況になっているのよ!?しかも、敵の本隊の接近も許して!」
「ああ、それは私が悪かったな。だが弱った装者すらも真面に片付けられん君もどうかと思うがね。全く、君が本当にフィーネの代わりなのか本当に疑問しかないな」
「マリア・カデンツァヴナ・イヴがフィーネだって!?」
まさかのアッシュボルトの発言にボクはあり得ないと感じさせられる。だが、その言葉と同時にアッシュボルトは何かを複数取り出すと、ボクへと向けて投げつける。
雷撃鱗でそれを破壊すると同時に、赤いガスがボクの周辺へと充満する。先程の病院内で見た物よりも更に濃い赤いガス。
「毒ガスか!?」
ボクは素早く息を止めてガスを吸い込まない様に手で口と鼻を覆う。
だがそのガスが発生させた煙にアッシュボルトとマリアの姿が見えなくなる。
「ここで私達は
そう意味深発言と共にアッシュボルトとマリアは何処かへ消えていくのを感じる。ボクも追おうとするがシアンがそれを止めた。
「GV!行っちゃダメ!」
シアンに止められるがそれでもボクはアッシュボルトを追いかけようとするが、その瞬間に装者達の悲鳴が響く。
「ッ!?」
まさかと思い、足を止めて素早く煙の中を走り、装者達の方へと走る。そこにはシンフォギアを解除された装者達がノイズに囲まれているところであったからだ。
「GV!一気に行こう!じゃないとみんなが!」
シアンの言う通り、ノイズはすぐそばまで装者達へと迫っている。シンフォギアがない状態でノイズに対抗出来るはずもない。
ボクはシアンの力を借りて、巨大な雷撃鱗を展開して一気に周囲のノイズを炭へと変える。
そして装者達の安全を確保してからガスの充満するこの場から素早く全員を避難させた。
「はぁはぁ…ありがとうございます。…ガンヴォルトさん」
「無事で良かった…でもなんで急にシンフォギアが解除されて…」
「あの赤いガスのせいだと思う…病院内でも吸ったかも知んないけど、シンフォギアの出力を落とすもんかもしれねぇ」
奏が今でも漂う赤いガスを見てそう言った。
「相手はシンフォギアを無効化する物があるとは…」
「厄介にも程があるだろ…しかもウェルの野郎!最初からあたし達を騙してアッシュボルトと組んでいやがるなんて…クソっ!」
翼もクリスも予期せぬ武装に悔しそうにしている。クリスの場合は守っていたはずの者が元々テロリスト側の者であり、まんまと利用されてソロモンの杖を奪われていた事。目の前にあったソロモンの杖を取り返せないのも加味して拳を強く握っている。
「とにかく、みんなに怪我がなくて良かった。でも、シンフォギアを無効化されるとなるとこれ以上アッシュボルトを深追いするのは危険だ」
『ああ。まさか装者達のシンフォギアを無効化する物があるとは…しかもシンフォギアとソロモンの杖以外にも完全聖遺物まで所持しているとは…此方の情報不足だった』
ボクの通信機を通して弦十郎が言う。
「帳簿にも入っていない物だ。こればっかりはどうしようもないよ。それに今回アッシュボルトと共に現れた完全聖遺物、ネフィリムと言っていたけど、あれもなんなのか調査する必要がある」
『そうだな。此方の方でも調査する。それとアッシュボルト達の行方もだ』
「まだ遠くに行ったわけじゃない。ボクが追跡する…と言いたいけど、みんなを危険な状態のままこの場を離れる訳にもいかない」
『正しい判断だ。それにお前も怪我を負っているならば尚更無理はさせられん。とにかく敵は逃したがいくつか新たな情報を手に入れた。これを基に再び作戦を考えよう。みんな、よくやった』
そう言って弦十郎の通信が切れる。
ボクは辺りを警戒しながらも装者達を守る様に努めた。装者達も警戒するが、疲弊した状態でシンフォギアを纏って傷つく事を考え、シアンに装者達の安全を確保してもらうために
だが、ボクは
先程のアッシュボルトの顔面を殴り、破壊したバイザーから覗いたあの目…その目にどうしても既視感が拭えない。
あの目…あれは…。
「GV…もしかしてアッシュボルトって…」
シアンもその事が気掛かりなのか装者達に聞こえない様にボクへと囁く。
「有り得ないよ…絶対に…」
ボクも頭では理解しているのだが、あの目を見てしまってはどうしてもその可能性が拭えない。
「でも…紫電の事もあるし…」
「でもあの人は…あの人だけは絶対にない…絶対に…」
シアンはそれでも、もしかしたらと言うがボクはその考えを否定する。だが、考えると何処か共通する部分があり、アッシュボルトの言動、行動がどうしてもその可能性を導き出してしまう。
絶対にない。そんな事はないはずだ。そう考えてもあの目を見てしまったボクとシアンはどうしても否定したくても出来なくなってしまっている。
「でも…
「分かっているよ…でもどうしてここに居るんだ…あの人はボク達を…シアンを殺して…こんな事になる原因を作った人が何でここに居るんだ…」
ボクは登りゆく朝日を見つめながらその可能性を否定するように消えていくように呟いた。
「アッシュボルトがアシモフであるなんて…そんな事ある訳がない…アシモフである訳がないんだ…」
シアンを殺して、ボクをこの場所へと流れ着かせた元凶が…この世界にいるはずがない。
だが口では否定しても頭にこびりついてしまったその考えは消える事はなく、ボクはただアッシュボルトがアシモフである可能性を拭えないでいた。
アッシュボルトは本当にあの人なのか…