戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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メインストリートの屋台をシアンが気になる物があるとすぐに飛んでいってしまうので、ボクは見失わない様に人混みを避けながらついて行く。

 

「わぁ!GV見て見て!リディアンの生徒のフェルトがいっぱいある!可愛い!」

 

「可愛いね。それにリディアンの制服をしっかりと作り込まれているし、作った人はとても器用な人だね」

 

「ガンヴォルトさん…シアンちゃんに言っているつもりですけど、私を含めた見えない人からしたら目の前の人を褒めている事になってますよ。別に良いんですけど、それはそれで目の前の人に勘違いさせてしまってます」

 

未来がボクだけに聞こえる様に小さな声でそう言うので、店番をしている生徒の方を見ると何故か顔を赤くしてとても恥ずかしそうにしていた。

 

一応、見えないシアンの事を考えて独り言でも大丈夫な様に言っているつもりだったのだが、勘違いさせる様な事を言った記憶がない。

 

「別にそんなつもりじゃないよ。それに勘違いさせる様な事を言ってるつもりもないし、良いところは良いところでボクもそう思った事を口に出しているだけなんだけど…」

 

シアンも店番の生徒の姿を確認するとハッとして未来と一緒にジトーとした視線を向けてくる。

 

「ガンヴォルトさん…」

 

「GV…」

 

「…何でボクはそんな視線を向けられないといけないんだい?」

 

ボクは全く意味が分からないと溜息を吐く。それに反応してシアンも未来もボクに対して鈍感と言ってそっぽを向いてしまう。シアンは見えない事を良い事に顔を赤くした生徒へと目の前まで行って何やら睨んでいる。

 

シアンに止める様にする為にフェルトを取ってシアンをその子から離す様に手を動かして財布を出す。

 

「このフェルト包んでくれる?」

 

「は、はい!」

 

その子はボクの取ったフェルトを受け取ると丁寧に包装していくとラッピングをした。そしてボクが受け取ると代金を支払う。そしてお釣りを貰う時に何故か両手でしっかりとお釣りが落ちない様に手をしっかりと握られる。

 

その瞬間にシアンがまた何か言い始めるのだが、何故そこまで怒る必要があるのだろうかと考えながら、ボクは受け取ってその場を後にする。

 

「ガンヴォルトさん…シアンちゃんが怒っていると思うんですけど、ガンヴォルトさんのせいですからね」

 

「未来まで…シアンも何で買っただけなのにそんなに怒るの?」

 

「GV!私が怒っているのはあの女の行動のせいよ!」

 

「何でただ買って商品受け取っただけじゃないか?それにシアン、リディアンの生徒をあの女って…」

 

シアンはボクの言葉に呆れたのか未来の方へ向かい、未来のスマホと繋がり、話し始めた。

 

「ちょっと未来!GVはあの行動に何も思わないわけ!?おかしいでしょ!?お釣り渡すだけなのにあんなに手を握られて!?」

 

「それは分かるけど、ガンヴォルトさんってテレビで出てる芸能人みたいに容姿が整っているし、私達みたいに女子校に通っている女子高生からしたらお近付きになりたいんだよ。変装で眼鏡をかけて髪を三つ編みにはしていないっといってもガンヴォルトさんの魅力は私的には変わらないし、もう仕方ないよ」

 

「分かるわ!でもGVは私的にコンタクトの方が絶対良いと思う!」

 

「私もシアンちゃんの意見に同意だけど、もうあの鈍感さは諦める他ないと思うよ…」

 

シアンも未来も何故そう言うのだろう。というかボクは何故フェルトを買っただけでそこまで言われなければならないのだろうか。シアンは未来に言っているのは聞こえるが未来の声は正直聞き取れなかった。

 

「言われたい放題だな…ボクが全面的に悪いのか?何かしたって訳じゃないんだけど…奏もクリスもそうだったけど一体なんでそこまで言われないといけないんだ…」

 

とにかく、このまま二人で話し合っていても秋桜祭も楽しめない事と、他の予定もあるために、未来とシアンに学園内の方へと行こうと話し切り上げさせると、屋台で食べ歩きできそうな物を買ったり、シアンが欲しそうにしたり、未来も悩んでいた物を買ったりとしながら楽しむ。

 

「ほら、未来の分」

 

「ありがとうございます、ガンヴォルトさん。すみません、態々お金を出させてしまって…」

 

「気にしないでいいよ。案内してもらってるお礼だから。ボクもシアンも楽しませてもらっているからこれぐらいはさせて欲しいんだ」

 

「GV…未来にいい格好したいわけ?」

 

シアンはボクの行動を見てそう言うが、シアンに案内してもらっているし、これくらい大人として当たり前の対応だと言って納得させる。

 

そんなこんなで未来とシアンと共に秋桜祭の出し物を見ながら回っていく。

 

「GV!コスプレ衣装の撮影会してるクラスがある!執事服とか新選組とか色々!」

 

「タキシードとかもありますよ!他にもガンヴォルトさんがモデルになってる都市伝説の雷人も!」

 

そして回っているとシアンと未来がとある教室の前で動きを止めるとそう騒ぎ始める。

 

どうやら、衣装の貸し出しをやっているクラスがある様でいろいろな服を置いているクラスがある様だ。しかし何故女子校なのに男性用があるんだと考えているが、男性客もいるので用意しているのかと思う。

 

「…着ないとダメかい?」

 

「着て欲しいです!」

 

「私も!と言うかGVのスーツ姿と戦闘服姿と私服姿もカッコイイけど他の衣装を着た色々なGVを見てみたい!」

 

素直なのは良い事だけど、そこまで強く押すところだろうか?そんな形でボクは押される形でシアンと未来に連れて行かれる様にそのクラスへと入る。

 

そしていうまでもなく、シアンと未来が言われた服装へと着替えさせられた。

 

「以前もあったな…こんな事…」

 

ボクは溜息を吐きながら、未来とシアンの言われた服装へと何着も着回す事になった。

 

しかし、この時何故か今までいなかった生徒がどんどんと入ってくるのはどうしてなのかと考えるが、もうやめて秋桜祭を楽しもうしている二人にも聞くに聞けず、悶々としていると別のピリッとした視線を感じてその方向を急いで向く。

 

だが、先程の様に何か感じる様な視線はない。

 

「…?一体なんだ?」

 

「どうしました?ガンヴォルトさん?」

 

「どうしたのよ、GV?」

 

未来とシアンは何かボクに違和感を感じて次の衣装を選ぶのをやめてそう言う。

 

「…何か変な気がしたんだけど」

 

「これだけの人の前で色々としてたらそう思うのは仕方ないかも知れませんけど…」

 

未来はボクに対しての多数の好奇の目を見てそう言うが、そうではないと言いたかったが、一瞬だけのため、判断が出来ず、その事を留めて未来とシアン、気付けば他の生徒からのリクエストを受けて色々な服へと着替えさせられる着せ替え人形とかしてしまった。

 

◇◇◇◇◇◇

 

「…なんて奴デス!あんな一瞬の視線でこっちを向いてきたデス!というか、奴までここにいるのは想定していたデスがこんな早くにも接触しそうになるなんて想定外デスよ!せっかく楽しく美味しい物を…じゃなくて偵察していたのにバレるとこだったデス!」

 

「危なかったね。でもあっちは気付いていなかったよ、切ちゃん」

 

切歌と調は先程人がたくさん集まっていた教室を覗いてみるとこちらの要注意人物であるガンヴォルトの姿が目に入った。しかもこちらが見つけた瞬間に彼方はすぐにこちらへと視線を向けようとしていたので急いでその場を後にしている。沢山の人がいたおかげでスムーズに視線を切り、多分見つからずになんとかやり過ごせたと思う。

 

「危なかったデス…でも、アイツが居ても何としてでもマリアやマムの為にも何とかして相手の情報を持って帰るデスよ!」

 

切歌と調はマリアとマムの為に何としてでも敵の情報。もしくは弱点になるものを調べる為にたまたま開催されていた秋桜祭へと紛れ込んだのだが、すぐに敵の重要人物であるガンヴォルトを見つけるとは思いもしなかった。

 

「ガンヴォルトがダメなら他の装者達を見つけるデス!」

 

切歌は張り切って捜索に繰り出そうとするが、調は何やら動きを止めて考え込んでいる。

 

「?どうしましたか、調?」

 

「切ちゃん…どうしよう…大変だよ」

 

「ッ!?もしかして本当はガンヴォルトにバレていたですか!?アイツ!敵である私達を見過ごしていたって事ですか!?」

 

切歌は逃げ切れたと思っていたが調の言葉に狼狽えながらも周囲にガンヴォルトの姿がないかを確認する。しかし、ガンヴォルトの姿もこれから探そうと言う装者の姿は見当たらない。もしや、こちらの様子を伺っているのかと考えて警戒してしまう。

 

「違うよ、切ちゃん…」

 

だが調は切歌の予想した事態とは違うと否定した。

 

「じゃあどうしたんですか、調?」

 

何が大変かよく分からなかった切歌は調へと問いかける。そして調は閉ざした口を動かした。

 

「あの男も…ガンヴォルトも私達同様に潜入美人捜査官眼鏡を着用していたの…いや、あっちは男性バージョンだから潜入美男捜査官眼鏡?私達が敵情視察の為にマリアとマムが渡してくれたこの眼鏡を敵も持っているなんて思いもしなかったよ…まさか潜入美人捜査官眼鏡に似た物を敵も持っているなんて…」

 

調は悔しそうにそう言った。

 

「何デスと!?確かに眼鏡らしき物を掛けていましたが、ガンヴォルトも潜入美人捜査官眼鏡を所持しているなんて予想外デス!というか男性も表現的には同じ美人でも良いはずデス!」

 

確かにガンヴォルトも眼鏡を掛けていた事を思い出した切歌は声を上げる。

 

まさか敵もマリアとマムが渡してくれた敵に素性を隠し、誰にも見咎められる事なく潜入出来る潜入美人捜査官眼鏡を所持しているのなんて思いもしなかった。

 

「デスが、調!安心するデス!」

 

だが、切歌は調を安心させる様に言う。

 

「彼方が持っている物は絶対に偽物デス!何故なら、私達が使用しているこの潜入美人捜査官眼鏡は本当に周りの人達に怪しまれる事なくここまで辿り着けているデス!ガンヴォルトも掛けていましたが、思い出すデス!あれが本物であればあの部屋にあんなに人が集まらないデス!所詮は偽物!同様に戦闘服っぽい物を着てあんな偽物を掛けていたとしても効果が無い事は既に把握出来たデス!」

 

切歌が言う様にガンヴォルトは戦闘服であるあの蒼いコートに身に包んで眼鏡を掛けていた。しかし、効果などなく、大人数に押し寄せられていたのがその証拠である。

 

「そうだね…マリアとマムが用意してくれたこっちが本物であっちは偽物に踊らされている道化だって事だね」

 

調はどこか安心した様にそう言って彼方が偽物であると思い、言い方は何故かトゲがあるが敵にそんな情など必要ないと思い、その認識でも問題ないと納得する。

 

「そうデス!彼方は偽物デス!そんな簡単にマリアとマムが手に入れてくれた潜入美人捜査官眼鏡が存在するはずもないデス!」

 

切歌と調はガンヴォルトがつけている眼鏡を偽物だと納得して潜入を続ける。

 

だが二人はガンヴォルトが付けているのは通常時に掛けている普通の度付きの眼鏡であり、決して切歌と調が付けている潜入美人捜査官眼鏡ではない事は知る由もなかった。

 

「あっ!調!あっちに怪しそうな屋台があるデス!調査するデスよ!」

 

「…切ちゃん、本当の目的は分かってる?」

 

「勿論デス!あそこももしかしたら何かあいつらに関係しているかも知れないデスから一緒に調査するデスよ!」

 

そして二人はガンヴォルトの事を一旦忘れて調査基秋桜祭の敵情視察を続けるのであった。

 

「お姉さん!綿飴二つお願いするデス!」

 

「やっぱり切ちゃん、目的よりも食べ物に目が眩んでない?」

 

結局その事を問いただす調に対して切歌は調査と称して買い物を楽しむのであった。

 

◇◇◇◇◇◇

 

「マム…切歌と調、しっかりと出来ているかしら?」

 

「いえ、別にしっかりしてもらわなくても大丈夫ですよ。あの二人はアッシュボルトのせいで色々とストレスを溜まっていると思いますから、息抜きの為に送ったのに過ぎません。なんの成果を得られなかったとしても二人には少しでも元気になってくれればそれで構いません。マリアもあの子達同様に行かせてあげたかったのですが、顔を世界に知られている以上、行かせるわけにはいかなかったのです。本当にごめんなさい」

 

マリアはナスターシャの思惑を知り、二人が元気になってくれるならばいいから気にしないでと言う。

 

「でも、あの子達、大丈夫かしら?変装用として眼鏡を渡したけど、なんか特別な物と勘違いしている節があったから…」

 

「大丈夫でしょう…あの子達も目的は分かっているはずです。無茶なんてするはずもないですから」

 

「…そうね。あの子達も無茶はしないでしょうし、欲を言えば少しでも気分転換して欲しいものね」

 

マリアとナスターシャは少し二人の事が心配になるがそれでも少しでもアッシュボルトの事など考えずに短いが少しでも楽しんでくれる事を祈った。

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