戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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爆弾の処理を終えたボクとシアンは報告をしに機動一課の保有する軍事基地に係留している潜水艇へと入る。

 

そして司令室へ入るとそこには慌ただしく作業する二課のオペレーター達の姿が。

 

「ガンヴォルトさん!シアンちゃん!」

 

ボクの姿に気付いた響が声を出すのでボクは話し合っていた場所に向かう。

 

そこには装者達、そして弦十郎、オペレーターのあおいと朔也の姿もあった。

 

「ガンヴォルト、ご苦労だったな」

 

「そっちもなんとかしてくれて助かったよ。ただ、処理をしている中で違和感があったからそれを報告しておくよ。今回処理した爆弾の量に関してなんだけど、それなりの数が仕掛けられていたのは分かっていると思っているけど、仕掛けられていた爆弾の一つ一つに付けられた爆薬の量が正直、今まで比べ物にならないくらい少なかった。場所が場所だけにそれなりの被害が出る事になるだろうから解除出来たのは良いけど、前みたいにビル一棟丸ごと破壊したりする程の威力がある物じゃなかった」

 

ボクは今回仕掛けられていた爆弾の事を伝える。

 

そしてこちらへと情報を流したフィーネに所属する、マリア以外の女性の事を。

 

「そちらは四人からも聞いている。敵装者である二人もその爆弾に対して何も聞かされていなかったところを見てアッシュボルト、ウェル博士の独断で行われたものであろう。だが、敵であるはずの人物が何故、お前に情報を流したのか?」

 

「多分、アッシュボルトとフィーネの人物達との目的までの過程の差異だと思う。何が目的かは分からないけど、アッシュボルトは仲間をも騙して何をしようとしているのか」

 

そして脳裏にはかつての師であり、ボクをこんな状況にした元凶の姿がチラつく。だが、あり得ない。あの人がいるはずないと否定する。

 

「…こちらでも何度か調べている最中だが、何か分かり次第報告する。それと、ガンヴォルト、シアン君は近くにいるんだな?」

 

弦十郎がそう言うとボクの通信機を通してシアンがいる事を伝える。

 

「情報を整理するにあたって、俺達はアッシュボルトがお前に対して思うところがあって少し話し合っていた」

 

その言葉に忙しなく動いていたオペレーター達もが、ボクの方に視線を向ける。

 

「ガンヴォルト、アッシュボルトの正体についてだが…ガンヴォルトの予想だと、アッシュボルトはお前と同様の場所の人間であり、お前が元々所属していた組織、フェザーの人間である可能性が高い、間違いないな?」

 

「…そうだよ。アッシュボルトの使う武術、チャタンヤラクーシャンクーをベースとしたオリジナルの武術。あれはフェザーの人間じゃないとあそこまで熟練した動作を行えるはずがないんだ。それに、フェザーが隠蓑ともアッシュボルトは言っていた。ボク自身もその言葉が何を意味しているのかは理解出来ない…」

 

そう言ったものの、アッシュボルトのあの言葉の意味が、最後にあの人が…アシモフの言った言葉の真意だとするのならば…

 

「だけど理解出来なくても、確証がなくても、アッシュボルトが何者なのか…ボクは否定したいけど、そう思わざるをえなくなった」

 

その言葉に弦十郎やオペレーター、そして装者達は驚く。

 

「ガンヴォルト、アッシュボルトが何者なのか分かった…いや、知っているのか?」

 

「ボクと同じチャタンヤラクーシャンクーをベースにした武術、フェザーの人間、そして廃病院で見たアッシュボルトの目…あり得ないと…そんな筈がないと思いたいけど、どうしてもあの目を見てからアッシュボルトの正体があの人なのかも知れないと思ってしまったんだ…」

 

「一体誰なんだ!?アッシュボルトはガンヴォルトの知っている奴なのか!?」

 

奏がボクが勿体ぶるような言葉に焦らされていると思い、そう叫ぶ。

 

「奏!お願い、私だって信じたくないけど、GVの心の整理がつくまで待ってほしい!」

 

シアンがボクの心情を察し、奏に落ち着くように言った。奏もシアンの言葉を理解して、悪いと言うとボクが言いあぐねている事を話すのを待つ。どうやらそこまで酷い顔をしていたみたいだ。

 

そして、ボクは言おうか迷っていたが、みんなにも知ってもらっていた方がいいとようやく踏ん切りがつき、この場の全員に向けてアッシュボルトの正体と思われる人物の名を口にする。

 

「多分…アッシュボルトの正体は…アシモフ。前にも話した通り、ボクがこの場に行き着く事となった元凶になった人で、シアンを殺し、電子の謡精(サイバーディーヴァ)の姿に変えたその人の可能性がある…」

 

その言葉に誰もが絶句する。

 

「なっ!?何でそんな奴が居るんだよ!そいつはお前のいた場所にいるはずなんだろ!?」

 

「そうだ!ガンヴォルトが何等かの要因でこちらにきた事は知っているが、何故シアンをそんな姿にした元凶がこちらにいる!?しかも、敵のテロリストとして!」

 

クリスがボクにいるはずがない人がここにいる事を問いかけ、翼はボクが元の世界で追っていた人間がこちらにいる事に疑問を持ちながらも、敵として現れた事に驚き叫ぶ。

 

「ボクだってそんな事あり得ないと思っている。でも、どうしても、アッシュボルトの行動、それに廃病院で見たあの目を見てそう思わざるを得なかった…」

 

「でも、何でその人がこんな事を!?」

 

響がボクに対して問いかける。

 

「アシモフがボクを殺そうとした原因、それが皇神(スメラギ)に所属する能力者、そして無能力者の殲滅だったんだ」

 

その場にいる全員がアシモフの本当の目的を知った。

 

「ガンヴォルト、それは本当の事なのか?」

 

「そうだよ。アシモフの目的はボクが最後にあの人に会った際に聞いた」

 

「だったら何でお前はそのアシモフって野郎を信じているんだ!何でお前は追っている人間と話し合おうとしているんだよ!何でそんな外道と!」

 

奏がそれを聞いて怒りを込めて叫ぶ。ボクが以前からアシモフと話し合いと言っていた。アシモフに殺されかけ、何故そうまでして話し合おうとするのか理解出来ないと言う奏が叫んだ。

 

「シアンをそんな事にした相手だし、あんたを殺そうとしていたんだぞ!?何でお前はそこまでしてそんな奴と話し合おうとするんだよ!」

 

「こんな事になったからこそ、ボクは本当にアシモフが何故あんな事をしたのか、その言葉がその行動が真意なのかを聞き出さないといけないんだ」

 

「GV…」

 

その事実を唯一知るシアンはどこか悲しそうな表情をする。シアンをこんな姿にした事は許せない。だが、それでも殺した相手であり、何をしでかそうとしているかは察しているが、ボクがまだアシモフの事を心の何処かで何か訳があったんじゃないかと信じていたかった。

 

「だからって!」

 

「奏!もうそれ以上は何も聞くな!」

 

まだ何か言おうとする奏に弦十郎が一喝する。奏も急に言われて反論しようとするが、改めてボクの方を見ると少し罰が悪そうにして悪いと謝る。

 

「いや、奏の言うとおり、止めなきゃいけない事は決定しているよ。でも、どうしてもボクを皇神(スメラギ)から救い出してくれたから…ボクをここまで育ててきてくれたから…今一度会って本当の事を聞かなきゃならないんだ…」

 

「…お前の気持ちは分かった。だが、それはアッシュボルトの正体が本当にアシモフという人物であった時の話だ」

 

「分かっているよ。アッシュボルトがアシモフであるにしろないにしろ、ボク達は止めなきゃならない」

 

ボクは今一度頭の中にある脳裏に浮かぶ幻影を振り払う。

 

「まずはこの事件を収束させる。話はその後だ。とにかく、止めなきゃならないアッシュボルトとの決着からだ」

 

『その通りだ』

 

突如、司令室内に聞き覚えのある機械で変声された声が響く。

 

「ッ!アッシュボルト!」

 

ボクはそう叫ぶ。

 

「ここの回線をジャックされた!?国から支給された最新鋭の機種で厳重な物だぞ!」

 

朔也がそう叫び、コンソールを操作しようとすると、雷撃が迸り、それを浴びた朔也が痙攣して倒れる。

 

「機材から早く離れて下さい!藤尭君、大丈夫!?」

 

あおいが他のオペレーター達に指示を飛ばすと、雷撃を浴びた朔也に駆け寄る。

 

『待たせてしまったが、こちらの準備は整った。電子の謡精(サイバーディーヴァ)と共に私の元へ来い。貴様と再び相見えよう』

 

「…分かった。今度こそ貴方と決着をつける」

 

ボクはモニタールームに響くアッシュボルトの声に答える。そして、ボクは確信していないが、アッシュボルトへと向けて言う。

 

「貴方にこれだけは聞いておきたい。目的は何かは知らないけど止めてみせる。だけど、これだけは聞かなきゃならない」

 

確証など無い。信じたくも無い事。だけど、はっきりとさせておきたい事。

 

「アッシュボルト…貴方はアシモフなのか?」

 

『…』

 

その問いにアッシュボルトは何も答えない。それが本当なのか、違うのか分からない。

 

沈黙が続く司令室。やがてスピーカーからアッシュボルトの声が響く。

 

答え(アンサー)を知りたいならば、私の元へと来ればいい。最も貴様と電子の謡精(サイバーディーヴァ)の二人で来た時だけだがな。そうすれば私が誰なのか教えてやろう』

 

そう言うとアッシュボルトは時間と場所を指定する。

 

『決戦は今夜。その場所ならばヘリで一時間もかかるまい。場所は以前にも指定した貴様がかつてフィーネと戦った深淵(アビス)だ。そして、装者達にも伝言だ。かつての戦場、東京番外地にて会おう』

 

四人に向けてそう伝えられる。それは切歌と調が装者達との決戦場を意味しているのは誰もが理解している。

 

『被害を出したく無いだろう?待っているぞ。同じ記憶を持つ紛い者。勿論、来なければ貴様等の解除した爆弾とは別の物を爆破して大勢の命が散るだろう』

 

それだけ言い残し、アッシュボルトは通信を切った。

 

「東京番外地…カ・ディンギル址地…それにアビス…」

 

フィーネの戦闘を再現でもしようというのかと思う場所。

 

「行きましょう、ガンヴォルトさん、シアンちゃん」

 

「アッシュボルトが何なのか知らねぇが、止めなきゃならない」

 

響が、ボクに向けて。クリスが来たるべき時が来たと、険しい表情で言う。

 

「正体なんて行けば分かる。それにまだ残された爆弾があるならば、これ以上の被害を出さないためにも戦わなくちゃならない。防人として。装者として」

 

「ああ。やるしかない。もう賽は投げられたんだ。奴等を止めるためにここで終わりにしよう」

 

翼も奏もクリスの後に続けて言った。

 

「…やるしかないだろ…この場所にハッキングまでしてあんな啖呵を切って来たんだ…ガンヴォルト。アッシュボルトを止めるしかない」

 

朔也があおいの肩を借りながら立ち上がりつつそう言った。

 

「もう、これ以上の負の連鎖を続けさせないためにも…罪の無い一般の人達を巻き添えにするフィーネを…テロリスト達を止めるしかない」

 

あおいもボクに向けてそう言った。

 

「GV。行きましょう。そしてアッシュボルトが何者か…相手の目的が何なのかを知って…止めよう」

 

シアンもボクに向けてそう言った。

 

「ああ…やるしか無いんだ。これ以上の連鎖を止めるために。アッシュボルトも…フィーネの目的を止めるためにも」

 

そしてアッシュボルトの正体が本当にアシモフなのかを。

 

「覚悟が出来ているなら、今すぐにも準備するぞ。あの人の命を何とも思わない男の目的を止めるためにも。この国を、人々を守る為にも」

 

弦十郎の言葉にボクとシアン、そして装者の四人も頷く。

 

「ならば急ぐぞ!奴が約束を違えないという保証もない!すぐにでも、カ・ディンギル址地、そしてアビスへと向かわせる!」

 

そう言って弦十郎は再び操作可能となったコンソールを動かし、モニターを一課へと繋げるとすぐさまヘリを用意するように伝える。

 

弦十郎の言葉にすぐに返事をしてすぐさま準備する事を告げられる。そして弦十郎はボクの装備をすぐに用意するように技術班へと連絡をする。

 

「すぐに準備してくれ、お前の用意が出来次第、すぐにヘリを飛ばし装者達共に東京番外地、カ・ディンギル址地へと向かわせる」

 

弦十郎の言葉に頷く。

 

今度は廃病院のように逃すわけにはいかない。

 

次で決着をつけるんだ。そして知らなきゃいけない。アッシュボルトが本当にアシモフなのかを。

 

本当ならば幾つか聞かなければならない。何故あの時ボクを裏切り、シアンを殺したのかを。本当にそれが自身の意思なのかを。そして何故アシモフはボクに対して紛い者と…異なる意味を持つGVと言うのか?その意味を知る為に。

 

ボクとシアンはすぐに司令室から出ると装備を整える為に技術班の待つ部屋へと駆け出した。

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