迫り来る銃弾を避けるボク、電磁結界で
そして同時に雷撃を迸らせた腕を構え、一気に距離を詰めると拳と拳がぶつかる。
「アシモフ!何故貴方がここに居るんだ!」
「貴様は
ぶつかった拳を振り払い、至近距離で銃を構え、ボクの脳天へと向けて撃つ。
ボクはその攻撃を首を動かして銃口から逃れ、そのままアシモフへと向けて
「ふざけるな!貴方のせいでシアンがこんな事になっているんだぞ!?それに、ボク自身をココへと来させた原因を作った貴方が何故それを答えない!」
「何度も言っているだろう!貴様に答える義理などないと!紛い物如きが何をほざく!」
ボクへと向けてナイフを振るうアシモフ。ナイフをダートで受け止めて、ボクはシアンの歌の力により高められた
「ふざけないで!貴方のせいでGVがこんな事になっているのに何でそんな事を!それに紛い物ってのは何なのよ!GVはGVじゃない!」
「
そう言ってアシモフはボクにナイフを振るいながらシアンへと銃弾を放つ。ボクはシアンへと向かう弾丸を
それと共にアシモフが今度は下がりながらナイフをボクへと向けて投げる。回転するナイフを雷撃鱗で防ぎ、そのままアシモフへと再び接近する。
「話せ、アシモフ!本当に能力者だけの世界を作るつもりなのか!そのふざけた野望の為にボクを利用したのか!?」
「皇神《スメラギ》に与する能力者!それに存在するだけで価値のなく、能力者を迫害しようとする無能力者など生きている価値すらない!だからこそ滅ぼさなければならない!何度も言わせるな!貴様など利用した事など一度もない!」
アシモフも雷撃鱗を展開してボクの雷撃鱗とアシモフの雷撃鱗がぶつかり、辺りへと雷撃を撒き散らす。
「ふざけた事を!貴方のせいで!貴方のせいでシアンがこんな事になっているんだぞ!」
「貴様の言っている事など、私に心当たりなどありはしない!紛い者如きが!貴様のような奴がその言葉と記憶を語るな!」
話が噛み合わない。アシモフは何故ボクをかつてのように呼ばない。コードネームを呼ぼうとしない。まるで訳の分からない事をただ忌々しそうにボクへと叫ぶ。
「記憶、紛い者…一体何だって言うんだ…貴方は何故自身がボクに付けたコードネームを呼ぼうとしないんだ…」
完全に分かり合えないと悟り、もうアシモフとはこの場で語り合う事は不可能だ。アシモフはボクを殺そうとしている。何故今まで見せた事のないような怒り、憎しみを込めてボクを呼ぶのか分からない。
話すだけ無駄であり、もう分かり合える事はない。シアンもあれほどのアシモフの怒りを見て何が起こっているか分からないようだが、話し合いなど不可能と思っている。だからシアンはボクに対して言う。
「GV!アシモフさんとはもう話し合おうとするだけ無駄だよ!もう…この人とは分かり合えない!無能力者だろうと自身とは意を違える能力者の事を考えない人とはもう!」
「ああ…もうあの頃のように戻れない…シープスの時のようには…」
かつての仲間との思い出が蘇るが、それはもう戻る事の出来ない記憶。そして
だから、
「ここで貴方を止める!そしてアシモフ!貴方から全てを聞き出す!何故ボクをここに連れてきたのかを!貴方がこの世界でどんな残酷な事をフィーネと共に起こそうとしているのかを!」
「だから、私は初めから貴様などの事を奴と思った事などないと言っているだろう!」
ぶつかり合う雷撃鱗越しで互いに睨み合う。そしてぶつかり合う雷撃鱗の威力強まっていき、辺りへと散らばる雷撃が壁を、地面を破壊していく。
だが、アシモフはそんな中銃を捨て去り、新たな銃を取り出す。その銃はかつてボクを死の淵へと追い込み、シアンを殺したアキュラの使っていた銃。
「
「
そして放たれる雷撃鱗を貫く
ボクは素早く雷撃鱗を解いて迫り来る
「今度は確実にだ!確実に貴様を殺す!いい加減に貴様のその狂言には虫酸が走る!殺さねばならん!今度こそ確実に私の目の前で貴様の亡骸を私の雷撃で消し炭にせねばならんのだ!」
吹き飛ばされたボクへとそう叫び、アシモフは追撃とばかりに、ボクへと銃口を向けて
「ぐっ…シアン!」
「分かってる!」
ボクはシアンへと叫び、その意図を理解したシアンは
そしてシアンが再び
「無駄だ!
アシモフの言う通り、
「GV!やっぱり至近距離で雷撃を当てないと
シアンの言う事はもっともであるのだが、
能力者を封じるアキュラの持っていた不死身の能力者すら屠る事の出来る最凶の弾丸。あの恐ろしさを知っているからこそ、この身で体験したからこそあの恐ろしさを痛感する。
どうすればいい。
だが、考える暇を与えないとばかりにアシモフは今度はもう片方の手で何かを取り出すとそれをボクへと向けて投げる。
ボクは素早く雷撃鱗を展開させるとそれが雷撃鱗へとぶつかった瞬間に乾いた破裂音と共に閃光が煌めく。
「スタングレネード!?」
「GV!?」
すぐに腕で目を隠すがそこから放たれる光が僅かにボクの目に入り、視界を奪われる。
「クソ!」
「終わらせよう!紛い者!」
アシモフが好機とばかりに叫ぶ。だが、アシモフの姿はボクの目では見えない。だが、これだけは分かる。アシモフは目の見えないボクを殺そうと何処かから
「GV!」
そしてシアンの叫びだけがボクの耳に聞こえてきた。
◇◇◇◇◇◇
地上ではノイズをなぎ倒していく、装者達、そしてソロモンの杖を持ち高みの見物をするように立つウェル、そしてその傍にそのノイズが完全にいなくなるのを待つネフィリム。
「これで最後だ!返してもらうぞ!ソロモンの杖を!」
「ああ、ここで終わらせてやる!お前たちがやろうとしている事!」
クリスと奏が槍と銃を構え、ウェルへと告げる。
「止める?終わらせる?はははっ!何を馬鹿な事を!僕達がしようとしている事は救済なんですよ!終末を回避する為の行動を行っているのに邪魔をしているのは貴方たちの方でしょう?」
ウェルは二人の言葉に対して高笑いを上げる。
「馬鹿な事言わないで下さい!こんな事を起こして!それに秋桜祭や他の場所に爆弾を仕掛けて何が救済なんですか!それに私達と調ちゃんと切歌ちゃんの約束すら守らせない貴方達が何を言っているんですか!」
「おかしな事を言いますね!約束はあの子達と君達が勝手にした事であって僕が守る義理も理由もないでしょう?それに救済ですよ!楽しい生を謳歌して何も知らずに来る終末を知らずに死ねる!それがどれだけ楽な事でしょうか!」
「外道が!人の命を徒に無くすその行為のどこが救済だというのだ!そんなのただの虐殺でしかないだろう!それに終末!?それはどういう事だ!」
響の答えに笑いながら答えるウェルに翼が怒りがこみ上げ、救済ではないと否定する。そしてウェルの言った終末の意味を問う。
「貴方達が自分でしでかした事にまだ気付いていないんですか?貴方達が紫電とかいう
芝居がかった仕草をしながらウェルはため息を吐いて月を見上げる。
「ここで貴方達とフィーネがした戦い。フィーネが櫻井了子と気付かずに野放しにしたせいでこのカ・ディンギルを起動させてしまった。そして月を破壊するエネルギーを逸らしたその一撃が月の軌道を変えてしまった。そのせいでこの星の寿命は後数年も残っていないんですよ。貴方達のせいで、地球という星は終わりを迎えようとしています」
残念そうに、そして落ち込むような仕草を取るウェル。だが次の瞬間にソロモンの杖を掲げる。
「だからこそ!その事実を知る我々!アッシュボルトと私!そしてフィーネは人類救済の為に立ち上がったのです!貴方達のせいで始まった終末へとカウントダウン!それを止める為に我々は動いている!」
「そんな!?」
語られる事実。それはいずれ月の衝突により地球が滅ぶという事。そしてフィーネとアッシュボルト達はそれを止めようと動いている事を知る。だが、それでも四人にとって許せない事がある。
「だからってそれで人を殺して良いっていうのか!」
「虐殺を行うあんた達が正しいっていうのかよ!ふざけるな!」
クリスと奏がウェルへと叫ぶ。
「正しいんですよ!終わりを迎える前に我々は人類の選別を行わなければならないんです!次の世代の為に!人類の存続の為に!」
「ふざけるな!選別だと!救済を語るなら全員を守るという選択肢を取れない貴方達の何処に正論があるっていうの!」
「そうです!何でそんな行動しか取れないんですか!何で人を殺そうとして正義を語ろうとしているんですか!そんなの間違っています!」
「間違ってなんかいませんよ!いずれ来る終末に我々は楽園を準備しています!その楽園にも搭乗数にも限りがあります!そうなれば誰しも生きたい!死にたくない!自分勝手な人間ほど生に執着して他人を蹴落としてでも生き残ろうとするんですよ?だからこそ、救える命のみを救う為に争いが起きないよう、人類の数を減らして誰も争わずに生き残る事が出来るよう手筈を整える!それの何処が間違っているというのですか!」
ウェルは四人へと向けて叫ぶ。
「間違ってなんかいません!何故かって?それは僕が英雄になる存在だからです!英雄は正しい事を行う!だからこそ!この行動は正しい!そしてこの行動を考えたアッシュも!だからこそ、やるんですよ!選別を!僕とアッシュを英雄と崇める者だけが生き残る僕の理想を現実にさせる為にも!」
まるで狂ったように叫ぶウェルに四人は否定する。
「だからそれの何処が救済って言ってるんだ!あんた等がやろうとしているのは欺瞞でしかねぇ!自分の私利私欲の事しか考えていない、ただの虐殺じゃねぇか!」
「あんたの言う事は全く理解出来ない!そんな事のためにお前等は何も知らない人達を殺そうとするあんた達の事なんてな!」
「奏と雪音の言う通り!貴方達がやろうとしているのは間違っている!」
「そんな事を知りながら!何で誰にも言わず、ただ自分のためだけにこんな事をするなんて信じられません!」
その言葉にウェルは分かっていたように言う。
「貴方達に理解してもらわなくて結構ですよ。我々はただ目的へと進むだけですからね。さて、目的も喋った事ですし、ここらで始めましょうか。分かり合えないのなら戦って勝ち、分からせるしかないとね」
ウェルの言葉に四人は武器を構える。
「さあ、ネフィリム!見せてやりなさい!貴方の力を!聖遺物を喰らい、自らの力としていく貴方の実力を!」
その言葉と同時にネフィリムが獣のような雄叫びを上げる。
そしてそれと同時にネフィリムが口を開ける。
その瞬間に口から爆炎が現れて、四人へと向けて放つ。
「前までこんなの使ってこなかったのに!?」
「ネフィリムの野郎!あんなのを隠し持っていやがったのかよ!」
「完全聖遺物ネフィリム!まだ分からない事ばかりだと思っていたが、こんなものまで!」
「火を吹けるぐらいなんだって言うんだ!」
四人は避けて散らばる。だが、次の瞬間にネフィリムは孔のようなものを口から出すとその中へと消えていく。
「なんだよあれ!?」
クリスは突如姿を消したネフィリムに驚きの声を上げる。
「奏!後ろ!」
その瞬間に翼が奏へと叫び、奏は後ろを振り向くと、先ほど同様に孔が開いており、その孔からネフィリムが奏へと飛び掛かっていた。
「てやぁー!」
そんな奏を守るように響が一気にネフィリムへと距離を詰め、ネフィリムの顔面を殴り飛ばす。
「助かった、響!でもなんで後ろから奴が!?」
「分かりません!でもさっき出したもののせいだと思います!」
先程ネフィリムが孔を出したと同時に現れた孔。それがなんなのか分からないが、ネフィリムに瞬間移動のような芸当を可能としている。
そして殴り飛ばされたネフィリムは今度は体を発光させると、一瞬の内に響と距離を詰めて襲いかかる。
突然の事に響は対処出来ず、そのままネフィリムの突進に吹き飛ばされた。
「立花!この!」
翼が響が吹き飛ばされたのを見てネフィリムへと剣を振りかざし、斬ろうとするが、ネフィリムの口から目のような紋様が現れる。そしてその紋様から何か光線の様な物が放たれる。
何とも言えない危険を感じた翼は、すぐさま剣を引いてその光線を避けるが、剣だけがそれに当たってしまう。
「なっ!?」
避けた翼は再び、斬り掛かろうと剣を構えるが、違和感を感じて剣を見ると先ほどの光線を浴びた剣はまるで石になったかの様に刀身から輝きを失い、鈍となっていた。
「翼!」
そんな翼へと響同様に突撃しようとするネフィリムを奏が、斬り掛かり止める。
「こいつでも食らえ!」
それと同時に奏が隙を見て離れるとクリスが放ったミサイル弾がネフィリムを襲う。
だが、ネフィリムは孔を出現させるとウェルの隣へと戻っていく。四人も集まってあの孔の様なもので素早く移動、もしくは発光すると一瞬で距離を詰める攻撃に警戒する。
「翼さん…これって」
「悪い考えしか浮かばないわね…」
「一体どうなってやがる!廃病院で聞いたあいつの話とまるで違うじゃねえか!」
「当然ですよ。あの時はまだ、適応出来ていなかったのですからね」
「適応!?どういう事だ!」
奏が叫ぶ。だが、響と翼は今まで見たネフィリムの力、それはかつてガンヴォルトから聞いた過去の話に出て来ていた
「アッシュが持つ聖遺物がもたらした奇跡!
その言葉はアッシュボルトに仕組まれた事であり、四人にとって