戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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35GVOLT

装者達に襲い掛かるネフィリム。第七波動(セブンス)を使用して襲い掛かるその姿をウェルは不敵な笑みを浮かべて眺めている。

 

「素晴らしいですね、完全聖遺物ネフィリム…まさか、アッシュの言う通りにこんな力があるなんてね。第七波動(セブンス)を内包する宝剣の欠片…何処で手に入れたかはアッシュは教えてくれませんでしたが、ガンヴォルトと紫電同様、別世界から流れ着いた漂流物か何かでしょうね。アッシュは昔から色々な聖遺物研究機関を襲撃して幾つかの聖遺物を手に入れてましたし」

 

高速で移動して襲い掛かるネフィリム。そして紫の光線を出し、更に孔を開けて黄色の粒子を流し込んで装者達を追い詰めていく。

 

「自身の身体を光と変えて高速で移動する残光(ライトスピード)生命輪廻(アンリミテッドアムニス)に関しましては正規能力者ではないせいか、死者を蘇らせる事は出来ませんが、生命を操る事の派生なのか、人を石化させる事の出来る力。そして複数の孔を開き、繋ぐ事で転移を使用する事の出来る亜空孔(ワームホール)。そして、物質を喰らい無効させる翅蟲(ザ・フライ)。アッシュが一番欲しがっていた磁力拳(マグネティックアーツ)だけはどうしても手に入れられなかったみたいですが、ガンヴォルトはアッシュが抑える以上、これだけで十分でしょう」

 

ほくそ笑みながらウェルはネフィリムと装者達の戦いを眺める。

 

四人もネフィリムの出す第七波動(セブンス)能力の前にネフィリムに決定打を見出だせないでいる。

 

それもそのはず、翼はクリスを抱えながらネフィリムの攻撃を受け流したり、弾いたりしてクリスを守りつつ動き、響も奏は立っているが、先程のネフィリムの攻撃で相当なダメージを負ったらしく、ふらふらで響がサポートしなければネフィリムの一撃を再び喰らいそうな勢いであった。

 

「ははは!良いですよネフィリム!もっとボクに見せて下さい!その力を!蒼き雷霆(アームドブルー)以外の第七波動(セブンス)を!」

 

ここで敵装者を倒しきれば邪魔者は消える。ガンヴォルトもアッシュボルトが倒してくれる。そうすればもう誰も邪魔する者は現れない。政府であろうと国であろうと、もう誰も止められない。

 

そしてウェルが選び、アッシュボルトとフィーネが選別した人間だけが次の世代を残し、新たな歴史を。創世記を作り上げ、ウェルという人間が英雄と崇められる世界を作り上げる。

 

ウェルはそれを考えて高笑いをあげながら、傷付いていく装者達を遠くから眺めるのであった。

 

◇◇◇◇◇◇

 

「雪音!奏!無理をしないで!二人ともそんな身体で無理をすれば更に悪化してしまう!」

 

「そうですよ!」

 

翼に肩を貸されながらも、石化した腕を無理にでも動かして、攻撃に参加するクリス。ボロボロになっても槍を構えて、孔から現れる黄色の粒子を槍を回転させて竜巻を起こし、みんなへと近づけない様に振るう奏。

 

だが、二人の制止を振り切ってでもクリスも奏も止まらない。ガンヴォルトがアッシュボルトと戦っている。それに翼と響だけではあのネフィリムを止められないかもしれないと感じているからだ。

 

「止まるわけにはいかないんだよ!こんな奴の為に!あいつの持つソロモンの杖を取り返して奴らの目的を止めるまでは!」

 

「クリスの言う通り、ガンヴォルトがまだ戦っているんだ!それなのに私とクリスが休む事なんて出来ない!それに翼と響だけでこれを止めるで精一杯じゃねえか!」

 

クリスと奏は叫ぶ。己の目的のために。未だ地下でアッシュボルトと戦闘しているガンヴォルトのために。

 

ここで休んでいる暇はないと気持ちを奮い立たせネフィリムとの戦闘に望んでいる。

 

その言葉に翼も響もその覚悟に二人に無茶だけはしないでと言ってもう何も言わずにネフィリムと戦闘を続ける。

 

ネフィリムも四人が再びばらけ出して攻撃し始めた事に激怒して今までよりも更に攻撃の幅を広げていく。

 

今まで使っていた亜空孔(ワームホール)の孔を増やし、爆炎(エクスプロージョン)をその中に打ち込んだと思えば無数に浮かび上がる孔の中を縦横無尽に駆け巡り、何処から攻撃してくるのかを予想させない様にし、更に自身の身体を再び発光させると自身もその穴へと飛び込んで駆け回る。

 

そして高速移動しながらも更に先程の粒子を吐き出し続けて装者の周りへと群がらせようとしている。

 

「なっ!?こんな力をまだ隠していたのか!」

 

「速すぎる!目で追いつかない!」

 

翼も奏も何とか孔の方向に立たない様に移動するが、周りを飛ぶ黄色い粒子に当たらない様に回避したり、吹き飛ばすだけで精一杯になる。

 

「クソ!狙いが定まらねぇ!」

 

「こんなのどうすれば良いの!?」

 

クリスも響もなんとか迫り来る爆炎をそして黄色い粒子を退けながらも孔の開く場所を避けて何とか回避する。

 

だが、飛び回る黄色い粒子。そして爆炎を、光速で移動するネフィリムを捉える事が困難になっていき、纏うギアが、どんどんと削られていく。

 

「クッ!?このままでは!?」

 

翼は爆炎を避け、剣でエネルギーの斬撃で黄色の粒子を消していくのだが、依然として吐き続け、高速で移動するネフィリムを捉える事が出来ない為にジリ貧を強いられる。

 

「このままじゃ私達の方が先にダウンしちまう!」

 

奏も痛む身体を無理に動かし、なんとか回避しているが、それでも翼同様にボロボロとなり、いつ攻撃を喰らうかは分からない。

 

「クソ!だったら!」

 

クリスがボロボロになりながら、ネフィリムを補足するのをやめて、遠くで高みの見物をするウェルへと向けてライフルを出現させると狙いを定める。

 

「あいつを先にやってソロモンの杖を!それに主人を倒す!」

 

そう言ってクリスは引き金を引いてウェルに向けて弾丸を放つ。奏と翼、そして響が粒子を吹き飛ばして僅かに出来たウェルまでと届く道。その針を穴に通す様な感覚だが、クリスは最大限に高めた集中力でその穴を通して、ウェルへと銃弾を放った。

 

だが、粒子が開けた穴はまるで罠であった様に、通した先で急に孔が開き、その中に吸い込まれたと思うと、クリスの背後に現れ、それを通過した弾丸がクリスへと直撃する。

 

「雪音!」

 

「クリス!」

 

翼と奏が倒れゆくクリスの名を叫ぶ。

 

「クリスちゃん!」

 

響もそんなクリスを心配して地面を拳を叩きつけ、その衝撃波で辺りの粒子を一掃してクリスの元へ駆け出す。

 

「立花!そこを通るな!」

 

翼が響に向けてそう叫ぶ。

 

「えっ?」

 

だが、その言葉よりも早く、響の腕、そして足が何か一瞬通過してそのまま響は倒れ込んでしまう。響は何が起きたのか、分からなかったが再び立ち上がろうとして腕を、足を動かそうとしたが、まるで喪失したかの様に動かしているのに腕と足の感覚がない。

 

「何が?」

 

そして響は自身の腕、左腕と右足を確認する。そこにはあるはずの腕が、足がなく、何かに食い千切られたように喪失していた。

 

「あ…あぁぁぁ!」

 

同時に響の脳がようやくその事を痛みとして理解して響は喪失した腕と足から激痛が走る。

 

「ああああ!」

 

「立花!」

 

「響!」

 

翼も奏もそんな響の姿を見て叫ぶ。

 

そしてその奥にはようやく発光をやめて、立ち止まり、響の腕と足を口から覗かせるネフィリムがおり、口に含んだ足と腕を綺麗に咀嚼すると口の周りにこびり付いた血を舐めとってニヤリと不気味で、恐怖を覚えさせる様な笑みを浮かべた。

 

◇◇◇◇◇◇

 

四方八方から襲い掛かる雷撃。

 

「チャージングアップ!」

 

すぐさま(スキル)を唱えて先程の衝撃で使えなくなったEPエネルギーを即座に回復させると飛んで迫りくる雷撃を回避する。

 

そして未だEPエネルギーを回復させていないアシモフに向けて避雷針(ダート)を放つ。

 

「ちっ!」

 

アシモフはボク同様にチャージングアップを何故か唱えずに避雷針(ダート)を回避する。

 

「GV!今なら!」

 

「ああ!なんで(スキル)を使わないかは分からないけど、アシモフが電磁結界(カゲロウ)が使えない今しかない!」

 

シアンが電子の障壁(サイバーフィールド)をボクの足元へと展開すると同時にボクはそれを蹴り出してアシモフの元へと飛び出す。

 

そしてアシモフは強欲なる簒奪者(グリードスナッチャー)を装填しているはずの銃ではなく新たに取り出した銃でボクへと応戦をする。

 

ボクは雷撃鱗を展開しようとしたが、僅かにアシモフの手から迸る雷撃に気付き、シアンが作り出す電子の障壁(サイバーフィールド)を足場にそれを回避してアシモフの懐へと着地してダートリーダーをアシモフへと突き出してそのままアシモフに避雷針(ダート)を連射する。

 

「ぐっ!?」

 

電磁結界(カゲロウ)の使えないアシモフはダートをまともに食らって紋様が刻まれながら後退する。

 

「逃すか!」

 

ボクは雷撃鱗を展開して迸る雷撃が避雷針(ダート)に反応してアシモフに不可避の雷撃を浴びせる。

 

「ぐぉ!?」

 

雷撃をまともに浴びて隙を見せるアシモフ。ボクはアシモフへと向けて素早く近くと、言葉を紡いだ。

 

「煌くは雷纏いし聖剣、蒼雷の暴虐よ、敵を貫け!迸れ!蒼き雷霆よ(アームドブルー)!スパークカリバー!」

 

腕をアシモフへと向けてそのまま当てると同時現れた巨大な剣。腕から飛び出す様に出現したスパークカリバーはアシモフの腹を貫けはしなかったが、押し出す形でアシモフを吹き飛ばして、壁へと激突させた。

 

「やった!いくらあの人でもスパークカリバーをまともに受けて無事じゃない筈!」

 

「シアン!アシモフはまだボクの知らない力を隠している可能性もある!油断は出来ない!」

 

アシモフはボク以上の蒼き雷霆(アームドブルー)を使いこなしている。スキルの使い所を間違った事は少しおかしいと感じるが、アシモフが何か策を張り巡らせている可能性もある為にシアンにそう言って吹き飛んだアシモフの場所から巻き上がる砂煙が収まるのを待つ。

 

そして砂煙が治るとともに現れる壁にめり込んだアシモフ。スパークカリバーによって腹部の装甲が剥がれて見た事のある灰色のフェザーの戦闘服が露となっている。

 

「忌々しい…本当に忌々しい!」

 

アシモフは血を口から吐き出しながらボクへと憎しげの言葉を吐きながら壁に埋まる身体を無理やり出して地面へと降り立つ。

 

「リヴァイヴヴォルト!」

 

アシモフがそう叫ぶと先程受けた傷が一瞬にも満たない間に回復する。

 

「やっぱり…この為に(スキル)を残していたのか…」

 

「私の仕出かした不始末如きが…ここまで…紛い者が…許せん…許せん!」

 

先程から言うアシモフの意味の分からないその言動に辟易しながらも叫ぶ。

 

「もう何も喋るな、アシモフ!もう訳の分からない言葉は聞き飽きた!」

 

「黙れ!私は為さねばならんのだ!貴様を殺し!電子の謡精(サイバーディーヴァ)を手に入れ為さねばならん!」

 

「だからもう喋るなと言ったんだ!貴方の訳の分からない言葉を聞くのはもううんざりだ…」

 

ボクはそう言ってアシモフへと向けてダートリーダーを構える。

 

アシモフもリヴァイヴヴォルトで全快し、再び雷撃を迸らせると叫んだ!

 

「うんざりなのはこちらの方だ!」

 

そう叫ぶとアシモフは言葉を紡いだ。

 

「滾る雷火は信念の導、轟く雷音は因果の証、裂く雷電こそは万象の理!」

 

その言葉とともにアシモフの周りに迸る雷撃が鎖へと変化する。ボクの紡ぐ言葉と違うが、ライトニングスフィア、スパークカリバー同様、ボクと同種の(スキル)であり、蒼き雷霆(アームドブルー)能力者の最強の(スキル)

 

だからこそボクはそれよりも先に動こうとする。だが、言葉を紡ぎ終えたアシモフはそんなボクへと向けて腕を翳して言った。

 

終点(デッドエンド)だ!迸れ!蒼き雷霆よ(アームドブルー)!ヴォルティックチェーン!」

 

その瞬間、ボクへと向けてアシモフの周りに出現した鎖が絡め取るために貫こうとするために、ボクへと向けて襲い掛かった。

 

「GV!」

 

シアンも叫ぶ。

 

だが発現した鎖はボク自身もどうする事も出来ない。だが、それでもやるしかない。ボクはダートリーダーを強く握り、迫り来る鎖をシアンの作り出した電子の障壁(サイバーフィールド)を足場にして掻い潜り、アシモフへと向けて接近し続ける。

 

鎖がボクの身体を擦り、コートを貫き、血で染める。だが立ち止まらない。ここで終わらせるために。ボクとアシモフの因縁に決着をつけるために。荒れ狂う鎖を回避して、ボクはアシモフへと突き進む。

 

そしてアシモフの周りの鎖が全てボクに当たる事なく、全て出し切ると同時に鎖に雷撃が迸る。放電する鎖から放たれる雷撃がボクの身体を蝕んでいく。

 

だが、止まるわけにはいかない。歩みを止めてはならない。痛みが増そうが、体が無事であるのなら構いはしない。終わらせるんだ。

 

そして鎖から放電が止んで消滅すると同時にボクはアシモフの目の前まで接近していた。アシモフはその事に驚きつつも何かを握り、拳を振り下ろす。

 

「もうここで止まれ!アシモフ!」

 

アシモフの拳を避けて、ボクはアシモフへと向けて最大限の雷撃を纏わせた拳でアシモフの身体へと突き出し、ガラ空きとなった腹へと拳を叩き込んだ。

 

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