戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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電翅の旅路届きました。忙しくてiPhoneに入れられてないけどYouTube上に視聴版で良曲揃いのアルバムと確信してますので楽しみにしてます。
終着駅は多分リピートは確実ですね。その他の曲も早く聴かないと…
ついでに今まで在庫切れで購入出来なかったら蒼乃燐光もようやく入荷したので購入しました。
オコワ同梱のremix版しか持ってなかったので非常に助かってます。


44GVOLT

窮地に現れた弦十郎と慎次は素早く奏と響を守るように前に出る。

 

「すまない…二人共…」

 

倒れる奏、そして苦しそうに息をする響に向けてそう言った。

 

「後は僕達に任せて下さい」

 

「師匠…緒川さん…」

 

慎次も銃をウェルへと向けてそう言った。

 

「何でこうタイミングの悪い時に増援が来るんですか!?しかも僕としては会いたくもない人物が目の前に!?」

 

「お前の様な外道そしてアシモフがいる中で此方だってただ単に何が起きるまで待機している筈もないだろう!」

 

「これ以上貴方達の好きにはさせる訳ないでしょう!」

 

弦十郎は拳を構え、慎次もウェルへと向けて叫ぶ。

 

「折角のチャンスが!立花響と天羽奏と言う殲滅対象が目の前に居るのに!何でこんな時に限って現れるんだ!?」

 

だがそんな二人の言葉を全く聞く様子のないウェルは頭を掻きむしりながら叫ぶ。調と切歌は先程の絶唱の影響で、そして投与されたLiNKERにより二人も戦闘が厳しい状況。

 

ソロモンの杖を使えば何とかなる。ノイズさえいればシンフォギアを纏わない人など何の障害にもならない。だが、目の前にいる男は違う。ノイズには勝てないにしろ、そのノイズ達から逃れる術を知っている。時間を稼がれれば他の装者である翼、そしてクリスが到着すれば此方の身が危うい。

 

此処で装者である立花響を倒そうとした事が裏目に出てしまい、ウェルは激しく後悔する。

 

だが、そんな状態のウェルを二人が放っておくはずもなく、弦十郎と慎次が駆け出していく。

 

「く、来るな!」

 

ウェルは慌てながらソロモンの杖を使いノイズを召喚していく。だが、二人の行動が早過ぎるせいであまりノイズは出せていない。そのノイズ達を吹き飛ばす様に弦十郎が地面を強く踏みつけ地面をひっくり返すと現れたノイズは何体かは透過せずに吹き飛んでいく。

 

だが、その吹き飛ばされたノイズ達がいた場所は道が出来ており、そこから慎次がウェルへと向けて弾丸を放つ。

 

「くっ!?」

 

ウェルへと放たれた銃弾は同じ様にソロモンの杖へと吸い込まれていき、ソロモンの杖が弾かれる。

 

「ソロモンの杖が!?」

 

「それは貴方の様な外道が持っていてはならない物です!」

 

慎次が素早く駆けて行き、ウェルへと接近していく。

 

だが、その瞬間に不敵に笑みを浮かべるウェル。その瞬間に弾かれて宙を舞うソロモンの杖が吸い込まれる様に再びウェルの手元へと戻っていく。

 

「なっ!?」

 

「ソロモンの杖を狙われるなんて初めから分かっていますよ!ただでさえアッシュの様な力がある訳でもないのに!装者の様に聖遺物を纏い戦う事が出来ないのに!生身の僕が何の対策もしないで現れる訳がないでしょう!」

 

ウェルはそう叫ぶ。

 

対策というのも簡易的なものであった。ソロモンの杖に予めワイヤーを付けており、弾かれれば自身の手元に戻る様にしているだけ。

 

だが、それはソロモンの杖を狙う弦十郎と慎次にとってはとても厄介であり、完全に近付いて奪う以外方法がないという事。

 

そして手元にソロモンの杖を引き戻したウェルは慎次へとソロモンの杖を向ける。

 

「貴方もそこに居る男の様にアッシュの邪魔を!僕達の邪魔をするというのなら消させて貰いますよ!それに!貴方にはそこの男と同様に僕の感覚が邪魔になると警告してくる!今此処で死んで下さい!」

 

そう叫ぶウェルはノイズを慎次の周りへと大量に召喚する。逃げ場のない量で抵抗できない様に殺す。邪魔になる人物は何人たりとも生かして置けない。アシモフの様に完璧に。

 

そしてウェルの召喚したノイズは慎次を囲むと同時に押し潰していった。

 

「まずは一人!」

 

「いえ、誰も倒れてはいませんよ?」

 

突如として背後から聞こえた声にウェルは驚き振り返ると共に顔面へと向けて拳を叩き込まれた。

 

「ガフッ!?」

 

吹き飛ばされるウェル。それと同時に離してしまったソロモンの杖が何者かに奪われる。

 

「な…何でノイズにやられたはずなのに!?」

 

不意に見たその姿にウェルは動揺する。そしてソロモンの杖を奪い、ウェルへと拳を叩き込んだ慎次が言った。

 

「貴方の様な者に教える事などありません。それに、これでノイズはもう出せない」

 

慎次は奪ったソロモンの杖を使い、ノイズを全て消し去ると同時にウェルから離れ、弦十郎の元へと戻る。

 

「よくやった慎次!」

 

弦十郎は隣に立つ慎次へとそう言った。

 

「もうこれで終わりだ。君達もマリア君もウェル博士も、そしてアシモフも!これ以上もうお前達の好きにはさせてなるものか!」

 

形勢が一気にひっくり変わった事にウェルの焦りはさらに加速する。切歌と調も辛いながらもこれ以上ウェルが誰も殺せなくなった事に安堵もしたが、マリアとナスターシャを残して捕まってしまうんではないかという事に焦りを見せる。

 

弦十郎と言う装者にも単身、そして第七波動(セブンス)を操るネフィリムをも圧倒する力を持つ人間に今の状況をひっくり返すほど今の三人には力がない。

 

拳を構える弦十郎は慎次へと告げる。

 

「此処からは俺が対処する。慎次は奏と響君、それにソロモンの杖を本部へと移送してくれ」

 

「分かりました、司令。此処はお任せします」

 

そう言って慎次は背後の響、そして奏の元へと向かう。

 

その姿を見るウェルも切歌も調も動く事が出来ない。

 

ウェルは完全に失敗したと戦意喪失している。ソロモンの杖を奪われ、そして切歌と調の状態を見るに自身の逃げる時間すら稼げないである事を理解しているから。

 

だがそれもあの男の登場に全てを覆された。

 

「なっ!?」

 

「全く、少し遅いと様子を見に来てみればこんな事になっているとはな」

 

突如として響と奏を回収しようとしていた慎次の目の前に黒い穴が空いたかと思うと、そこから今最も会いたくない、そしてこの件の黒幕であるアシモフが現れる。

 

直ぐに銃をアシモフへと向けて放つが、アシモフには電磁結界(カゲロウ)があり弾丸はその身体を透過する。

 

「ッ!?」

 

「残念ながらもう貴様達が私に触れる事すら叶わない」

 

そう言うと同時にガンヴォルトの様に身体に雷撃を迸らせると一瞬で慎次との間合いを詰め、蹴りを喰らわせる。

 

慎次も素早く反応したのだが、ガードが間に合わず、蹴り、そして雷撃が纏わり付いて吹き飛ばされる。

 

その衝撃でソロモンの杖を離してしまい、再びアシモフに奪われる。

 

「慎次!」

 

「ぐっ…」

 

倒れ込む慎次は未だに雷撃が身体に纏わり付いており、雷撃の激痛に堪える。そんな慎次に目も暮れずアシモフは弦十郎を見る。

 

「まさか、奴が死んで貴様が出てくるとはな」

 

最悪の状態に逆戻りした事に弦十郎は歯噛みする。そして、此方も探していた物が既にアシモフの手に渡ってしまっている事に。

 

「ネフィリムの力…既に貴様がネフィリムを持っていたのか?」

 

「ああ、そこに居る立花響には壊されたが力の元であるこれは貴様達に回収される前に此方が手に入れた。残念だったな、私よりも先にネフィリムの心臓を見つける事が出来なくて」

 

そう言って苦しそうにする響を一度見る。そしてアシモフは手に持っていた物、ネフィリムの心臓を弦十郎に見せる。そこには鈍く、脈打つ様に光る物。まるで以前戦ったネフィリムの一部の様に見える。そしてそれに埋め込まれる様に付けられた装者達が身に付けている物と同じ物。

 

「ギアペンダント…」

 

完全聖遺物ネフィリム、そしてそれに埋め込まれたギアペンダントに入る謎の聖遺物。

 

神獣鏡(シェンショウジン)。それがこの聖遺物の名前であり、電子の謡精(サイバーディーヴァ)を奴から奪う為に使った聖遺物」

 

「シアン君を奪った聖遺物だと!?」

 

弦十郎はシアンがいなくなった原因となった物が目の前にある事、そしてそれが聖遺物である事に驚きを隠せない。

 

「鏡とは古来から術式や呪いを退け(パージ)させる力があると伝えられている。そしてその力が奴から電子の謡精(サイバーディーヴァ)を引き剥がすのに一役買ったと言うところだ」

 

アシモフは淡々説明する。何故そんな情報を今になってこうもあっさりと漏らしたのか。弦十郎は少しだけ考えるが、そうも言っていられない。アシモフの背後にはほぼ戦闘不可能な状態の奏と響。そして近くには雷撃で行動を不能にさせられた慎次。ソロモンの杖を有し、ネフィリムの心臓と言う強力な物まで手にしたアシモフが目の前にいる。ソロモンの杖をアシモフが起動して仕舞えば、ノイズに対抗できない此方が完全に不利、下手をしたら全滅まで考えられる様な状況になってしまった。

 

「まあ、貴様達にはもう此方を止める術はなくなった。話しても問題ないという事だ」

 

アシモフは勝ちを、そしてもう止められないと宣言して弦十郎に向けて言った。

 

「そしてこの場には始末しなければならない者達が既に揃っている。立花響、天羽奏、そして人の身でネフィリムを追い詰める程の力を秘めた貴様だ」

 

そう言うと共にアシモフはネフィリムの心臓を起動させると、切歌と調、そしてウェルの足元に穴を作ると落ちていく様に三人が姿を消す。

 

そしてアシモフ自身の近くにも穴を開けるとソロモンの杖をその中に投げ入れる。

 

「邪魔になる者達も居なくなった。さぁ始めようか。私の計画に邪魔になる者の抹殺を」

 

「そんな事させると思っているのか!」

 

弦十郎は足で地面を踏み砕き、宙に舞う石を拳で弾く。アシモフに向けて放たれた石弾は顔面へと向かっていくが、電磁結界(カゲロウ)によって透過して何の意味をなさなかった。

 

だが、その瞬間に弦十郎も視界を一瞬だけ奪われたアシモフへと向けて近付いており、そのまま拳を叩き込もうとする。

 

「無駄だ」

 

だが、弦十郎の拳も同様にアシモフの身体を透過して当たる事はない。弦十郎も分かっている。ガンヴォルトから聞いた電磁結界(カゲロウ)の能力。物理攻撃は何の意味をなさない事を。

 

それでもアシモフの背後にいる奏、そして響を易々と殺される訳にもいかないから。大人として助けなければならない子供が居るのに何もしない事なんて考えられないからだ。

 

「無駄かもしれない、無意味なのかもしれない。だがそれでも!貴様の様な外道に未来ある子供達を殺される訳には行かないんだよ!大人として!俺が貴様を止める!」

 

透過しようが弦十郎はアシモフへと振るう拳を、蹴りを止めない。

 

「全く、無駄な事を。いずれ貴様も死に、後を追う様にそこの二人も死ぬ。そして、もう一人も。それまでの時間が増えるだけで覆り様のない事を繰り返す。それが貴様の言う大人というものはただ苦しみの先伸ばしにすぎない。そう言うのが大人というものなのか?」

 

弦十郎の攻撃を躱す事もなく、ただ電磁結界(カゲロウ)を使い、微動だにしないアシモフはそう言った。

 

「先延ばしなんかじゃない!俺では貴様を倒せないかもしれない!その防御を突破できないかもしれない!それでも!目の前の大切な命をこのまま貴様の様な外道にただ黙って殺される事なんて耐えられないんだ!」

 

「本当に憐れでしかないな」

 

そう呟く様に言うと共に雷撃鱗を展開する。直ぐに弦十郎は離れるがそれを好機と踏まえてアシモフは背後へと空いた手に銃を握り、響へと向ける。

 

「止めろ!アシモフ!」

 

「残念だが、その提案は受け入れられないな」

 

そう言うと共にアシモフは響へと向けて引き金を引く。

 

「響!」

 

奏も叫び、響を助けようと動こうとするのだが、Anti_LiNKERを吸った身体は言う事を聞いてくれず、助ける事が出来ない。

 

「くっ…」

 

響も辛いだろうが、死ぬ訳にはいかないと躱そうとするが、蝕んでいる自身の身体を動かす事が出来ない。

 

直面する死をただ受け入れる事しか出来ないのか。そんな事認めたくないが、放たれた凶弾は響へと迫る。

 

だが、その前に誰かが響の前に降り立ち、アシモフの様に雷撃の膜、雷撃鱗が展開され、銃弾が雷撃鱗を貫通していくが、響、そして目の前に現れた人物から少しずつ軌道が変わり、地面へと着弾する。

 

その人物が現れると共に奏、弦十郎、響の表情は安堵に変わり、打って変わってアシモフの表情は怒り、そして憎しみに満ちた表情へ変わっていく。

 

「…貴様は確実に殺したはず…なのに何故貴様は生きている!」

 

「勝手に殺したと思い込んでいるのは貴方だけだ、アシモフ。でも、そんな事はもうどうでもいい。貴方が起こしたせいで傷付いた人達をもう増やさない為にも…シアンを取り戻す為にも貴方を止める!アシモフ!」

 

今までにないほど怒りを露わにする現れたガンヴォルトがアシモフに向けてそう叫んだ。

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