戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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もう少しで原作八話も終わる…
あと五話頑張ります


60GVOLT

マリアが落ちていた銃を天井向けて放ち、弾倉が空になったのを確認して捨てる。

 

周辺には誰一人生きている人など居らず、悲惨な現場となっていた。だが、戦って殺したと言う事を分からせる為に米国政府と遭遇したと言う嘘をつく為に銃を天井へと向けて放ったのだ。

 

「切歌、調…貴方達は絶対に手を出しちゃ駄目よ」

 

「何を言ってるデスか!?何でマリアだけがそんな事するんデスか!?」

 

「そうだよ!マリア!何でマリアだけそんな事背負わなきゃならないの!」

 

マリアの言葉に切歌と調が反抗する。

 

「絶対に貴方達にそんな事をしたらいけない。貴方達まで外道に落ちるのなんて私が許せないの」

 

だがマリアも譲らない。二人だけは何があっても守りたい。その思いからマリアはそう言った。

 

だが、それは切歌も調も同じであり、マリア一人に人殺しをさせるわけにはいかないと。マリアが大切だからこそ、マリア同様に二人も譲れなかった。

 

だが、すぐに言い合いをしている間にアシモフが隠れて監視しているかもしれないと言う不安に襲われる。

 

ナスターシャを何処かへ飛ばしたアシモフを許せない。だが、それ以上に大切なナスターシャの命はアシモフにより握られている。

 

だから、こんな所で仲違いしている場合じゃ無いと、三人は米国政府の兵を探す為に会話も無く、ただ闇雲にアシモフの命令を遂行すべく動き始めた。

 

◇◇◇◇◇◇

 

「アシモフ…」

 

ボクはアシモフと対峙しながらも響と未来を守る為に前に出る。

 

「此処の爆発も貴方の仕業か」

 

「そうだとも。貴様では無い邪魔者を消す為に用意した物だが、まさか貴様まで現れるとはな。それに立花響。私がこの手で殺さなければならない二人が集まっている。私は(ラック)に恵まれている」

 

不敵な笑みを浮かべるアシモフ。

 

「この人がアシモフ…」

 

未来は初めて対峙するテロリスト、そしてこの事件の黒幕であるアシモフを見て震えている。無理もない。不敵な笑みを浮かべるアシモフがその笑みと裏腹に隠しきれていない殺気がこの場を支配しているからだ。

 

「ガンヴォルトさん…」

 

響もアシモフと対峙して震えている事が分かる。圧倒的な力。そして射殺さんばかりの殺意。それをボクは受けながらも二人を守らんと前に出る。

 

変装で来た為に装備はダートリーダーと身体補助のインナーのみ。

 

勝てる要素があまりにも少ない。だが、それでも。ボクはこの二人だけはアシモフに殺されてはならないと、守らなければならないと構える。

 

「響、未来。アシモフはボクが何とかする…二人はその間にどうにか逃げてくれ」

 

背後にいる二人に向けてそう言う。敵わないかもしれない。勝てないかも知れない。だが、それでも、二人を殺されるような事などあってはならないとならない。死ぬ気もさらさらない。例え、敗北しようが何としてでも生きて帰らなければならないから。

 

「ガンヴォルトさん!でも!」

 

響はボクが何度もアシモフに敗北している為に心配して叫ぶ。

 

「いいから行くんだ!ボクはアシモフを止める!だから行ってくれ!」

 

ボクも二人に向けて叫ぶ。

 

「響、ガンヴォルトさんの言う通り逃げよう!私達が邪魔になっちゃうよ!」

 

未来は響とは違い、ボクの意図を汲み取って逃げようと言った。未来の言葉に響も今の自分じゃ足手纏いにしかならないと思い、直ぐに未来と共に逃げる。

 

「絶対に!絶対に死なないで下さい、ガンヴォルトさん!」

 

そう言って響は未来に連れられて逃げる為に走り始めた。

 

だが、

 

「逃がすとでも思っているのか?立花響」

 

その瞬間、目の前のアシモフが穴を穿つと共に響と未来の前に現れた。

 

だが、亜空孔(ワームホール)の動きを理解しているボクはすぐに未来と響の前に出て雷撃鱗を展開する。アシモフも雷撃鱗を展開するが勢いでそのままアシモフを押し返す。

 

「やらせるわけないだろ!アシモフ!行け!未来!響!」

 

その言葉と共に未来と響は今度は反対方向に走り、逃げて行った。

 

「チッ…まあいい、私が最も殺さなければならないのは貴様だ。いくら逃げようと貴様さえ始末すれば全て私の思い通りに行く」

 

「もう死ぬわけにはいかないって言っただろう!アシモフ!絶対に貴方はボクが殺す!」

 

「何をほざくかと思えば…出来もしない事を喚くな!紛い者!」

 

アシモフが笑みを崩して、今までと同じ様、ボクへと向けた怒りを露わにして展開した雷撃鱗越しにボクへと向けて弾丸を撃ち込んでくる。

 

「グッ!」

 

雷撃鱗を越えるアシモフの弾丸がボクへ向かうが僅かに逸れる。だが、それでもボクの身体を抉り、血が服を濡らす。

 

だが、ボクも避雷針(ダート)を撃ち込み、アシモフを止めようとする。

 

アシモフは素早く雷撃鱗を解くと共に亜空孔(ワームホール)を使い、素早くボクの死角へと回り込む。

 

だが、本物の亜空孔(ワームホール)の能力者を知っており、そしてアシモフを理解しているからこそ、その攻撃を躱す。

 

ボクは素早く攻撃に転じ、脚に雷撃を纏い、アシモフへと回し蹴りを仕掛けるが、アシモフの電磁結界(カゲロウ)を越える事は出来ず、そのまま透過していく。

 

アシモフはネフィリムの心臓を起動して、今度は生命輪廻(アンリミテッドアムニス)の副産物である石化の光線を放つが、その光線を紙一重で躱し、更にアシモフの目に向けて避雷針(ダート)を放つ。

 

アシモフに電磁結界(カゲロウ)がある限り効かない事は理解している。

 

アシモフも電磁結界(カゲロウ)を使い、そのまま避雷針(ダート)を透過していく。

 

だが、それでいい。

 

当たらない事は初めから分かっている。だが、それでも一瞬だけでもアシモフの視界を奪う事が出来た。

 

視線が切れた瞬間、ボクは石化の光線を避けつつ、アシモフの腕に巻かれたシアンを封じたギアペンダントを奪おうと手を伸ばす。

 

しかし、

 

電磁結界(カゲロウ)の力を慢心している事を利用したんだろうが、無駄だ」

 

だがアシモフはまるで予想していたとばかりに銃でボクの腕を叩き落とす。

 

「グッ!」

 

読まれていた。だが、それでも関係ない。ボクはアシモフの更にアシモフの腕に巻かれたシアンを封じたギアペンダントへと再び手を伸ばす。

 

「浅はかだな」

 

再びアシモフへと伸ばした腕は電磁結界(カゲロウ)により擦り抜け、空を切る。

 

そしてアシモフはそのままネフィリムの心臓を巻き付けた腕を振るい、ボクの鳩尾へと拳を叩き込んだ。

 

「ガァ!?」

 

鳩尾へと叩き込まれた拳から内臓がぐるぐるとかき混ぜられる感覚と痛みが襲う。

 

それと共に喉から込み上げた胃液が喉を焼く。それを堪え、反撃を試みようとする。

 

だが、それよりも早くアシモフが口にした。

 

「イグニッション」

 

その言葉と共にボクの鳩尾にものすごい衝撃が走る。それと共にものすごい熱量がボクの腹を焼き、そのまま殴り飛ばされた。

 

「グッ!?」

 

至近距離からの爆炎(エクスプロージョン)。その威力は計り知れないものであり、ボクはそのまま壁へと叩きつけられる。

 

「グッ…」

 

しかし、アシモフはボクが壁に叩きつけられようが止まらない。ボクに向けて蹴りを叩き込む。

 

「ガァ!?」

 

「どうした?紛い者?私を殺すんだろう?電子の謡精(サイバーディーヴァ)を取り戻すんだろう?」

 

そう言いながらアシモフはボクの焼かれた腹に再び蹴りを叩き込もうとしたが、ボクは両腕でそれを防ぐ。骨がビキビキと嫌な音を立てる。一撃でこの様なら二度目はない。

 

だからボクは次の蹴りが来る前に叫ぶ。

 

「リヴァイヴヴォルト!」

 

その言葉と共に焼かれた腹が治癒され、腕の痛みが一瞬で無くなる。

 

そしてボクはそのまま蹴りを避ける様に地面を転がる。

 

「当たり前だ…アシモフ…貴方を殺して…シアンを取り戻す…」

 

ボクはアシモフの挙動を見逃さない様に神経を尖らせて立ち上がる。

 

「何度出来ない事を口にする?私を殺す?圧倒的な力の差に闇雲にただ立ち向かい、勝利を掴み取ろうとしているのか?笑わせる。紛い者が何をしようとどうも出来ない。これが現実(リアル)だ。それも理解出来ないのか?いや、理解出来ないのではなく、儚き幻想を抱き、理解をしようとしていないだけだな」

 

アシモフがつまらなそうに言う。

 

アシモフに勝てない。アシモフとボクの圧倒的な実力の差が物語っている。だが、そんな事認めない。認めてはならない。

 

自身を鼓舞し、浮かんだ弱さを振り払い、心を奮い立たせる。

 

「理解出来ないんじゃない…理解しようとしてないんじゃない…アシモフ…ボクは絶対に貴方を殺す。シアンを殺した貴方を絶対に赦さない!絶対にシアンを取り戻す!」

 

「…ほざくなよ、紛い者。何処までも私を苛つかせてくれる!貴様は奴ではないのだ!赦す赦さないも貴様が語るな!ああ、本当に忌々しい!貴様と言う存在が!奴と同じ言葉を使う貴様が!」

 

アシモフが怒りをぶち撒けるように叫び、その怒りに呼応するようにアシモフが雷撃を迸らせる。

 

何を言っているのかボクには分からない。奴という分からない存在をボクと重ねる意味も。それが何を指しているかなど。

 

だがそんな事どうでも良い。

 

アシモフを殺す。あの時、シアンを奪われ、殺されかけた時から変わらない答え。

 

「アシモフ…貴方を殺す」

 

「何度もほざくなよ!紛い者!」

 

その瞬間、ボクとアシモフは互いに雷撃を纏いながら、相手を殺さんが為に雷撃を放つ。

 

ぶつかり合う雷撃。辺りへと飛散しながらも互いの殺意に呼応する様に威力が増していく。

 

しかし、威力を増そうが覆り用がない実力の差。アシモフの雷撃がボクの雷撃を飲み込み、押されていく。

 

力比べなどもってのほか。すぐ様雷撃を放つのをやめてアシモフが放つ雷撃を躱し、少しでも距離を詰めようと駆け出す。

 

だが、アシモフはボクに向けて追従する様に手を翳し、雷撃で攻撃しようとする。

 

ボクは素早く避雷針(ダート)近くの壊れた電光パネルへと撃ち込んで放たれた雷撃の方向を変える。

 

アシモフ自身もすぐに雷撃を放つのを辞め、接近し始めるボクへとネフィリムの心臓を起動させ、残光(ライトスピード)の付随した光線を放つ。

 

光速のレーザー。だが、発射口を予測して紙一重で回避してアシモフへと接近する。

 

避雷針(ダート)が無意味だろうが、それでも撃ち込みながらアシモフの懐へと潜り込む。

 

アシモフは電磁結界(カゲロウ)避雷針(ダート)を意を返さず、接近してきたボクに向けて銃を撃ち込んでくる。

 

素早く雷撃鱗を展開して放たれた弾丸を完全に逸らす事はできず、肉を抉り、血が吹き出す。

 

それでもアシモフに近づくことが出来た。

 

「血迷ったか!」

 

アシモフは雷撃鱗の内部に入りながらも接近してきたボクに向けてネフィリムの心臓を起動して爆炎(エクスプロージョン)を放つ。

 

近距離での爆炎(エクスプロージョン)が全身を焼く。アシモフは電磁結界(カゲロウ)で雷撃鱗も爆炎(エクスプロージョン)も全く意を返さず、無力化する。

 

ボク自身は爆炎(エクスプロージョン)をまともに浴びて吹き飛ばされそうになるが、身体が焼かれようと踏み止まる。

 

ボロボロになりながらもボクは言葉を紡ぐ。

 

「天体の如く揺蕩え雷、是に至る総てを打ち払わん!迸れ!蒼き雷霆よ(アームドブルー)!ライトニングスフィア!」

 

至近距離でのありったけの雷撃を乗せて、ボクはライトニングスフィアを放った。

 

だが、それでもアシモフの電磁結界(カゲロウ)を越えるに至らなかった。

 

「無駄だと何度言えば分かる!紛い者如きが私には敵わないんだよ!」

 

アシモフは叫び、爆炎(エクスプロージョン)を放つ。

 

何度もボクの身体へと叩き込まれ、血反吐を吐き出す。意識が飛びそうになる。だが、叩き込まれる痛みでなんとか意識を止める。

 

だが、あまりの威力にライトニングスフィアは威力を失い、完全に消え去る。

 

ライトニングスフィアが消えた瞬間、アシモフはボクに向けて拳ではなく、莫大な雷撃を纏わせた手刀をボクに向けて振るう。

 

その瞬間、ボクはなんとか繋ぎ止めた意識でアシモフに向け、ライトニングスフィアと同様にありったけの雷撃を込めた拳をカウンターで振るった。

 

アシモフも咄嗟の事で驚いてはいるが、それでも手刀をボクへと突き出した。だが、アシモフの手刀よりも早く、ボクの拳が鳩尾へと叩き込んだ。

 

ボクの拳が、アシモフの身体を捉えた。だが、その身体は蒼く発光するとともにバチッと雷撃を放ち、砕けた。

 

「ッ!?」

 

それはアシモフの(スキル)。以前のアビスでの戦いでも使った未だ謎多き、電影招雷(シャドウストライク)

 

「全く、何かを隠しているかと思えば、ただのカウンターか…電影招雷(シャドウストライク)を使う事もなかったか。カウンターならば電磁結界(カゲロウ)を越えられるとでも思っていたのか?」

 

アシモフの言葉がボクの背後から聞こえる。まるで種の分からない(スキル)。だが、それでもボロボロの身体が軋もうが、ボクはなんとか背後へ向けて蹴りを繰り出す。

 

だが、背後に現れたアシモフには蹴りが入る事はなく、電磁結界(カゲロウ)で身体を透過する。

 

そしてそれに合わせる様にアシモフは蹴りを放ち、ボクを蹴り飛ばした。雷撃で強化された蹴り、そしてボロボロの身体では受け流す事も受け止める事も出来ない。

 

そして吹き飛ばされた先の壁はボクとアシモフの戦いにより簡単に破壊され、そのままエレベーターシャフトへと突き抜けた。

 

そして突き抜けた先は底の見えぬ穴。ボクはそのままエレベーターシャフトへそのまま落下する。

 

身体が上手く動かない。ボロボロになりすぎてまともに動くことすら叶わない。このまま落ちて仕舞えば身体がバラバラになるほどの衝撃を受けて死ぬ。駄目だ。絶対に死ぬわけにはいかない。

 

シアンを取り戻していない。アシモフを殺していない。

 

殆ど無意識だろう。死ねないと言う思いが、動かない身体を無理矢理動かしてシャフトを蹴った。

 

蹴った先に運良く停止して動かなくなったエレベーターがあり、その上に叩きつけられる。

 

「ガハァ!」

 

衝撃で血を吐き出す。内臓が破裂したと思うような痛みで意識が本当に飛びそうだ。だが、生きている。すぐさま、リヴァイヴヴォルトを使おうとしたが、(スキル)を再使用するほど回復していない為に使えない。

 

再使用まで耐え様にもこの出血であれば確実に死ぬ。死ぬわけにはいかない為に、ヒーリングヴォルトを使う。

 

「どれだけしぶといんだ、貴様は」

 

ヒーリングヴォルトを使って少しだけ回復した瞬間、アシモフが亜空孔(ワームホール)から出て来ると共に、ボクの鳩尾を踏みつけた。

 

「ガァァ!」

 

痛みのあまり、叫ぶ。

 

「しぶといな。|何が貴様をしぶとく生かしているのか?電子の謡精(サイバーディーヴァ)は完全に貴様の中から消えた…ならば蒼き雷霆(アームドブルー)が貴様を生かしているのか?それとも貴様と共にいる装者か?それとも電子の謡精(サイバーディーヴァ)が最後の力を振り絞り、貴様に何かを施したお陰か?」

 

そう言いながらアシモフはボクを何度も踏みつける。

 

声にならない叫びをあげる。

 

「全く、どれだけ手間をかけさせる…」

 

そう言うアシモフはボクの鳩尾を踏みつけた足を退ける。

 

だが、アシモフが退かそうがボクの意識はギリギリのところで保っている事、そして今まで受けたダメージが、ボクの身体を蝕んで全く動かすことが出来ない。

 

「どれが原因か理解出来ん…」

 

アシモフはボロボロのボクを見下ろしながらそう言った。

 

「ならば…その全てを切り捨てるほかあるまい」

 

そう言うとアシモフはボクへと向けて言う。

 

「精神に苦痛を与え、第七波動(セブンス)を弱体化させ、貴様を殺し、そして装者の手に落ちぬ場所へと送ればいいだけだ」

 

そしてアシモフは続ける。

 

「だから、貴様にとって絶望を教えよう。自身が本物のガンヴォルトと信じ、疑わない紛い者の…貴様の真実を」

 

アシモフは見下しながらボクに向けてそう言った。

 

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