戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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響と未来はこの場から逃げる為に走り続ける。

 

背後ではアシモフとガンヴォルトの戦闘がなされ、激しい音が鳴り響いている。

 

響も未来もただガンヴォルトの心配をしていた。

 

響はガンヴォルトがアシモフを本当に殺してしまう事。そしてガンヴォルトが幾度となくアシモフに辛酸を舐めさせられているのを知っている為に、ガンヴォルトが死んでしまうんじゃないかと言う事。

 

未来も同様にアシモフとガンヴォルトの戦闘でガンヴォルトが負けてしまうんじゃないのか。死んでしまうんじゃないのかと心配している。

 

だが、響も未来も何も出来ない。戦えない自分達がいた所で何も出来ない。

 

「響…ガンヴォルトさんは大丈夫だよね?」

 

未来が響に向けて問いかける。

 

「大丈夫だよ…絶対に…」

 

響は詰まりながらもそう答える。確証がない。無事で帰ってきてくれる保証など響は言い切るほどの自信が無い。

 

アビスの底でアシモフに完全なる敗北を喫し、死にかけた。そして響の身を犠牲にして救う為にシンフォギアを纏った際も装者、そして弦十郎と慎次共に協力した戦いでも、アシモフに数で圧倒しながらも、倒す所か深傷を負わせる事も叶わなかった。

 

それほどアシモフという存在は規格外であり、圧倒的なのだ。

 

そしてガンヴォルトは今、アシモフにシアンを奪われ、バックアップを受けられない状態。そして、助けに来た時のガンヴォルトは既にかなり疲弊していた。ノイズの戦闘、アシモフによる大切な人を二度も奪われた事が起因して精神的にガンヴォルトを追い詰めている。

 

助けたい。響も未来もそう思っている。

 

だが、力なき者があの場にいても邪魔になるだけ。シンフォギアを持とうが纏えなければ戦えない。その事が響の心を傷付ける。

 

それでも、ガンヴォルトを信じるしか無い。今はとにかくガンヴォルトを信じて自分達は逃げに呈する。響と未来はガンヴォルトに言われた通り、ガンヴォルトが上がって来たエレベーターの扉へと辿り着く。

 

扉は大きく開いており、その中を覗き込む。その中はそこが見えない大きな穴。東京スカイタワーという超高層の建物であれば当たり前である。故にこの高さから落ちれば命は無い。

 

ガンヴォルトが使おうとしなかった理由がよくわかる。ゴールの見えないシャフトの中を下り続ける事がどれだけ恐怖になる事か。

 

「…」

 

二人はただその大きな穴を見て息を飲む。だが、それでも進まなければならない。ガンヴォルトがアシモフを足止めしている。二人はそれを無駄にしないためにも生き残らなければならない。

 

ガンヴォルトが作っている時間を無駄にしない為に、二人は勇気を出してそこの見えないシャフトの中にある梯子を掴み、中層から離れるために先の見えないシャフトを降りる。

 

怖い。恐怖で足がすくむ。だが、それでも一歩一歩着実に二人はシャフトを降って行く。二人がシャフトに入った扉からは今も尚、ガンヴォルトとアシモフの戦闘が続いている様で雷撃がたまに目に入る。

 

二人はガンヴォルトの心配をしながらも恐怖を抱きながらも階下へと降りようと必死に梯子を降って行く。

 

それから何分経ったかなど考えず、ただガンヴォルトの稼いでいる時間を無駄にしない為に二人は恐怖に苛まれながらも梯子をしっかりと下る。

 

しかし、そんな二人にさらなる恐怖が襲い掛かった。

 

二人より上部のシャフトの壁が急に吹き飛ばされ、そこからノイズが一匹侵入して来たのだ。

 

「ノイズ!?」

 

今の二人にとって恐怖の来訪者。二人を見つけるなり、二人に襲い掛かろうとする。

 

二人は必死に降りてノイズから逃げようとする。だが、昇降を高速で降りるような特訓などしていない二人の速度ではすぐに追いつかれてしまう。

 

ノイズの攻撃はなんとか回避するも、梯子の上部が壊されてしまう。その影響で梯子が大きく揺れる。

 

二人は必死に梯子を掴んで落ちないようにする。だが、その一撃によって外にまだ残ったノイズが気付いたのか外壁を破壊して大量のノイズが入り込んで来た。

 

そしてその影響により二人の掴む梯子の少し下の柱が折れて梯子がそのまま外へと折れて行く。

 

「キャァ!」

 

二人は必死に梯子を掴んで振り落とされないようにする。

 

しかし、外へと折れた梯子は二人のいる部分は外へと出される。運良く引っかかって梯子が完全に落ちることはなかったが、その衝撃で響は手を離してしまう。

 

「ッ!?」

 

響は必死に手を伸ばす。だが、重力に逆らうことなどできず、響の手は梯子に届く事はなく、空を切る。

 

だが、空を切り伸ばした手は未来がなんとかして掴んでくれた。

 

「未来!」

 

だが、状況は最悪。未来は片手で二人の体重を支えなければならない状態。そして東京スカイタワーの中に二人の姿を探すノイズ。

 

未来は必死に響と自分の体重を片手で支えている。だが、非力な未来に二人分の体重を支えられる力など無く、その手はどんどんと力を無くしていき、離れそうになっている。

 

「響!絶対助けるから!」

 

それでも未来は響を助けようと叫び、なんとか響を引き上げようとする。

 

だが、未来の手は離れるのは時間の問題であり、響が力を入れて仕舞えば、二人纏めて落ちてしまう。

 

だからこそ、響は覚悟を決める。

 

「未来、もう大丈夫だよ…その手を離して」

 

「嫌!絶対この手は離さない!」

 

未来は響の覚悟など知らず、どうにかして響を引き上げようとする。

 

「…絶対…絶対助けるから…」

 

未来は涙を流しながら呟く様に言った。

 

その涙が、未来の頬を伝い、響の頬に落ちる。

 

「未来…」

 

響も未来が助けようとしてくれるのはとても嬉しい。だが、今のままでは二人とも死んでしまう。

 

「…ごめんね、未来。でも、絶対に…絶対に助けに来るから…」

 

響はそう言うとともに未来の手を離す。未来は響が落ちようとする響を止めようと力を込めて響の手を握るが、響が力を込めていないことで滑って離れてしまった。

 

「響!」

 

「心配しないで…絶対にすぐ戻るから…絶対に助けに来るから!」

 

そう言い残し、響は重力のまま地上へと落下して行く。そして内部にいない事に気づいたノイズが外壁を貫いて現れる。

 

ノイズは未来には気付かず、目に入った響だけ狙いを定め、そのまま突撃してくる。

 

(良かった…未来には気付いてない)

 

響は心の中でそう思う。そして落ちゆく中、ノイズの間から未来が涙を流す姿が目に焼き付く。

 

絶対に。絶対に助けるから。

 

だから待ってて。

 

そう心に何度も言い聞かせ、響は自分の胸に手を当てる。

 

弦十郎にも、未来にも、奏、翼、クリス達にも使うなと念押しされた(ガングニール)

 

今、上で戦っているガンヴォルトも使うなと言うだろう。

 

だが、それでも。

 

響は使うと決めた。大切な親友を助けれるのなら構わない。それに必ず自分が自分ではなくなると言う確証もないのだ。だったら、ほんの少しだけでいい。

 

未来を救う為に、力を貸してと胸の中にあるガングニールに願った。

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron」

 

そして響は使う事を禁じられていたシンフォギアを纏う為に、聖詠を歌う。

 

一瞬でシンフォギアを纏い、そのまま地面へと降り立つ。

 

シンフォギアを纏い、身体に異変がまだ出ていない事を察した響は拳を構え、響に襲い掛かろうとしているノイズに向けて自身の拳を振るった。

 

自身のアームドギアが、ノイズを滅さんと響の気持ちと呼応し、うねりを上げ、空を殴りつけた拳圧で襲いかかったノイズを全て葬る。

 

そして次は未来を助ける為に足に力を入れて、飛び上がろうとした瞬間、上空から何かが響に向けて落ちてくる。

 

響はすぐに回避して飛びあがろうとしたが、その落下して来た何かを見て動けなくなってしまう。

 

それは、先程まで響と未来が使っていた梯子であったから。あの破壊された他の残骸が落ちて来た。そう信じたかったが、その梯子の一部に付いた血の跡がそうじゃないとばかりに主張していた。

 

「違う…これは絶対に違う!」

 

響は違うと叫び、未来を助けようと無理矢理身体を動かして飛びあがろうとする。

 

だが、現実は非情で残酷であった。まるで響にその現実を受け入れさせるが如く、未来と別れたあの場所で爆発が起きた。

 

「嘘だ…嘘だ…」

 

響はその光景を眺めることしかできず、歌を歌うことすら忘れてしまい、シンフォギアが解かれ、その場に膝から崩れ落ちた。

 

◇◇◇◇◇◇

 

未来は涙を流しながら、ノイズを引き連れて落ちて行く響を見ることしか出来ない事、そして落ちゆく響がシンフォギアを纏う瞬間を見て後悔に苛まれた。

 

自分がしっかりしてないせいで、こうなってしまった。

 

決してその様なことは無い。だが、響がこうなってしまって自分のせいだと未来は自身を追い詰めてしまった。

 

だが、後悔は今するべきじゃ無いと、未来は涙を流しながらも行動する。

 

シンフォギアを纏ってしまった響はまだなんとかなるかもしれない。すぐに響が響じゃ無くなるわけじゃ無い。

 

そう信じて、未来は涙を拭い、梯子を掴んでシャフトへと戻ろうと動く。

 

だが、シャフトに戻ろうとしたが、シャフトの内部に残っていたノイズがおり、未来の存在に気付いて襲い掛かろうと姿を変えている瞬間が目に入った。

 

「ッ!?」

 

未来は絶望する。

 

ここで終わる。何も出来なかった。決めたのに行動を起こす前に全てが終わろうとしている。

 

嫌だ。そんな事絶対に嫌だ。

 

そう思おうが、力のない未来にこの状況を打破する事など不可能。

 

そして未来に向けてノイズが襲いかかった。

 

未来はただ目を瞑ることしか出来なかった。

 

死というワードが頭の中に浮かぶ。だが、そんな一瞬の出来事が、全く訪れない。

 

可笑しい。そう思い、目を開けるとノイズが炭化しており、崩れて行くノイズの残骸の奥、シャフトの縁に三人の人影が見えた。

 

「…いいんデスか、マリア。こんなことして…」

 

「アシモフの言いつけは米国政府の兵を殺せ…あの子は関係ない…」

 

「そうだね…結局、米国政府の兵もいなかったし、外道に落ちなくて済んだのに…見殺しにしたらあいつと同じになる…」

 

そう言って三人の内の一人、ピンク色のシンフォギアを纏う少女、調が未来の元に丸鋸を伸ばす。

 

「来て、助けるから」

 

未来は訳が分からなかった。その中の一人はマリア。世界を混沌にしようとするテロリストの一人であったから。

 

「…疑うのは分かる。でも、さっきも言った様に貴方を見殺しにしたくないの。だからこっちに」

 

意味が分からなかった。何故テロリストが助けようとしているのか。

 

「急ぐデス!」

 

緑のシンフォギアを纏う切歌が叫び。未来に選択肢は無かった為、伸ばされた丸鋸の上に乗り、梯子から手を離す。

 

そしてシャフトの内部に戻ると共に、梯子が落下して行く。

 

「…ここも危ないわ。とにかく逃してあげるから捕まりなさい」

 

マリアがそう言うと共に、マリアに捕まって、三人と共にシャフトの内部を降りて行く。

 

だが、少しした瞬間、今場所で爆発が起きた。

 

「アシモフ…あんな所にも爆弾を仕掛けていたなんて!」

 

そう叫んだマリアはシャフトを槍で破壊して、東京スカイタワー内部へと穴を開ける。ちょうどよくフロアであった。何処のフロアか分からないが、そのままマリア達と共にそのフロアへと入り、爆発からなんとか逃れた。

 

フロアに降り立つ。マリア達が逃してくれる事を約束されている事、だが、その約束は守られるとは限らない。しかし、脱出する為に、生きて響と会う為に、未来は三人と共に行動するのであった。

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