アシモフがボクに向けて告げた言葉。
ボクを何故アシモフが
絶望を教えよう。アシモフが何か言おうとしているが聞いてはならない。そう感じる。
だが、今のボクはアシモフによりボロボロにされ、抵抗すら出来ない。
「貴様は奴ではない…本物ではないんだよ、紛い者」
アシモフがボクへと向けて告げた。
意味が分からない。ボクが本物ではない?ならばこの力はなんだ?この記憶はなんだ?頭の中に浮かんだ事を口に出そうとするが、ボロボロの身体では声が出ない。
「何が言いたいとでも言いたそうだな。だが、私からしたら貴様が何を言っているとずっと感じていたよ。何を根拠に貴様は本物のガンヴォルトを語る?姿か?記憶か?それとも
何が言いたいとばかりに睨む。
「例え、その全てが揃おうが貴様が本物になり得ない。絶対になり得ないんだよ」
何を言っている。全く訳の分からない言葉を並べるアシモフ。
「何故私がそこまでそう言い切るか?確かに、私も貴様を初めて見た時は
いつまでも勿体ぶるアシモフ。
そしてようやくアシモフはボクの正体を口にした。
「貴様は
「ッ!?」
ボクがデザイナーチャイルド。アシモフはそう告げた。
「自分は本物…デザイナーチャイルドだと信じられないだろう。クローニング技術が
確かに、アシモフ自身が告げた
だが、それだけで何故ボクがデザイナーチャイルドと言い切れるのか?それに
「貴様の持つ特異性。それは何体も貴様同様に
違う。ボクはデザイナーチャイルドではない。
「違うとでも言いたげだな?だが、それが真実だ。貴様はデザイナーチャイルドであり、姿を模し、
そう言った。だが、それを証明する証拠がない。それに何兆ものあるDNAを記憶できるなど信じられない。
「嘘だ…」
ボクは擦れながらも声に出す。
「嘘などではない。何度も言うがそれが
初めて対峙した際にアシモフが残した違う意味のGV。その意味もアシモフが告げた。
「続けられたプロジェクト・ガンヴォルトのその中の
アシモフが告げたボクの正体。それはボクがデザイナーチャイルド、つまりクローンであり、そしてその実験の唯一の生き残りである
あまりにも突拍子のない事。事実なのかも分からない事にボクはアシモフを睨み、言った。
「デマカセを…言うな…」
「デマカセではない。とは言っても今の貴様は何も知らずいつまでも否定し続けるだろう。それで話を戻そう。私は貴様を殺し損ねた。あれは貴様の持つ記憶とは別の意味だ。奴が…本物のガンヴォルトが紫電を倒し、
ボクとシアンを葬った時以外。それ以外など存在しない筈。ボクはあの時アシモフの
「プロジェクト・ガンヴォルトの実験場を爆破させて破壊した。その爆破で貴様は死ぬ。それ故に私が貴様に手を下さなかった。ポッドの中で生命維持により生かされた貴様をな。本当に後悔していたよ。あの時の貴様が生きていて、再び私の前に現れた時は。私の|怠慢《が起こした事でこうして何度も奴を模倣する貴様と対峙させられたのだからな」
その様な事を言おうがボクにはそんな記憶など存在しない。そしてボクはクローンなどではなく、本物のガンヴォルトだ。真似なんかじゃない。紛い者なんかではないと、アシモフを睨み訴える。それに、シアンはどうなる?アシモフの言葉が本当だとしてもシアンの説明が付かない。
「
それの何処が証拠になる。何を根拠にそう言える。ボクはアシモフを睨みつける。
「根拠がないとでも言いたそうだな?ならば、貴様はこの世界に来た時、何を身に纏っていた?私が作り上げたフェザーで拵えた今と同じ様な戦闘服か?それにダートリーダーは?私が
「ッ!?」
ボクがこの世界に来た時の服装をピタリと言い当てるアシモフ。何故それを。アシモフもあの場に居たのか?だが、その言葉により、アシモフの妄言が現実味を帯びてくる。ボクが紛い者…本物ではない。本物のガンヴォルトの遺伝子により作られたデザイナーチャイルド。そしてボクと共にいたシアンも同様
「その場にいなくてもわかるんだよ、紛い者。何度も言っているだろう。貴様は私が殺し損ねたと。だからこそ、言っているんだ。貴様が紛い者であると。それに本物である筈ない最たる理由が、本物は生きて、この私と戦ったからだ」
「ッ!?」
「アメノウキハシへと続く、軌道エレベーターの中、本物の奴…本物のGVと本物の
それはかつて、アシモフがボクに告げたその意味。その言葉の真意を知る。全てが信じがたい。だが、アシモフの言葉に現実味が帯びる。ボクの中で何かが少しずつ崩れていくのを感じる。
しかし、疑問も浮かぶ。アシモフの言葉が全て本当ならば何故アシモフがここに居る?
「貴様はそれならば私が何故生きている?そう思っているだろう?私も信じられなかったさ。私は本物のGVにより、殺された筈。なのに私は生きていて、この世界にいるのかを?私でも理解出来なかった。他国の何処か分からない場所に何故私はいるのだと。何故生きているんだと…生きていた事は喜ばしい事だが、私にとってはこの世界は
アシモフが憎たらしそうに語った。
「だが、装備も、GVが倒した七宝剣の
何が原因でアシモフがこの世界に着いたのか分かりはしなかった。だが、アシモフの目的が何なのか分かった。
アシモフもボク同様に何故かこの世界に流れ着いた。
そうなれば行き着く答えは一つしかない。
「この世界の無能力者全てを
そう。アシモフもボク同様に世界へ帰ると言う目的。だが、アシモフの目的にはこの世界の破滅させる事も含まれていた。
「
この世界を壊そうとするアシモフ。そして既に帰る算段を既に整えたアシモフ。そうはさせない。だが、ボロボロの身体。そしてアシモフの言葉に現実味が帯びた事で、迷いが、疑心がボクの行動を、
本当にボクはガンヴォルトなのか。アシモフの言っている事が正しいのか。
「貴様の
アシモフはボクを見下ろしながらそう言った。
「だが、それで良い。今の貴様が何を隠そうとしていようが、ボロボロの身体、そして
そう言ったアシモフは手に持った銃を戻し、そして何度もボクを追い詰めてきた銃弾、
「ようやく私の残した汚点を消せる。本当に不快だった。だが、もう終わりだ。
そう言ってボクに向けてアシモフが再び凶弾を胸へと放たれた。弱まっていた
「ダメ押しだ」
アシモフはそう言ってボクへと向けてネフィリムの心臓を巻いた腕を翳すと
「海の藻屑となれ、紛い者」
そして水に落ちる感覚。そしてすぐに自分の身体が完全に水に浸かる感覚。
そしてアシモフは
アシモフだけが残るエレベーターシャフト。
「私の残した汚点も漸く無くなった。始めよう。最後に必要な
そう言ってアシモフは銃をしまい、何かスイッチを取り出すと再び爆発を起こした。
「待っていろよ、GV」
アシモフはそう言い残してエレベーターシャフトの壁に