やっぱり小説は難しい…
とりあえず、原作八話終了。残り五話も頑張って書いていきます。
エレベーターシャフトを脱出した四人。
マリア、切歌、調は米国政府の兵を探しつつも未来を脱出させる為に道を切り開こうとする。だが、脱出経路になる非常階段は全て爆発、ノイズの影響により破壊され、脱出経路は全て無くなっている。
「…アシモフの奴!」
マリアはその状況に苛つき、この場にいないアシモフに向けて苦言を漏らす。
未来もアシモフとの協力者と察しているが、今の三人を見るにどうして協力しているのか分からない。
何故アシモフという人物に手を貸すのか?分からない。
「…何で貴方達は…あの人と協力しているんですか?響を…親友を殺そうとするのに…ガンヴォルトさんを殺そうとしているのに…なんで…あんな酷い事をする人に協力しているのに何で…」
「貴方はあの男達の知り合いだったのね」
マリアはそう言うが、敵対している組織の参考人だろうと敵意を剥き出すことはなかった。
「…仕方ないんデス…私達ももうこんな事したくない…もう酷いことなんてしたくないデス…」
切歌がぽつりと未来に対してそう言った。アシモフに初めて会ったが、相対しただけでも分かる程のドス黒い悪意を感じていた。
何かアシモフという人物がマリア達の大切な何かを奪い、無理矢理こうさせているのではないかと感じる。
「でも…でも、それなら…それなら機動二課なら…弦十郎さんやガンヴォルトさんならどうにかできるかも知れません!やむ得ない理由があるなら機動二課なら協力してくれます!」
未来はそう話す。機動二課ならどんな状況でもこの三人を助けてくれると考えたからだった。
だが、未来の言葉に全員が首を振るう。
「無理だよ…私達はもう…機動二課とは何度も敵対している…絶対に協力なんてしてもらえるはずがない…」
「そうデス…私達はもう誰にも信じて貰えない…協力なんてして貰えないデス…」
調と切歌がそう言った。未来は知らないが、アシモフを裏切り、米国政府へと協力を持ちかけた際、裏切られた。自分達にはもう居場所がない。その為に信じると言う事が出来なくなってしまっている。
「そんな事ない!機動二課の人達は見捨てたりしない!どんな事情があろうとちゃんと話せば協力してくれるはずです!」
未来は機動二課がどんな事があろうと機動二課なら三人を保護してくれる。かつて敵であったクリスがそうだった様に。機動二課は、弦十郎やガンヴォルトなら絶対に見捨てない。絶対に親身に対応してくれる。どんな状況でも打破してくれる。
三人にそう説く。
「心配してくれてありがとう…でも…無理なのよ…」
マリアが未来に向けてそう言った。
「貴方も知っているでしょう…アシモフに唯一対抗出来ると目されるガンヴォルトが何度も追い詰められている事を…」
マリアが語った事。それはかつてガンヴォルトが大怪我を負い、生死を彷徨った事だと思い出す。
「ガンヴォルトだろうと、アシモフを…誰もあの男を止める事が出来ない…装者だろうと、国だろうと…それほどなのよ…あの男は…単体で世界を脅かす程の脅威なの…ガンヴォルトだろうと、機動二課だろうと…」
否定したい。ガンヴォルトなら必ず何とかしてくれる。未来はそう言おうとしたが、かつてのガンヴォルトの姿を想像してしまい、言葉が出ない。
「それに…私達は大切な家族を人質に取られているの…アシモフを再び裏切る様な真似をすれば、大切な家族を殺されてしまう…」
マリアはそう語った。
「こんなところにいたのか?米国政府の犬共を殺し終えたのか?」
突然、穴が開くと共に、三人にとって会いたくない存在、そして未来にとっては出会った事により、ガンヴォルトの敗北した事を知らせる最悪な存在であるアシモフの姿が現れた。
未来はガンヴォルトの敗北を信じられないと絶望した表情をする。三人もアシモフを前に、身を強張らせる。
「…兵は貴方が殆ど殺していたのか見当たらなかった…」
マリアが三人の前に出て身体を震わせながらそう言った。
「米国政府もあれだけしか数を寄越さなかったのか…私が気付くはずもないとたかを括っていたのか?それとも、貴様達如き、その程度で充分だったと言う事か?しかし、あの程度で処理が出来たのならばいい。邪魔者は
アシモフはどこか納得した様にそう言った。
「アシモフ!やれる事は私達はやった!マムを解放して!」
「解放?何を言っている?私は貴様達に命じたはずだ?米国政府の犬共を殺せと?一人も殺してないのであれば貴様達に依頼に答える必要性などありはしないりそれに、貴様達はまた私を騙そうとしたのだからな。私が命令を下してすぐ、銃声で戦闘を誤魔化した事を」
「ッ!?」
マリアはしまったと自身の失態に表情を歪めた。言わなくていい情報をアシモフに自ら話してしまい、自分達の状況を、そしてナスターシャの安否を消してしまう様に苦しめてしまった。
切歌と調もアシモフの言葉を聞いてマリア同様に表情を歪める。そしてアシモフが、言った命も行えなかった事にナスターシャが殺されると絶望の表情を浮かべる。
「だが、貴様達が丁度いい餌を用意してくれた様だからな。今回の事はこれで水に流そう」
そう言ってマリアの後ろ、切歌と調と共にいる未来を見て言うとともに二つ穴を開く。それは切歌と調の首に向けて開かれており、アシモフの腕が、切歌と調の首を掴んだ。
「ッ!?」
「ッ!?アシモフ!何をする!」
マリアは怒りの余り、ガングニールでアシモフに向けて吶喊しようとしたが、アシモフの手により切歌と調の命が握られている事で動く事が出来ない。
「
そう言ってアシモフは切歌と調の首から手を外し、穴から手を戻す。
そして切歌と調は苦しそうに首を押さえた。だがその首に巻かれた物に気付き、アシモフを見た。
「首輪型の爆弾だ。破壊力は段違いにしている。例えシンフォギアを纏っていようが、正規適合者で無い貴様達のシンフォギアなどいとも容易く破壊出来るほどの威力はある」
「アシモフ!なんて事を!」
マリアはそれを首につけられた二人が絶望の表情を浮かべた瞬間、アシモフに向けて叫ぶ。
「貴様達が何の役にも立たないのが悪いのだろう?裏切りを企て、私の邪魔をしようとした貴様達が。だからその
アシモフはそう言ってマリアや切歌、調を無視して、その後ろにいる未来へと歩み寄る。
未来はアシモフから感じるドス黒い悪意。それに目の前の男が、無事を信じていたガンヴォルトを倒し、敗北したと言う事実を告げる存在が今目の前にいる事で動けない。
「上のフロアぶりだな」
アシモフは動けない未来へとそう告げる。未来は恐怖で呼吸もままならない。
そしてアシモフは動けない未来の首を掴み、持ち上げる。
「邪魔となる存在、立花響、天羽奏を、機動二課を殺す為の。そして風鳴翼、雪音クリス、
未来は苦しめる腕を振り払おうと、アシモフの手を掴み、何とか離させようとするが圧倒的な力の前ではなんの意味も為さない。
そしてアシモフは再び
「さて、ここは既に用済みだ」
そう言ったアシモフはリモコンのような物を取り出すと、スイッチを押して更なる爆発を起こさせる。
「さて、貴様達もついて来い」
未来を投げ入れた
マリア達はもう嫌だ。アシモフとなどに付いていきたくない。そう思いながらも、ナスターシャを人質として取られて、あまつさえ、切歌と調に爆弾を仕掛けられた手前、言う事を聞く事以外選択肢などありはしない。
「Dr.ナスターシャを殺されたいか?大切な家族を守るのではないのか?」
「ッ!」
ほざくな。マリアは怒りとナスターシャだけでなく切歌と調もが命を手に握られている事に腹正しい思いをしながら従ざるを得ない。
苦しんで涙を流す切歌と調を抱えたマリアは悔しい思いをしながらも
「それでいい。黙って私の言う事を聞いていればな」
だが、それを見送ったアシモフも崩れゆく東京スカイタワーを後にして
◇◇◇◇◇◇
「…」
水に浸されているような感覚。そして目を開ける事すら億劫になっていた。
今の状況が分からない。
ここは何処だ?ボクは何をしているんだ?
そんな考えが浮かんでは消える。
まるで夢を見ているように身体を動かそうとしても思うように動かない。いや、全く動かない。
何なんだ?
消えかかる意識の中、何とか意識を保とうと思考を常に張り巡らせる。
しかし、その瞬間、ものすごい衝撃がボクを襲う。それと共に水のようなものから身体が解放される。
「ガハァッ!ゲホッ!ゲホッ!」
突然のことに何が起きたか分からない。水の様な何かに浸されていたボクは、ようやく目を開けることが可能になり、ゆっくりと目を開ける。
そこは業火に包まれた何処か分からない場所。何か爆発があったのか辺りには瓦礫、そして人の入りそうのほど巨大なガラスケースが壊れながらも鎮座している。
何処だ、ここは。声を出そうにも、発生することすら出来ず、ただただ咳を繰り返す。
分からない。ここは何処かも、そして何でこんなことになっているかも。
だが、逃げなければ。生きなければ。分からないなりにでも、そう感じた。
だが、身体は思う様に動かない。それでも、逃げる為に必死に腕を前に身体を引き摺りながらも腕の力だけで地面を進む。
燃え盛る業火に身を焼かれまいと、崩れゆく何処か分からない所から抜け出す為に、必死にもがく。
だが、それを嘲笑うかの様に、ボクに向けて瓦礫が降り注ぐ。
逃げなければ。だが、倒れて身体を引き摺るボクは瓦礫を避けることなどできるはずもなく、降り注ぐ瓦礫に押し潰される。
腕を。足を。瓦礫がのしかかり、動きを封じる。痛みの余り声をあげようにも、声が出ない。
そしてボクの身体を更に巨大な瓦礫が襲いかかり、完全に押し潰してしまう。
死。
その言葉が頭によぎる。だが、その言葉も、意識も消えかける。
何が起きたも分からない状況。そんな中ボクは意識を手放しそうになる。
そして完全に事切れる前に、ボクの身体が、何か暖かい光に包まれる。
何が起きたのか分からない。この光が何なのかすら。だが、一つだけ理解している事はある。
ボクはもう死ぬ。変えようのない事実。
「お願いです…皆んなを…マムを…マリア姉さんを助けてください…」
聞いた事のない少女の声。その声を聞いた瞬間、ボクは意識を手放す。
◇◇◇◇◇◇
「ガハァッ!ゲホッ!ゲホッ!」
夢の様な出来事で事切れると共に目を覚ます。
潮風が鼻を刺す。水ではなく塩気を含む海水であり、アシモフが飛ばした海であろう。何故か分からないが海岸に打ち上げられている。
そして時間が経つ事で意識が完全に覚醒し、どうなったのか全てを思い出す。
アシモフと対峙して再び敗北を喫した事。だが、なぜ生きているのか分からない。あの時、アシモフに胸を
痛みがある。だが、耐えられないほどではない。
見るとそこには僅かに撃たれた痕跡として
アシモフが何かしたのか?いや、以前同様、殺す気で放ったのにそれはあり得ない。だったら何故?
そう考えても答えは出ない。だが、ボクの頭はアシモフに敗れた事よりも先程の夢の方で頭がいっぱいだった。
あの夢は一体何なのか?
アシモフに言われてしまい、想像してしまった過去とでも言うのか?だが、あまりにもリアルであり、聞かされただけであの様な事を想像してしまったのか?
いや違う。あれは夢じゃないと本能が告げる。直感がそう告げる。
ボクの頭の中の記憶になかろうと、ボクの細胞一つ一つが覚えているとばかりに震えているのが分かる。あれは本当にあった出来事であり、その潰された者がボク自身だと。そう告げている。
「…アシモフの言っていた事は本当で…ボクはデザイナーチャイルド…」
信じたくない事実が、嘘だと信じ続けたボクの頭を支配する。
本当にボクはデザイナーチャイルド、クローンであり、本物では無い。そしてシアンも本物でもない。なら何の為に、ボクは今まで帰ろうと必死になっていたのか?アシモフを殺し、シアンの記憶を持つ何かを取り戻そうとしたのか?
本物がアシモフを倒した。それならば本物がいる。本物のシアンもいる筈。クローンであるボクにはあの世界に居場所などない。本物でもないボクが、あの世界にこうまでして帰ろうとしていたのか?
今までの行動が馬鹿みたいだと呟く。
それが本当にしろ嘘にしろ、一度信じてしまった事を振り払う事は容易であるはずもなく、ただボクは漂う。
もうどうでもいい。
ボクの中の信念が、行動理由が崩れ去るのを感じる。
もうこのまま朽ち果てて仕舞えば楽になれる。そこまで考えるようになった。
だが、その夢の最後に聞こえた少女の声。あれは何なのか?シアンでもない、誰かわからない少女の声。
皆んな、マム、それは誰を指しているかわからない。だが、マリア。それだけは分かっている。テロリストでありながら、その手は悪に染まっておらず、人を殺す事を躊躇い、家族の様に二人の少女を大切にする温かな雰囲気を持つ人。
だが、今のボクにとってはどうでも良かった。
夢を事実と認めてしまった事で、戦う気力もない。
ただ呆然と打ち上げられた海岸で倒れ込む。
そんな時、小さな咳が、ボクの耳に届く。
どうでも良いと思いながらも身体はその咳が上がった方に目を向けた。
そこにはボク同様に打ち上げられた誰か分からない。老婆が意識を失い、倒れていた。
何故こんなところに人が?何か事故でもあったのだろうか?
だが、ボクには関係ない。
もう何もする気も起きない。何も行動する理由が無い。全てを投げ出してしまった。その影響で身体を動かそうとしない。
だが、身体はその反対に無意識に立ち上がろうとしていた。
「…」
残っていた僅かな良心なのか?それとも、別の何なのか?それすらも理解することすら放棄している自分にはどうして行動を起こしたのか理解出来なかった。
理解出来ないのに何故かボクはその老婆を抱えると、何処かも分からぬ砂浜を歩き、そのまま何処かへと消え去った。