そのうち修正します
大切な親友が爆発に巻き込まれた。
それが引き金となり響は絶叫する。未来が。陽だまりが。
響は大切な者を失った事が引き金となり、再びドス黒い感情が胸の奥から沸き立つ。そしてそれに呼応する様にガングニールが共鳴し、響の身体を蝕んで行く。
離しちゃいけなかった。あの時の選択は間違いであった。
だが、その原因は?未来を失う原因を作ったのは何だ?
ノイズ。確かにノイズもそうだ。ノイズが現れず、外壁を壊されず、未来と分断されることもなかった。
爆発もそうだ。何も起こらなければ未来と共にこの場から簡単に逃げられた。
だが、違う。
爆発もノイズも。その全ては仕組まれていたものだ。なら憎むべきは何か?
そんな事、もう既に知っている。
アシモフ。
ノイズ。そして爆発も全てがアシモフにより起こされた。全ての原因、そして未来を奪った全ての原因。
「ア…シ…モ…フ…」
この出来事の全ての発端であり、響達がここまで苦しめさせられているテロリスト。そして大切な親友、未来を奪う原因を作ったテロリストの首謀者。
「アシモフ!」
ドス黒い感情が溢れ出し、響の黄色のシンフォギアを、身体を黒く染め上げる。
あらゆる原因を作り出したアシモフが憎い。未来を奪ったアシモフが憎い。
響の心を憎悪が侵食し、それに呼応する様にアシモフの名前を叫ぶ。
シンフォギアを纏うなと言われたが関係ない。大切な
「ガァァ!」
ドス黒い憎悪の感情に支配された響は絶叫をあげる。
悲しみ。怒り。そして憎悪。その全てが響の心を侵食し、更にそれに呼応したガングニールが響の身体をより侵食させる。
アシモフを許さない。
シアンを奪い、ガンヴォルトを幾度となく追い詰め、そして未来を奪ったアシモフをもう許す事など出来ない。
「ユルサナイ!」
憎悪が響を突き動かした。
だが、
「止めろ!立花!」
「響!止まれ!」
「この馬鹿!何でまた黒くなってやがんだよ!」
響が身体を動かそうとする前に救援として到着した翼、奏、クリスがシンフォギアを纏い、更に暴走している響を取り抑える。
「ガァァ!」
取り押さえられ、暴れる響。
「ドケ!ハナセ!」
「響!落ち着け!」
そんな響へ奏が叫ぶ。
だが響は奏の声が全く聞こえてないのか暴れるのを一向に辞めない。
何があったのか?響にはガンヴォルトを警護としてつけていた筈。何故響がこんな状態になっているのにガンヴォルトがいないのか?
三人の頭に不安が過ぎる。
だがすぐにその不安は現実のものとなる。
「ハナセ!アシモフ!ヒダマリヲカエセェ!」
取り抑えられ、暴れる響がその名前を口にする。ガンヴォルトが響の近くにいない理由。そしてこの件も絡んでいる黒幕が此処に居ると言う最悪の事態。更に響の親友である未来もその戦いに巻き込まれたと言う事。
最悪だ。
ガンヴォルトは響と未来を逃す為に戦っている。そして響がここで暴走していると言う事は未来がその戦闘に巻き込まれたのか、それとも東京スカイタワーのこの有様からノイズ、もしく爆発に巻き込まれたと察する。
やるせない気持ちに苛まれるが、そのことを考えるよりも三人は今の響をどうにかしなければならないと、響を抑え込む。
「止めろ響!それ以上は駄目だ!」
奏が響に叫ぶ。
「もうこれ以上纏うな!立花!」
翼も奏同様に響に向けて叫ぶ。
「黒はお前に似合ねぇんだよ!それ以上其方にいくんじゃねぇ!」
クリスももう止めろと響を止めようとする。だが三人の制止はなんの意味を為さず、響の力がどんどん膨れ上がり、抑え込むのもやっとだ。
「ッ!すまない!立花!」
翼が剣を取り出すと取り押さえた響へと峰打ちを繰り出した。
翼も悪いとは思っている。だが、今は事態が事態の為に響の暴走だけに時間を割いてられない。
「ガァ!?」
頭に大きな衝撃。それは響の意識を失わせるのには十分な威力を発揮し、暴れていた響は意識を失い、黒くなったシンフォギアが破壊され、元の響に戻った。
安堵の息を吐く三人。だが、まだやるべき事は残っている。人命救助、そして未来の生存確認。響の先程の状況から無事とは言い難いかもしれない。それでも、どうなったか決める理由にならない。
そして、ガンヴォルト。このタワーのどこかでアシモフと戦闘をしていると思われるガンヴォルトの援護をしなければならない。
アシモフはガンヴォルト一人ではどうにかできる相手ではないと言う事は嫌と言うほど理解している。
だからこそ、救援に向かわなければならない。
だが、そうなると響をどうする。アシモフとガンヴォルトの戦闘は刻一刻と劣勢に強いられる。だが、この場に響を置いて行くことなど出来ない。
「翼、クリス!二人が行け!」
そんな中、奏が、響を抱えてそう言った。
「今アシモフに対抗できる証明をしているのは二人だ!翼!クリス!」
奏は自分自身もガンヴォルトの元へと向かいたい。そう考えている。だが、奏は翼とクリスの様に、アシモフへと傷つけた証明がない。もしかすれば、奏もアシモフへと攻撃を通す事が出来る。その可能性もあるかもしれない。しかし、可能性の話。攻撃がもしアシモフに通じれば劣勢を覆すことができるかもしれない。
だが、現状は分からない。もし攻撃がアシモフに通用しないとなったら…そうなればガンヴォルトの、そして翼とクリスの邪魔にしかならない。足手纏いにしかならない。
だからこそ、自分がするべき行動は響を助ける。そう判断した。自分も行きたい。ガンヴォルトを助けたい。そう思うが、その気持ちを押し殺す。
「分かった…奏。立花を頼む」
「分かったよ。お前はそこの馬鹿を頼んだぞ」
翼とクリスは奏の言葉に頷く。
そして、
「私達とガンヴォルトが一緒になってもアシモフに敵うかどうか分からない。必ず奏の力は必要になる」
「その馬鹿の安全が確保出来たら戻って来い」
翼とクリスは奏の気持ちを汲んでそう言った。それを聞いて奏は頷くと直ぐに響を連れて離脱して行く。
翼とクリスは奏が離脱すると同時に東京スカイタワーの内部へと入り込む。
最下層は特にまだ被害が少ないお陰か、人も既に逃げており、静寂が支配している。
この場にはアシモフはいない。となるとこのフロアより上のフロアにガンヴォルト、そしてアシモフがいる事になる。
二人はすぐさまエレベーターの扉を吹き飛ばし、シャフトの中に入ると壁を蹴りながら上のフロアへと向けて駆け上がる。
駆け上がるシャフトの内部にはノイズが何体かおり、翼とクリスの存在に気付くと襲いかかって来る。
「そこを退け!」
「テメェらにかまっている暇はねぇ!」
だが翼とクリスはアームドギアである剣と銃を素早く取り出して、一瞬でノイズを片付ける。
こんな所で時間をかけている暇などない。今も尚、戦闘をしていると思われるガンヴォルトの元に向かわなければならない。そして未来を探し、安否を知らなければならない。
ノイズを炭にして更に加速して駆け上がる。
だが、次のフロアに到達した瞬間にシャフト内で大きな爆発が起きる。
「ッ!?」
翼とクリスは爆発に巻き込まれてしまうが、壁をぶち破り、なんとかフロアに入り込む。だが、その爆発は何度も起きており、翼とクリスの乗り込んだフロアでも爆発が幾つも起きている。
「あの野郎!」
「アシモフの奴!どこまで破壊すれば気が済むの!」
クリスは悪態を吐き、翼もそれに続く。だが、そんな事を言っている場合じゃないとガンヴォルトと未来を探すためにフロアを駆ける。だが姿が見当たらない。このフロアではない。二人はすぐに上のフロアに向かうために、先程爆発のあったシャフトとは別のシャフトへと向かう。
崩れゆく東京スカイタワーの内部を走りながら、別のシャフトへと駆け出している際、その近くでどこか見覚えのある物が二人の目に入った。
「おい!」
「分かってる!」
翼とクリスはすぐにそれを回収するために、その場に向かう。
それは未来のスマートフォンであった。だが、肝心な未来の姿はどこにも無い。
その瞬間、クリスが膝から崩れ落ちる。
「嘘だろ…おい…なんで…これがこんなところに…それにあいつは…あいつはどこに居るんだよ…」
クリスにとっても未来は大切であった。初めての友人であり、暖かさを思い出させてくれた人であったから。だが、このスマートフォンだけを残し、どこにも居ない。落としたとも考えられるが、響の先程の様子からこの爆発が起きる前のノイズか何かにやられたと考えてしまった。
「…小日向…」
翼も未来がやられてしまったと考えてしまい、クリス同様に表情が歪む。
仲間がやられる悲しみは知っている。誰かいなくなる悲しみは知っている。だが、今の二人の中で燻っているのは怒り。
何故こんな事になってしまったのか。関係ないはずの未来まで何故こんな目に遭わなければならなかったのか。
全ての原因たるアシモフに向けた怒り。
クリスは未来のスマートフォンをシンフォギアの内部に収納すると立ち上がる。
「アシモフ!お前だけは本当に許せねぇ!」
涙を流しながら叫ぶ。
「当たり前だ!アシモフ、貴様だけは絶対に!」
翼もアシモフを許さないとそう言って、クリスと目を合わせると別のシャフトへと駆け出した。
全ての元凶。何度も日常を破壊してきたアシモフへの怒りが二人を突き動かす。
そして今も尚、戦っていると思われるガンヴォルトを探すためにシャフトへと入り込み、再び壁を蹴り、駆け上がる。
とにかく一刻も早くガンヴォルトとアシモフを見つけなければならない。だが、居場所が分からない二人は崩壊していく東京スカイタワーをしらみ潰しに探していくしかない。それに時間もない。
とにかく見つけなければと急ぐ。
だが、シャフトを駆け上がる途中、爆発によってワイヤーが切れたのか、二人の頭上からエレベーターが落下してくる。
二人はそれをアームドギアを破壊して先を急ごうとするが、破壊したエレベーターの先に見覚えのある物が落ちてくる。
翼がそれをなんとか掴む事に成功して、剣を壁に突き立て、それを見た。
その瞬間、翼は時が止まった様に動かなくなってしまう。
「おい!どうしたんだよ!何を掴んッ!?」
動きの止まった翼にそう叫ぶクリスも翼の掴んだ物を見て固まってしまった。
翼が掴んだ物。それはガンヴォルトの愛銃、ダートリーダーであった。そしてダートリーダーのグリップに着いた血。
どんな事があっても離す事がなかった筈のガンヴォルトの銃。
「嘘だ…嘘だ…」
それが今、翼の手にあると言う事が、二人にとって絶望を意味する情報を突きつける。
ガンヴォルトが死んだ。嘘だと信じたかった。
ガンヴォルトが死ぬ筈ない。そう思っている。
だが、嘘ではないと言うふうにダートリーダーが静かに物語っていた。
「嘘だぁ!」
シャフトの中で二人の信じたくない叫びが崩壊と爆発を続ける東京スカイタワーの中で響き渡る。
だが、その叫びに返してくれる存在などありはせず、ただ二人はガンヴォルトが敗れたと言う事実に絶望するしかなかった。