目にも留まらぬ高速でぶつかり合う雷撃。
ボクの雷撃とアシモフの雷撃が辺りへと散り、甲板の上を駆け巡る。
だがそんな事お構いなしにボクとアシモフは互いを殺す為に更なる雷撃を解き放つ。
再びぶつかり合う雷撃が爆発の様に蒼白く目も眩む光を放つ。だが、互いの姿を常に認識し、確実に殺す為に、ボクとアシモフは常に攻撃を続ける。
ボクが
今までと違い言葉など一切発せられない。その代わりに殺意で互いの意思をぶつけ合う。
貴様と言う存在をここで終わらせる。
ここで貴方を殺す。
言葉などまじわさなくとも今までで十分高いを理解している。言葉など要らない。
もう互いに殺し合うしか頭にない。
己の目的を果たす為に。己の手で大切な者達を、大切な者達がいる自分の居場所を守る為。そしてあの世界に災厄を齎さぬ為に。
互いの願いを成就する為に殺し合う。
依然としてボクとアシモフはあれ以降互いにダメージを与えられていない。
ボクはその前にかなりの痛手を負ったがリヴァイヴヴォルトで完治させている為に、動きに鈍さなど無い。
アシモフも同様。装者達と戦闘したのにも関わらず、動きは全く衰えていない。疲れなど微塵にも感じさせない。
牽制続ける中、最初に行動を起こしたのはアシモフ。
アシモフには無敵の防御結界、
それがある故の行動。
始めに
だが、アシモフはその程度理解しているからこそ、次の行動に出る。
捉えきれぬ黒い粒子を貫いてボクの心臓、脳天、膵臓へと向けて放たれた光線。
殺す為の一撃。故に読みやすい。幾度となく教えられた殺人術。アシモフのやる事を理解しているからこそ、ボクはそれを難なく躱す。だが、アシモフも同様に理解しているからこそ、いつの間にか背後に回り込んでボクへと向けてネフィリムの心臓を巻く腕をボクに突き出していた。
そして腕からは
だが、それも難なく躱す。
今までの同様の攻撃。読めないと思われている事が癪に触る。だが、それでもアシモフの事だ。何か企んでいると匂わせる。
反撃をしようかと思うが、すぐにその場から飛び去る。
そして元いたボクの場所が爆発が起きる。
いつの間にか
確実に殺す為の念には念を入れた行動。だが、こんなの一度体験もしていない初見で成立する行動。何度も同じ手を喰らうはずがない。
ボクは着地すると共にアシモフに一気に距離を詰める。
だが、アシモフは穴をすぐさま開けて、逃げていく。丁寧に炎球をボクに向けて放ち。
ボクはそれを
だが、その蹴りを躱し、銃弾を再び撃ち込む。ボクはそれを間一髪躱すとアシモフは更に銃弾を至近距離からの撃ち込んでくる。
ボクはそれを雷撃鱗を展開して弾き落とす。強化された雷撃により、今まで雷撃鱗を貫通していた弾丸はボクの雷撃鱗を越える事が敵わない。
だが、分かったところでアシモフも雷撃鱗を展開してボクの雷撃鱗とぶつけ合った。
今までと違い拮抗する雷撃。
「本当に苛立たせてくれる!紛い者!」
「何度も言っているだろ!ボクも本物だ!ボクもガンヴォルトだ!」
「黙れ!貴様は紛い者だ!偽物だ!この世界の誰が認めようが貴様が本物と宣おうが関係ない!私が与えた奴の名を貴様が名乗るな!偽物如きがその名を口にするな!貴様の様な紛い者の冠していい名などではない!」
「身体は偽物だとしても!ボクの中にある想いが!魂が!本物なんだ!貴方が名付けたとしても関係ない!貴方が認めないと言おうが関係ない!」
アシモフは何度でも否定する。だがその否定をボクは否定し続ける。それだけは一歩も譲らない。
本物と認めないのなら証明してみせる。アシモフを殺し、ボクも本物だと証明する。
雷撃鱗を更に強化してアシモフを押し返そうとする。だがアシモフも怒りが雷撃鱗を強化して依然として拮抗したまま。
だが、それを崩す様にアシモフは穴を作り、その中に手を入れると現れる最も危険な銃弾が込められた銃が握られている。
幾度と無くボクを追い詰め続けた最凶の弾丸。
そして殴りつける様に雷撃鱗へと向けて構えるとそのままの勢いで発砲する。至近距離から放たれる音速の一撃。
だが、ボクは直ぐ様対
「チッ!あの時の物か!」
二課の研究者達に頼んで作成された対
何故今まで同様に使用しなかったのか?
作成期間と調整に長時間要する為だ。そして以前の戦闘で一個はもう無くなった。そして今回の戦闘に間に合い、斯波田事務次官から一課の操縦者へ託された物。二個しか未だ作れなかった。
ここぞと言うときに使うべき物。それが今だ。
アシモフが雷撃鱗を解き、雷撃鱗の直ぐ目の前にアシモフがいる。ボクも雷撃鱗を解き、その出力も全て拳に込める。
強力な雷撃を纏う拳。アシモフに向けて全力で振るう。
だが、そんな過去を越えろ。今の力は過去と違う。シアンに支援した時と変わらない雷撃を。
アシモフもただ黙って食うわけがない。直ぐ様ボクに向けて再び銃を構える。
だがそれよりも早く、ボクの拳がアシモフの顔面を捉えた。強力な雷撃の拳がアシモフの
強力な雷撃を纏う拳がアシモフの顔面を捉えるとボクは力の限り振り切った。
そして吹き飛ばされたアシモフに向けて更に追撃をと
だが、アシモフはネフィリムの心臓を起動させ、穴を開くと飛ばされながらも体勢を立て直しその穴に入り、直ぐ様離れた所へ出現する。
ただ口から流れる血を拭い、ボクへと憎悪と殺意をぶつけ続ける。
「ああ本当に憎たらしい。この力。このパターン。本物であれば喜んだであろう。だが、紛い者如きがこの雷撃を扱う事自体が腹正しい!」
そう叫ぶとアシモフが今まで展開させていた未来達の近くの穴を消した。
「貴様と言う存在はやはり害悪だ!貴様と言う存在が奴を霞ませる!私の育て上げた者を侮辱する!今すぐに死ね!」
そして今までと分散させていた力をネフィリムの心臓一点に集め始める。そしてアシモフの背後に夥しい数の巨大な炎球。蓄えられた幾つもの光の球。そして溢れ出る黒い粒子。
ネフィリムの心臓の最大出力というのだろうか。全てが必殺。
アシモフの怒りを体現させた強力な一撃。
更に、アシモフは言葉を紡ぐ。確実に殺す為に。
「滾る雷火は信念の導」
ヴァルティックチェーン。
完全なる死を与える為の総力を全て注ぎ込んできた。
だからこそ、ボクはそれをさせぬ為にアシモフへと駆け出した。だが、アシモフは言葉を紡ぎながら必殺の一撃の為に、背後に顕現させた最大出力の
船をも破壊出来る程の一撃をボクに向けて放った。
ボクは前へと、アシモフに接近する為に突き進む。
ボクは熱波と爆風に身を晒されながらも雷撃鱗を展開する。展開した雷撃鱗に夥しい量の黒い粒子がぶつかる。そしてそんな黒い粒子をすり抜けて高速のレーザーが雨の様に迫り来る。だが、それでもなんとか躱してアシモフへと接近する。
「轟く雷音は因果の証」
アシモフは言葉を紡ぎ続ける。そしてボクには爆風と熱波が襲いかかり、レーザーが雷撃鱗を貫いて襲いかかる。だが、そんな事構わない。アシモフを止めろ。アシモフを殺せ。必ず遂行しろ。自分がやるべき事を。そしてアシモフのした事を思い出せ。
奏を、翼を、クリスを、響を、そして未来。仲間にアシモフが何をしたか思い出せ。翼のアシモフにより傷つけられ浮かべていた苦悶の表情。ボロボロになり、倒れた奏の姿。炎の中に倒れたクリスの姿。アシモフによってシンフォギアを纏わざるを得ないと判断した結果、ガングニールにより侵食された響の姿。そしてまるであの時のシアンの様に操られ、無理に力を使わされている未来の姿。
進みながらも熱風がボクの皮膚を焼き、レーザーがボクの身体を何度も貫く。致命傷は避けているが、ものすごい痛みが身体中に走る。だが、この程度の痛みと衝撃が何だ。みんなこれ以上の苦しみを味わっていた。それでも尚、アシモフと立ち向かっていた。ボクがこんな所止まって仕舞えばどうなるなんて想像など容易い。だからこそ、ボクは歩みを止めない。
前に出ろ。アシモフに近付け。傷付こうとボクならば生体電流を操作してある程度回復する事は出来る。引くな。踏み出せ。
雷撃鱗を展開し続けながらボクは駆ける。アシモフはそしてボクの歩みを止める為、
足を止めるな。進み続けろ。押し返せ。致命傷になる物だけを躱し、前に進み続ける。
泥臭くてもいい。格好なんて気にするな。殺すのにそんなの気にしていられない。身体に幾つもの傷を作るが、生体電流を常に活性化させて傷を癒し、ボクは引かずに一歩一歩踏み出す。
そしてボクも言葉を紡ぐ。
「煌くは雷纏いし聖剣」
熱風がボクの喉を焼く。だが焼いた側から内部の火傷を生体電流を活性化させて治療していく。だが治したところで拭き続ける熱風は喉を再び焼き続ける。
「蒼雷の暴虐よ」
それが何だ?喉が焼けようが声は紡げる。痛かろうが、今だけだ。堪えろ。言葉を紡ぎ続けろ。
「敵を貫け!」
雷撃を腕に込めろ。作り出す聖剣の為に。今までよりも強力な聖剣を作り出す為に。
そして生み出された巨大な雷の聖剣。
それと同時にアシモフも言葉を紡ぎ終えた。
「裂く雷電こそは万象の理!」
そしてたどり着いた互いの必殺の攻撃範囲内へと。
「スパークカリバー!」
「ヴォルティックチェーン!」
生み出された聖剣と絡みとる雷撃の鎖。
互いの必殺の一撃が二人の前でぶつかり合った。