幾つもアシモフの周りに出現した鎖がボクを殺す為に貫き、絡め取ろうと襲い掛かる。
ボクはそれをスパークカリバーで弾く。
だが弾いたとしても大量の鎖、そして今だ出現し、襲い掛かる炎球やレーザーや黒い粒子。
邪魔する物を全部力で捩じ伏せてアシモフへとスパークカリバーで切り掛かる。
だが、アシモフに接近し過ぎた結果、攻撃を弾かなければならないスパンが増える。ダートリーダーの弾倉が直ぐに空になる。
ならば
撃ち込む雷撃で炎球を黒い粒子をごと焼き払う。
互いの必殺の一撃を叩き込む為に。
鎖と剣の衝突。爆風に火花散る雷撃。そして黒い粒子に光速に飛び交うレーザー。
一つのミスも許されない。一つでも撃ち落とし忘れ、回避を失敗、動きを止めれば全てが終わる。
極限下で高まる集中力。そして殺す為に一挙一動に対して最適な選択を選び抜き、アシモフの攻撃を受け流し、弾いていく。
そしてヴォルティックチェーンを弾き、ネフィリムの心臓が生み出す
「ッ!?」
アシモフもこれだけの攻撃、そしてヴォルティックチェーンを弾き続けたボクに対して驚きを隠せない。
分かっているだろう、アシモフ。ボクは本来の能力者の力を知っている。この力は本来の能力者の力を凌駕している。だが、本来の能力者の様にそれを活かす工夫がない。アシモフが今までと違い、怒りのままに使う故に動きがわかり易くなっている。極限下による集中がそれを可能にした。
これであれば、かつて戦った同様に
そしてヴォルティックチェーン。ボク自身も使える
全てアシモフの教えた事だ。
肉体は違えど記憶が、魂が知っている。故に分かる。アシモフはその事を否定し続ける為に言っても無駄だろう。
殺し方。
そして切先がアシモフに届いた事により、攻撃の苛烈さが増す。だが、その行動が単純になる故に先程よりもボクが簡単に弾き、撃ち落とす。
そして二度目のスパークカリバーがアシモフを再び捉えた。今度は先程よりも深く、アシモフの構えた腕に大きな傷を作る。
「巫山戯るなよ紛い者!」
アシモフが怒りのままに力を爆発させる。
目の前を完全に埋め尽くす黒い粒子。そして更に出現させる鎖。
確実なる死を齎す為に。
だが、それを拒む様にボクの能力因子が力を与える。
もう死にかけてたまるか。今度こそアシモフを殺す。本物と証明する為に。その思いに応える様に雷撃鱗を強化して大きくなり、黒い粒子を焼き落とす。更に雷撃を放出し、スパークカリバーに更なる力を与える為に雷撃が流れ、スパークカリバーが更に蒼く煌めく。
鎖を弾き、視界を埋め尽くす黒い粒子を撃ち落としながら、レーザーを躱し、炎球を撃ち落としながら、見えなくなったアシモフがいた場所へと向かう。
「ッ!?」
だが、炎球を撃ち落とした際に、僅かながらに壁となった黒い粒子を貫いた雷撃。小さな穴を開け、アシモフの姿を捉えた。だが、それ以上にありえない物を見させられた。
雷撃を纏うアシモフが二人。どうなっている?
何故アシモフが二人に?幻覚?それとも
だが、塞がる前に二人のアシモフの内、一人が、バチバチと
アシモフは何をしたのか?何が起こったのか分からない。だが、二人に見えて片方が消えた。幾度となく使用していた聖遺物の力。つまり片方が消えたなら未来や響の元に向かった可能性もある。
だが、そうじゃなく何か他の目的が?ボクを殺す為の行動か?このままあの光景を考えず、進むべきなのか?あの光景がなんなのか見極めるべきなのか?
しかし、見極める為に時間を掛ければ現在戦っている未来と響達の戦いはどうなる?未来は力を使う度に血を流す。使い続ければ身体が持たない。そして響。未来同様に力を使えば使うほど身体がガングニールの侵蝕により人間ではなくなる。確証がない。もしかすれば響がその前にシアンの力と共に未来を救えるかもしれない。
「…響…切歌、調…君達が救うと言ってくれた…だから信じるよ…」
かつての様に、響の言葉を信じ、切歌と調の思いを信じ、ボクはアシモフのあの行動を見極める為に動く。
まずは一人のアシモフ。消えたアシモフではなく、目の前にいるヴォルティックチェーンを未だ使い続けるアシモフがなんなのか見極める。
今やるべきのはこの猛攻を止めて考える。
鎖を切り裂いて、炎球を撃ち落とし、レーザーを躱して黒い粒子を雷撃鱗で完全に焼き尽くす。
そして見えたヴォルティックチェーンを出現させ続けるアシモフの姿。アシモフはただ憎悪をボクに向けてこれ以上のダメージを喰らわない様に攻め続ける。
だが、それを全てを乗り越えて辿り着いたアシモフの目の前。
ボクはスパークカリバーを振るい、鎖を切り裂いてアシモフへと切先などではなく、刃が届いた。スパークカリバーを通して感じるアシモフの存在。ボクは先程のアシモフがなんなのかも考えつつ、スパークカリバーを振るい、アシモフを切り裂いた。
それと同時にネフィリムの心臓によって生み出された
だが、胴体と下半身が分かれて吹き飛ぶと同時に、雷撃がアシモフに迸る。
「…そういうことか…」
ボクはそう呟くと同時に切り裂かれたアシモフの姿は蒼く光ると同時に弾ける様に消えた。
その瞬間、あの時の光景がなんなのか理解する。何故アシモフが二人いたのか?
アシモフが二人いたわけじゃない。
だが、分かった。これがあの力の正体。
そしてスパークカリバーが消えると同時に、ボクは今までスパークカリバーに回していた雷撃の力を全て雷撃鱗に回して、巨大な雷撃鱗を展開した。
そして雷撃鱗の中にある違和感へと向けてダートリーダーを向けて撃ち抜いた。
「ッ!?貴様!」
「これが正体だったのか…貴方が、言った
そして撃ち抜かれた場所からアシモフの姿が現れる。腕をダートリーダーから撃ち放たれた雷撃により、撃ち抜かれた腕を押さえながら。
「雷撃で分身を作り上げる
ボクを今までアシモフが使い続けた
「…ッ」
アシモフが悔しそうに睨みつける。
「厄介なスキルだけど、仕組みが分かったのならもうこれ以上ボクはやられない」
「
そう言ってアシモフは雷撃を流し、腕の傷を完治させるとなりふり構わず、
それと同時にアシモフはネフィリムの心臓を巻きつけた腕で何か取り出すとそれを宙に投げると、破壊する様に
だが、あれが何なのか理解している。投げれた結晶の様な物。かつて自分も似た様な物を使っていたからこそ分かる。だからボクは逆にそれよりも早く、
「ッ!」
「
そう呟く様に言うとボクはアシモフに向けて駆け出した。
今度こそ殺す。
「貴様ァ!」
アシモフは正確にボクに向けて
だが、高速で動き続けるボクを捕らえることは叶わない。そして二発ほど躱した瞬間、アシモフの持つ銃から撃鉄の音しか聞こえなくなる。
弾切れ。使い続けた
アシモフは舌打ちしながら、新たな銃を取り出してボクに向けようとするがもう遅い。
既にアシモフの元へ到達したボクは蹴りでアシモフの銃を持つ腕を蹴り上げる。
そしてアシモフへと拳を叩き込む。
だが、アシモフはそれを躱してアシモフと接近戦を繰り広げる。
互いへや殺意を持って。動けなくなる程の強力な雷撃を込めて。一撃でも喰らえばそこから連撃で追い詰めようとする。
だが、互いにその一撃を喰らわない様に、腕で、足で全身を使い、自身への攻撃を躱し、受け流す。
アシモフの拳を躱し、蹴りを受け流し、ボクはダートリーダーから放つ雷撃を、そして
だが、アシモフも全てを捌き、反撃をする。
銃から雷撃を纏う弾丸を、拳を、蹴りを。互いの手の内は知り尽くしているとばかりに全くと言っていいほど当たらない。
「何度苛つかせれば気が済む!貴様がその動きをする度に虫唾が走る!紛い者!」
「何度も言っているだろう!アシモフ!ボクも本物だと!」
紛い者と叫ぶアシモフと本物だと叫ぶボク。何度このやりとりをしたか。もう互いに沢山だろう。だから終わらせよう。
アシモフの体術を知り尽くしている。アシモフも認めないがボクの体術を知り尽くしている。
互いの腕も幾度と戦闘をして把握している。故に読み合いで先手を取るしかない。
アシモフはそう思っているだろう。
しかし、それは違う。
ボクが七年間何もしなかったと思っているのか?確かに今までの戦闘では使っていない。過去に囚われていたせいでアシモフを殺すことしか頭になかったせいで使わかなかった物。
アシモフ。貴方だけじゃない。ボクの体術の師匠はもう貴方だけじゃないんだ。
アシモフが振るう拳を避けてさらに距離を詰める。拳が触れない距離まで蹴りを繰り出そうとするアシモフの足をダートリーダーを持つ腕で押さえる。
だが、アシモフはそれを知るとボクの顔面に向けて頭突きを繰り出そうとする。
格好など気にしない。どんな事をしてでも勝利する執念。
だが、その頭突きはボクに当たる事はなかった。
「ガッ!?」
アシモフが振りかぶる頭が急に止まる。
接近して拳が打ち込めない。だが、それでも打ち込める拳をボクは持ち合わせている。
ワンインチパンチ。弦十郎と響と見た映画から使えそうだと思い、弦十郎より指導してもらい使える様になった拳。
そしてそのままアシモフの動きが止まると同時に、身体を反転させその威力をそのままアシモフにぶつける。
鉄山靠。
これもそうだ。中国武術。弦十郎に指導してもらい習得した武術。
そして吹き飛ばされたアシモフへとボクはダートリーダーから雷撃を放ち、アシモフの腕に付けられたネフィリムの心臓を撃ち抜いた。
宙を舞うネフィリムの心臓。そしてボクはそれをキャッチするとそのままアシモフにもう三発アシモフの腕足を撃ち抜いた。
「グッ!」
そして回復させる隙を与えぬ様、ボクはすぐにアシモフへと接近し、腹へと力を込めて踏み込んだ。
「ゴハァ!?」
そしてようやく掴んだ勝利の余韻に浸る事なくボクはアシモフに向けてダートリーダーを構えて言った。
「シアンは返してもらった。もう終わりだ、アシモフ」
そしてボクはアシモフを殺す為に雷撃を込めたダートリーダーの引き金に力を込めた。