戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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未来と響は病院のような施設の部屋で目を覚ます。

 

初めは天井が視界に入り、あの時の後に何があったのか状況を確認の為に、辺りを見回した時、二人が同じ行動をとっており、離れたベットで身体を起こした状態で目があった。

 

「未来!」

 

「響!」

 

ベットから転がり落ちながらも二人はもたつきながらも抱き合った。

 

「良かった…未来…本当に無事で良かった…」

 

「響も…響が無事で良かった…」

 

抱き合って互いの無事を確認し合う二人。だが、無事なのは分かったが、響は身体をガングニールに侵食されていた事を未来は思い出し、響も未来が適合率が低いのにシンフォギアを纏い、目から、身体の至る所で血を流していた事を思い出し、一旦離れると互いの身体を隅々まで確認する。

 

響の身体、結晶が突き出した場所は全くと言っていいほど傷もなく、あれが現実でないのでは無いかと嘘のように傷も痕もなかった。

 

同様に適合率が低い未来の身体はシンフォギアを纏い、更に暴走した事により、かなりの傷を負っていたのだが、全くと言っていいほど、傷も痕も見当たらなかった。

 

その事に二人は安堵する。助けられた。助ける事が出来た。響は陽だまりを、未来は太陽を失わずに済んだ事に。互いが無事である事に本当に良かったと抱き合って温もりを感じていた。

 

そんな二人が互いの無事を感じている中、病室の扉が開いた。そしてベッドの上でなく、床で互いに抱き合っている姿を見た入って来た人物は驚いていた。

 

「響さん!未来さん!良かった!二人は無事目が覚めたんですね!」

 

入ってきたのは慎次、そしてその声を聞いて後にあおいが入ってきた。

 

「緒川さん!本当ですか!?ッ!?」

 

そしてあおいも二人の無事を確認して安堵したのだが、床で抱き合う二人の姿を見て驚き、急いで慎次を響と未来のいる病室から押し出し扉を閉めてしまった。

 

そんな状況に響も未来もぽかんとしてしまう。

 

「友里さん!?何を!?」

 

「二人の無事を確認するのは良いですが、今の二人を見て直ぐに出ないのは流石に通報案件ですよ!」

 

そう言ったあおいが扉越しに叫ぶ。そして響も未来も自分達の姿を思い出す。目覚めた時は治療を受けたのか患者衣。しかし、互いの身体の心配をして服は乱れており、大事な所は見えてないがあおいが気を利かせねば、慎次にその姿をずっと見られていた事になる。勿論、慎次は二人の無事を確認しに来ただけなので被害者でもあるが、それでも少しは気遣って欲しい。

 

「二人共、無事で良かったけど、とりあえず服を正してちょうだい」

 

そう言われて顔を赤くしながらも、二人は患者衣を元に戻した。

 

そして二人共立ち上がるとあおいも二人の身体を一通り見てから安堵する。

 

「良かったわ。二人は無事目が覚めて」

 

安堵の息を吐いたあおい。二人もそれを見て心配かけてしまい申し訳ないと謝った。

 

「気にしなくて良いわ…それよりも二人共、体調は良い?」

 

「ッ!?そうだった!友里さん!未来の容体は!?」

 

「響の身体は!?」

 

互いの危険だった筈なのにどうして特に異常が無いかをあおいに聞く。

 

「響ちゃんの身体のガングニールは無くなったわ。未来ちゃんの纏っていたシンフォギア。残っていた光の粒子を解析した結果、シンフォギアを分解する事が分かったの。それが結果的に響ちゃんが未来ちゃんを助ける為に暴走するフォニックゲインを取り込んだ結果、胸に残るガングニールを除去したらしいわ」

 

響の無事が分かり、未来はホッとする。そして未来の状態もあおいは伝える。

 

「シンフォギアを纏える様LiNKERを打たれていたわ…でも、LiNKERを除去してもう無事よ」

 

それを聞いて響もホッとした。

 

しかし、あれ程の傷が治っている事が不可解であった。

 

「シアンちゃんのお陰よ…響ちゃんの中にあったシアンちゃんの力が力を与えていた…そして最後の力を振り絞って貴方達二人の傷を回復させてくれたらしいの」

 

だが、そう言ったあおいの表情は暗い。

 

「そうだ!シアンちゃんは!?あれからどうなったんですか!?」

 

響はシアンが助けてくれた事にお礼を言いたかったが、それよりもアシモフがどうなったか。この戦いは終わったのかをあおいに聞いた。

 

調は?切歌は?マリアは?そして何よりも、響が未来を助けるのに協力してくれたガンヴォルトの存在。

 

「友里さん!私達が気を失っていた間、何があったか教えてください!切歌ちゃんは!?調ちゃんは!?マリアさんは!?」

 

「ガンヴォルトさんは!?ガンヴォルトさんは今どこに!?」

 

二人が現状を知る為に、あおいに詰め寄った。

 

だがあおいは答えなかった。いや、答えるかどうか迷っていた。あおいの仕草にまだ終わってない事を察した。

 

「まだ…終わってないんですね…」

 

「…ええ。まだアシモフは生きている。まだ終わってない。取り戻せていない。アシモフに依然として奪われ続けています…」

 

「ッ!?」

 

アシモフに依然として奪われ続けている。その言葉に二人は最悪の状況が頭を過ぎる。一体誰が?

 

誰が居なくなってしまったのか不安になった二はが患者衣のまま飛び出していき、あおいは二人を呼び止めようとしたが、静止を効かず、外にいた慎次を素通りして司令室へと向かった。状況を知るのはそこが一番だからだ。

 

響と未来は走り、司令室へと向かい、扉が開くとともに勢い良く入った。

 

「響君!?未来君!?無事だったか!」

 

二人を見て声を上げた弦十郎。二人が無事で良かったとあおいと同様に安堵しているが、それでもどこか表情が暗い。朔也もだ。そしてその中にガンヴォルトの捜索の際にいた女性まで。そしてその隣には調の姿、だが、調はその女性の膝でずっと泣き続けている。

 

調が無事な事は分かったが、一緒にいた切歌がいない。

 

「師匠!今どうなっていますか!?切歌ちゃんは!?マリアさんは!?誰かアシモフの手で!?」

 

「ガンヴォルトさんは今どうなっているんですか!?」

 

未来も響も矢継ぎ早に弦十郎へと質問した。

 

「…まだ勝っていない…F.I.S.で助かったことが分かっているのはこの子だけだ…他の二人は現在生死不明だ…」

 

弦十郎は暗い表情でそう言った。

 

「そしてクリス君と暁切歌君がアシモフの手によって奪われた…元は翼が狙われていたのだが、身代わりになり、奪われてしまった」

 

その言葉に響も未来も絶句する。そして調が泣き続ける理由も知る事となる。調の大切な二人が奪われた。その二人が死ぬかもしれないからこそ、泣き続けている。

 

「そんな…クリス…それに切歌ちゃんまで…」

 

未来は口を覆う。あまりの酷い現状にそれ以外の言葉が見つからなかったからだ。

 

「翼さんと奏さんは!?それにガンヴォルトさんは!?」

 

「…翼と奏は無事だ…シアン君の力の影響下にあった為か傷もほぼ完治して全快の状態だ…」

 

翼と奏は無事。だが、弦十郎はガンヴォルトの事を話す事はしなかった。いや、弦十郎は何か迷うように言い淀んでいた。

 

「師匠!?ガンヴォルトさんは!?ガンヴォルトさんはどうなっているんですか!?無事なんですよね!?」

 

「ガンヴォルトさんは大丈夫なんですか!?」

 

響と未来はまだ無事の分からないガンヴォルトの事を問い詰める。

 

そして暫く二人の叫びが木霊し続ける中、ようやく弦十郎が口を開いた。

 

「…ガンヴォルトは深い傷を負い、なんとか一命を取り留めたが今も目を覚ましていない…」

 

その言葉に響と未来は今まで以上に絶句した。ガンヴォルトが何故そうなっているのか?自分達が無事である筈なのに何故?

 

「…なんで…なんでガンヴォルトさんがそんな事に…」

 

「…そんな…嘘ですよね…」

 

絶望した二人が縋るように嘘であってほしいと弦十郎に言う。だが、弦十郎はただ沈黙で答えるのみ。クリスや切歌、そしてマリアだけでなく、ガンヴォルトまで。なんでこんな事に。気を失っている間に何故こんな事になっているのか?

 

だが、絶望の末にたどり着いた結論。響と未来と共にいたガンヴォルトだけが何故そんな状態になっているのか?自分達が無事。そして気を失ってしまった事。それが全ての原因であるのではないかと二人は思った。

 

二人があの場で気を失ってしまった事がガンヴォルトをそのような状況に追い込んでしまったのではないかと考えてしまった。

 

「私達の所為…ですか…ガンヴォルトさんがそうなってしまったのも…」

 

「私達の所為でガンヴォルトさんが…」

 

二人がその結論に至り、涙を流しながら助かった事に対する歓喜が無くなる。全ては自分達が引き金になったのではないのか?自分達があんな状況であったから。

 

クリスが、切歌が、アシモフに連れ去られたのではないか。あんな状態になってしまったからガンヴォルトはマリアを救えず、アシモフを倒すことも出来なかったのではないか。

 

「違う、響君と未来君の所為ではない。全てアシモフの所為だ。ガンヴォルトが取り戻した筈の再びシアン君を再び奪い、ガンヴォルトに向けてミサイルを放っていた…俺達がもっと早く気付いていれば…こんな事にはならなかった…ガンヴォルトが今の状況に陥る事はなかった…そしてクリス君も…あの子も…」

 

弦十郎も悔しそうに、そしてその元凶たるアシモフに全員が怒りを募らせ続けた。

 

◇◇◇◇◇◇

 

輸送機にてフロンティアの中心へと辿り着いた。

 

だが、アシモフは暴走を抑える為に部屋に籠り、ウェルはただアシモフが動けるまで待機している状態。

 

「アッシュが動けるまで待機なんて…フロンティアの起動ももう目の前、僕とアッシュが英雄になるまでもう少しなのに…裏切り者のF.I.S.…そして機動二課…本当に良くここまでやってくれたよね」

 

そう言ってウェルが向いたのはクリス、切歌、マリアが入る檻の中。クリスと切歌は雷撃の影響で未だ目を覚さず、そしてマリアはウェルへと抵抗した影響でボロボロになっているが、二人を守る様に前に塞がりながらウェルを睨んでいた。

 

「睨んだって怖くありませんと何度言えば分かるのですか?」

 

睨まれても怯む事の無いウェルはマリアを見ながらそう言った。

 

三人のギアペンダントを奪い、シンフォギアと言う脅威とならないからこそ、ウェルは余裕にそう言った。それに相手は檻の中、例えクリスと切歌が起きたとしてもアシモフの雷撃で直ぐには動けない。マリア一人など自分でどうにかできてしまう為に恐怖を微塵も抱いていない。ただ厄介者として認識している。

 

「ッ!」

 

マリアもウェルに対しては敗北している為に何も言い返せない。だが、切歌を。敵として戦いはしたが、無防備なクリスを放って置けないマリアはただ二人の前に出て手を出させない様にする。

 

「全く…どんなに強がって見せたって状況は変わらないのに」

 

ウェルはそんなマリアを蔑んだ目で見続けた。

 

そんな時、ウェルの居る部屋にアシモフの声が響く。

 

『Dr.ウェル。もう暫くで落ち着く。貴様はフロンティアの完全な起動に必要な物とアレを用意して待て』

 

畿内の放送で流れたアシモフの言葉は次の段階へと進む事を示した。

 

「了解だよ、アッシュ。でもその前に、必要な物以外は消しておいた方がいいよね?」

 

その言葉にマリアが、ゾッとする。それはマリアにとっての死刑宣告。マリアと切歌の死を告げる最悪の一言であった。

 

『ああ。これまで悉く邪魔をしてきたのだ。殺して構わん。だが、雪音クリス。奴は殺すな。奴は保険であるんだ。もし何かあれば貴様の英雄の夢は敵わない。私なら計画を邪魔をしたそこの者達と同じ道を辿らせてやる』

 

「そんな怖いこと言わないでよアッシュ。勿論アッシュが必要というのなら何もしないさ」

 

『ならばいい。準備と始末をしておけ』

 

その言葉と共に放送が切れるとウェルは銃を取り出した。

 

「ということだ。僕達の計画の為、もう死んでくれるかな?フィーネを語った偽物さん?」

 

そう言ってマリアへと向けて銃を構えるとそのまま脳天へと向けて何度も引き金引いた。

 

連続した乾いた発砲音と火薬の匂いが部屋の中を満たすのであった。

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