戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

192 / 246
気付けばもう二章百話分も書いたのか…
でもまだ終わる気がしない…初めは百話くらいで終わる筈だったんだけど…
明日イクス2発売されるので楽しみ…
鎖環発売前に終わるかな…


100GVOLT

切歌を抑える奏と翼。だが、あくまで捕縛が二人の目的。故に最小限の攻撃で止めなければならない故に攻めあぐねる。

 

だが、切歌は操られてる上に、未来と同様にダメージを受けたとしても止まる事のない。

 

まさに命令された事を遂行すると言うマシン。

 

「止まりやがれ!」

 

奏は翼と共に切歌を捕らえようと鎌を捌きながら切歌を追い詰めようとする。だが、切歌は止まらない。今までの切歌とは比べ物にならないほどの力で二人を翻弄する。

 

「くっ!?」

 

「奏!」

 

「問題ない!それよりも集中!」

 

切歌の攻撃が辺り、ダメージを負いながらも一旦下がる奏。その瞬間を見た翼が慌てたが、奏は大丈夫と翼に警戒を緩めない様に言う。

 

「クソッ!こんな所で時間を潰している訳にはいかねぇのに!」

 

「あの子は何をしているの!?」

 

奏はこの場から少し離れた場所にいる調の事を言った。

 

「あいつはまだ迷ってる!」

 

「…ッ…覚悟は決めている筈だけどやっぱり…大切な者を目の前にすると…」

 

翼も調の心情を理解してそう言った。

 

止めたいなければならない。殺してはならない。なぜなら切歌は救うべき対象。調が取り戻したい人の一人であるから。

 

だからこそ、傷付ける事を躊躇っている。分かっている。だがやらねばならない。アシモフの計画を完遂させない為にもここで立ち止まるわけにはいかない事なんて。

 

みんなを救うと決めた。だから見捨てられない。見捨ててはならない。しかし、奏と翼には切歌を救えるか分からない。今は眠っている様に現れないシアンの力、電子の謡精(サイバーディーヴァ)。あの力が再び二人の身に発現すれば可能かも知れない。

 

それが発現しても助けられる可能性が上がるが必ずでは無い。奏自身が体験しているからこそ、翼も聞いているからこそ分かっている。必要なのはシアンの力、精神へと干渉する電子の謡精(サイバーディーヴァ)の歌の力。そして大切な人の思い、歌、戦って、声を掛け続ける事。かつてガンヴォルトが奏にした様に、未来を助ける為に響が声を掛け続けた様に。

 

今はぶつかり合って届けるしかない。それ以外の方法が無い以上、それしか無い。

 

だからこそ、調が奮起を起こし、救おうとする思いを切歌にぶつけるしか無い。

 

奏と翼は切歌と交戦しながら調を待つ。

 

だが、時間がないのだ。

 

どうする?どうすればいい?ただ時間が潰されていく。アシモフの計画の完成が刻一刻と近づいていく。最悪の手段を取るかとらざるかを選択せねばいけないのか?

 

奏と翼は切歌との戦闘を続けながらその様な考えが過ぎる。駄目だ。それはしてはならない。誰かを失って取り戻したとして本当の決着と呼べるのか?

 

それは自分達が望む物なのか?

 

違う。それは自分達が望んだものなんかではない。最悪の結果だ。誰かを失う事で取り戻したものなど誰一人あの場にもこの場にもいない。

 

だが、どうすれば?

 

切歌と戦闘を行いながらそう思う。

 

考えながら、葛藤しながら、どうすればいいか迷いながら切歌へと立ち向かう。

 

しかし、その考えが、葛藤が、迷いが二人の隙を生む。考えが、振るう槍と剣に鋭さを無くす。葛藤が動きを自分達が思う様に動いていない。迷いが自分達の動きが悪い事に気付かせない。

 

そんな状態が続けば綻びが出る。その隙を見逃さなかった操られた切歌。奏と翼の攻撃の中、生まれた隙を潜り抜け、最もこの場の脅威と認識されてない調へと駆け出した。

 

「ッ!?」

 

二人はそれを阻止しようと駆け出そうとするが既に切歌は鎌を振りかぶり、調へと向けて斬撃を繰り出していた。

 

「避けろ!」

 

「逃げろ!」

 

奏と翼は未だ動きを見せない調へと叫ぶ。だが、その叫びも虚しく、調は切歌の斬撃を避けることも無く、いや、全く避ける素振りを見せず、斬撃をまともに受けてしまった。そしてその斬撃が物語る様にぶつかり、その衝撃に伴う巻き上がる砂煙。

 

切歌の殺意ある一撃。例えシンフォギアであろうと当たりどころが悪ければ、大きなダメージは免れない。

 

「ッ!」

 

奏と翼は調の無事をすぐに確認する為に砂煙の舞う場所へと駆け出す。

 

みんな無事に帰ると誓ったのに。

 

だが、駆け寄ろうとする二人の前に、操られた切歌が立ち塞がった。

 

調はもう終わった。だから次は二人の番というように。操られてるとはいえ、躊躇いもなく友を、親友を傷付けてまだ戦い続けようとする切歌。

 

だが、そんな二人の目には驚くべき事が映し出される。

 

切歌の背後に立ち上る土煙。そこから丸鋸が飛び出し、切歌へと襲いかかった。

 

「ッ!?」

 

切歌はその襲い掛かる丸鋸に驚きつつも躱す。だが、奏と翼は安堵よりも先に、その砂煙の奥にいる調のいると思われる場所から異様な雰囲気を感じ取った。

 

調が見えているわけじゃない。しかし、どうしてかそう感じてしまった。

 

何なのか?何が起こったのか?それを理解させるように調がいる土煙が晴れていく。

 

そこにいた調は同じ姿。そしてその周りに出現していた電子の障壁(サイバーフィールド)のように連なる六角形の薄紫の結晶の連なる結界。調にもシアンの力である電子の謡精(サイバーディーヴァ)が発現したと思ったが、違う。

 

調からはシアンの力とは別の何かを感じる。そしてその正体もすぐに気付いた。

 

遠くから離れても分かった。調の纏う雰囲気。それは奏と翼に取ってはかつての戦いでガンヴォルトと共に戦い、そして追い詰め、そして改心し、紫電によって同化した完全聖遺物、ネフシュタンの鎧を抜かれ、亡くなったフィーネと同じ重圧(プレッシャー)

 

何故、調にフィーネと同じ重圧(プレッシャー)、状況が読み込めず、その事に驚きを隠せない奏と翼。元よりフィーネはマリアだと認識していた。

 

しかし、それはマリアが語ったからこそ、そう思い込んでいた事であり、実際は違う。だが、それを知るのはF.I.S.、そしてアシモフとウェルのみ。アシモフもナスターシャもフィーネは誰にも宿っていないと考えていた。ナスターシャは計画がアシモフにより破綻して、もうこれ以上未だその事をナスターシャが語っていない為、その事を奏と翼が知る由もなかった。

 

知らない二人にとってはそんな事はどうでもいい。二人にとって調の持つ重圧(プレッシャー)はフィーネそのもの。フィーネの顕現は新たな脅威のそして無事を安堵した筈の調がかつての了子の様に、フィーネが調を塗り潰し、顕現したのではないかという不安がよぎる。

 

そんな不安な二人、そして無傷の調に対して警戒する切歌。

 

異様な雰囲気が戦場を包み込む。

 

だが、その異様な雰囲気に飲まれない調が動き始める。

 

ゆっくりと。

 

その歩みに奏と翼は調に己が握るアームドギアを構えてしまう。

 

フィーネなのか?それとも調なのか?

 

敵なのか?味方なのか?

 

調が歩み寄る度に、不安が掻き立てられる。

 

だが、その沈黙を破ったのは操られた切歌であった。

 

奏と翼が調に注意が向いた瞬間、ほんの一瞬の無防備になった二人へと向けて鎌を振り下ろす。

 

それに気付くのに遅れた二人。ガードが間に合わず、その攻撃をまともに食らう、筈だった。

 

しかし、その攻撃が二人に当たることはなく、切歌、奏と翼の間に先程の調の周りに出現した六角形の結晶が切歌の攻撃を阻んでいた。

 

「ごめんなさい…あんなに悩んで…迷って…助けられないって思って…助けるにはそれしかないのに…」

 

気付かぬ間に奏と翼の近くに既に調の姿があった。その言葉は奏と翼へと向けた言葉。そしてその次は切歌を見据え言った。

 

「でも…もう迷わない…切ちゃんを助けられる力がある…私にしか出来ない方法を見つけた…」

 

そう言うと切歌の攻撃を阻む結界が強く光り、切歌を弾き飛ばす。

 

「切ちゃん…痛くして…傷付けて…でもそうでもしないと…切ちゃんを助けられない…痛くするけど…絶対に…絶対に助け出して見せる」

 

弾かれ、体勢を立て直す切歌。すぐ様鎌を構えるが、どう対応すればいいのか分かっていない様に攻めてこず、警戒している。

 

「おい…お前は…お前がフィーネなのか?」

 

「その力は…フィーネのもの…貴方の身に何があった」

 

隣に立つ奏と翼も助けられはしたが、かつての敵であったフィーネの力の一端を見た為に調の虹彩が先程までと違い、フィーネと同じであると気付いた為に調をも警戒していた。

 

先程の言葉は調そのもの。だが力はフィーネ。どちらなのか?調なのか?フィーネなのか?敵であるのか?味方なのか?

 

紫電との決戦でガンヴォルトに未来を託したあのフィーネなのか?それとも、言葉のみで実は未だにかつてと同様に世界を一つにするのを狙っているのか?

 

奏と翼は冷や汗をかき、調がどうなったか警戒を解かず、ただ沈黙する。ほんの僅かの時間の筈が、かなりの長さに感じる。

 

「フィーネは私の()にいた…でも、力を貸してくれただけ…私はフィーネに塗り潰されてない」

 

感覚からフィーネだと感じたのはあっていた。だが、フィーネは何故今になって現れたのか?上手く言葉に出せない。

 

だが、そんな二人を他所に、調が言った。

 

「フィーネは切ちゃんを助ける為に力をくれた」

 

調はそう言った。本当にそうなのか?フィーネがかつて了子を語った様に、今は調を語り、気を窺っているのではないかと考えてしまう奏と翼。

 

そう考えているのを感じたのか、調が言った。

 

「フィーネが言ってた。あの子に託した未来を絶やすわけにはいかないって。多分、ガンヴォルトの事だと思う…フィーネはあの人にどんな約束をしていたかは私は知らない…でも、その約束はアシモフに壊される訳にはいかない事ぐらい理解出来る…だから、私に力を貸してくれた…」

 

その言葉だけで、奏も翼もフィーネが調に本当に力を貸し、手助けしようとしている事を理解する。

 

奏はかつて自分を操った人物。翼はかつて相対した敵だったとしても、最後にガンヴォルトに託した約束を果たそうとしている事は調の言葉から理解出来た。

 

「本当に…信じていいのか?お前が、あの子を助けるのを信じて」

 

「本当に、その言葉に偽りはないのか?」

 

奏と翼は調に、そして調に共鳴するフィーネへと問いただす。その言葉に調はこう答えた。

 

「ええ、あの子との約束を…託した未来を反故する気なんてないわ。だから貴方達は行きなさい。アッシュボルトの…いいえ、アシモフの破滅を止める為に。ガンヴォルトが私の約束を果たしてくれる様に」

 

調がそう言った。しかし、その言葉はまさしくフィーネのものであり、それを約束すると首を縦に振った。

 

「必ずあの子は私の力で戻して見せる」

 

その言葉に奏も翼もフィーネを、調が切歌を助けてくれる事を信じた。

 

「…分かった、頼んだぞ」

 

奏も翼もそう言って駆け出した。だが、今まで警戒していた切歌はそんな二人を阻む様に攻撃を繰り出す。

 

「邪魔はさせない!」

 

だが、それをフィーネが、調が許さず、六角形の障壁を展開して切歌を阻んだ。

 

そして調は駆け出した二人が遠くに行くのを見届けて、切歌は標的を調へと移した。

 

「気を付けなさい…この子が絶望した様に、貴方達にも、絶望が降りかかる…でも、貴方達ならどうにか出来る…電子の謡精(サイバーディーヴァ)の力の一端を使う事の出来る貴方達なら…」

 

フィーネは二人に届かないと知っていながらも、そう呟かざるを得なかった。

 

切歌がこの様な状態、そして奪われたのは切歌だけではなくクリスもいる。アシモフは絶望を常に突きつけてくるからこそ、クリスも同様に二人の前に立ち塞がるだろう。だが、それでも、電子の謡精(サイバーディーヴァ)の力を紫電との戦いで知っているからこそ、フィーネはそう呟いた。

 

そして切歌と対峙する調。

 

「さあ、私達もあの子に託した未来を守る為にまずはこの子を取り戻しましょう」

 

そしてフィーネは調へと語りかけるようにそう言うと、主導権がフィーネから調へと移る。

 

「絶対に取り戻して見せる…私達で」

 

そして調とフィーネは切歌を取り戻す為に、切歌に立ち向かった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。