リディアン校内を駆け抜け、現場であるハイウェイに向かう。着いた先には群がるように湧いて出るノイズ。ボクは素早くダートリーダーを構えて
ボクは翳した手を戻し、雷撃鱗を展開するとノイズの集団に駆け出す。ノイズはボクに向けて襲い掛かろうとするも雷撃鱗に当たると共に炭の塊となって砕け散る。
それでもなお、ノイズ達は攻撃を止めず、身体を変化させたり、集合して巨大な蛙のようなノイズになるとボクに向けて襲い掛かる。
しかし、どんな形状、巨大化しようと雷撃鱗を突破する事が出来ず、雷撃鱗の前に炭の塊と化す。EPエネルギーが切れかけていたため、一度雷撃鱗を解く瞬間に一斉にボクに向けて再び襲い掛かる。しかし、一瞬でチャージを終えると再び雷撃鱗を展開してノイズ達を炭の塊へと変えた。
ノイズ達は再び雷撃鱗を張った事で攻撃を止め、様子を伺っている。
「学習しているのか?」
今まではこういった事は無かった。そして、今回のノイズ達はボクの攻撃を突破しようと模索するような動きをし始めている。
ノイズは意思疎通は出来るはずもなく集団で現れるも統率など取らずに、人を襲う災害という事だったはず。
「ノイズを統率するノイズ…もしくはそれを操る事が出来る物があるのか?」
そんな考えが浮かんでくる。だが、その可能性もない訳ではない。聖遺物と言うオーバーテクノロジーがあり、別の世界に繋げる事の出来る物が存在する世界だ。絶対にないとは言い切れない。
考えながら、ノイズの大群を掃討するために、雷撃鱗や
しかし、ノイズの数は一向に減る事はなく、更に勢いを増している気がする。気付けば辺りにはノイズの朽ち果てた炭の塊よりもノイズの数の方が圧倒的に多い。
しかし、その事がある可能性も示している。
「ノイズの勢い、数が増えていくという事はその奥に何か隠れている可能性がある」
呟くように言うと雷撃鱗を消して言葉を紡ぐ。
「天体が如く揺蕩え雷、是に至る全てを打ち払わん!」
ボクの周りに迸る雷が形を球体に変え、
「迸れ!|蒼き雷霆よ<アームドブルー>!ライトニングスフィア!」
紡いだ言葉に呼応し現れるのは三つの公転する雷の天体。雷撃鱗とは違い、EPエネルギーを消費する事なく出せるこのスキルは移動する事は出来ないものの、ボクから離れるように回転していき、周囲のノイズを巻き込みながら処理していく。
辺りのノイズが消えていく事で視界が広がる。そして、遠方に見える森から緑の光がこちらに向けて放たれる。ボクはそれを躱すと光は背後へと通り過ぎる。緑の光が当たった場所から数体のノイズが現れる。
一方向から連続して放射される光はボクの周りに所狭しとノイズが召喚されると再び囲まれる。
だが、あの光がノイズを召喚しているところを見ると間違いなく今回の出現にはなんらかの作為がある。それならば先にあるものを捉えれば何か掴めるのかもしれない。
一気に殲滅しようと思うが、先程使ったライトニングスフィアによりボクの最強のスキル、ヴォルティックチェーンは使えない。使うようになるまでまだ時間がかかる。しかし、それを待って何も分からなくなるくらいならば、
「煌くは雷纏いし聖剣、蒼雷の暴虐よ敵を貫け!」
ボクはまた言葉を紡ぐ。その言葉と共にボクから迸る雷が腕から手へと、そして手から雷が漏れ出すと雷は巨大な剣の形へと変化していく。
「迸れ!
紡ぎ終えた言葉と共に形を留め、一振りの巨大な剣が現れる。それは昨日響を助ける時に使った雷剣。その剣は前回とは違い、振るう事を前提として呼び出したため柄が付いている。
ボクは召喚されたスパークカリバーの柄を握るとそれをノイズに向けて振るう。切り裂かれるノイズ達。だが数体はその剣戟を避ける。だがその剣に迸り、放電される雷に触れるとその部分から炭化してそこから伝播するように身体全身に雷撃が流れ、炭と化した。
ボクはノイズを屠りながらその光を目指して駆け出した。
◇◇◇◇◇◇
ハイウェイにノイズを召喚した少女はシンフォギア装者達の練度の確認のためにソロモンの杖を持ってノイズをリディアン付近のハイウェイに放った。
「ったく、こんなとこでこそこそ観察とはしょうにあわねぇが相手の戦力を知るには仕方ないか」
少し離れた森の中で少女が呟く。双眼鏡を覗きながらハイウェイに現れると思われるシンフォギア装者を待った。
しかし、そこに現れたのは蒼きコートをたなびかせる一人の男。
「なっ!なんであんな所に人が!」
少女はソロモンの杖を操作してその男へと攻撃しようとするとノイズに攻撃を中止するように命令を下す。
しかし、その男は何か銃のような物でノイズに弾丸を撃ち込む。当たったノイズから奇妙な紋様が浮かび上がる。その男は手から雷を発生させるとその奇妙な紋様が描かれたノイズにまるで吸い込まれるかのように当たり、それらは全て炭化してしまった。
「なんだよあいつ!あんな奴がいるなんて一言も聞いてねぇぞ!」
情報にない男の出現に少女は困惑を隠せない。とにかく、ノイズ達にあの男を倒すように命令を下す。ノイズを倒す事が出来る存在など少女が知る限りシンフォギアを纏う者しかいない。あの男の纏っている物がシンフォギアだとするならばノイズを倒す事が出来た説明もつく。
少女はソロモンの杖を使い、あの男を倒すように命令を下す。その命令通りにノイズ達はその男に襲い掛かるが、男の周りから雷が発生したかと思うとその雷は男を守るように膜のようなものを形成する。
ノイズはその膜のようなものにぶつかると同時に炭化して朽ち果ててしまう。
「なんでもありかよ!」
遠くから男の異常な戦闘を見ながら静かに叫ぶ。男はその雷の膜のようなものを展開しながら、召喚していたノイズに向けて走り出す。
少女はノイズを倒すあの男をどうにかするため、あらゆる方向から攻めるように、ノイズを束ねたりとあの膜を突破しようと命令を下すも悉くノイズ達を倒す男。
「なんなんだよあいつは!」
召喚されたノイズが数を減らしていく。だが、少女の持つソロモンの杖さえあればノイズを限りなく呼び寄せる事が出来る。ノイズ達を増やす事の出来るブドウのような球体を沢山つけたノイズを数体召喚するとその球体でノイズ達を増やすように命令して大量のノイズを作り上げ少女は杖で操り、ハイウェイへと向かわせる。
その時、男の周りに展開されていた雷の膜が消える。
「チャンス!?」
直ぐに男に襲い掛かるように命令を下す。男へと接近するノイズ。しかし、男は何かポーズを取ると直ぐにまた同じものを展開させ、襲い来るノイズ達を迎撃し、炭へと変えた。
「くそっ!罠だったのか?」
隙をわざと見せたのか、それともなんらかの意味がある行為なのかは不明。少女はその様子を見ながら悔しそうにノイズを倒す男を双眼鏡越しに見つめる。
ハイウェイに到着した先程のノイズ達は男を囲うように追い詰めようとする。すると男は急に展開していた雷の膜を消すと、何か呟くように口を動かした。何かをしているか分からないが、急に男の周りに公転する球体が現れるとその球体が男を中心に広がるように回り始め、辺りのノイズを払うように炭の塊へと変えていった。
「マジかよ…」
一瞬、たったその時間であちらに送ったノイズ全てを炭の塊へと変える男に驚嘆する。
「やろうっ!」
少女はその男に向けて杖を構え、そのまま光を放出させる。光は男に向かっていくが、気付かれて避けられる。しかし、その光が当たった地面からノイズが何体も召喚される。少女は闇雲にその男の周辺に向けて大量の光を放出させてノイズを召喚する。
しかし、その行為が自分の首を絞める事となる。男は光の出所に目を直ぐに向けると、今度は巨大な剣を召喚しそれを振ってノイズを切り裂いて、こちらに向かい駆け出してくる。
「くそっ!やっちまった!」
少女は自分から位置を知らせてしまった事を後悔し、自分の近くにさらにブドウノイズを召喚した。正体の分からない男、そして何も教えてくれぬ賛同者の事を憎みながら少女は深い闇に覆われた森をいち早く立ち去った。
◇◇◇◇◇◇
ボクはスパークカリバーを振るい邪魔をするノイズを炭化させながら光の発信源へと駆ける。スパークカリバーはその途中で出力が落ちて消えてしまったが問題はない。消えた後はダートリーダーや雷撃鱗を使いノイズ達を退けながら駆けていく。
そして発信源に到着するとそこには今まで見た事のないブドウのような球体を大量に携えたノイズが複数いた。そのノイズはボクを視認すると球体をボクに向けて放ってくる。その球体を雷撃鱗で防ぐが触れた瞬間に爆発を起こす。
また厄介なノイズが現れたかと思うと、投げていないブドウノイズはその球体を地面に向けて叩き付けるように放るとその球体が人型やカエルノイズに変化して、襲い掛かる。
直ぐにダートリーダーのマガジンを交換してそのノイズに向けて避雷針を撃ち込むと雷撃鱗から雷が誘導され、ノイズ達を炭へと変える。
ブドウノイズにも撃ち込むがブドウのような球体に当たると、その部分だけを切り離し身を守っていた。
厄介な敵が現れた事に文句の一つでも言いたいところだが、そんな事を言っているよりも倒す事の方が先決だ。
ボクは早く決着をつけるために言葉を紡いだ。
「天体が如く揺蕩え雷、是に至る全てを打ち払え!迸れ!
紡ぐ言葉に呼応して、再び現れる三つの雷撃の球体。ボクの周りを公転しながら、球体はブドウノイズを何一つ行動させる事なく、全て炭の塊へと変えた。
辺りにノイズの気配がなくなったが、警戒しながら付近の状況を探る。
光の発信源であるこの場所には既に誰の気配もなく、逃げた後かと思われる。それか、先程のブドウノイズが光を放出して、ノイズを召喚していたのか。今となっては分からない。
「無駄足だったのか?」
だが、辺りの捜索をしていると一つ星の明かりにより煌めきを放つ物があった。その地点へと近付くとそこに落ちていたのは双眼鏡。
「…やっぱり、誰かがノイズを操っていたのか…」
落ちている双眼鏡を拾い呟く。そして、しばらく考え込んでいると耳に付けていた通信機に連絡が入る。
『ノイズの反応が全て消失した。ガンヴォルト、無事か?』
弦十郎の声。どうやら、この一帯にはノイズがいなくなったようだ。ボクは無事な事と、ノイズ発生源に落ちていた双眼鏡の事について話す。
『なるほど…。ノイズの発生源にそんな物が落ちているという事は、何かしらの作為を感じるな』
弦十郎も通信機越しに悩むように唸っていた。しかし、考えを振り払うように大きな溜め息を吐くと愚痴のようにボクに向けていった。
『全く、困るような事が次から次へと』
「何かあったの?」
『翼と響君の間で衝突があった。仲裁するために俺の靴が台無しだ。翼はやはり、奏のガングニールを身に纏う響君の事がどうも気に入らないらしい』
弦十郎はそう言い終えるとまた深い溜め息を吐いた。
「なんとかしたいのは山々なんだけど、ボクが今の翼に言ったところで逆効果だろう」
『そうだろうな。だが、今ノイズの発生がここら近辺に集中している。前のようにお前を遠方に送る事は出来ない』
分かっている、と弦十郎に伝えるとボクは帰投する事を伝え、リディアンへと向かった。