もう終わりに近づきましたが、お気に入りしてくれる人がいると励みになります。
それと三周年何もやらないと書きましたが、設定をこのまま腐らせるのも勿体無いのでGXで描く予定だったあらすじでも後書きに書いておきます。
異形の怪物と化したウェルへと駆け出した弦十郎と慎次。
どんな異形へと変化しようが弦十郎と慎次の目的は変わらない。ここでウェルを倒す。アシモフをガンヴォルトが必ず倒す様に、装者達がネフィリムの心臓を止める様に、弦十郎と慎次も今ここでウェルを倒す目的は変わらない。
異形となったウェルへと詰め寄った弦十郎と慎次。
異形となったウェルにどんな更なる変化を齎しているかは謎だ。時間をかけて対抗策を見つけることが正解かも知れない。だが、その逆であればどうなる?時間をかける毎に更なる変化が齎され手に負えない状況に陥ればどうなる?今この時に早くケリをつけていれば、あの時に倒していればと後悔するだろう。ならばやる事は今すぐにでもウェルを叩きのめす。シンプルで分かりやすい答えだ。
すぐさま拳を、拳銃を構え、ウェルへと向けて振るい、放つ。
弦十郎の拳。かつてネフシュタインの鎧やネフィリム自体にも有効打を決められるほどの強力な一撃。
そして慎次もそれを理解しているからこそ、その強力な一撃をウェルに確実にぶつける為にも、再びウェルの影へと銃弾を当て、影縫いによって行動を阻害させる。
そして弦十郎の拳がウェルへと向けてぶつかる。
筈だった。
その瞬間に、ウェルの変化した異形の口がまるで裂けたかの様に口角を吊り上げる。
そして影縫いによる阻害を無視するかの様に腕を動かすと巨大な拳を振り上げて弦十郎の拳と激突させた。
影縫いをも無効化する程の膂力を見せつけるウェル。そしてその膂力を更に見せつけるかの様に弦十郎と拳を打ち合わせる。
弦十郎の拳とウェルの変異した腕の激突。先の戦闘では受け流していた拳を正面から初めてぶつけ合う。
完全聖遺物をその身に宿した人ならざる者の拳と弦十郎が鍛錬を行なって到達した完全聖遺物すら凌駕する膂力を手に入れた拳。
異形とかした拳と人の身でその領域にまで達した拳。そのぶつかり合った事で空気をも揺らす程の衝撃を生む。
人類が到達した最高の拳がウェルの拳を撃ち破る。
弦十郎の拳がウェルの拳を吹き飛ばした。
「終わりだ!ウェル博士!」
そう叫んで渾身のストレートをウェルに向けて放つ弦十郎。
だが、異形となったウェルは逆の腕を光らせると共に、弦十郎は吹き飛ばされた。
「ッ!?司令!」
何が起こったか分からなかった慎次は急に吹き飛ばされた弦十郎に驚きを隠せない。
何が起こったのか?いや、吹き飛ばされた弦十郎。そしてまるで殴った後の様にもう片方の拳を振り抜いた様に構えるウェルの姿を見れば何が起こったのか分かる。
先程の光らせた腕。それは
そして弦十郎に続き、先程同様に、今度は身体を発光させると共に慎次も何かが肉体に、腹に深々と突き刺さる様な痛み。
そしてその痛みと共に慎次も弦十郎同様に吹き飛ばされた。
「ッ!?」
慎次が吹き飛ばされながら見たのは拳を自身の腹へと放ったウェルの姿。
そして吹き飛ばされて地面を転がる慎次。
それを誰かが、受け止める。
「ッ…司令…」
慎次を受け止めた弦十郎であった。だがその顔には先程ウェルに光速で殴られた拳の跡がくっきりと残り、口の中が切れたのか血を口から垂らしている。
「…大丈夫か?」
「ゲホッ…あんな一撃を食らって…無事ではすみませんよ。司令こそ無事なんですか?」
「確かに一撃は重いが俺の拳に比べればどうってことないさ」
弦十郎はそう言った。確かに弦十郎は顔に拳の跡がくっきりは残っているがそこまでダメージを感じさせない。だが、慎次は別である。
そこには先程の拳がシャツを破り、慎次の腹を露出させていた。そして異形となったウェルの拳が僅かに抉ったのであろう、慎次の腹からは血が流れている。
殴られた衝撃はかなりのものであった。だが、それでも拳が当たった瞬間に超人的な反応で僅かながらに身体を浮かしてダメージを軽減させた。しかし、それでも無事とは言い難い。だが、その身に一撃を受けようともその軽減させたおかげで骨は折れていようとも内臓は無事。
無事ではないと言いつつも、慎次は立ち上がる。
たった一撃でここまでのダメージを負おうが生きている。まだ動ける。まだ死ぬほどのダメージでは無い。ならば立ち上がるのは必然。ウェルを倒していないのに、休む事など出来ない。
だから立ち上がる。弦十郎も慎次も。倒れるわけには行かない。諦めるわけには行かない。自分達の手にもこの世界の命運が掛かっているのだから。
装者達がフロンティアをどうにかしようと頑張っている。セレナを救う為に頑張っている。
ガンヴォルトが翼を救い、シアンを取り戻し、この世界の終焉を齎す存在、アシモフを殺す為に死闘を繰り広げているだろう。
だから弦十郎と慎次もこんなところで倒れるわけには行かなかった。
ウェルという男を倒さず、自分達は任された事を全う出来ず倒れる事など論外だ。
そんな事あって良いわけがない。大人として、何も出来ず、倒れていいはずなどなかった。
だから立ち上がり、再びウェルへと駆け出した。
異形となったウェルを倒す為に。
そして駆け出した二人は再びウェルへと拳を、銃弾を放つ。
ウェルはそれをその巨大からは考えられぬ程のスピードで躱し、弦十郎へと、慎次へと先程同様に、炎を纏わせた拳を弦十郎と慎次に振るう。
回避しなければならない殺意の一撃。
弦十郎も慎次もその拳の合間を縫って応酬を繰り広げる。
だが先程と同じく、その拳に宿る熱量が弦十郎と慎次の肌を焼く。
だが、それも先程同様にその熱量に旗を焼かれようが弦十郎と慎次はウェルへと責め続ける。
負けられない戦いだから。引けぬ戦いだから。終わらせなければならない戦いだから。
弦十郎と慎次、ウェルの三人の応酬も激しさをさらに増していく。
だが、それを拒むようにウェルの肩の装甲が開く。
そして吹き出したように現れる黒い粒子。
「慎次!」
「分かってます!」
食らってはならぬ
爆発と共に更なる熱量が弦十郎と慎次を襲う。だが、それは爆発を見に受けたウェルも同じ。黒い粒子を焼きながらウェルの身体を炎が覆い尽くす。
だが、その炎に焼かれようがウェルは止まらない。
今のウェルには
焼夷手榴弾如きの炎など今のウェルには水に等しい温度であったからだ。
炎に包まれながら弦十郎と慎次へと襲い掛かる。だが、慎次も弦十郎もそんなウェルへと向けてさらに温度の高い拳の炎を避けつつも、自身の拳をウェルへと叩きつけた。
「ッ!」
拳の皮膚を炎が焼く。
だが、それがどうしたと言わんばかりに弦十郎も慎次も拳を振り抜いた。
そしてウェルを吹き飛ばした弦十郎と慎次。拳に焼けるような痛みが襲うが、それでもなお拳を握る。
そして追撃しようと炎に塗れたウェルへと弦十郎と慎次は駆け出す。
だが、一瞬で炎を纏うウェルから炎とは別の光を身から発するとその巨大が消えた。
「ッ!?」
弦十郎と慎次は
だが、弦十郎と慎次の前には既にウェルが粒子を肩から撒き散らし、ニヤリとしながら立っていた。
「ッ!?」
いつ移動したか分からなかった弦十郎と慎次。だが、慎次は再びすぐさまどこから取り出したかは分からないが焼夷手榴弾を取り出すとすぐさまウェルに投げ、銃弾を当てると爆発させた。
何度目かも分からない衝撃と熱気が弦十郎と慎次を襲うが、あの黒い粒子だけは、物質を喰らい尽くす粒子を喰らう訳には行かない二人はその衝撃と熱気を受ける。
だが、黒い粒子が焼けていく中、その炎を突き破り、紫色の光線が二人へと襲い掛かる。
それを横に素早く飛んで間一髪で躱し切るが分断された弦十郎と慎次。それを待っていたかの様に、いつの間にか慎次の真横に移動していたウェルが身体全体を焼き尽くす業火を纏いながら慎次を拘束した。
「あああ!」
「慎次ぃ!」
だがそんな弦十郎の叫びは虚しく、慎次はウェルが纏う焼き尽くす炎に晒されて叫び声すらも打ち消していく。
炎を纏う慎次を投げ捨てると再び目にも追えぬ速度で弦十郎の前に移動する。
弦十郎も自身の拳を振るい、ウェルへと放つが、それを予期していたウェルは
だが、弦十郎自身も同じ手に何度も引っかかるわけではない。素早く手を引いて拳を収めるが、弦十郎の腹へととてつもない衝撃が襲う。
「ガハッ!」
何が起こったかと思うとウェルは側面に穴を出現させており、その穴へと手を差し込んでいた。その穴は弦十郎の腹の部分に出現しており、それによってダメージを受けたのだ。
そして膝をついた弦十郎の頭を掴むとそのままその穴を弦十郎が通れる程の大きさに変えてそのまま弦十郎をウェルは引っこ抜いてぶら下げる。
そしてそのまま弦十郎を持ち上げたまま空いた腕で拳を握り、光らせると弦十郎へと向けて乱打を叩き込む。
光速で放たれる拳、避ける事の出来ない攻撃。弦十郎はその攻撃を喰らい続ける。
ただ淡々と殴り続けるウェル。先程と違い、咆哮も怨嗟を紡ぐ言葉すら発しない。
何故ならウェルの意識は今はほぼない。大量のネフィリムの細胞。それが影響し、ウェルの意志は殆どなくなった。だがネフィリムに侵食され、その身が異形と成り果てようとウェルを突き動かすものがあった。それは自身が英雄であると疑わない執念にも似た狂気、そして弦十郎と慎次、ガンヴォルトや装者達への今まで邪魔されてきた恨み。特に目の前にいる弦十郎。そして先程焼いた慎次。その二人へと勝つと言う執念が、意識のないウェルを突き動かしていた。
そして何より、ウェル以外にも今、拳を叩き込み続ける弦十郎に恨みを持つ物がいる。その身に受けた痛み、そしてウェルが取り込んだネフィリムの細胞は弦十郎より受けた痛みを覚えていた。単体で有ればそんな事象は起きなかった。だが、大量にネフィリムの細胞を摂取した事により、その細胞達集まり意思が生まれた。かつてのネフィリムの意思がウェルの身に宿ったのだ。そしてそれが今のウェルだ。今のネフィリムだ。
だからこそ、その恨みを晴らそうとするネフィリムの意志も合わさる事により、異形となったウェルは、ネフィリムは、弦十郎と言う苦しめ続けた存在に今までの借りを返すが如く殴り続ける。
簡単に殺さず、弦十郎だけは本能赴くまま、かつて受けた痛みを何倍にも返すように。
弦十郎を殴り続けた。光速の一撃がガードすらさせぬその一撃が弦十郎を何度も何度も打ち付けられる。
肩を、胸を、腕を、腹を、足を、何度も何度も。
そしてしばらくしてその乱打を止めた。
それは未だ意識があるかどうかの確認するかの様に。
だが、弦十郎は意識を失っていなかった。身体をいくら殴られても一切の声も上げず、ただその攻撃を肉体に力をありったけ込めて耐えきっていた。
「…効かんな…お前の…拳など…」
弦十郎は途切れ途切れにそう言った。
もちろん効かないなど嘘である。身体は青痣だらけ。骨は折れていないものの身体はボロボロ。
ウェルの拳には、ネフィリムの拳には必殺を秘めている。それでもなお、気を失わなかった。死ななかった。いや、気を失う事も死ぬ事も弦十郎自身が拒んだ。
自身の決めた事。装者達に託された事を全うせずに、何も為せずただ倒される事を弦十郎は拒んだのだ。
弦十郎が持つ大人としての信念が、倒れる事も殺される事も拒んだ根性が、それを為した。
ふざけているとも、あり得ないとも言われそうな現象。だが、それを超人的な肉体と、弦十郎の持つ大人とはこうであるべきという信念と、そして自身に課した使命を全うしようとする精神がそれを為した。
「そんな攻撃で…俺を…俺達を倒せると思うなよ!」
そして弦十郎は吠えた。
その叫びに呼応してウェルは弦十郎へと再び光速の拳を打ち込もうと構える。
そして拳が弦十郎に放たれる。
筈だった。
「はぁ…はぁ…何度も言いますが…勝手に殺さないでもらえますか!ウェル博士!」
放とうとした拳には先程焼いた筈の慎次がその拳を触れぬよう肘へと組み付いていたからだ。
先程同様に焼かれた慎次。だが、その身を業火にに焼かれながらもシャツを犠牲にして変わり身を使い、舞い戻ったのだ。
ウェルは、その慎次を地面へと叩きつけようとする。
だが、その瞬間に隙が生まれる、弦十郎が自身の頭を掴む手の小指を掴むとそのまま折った。
「ッ!?」
突然の事でウェルも地面へと叩きつける腕が止まり、弦十郎を離してしまう。
そして地面に降り立った瞬間に、弦十郎はウェルへとその身に先程叩き込まれた拳のお返しとばかりに体当たりをぶつけた。
その瞬間にウェルから離れる慎次。再度吹き飛ばされたウェル。
そして再び並び立つ弦十郎と慎次。互いに満身創痍。だが、それでも口から流れる血を拭い、駆け出した。
「決着を付けるぞ!ウェル博士!」
「ここで終わらせましょう!」
そして体当たりのダメージを感じないウェルはただ咆哮を上げて、弦十郎と慎次を再び殺す為に迎え撃つのであった。
殺す事でしか止まらないのか?
殺す事でしか救えないのか?
恩人を、想い人を、英雄を。
-頼むみんな…ボクを殺してくれ…ボクに大切な君達を…殺させないでくれ-
奇跡を殺す殺戮者と戦い、その裏で暗躍する者から奪われた大切な人を
戦姫絶唱シンフォギアABR
とまあこんな感じの予定だった三章。書く予定は一切ありませんが、三周年という節目なので出しておきます。