戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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取り敢えず後一話で最終決戦が終了します。
後は何があるか一期の流れから何となく察してください。


131GVOLT

装者達が怪物と対峙する中、落下しながらもボクとアシモフは互いを殺す為に幾度となく雷撃をぶつけ合い、放ち続ける。

 

しかし、頂点と、自身を真なる雷霆へと至ったと宣うアシモフの雷撃、装者達の歌とシアンの想いにより到達した蒼き雷霆(アームドブルー)の極地のその先、未踏の領域へと踏み入れたボクの雷撃。

 

先程の崩壊する前のフロンティアのボルティックチェーンのぶつけ合い、そのぶつけ合いを拮抗すら持ち込まれず打ち破られたアシモフの雷撃はボクの雷撃に劣っており、アシモフを常に窮地に立たせ、ボクを常に優位に立たせる。

 

だが、優位に立てど、ボクはアシモフを未だ殺すに至らない。理由はアシモフが見せている蒼き雷霆(アームドブルー)に付随する細胞の活性による回復を超えた異常なまでの回復力。

 

アシモフをスパークカリバーによって穿った穴をも数秒で治癒する異常なまでの回復力、ネフィリムの細胞をアシモフが取り込んだ事により齎されている。

 

そしてそれに付随するネフィリムの細胞が取り込み、未だ抵抗を見せるシアンを無理矢理使い、制御する第七波動(セブンス)達。先程と違い、弱体化していようともその厄介な能力は健在。弱体化した事でアシモフはそれを要所要所、自身が受けるダメージを最小限に抑える様に使用して来る。

 

だからこそアシモフを殺すに至らない。

 

だが、アシモフは消耗している。(ブラフ)の可能性もあるだろう。しかし、今のアシモフはその消耗が(ブラフ)でないとボクは分かっている。

 

未踏へと到達したこの力、蒼き雷霆(アームドブルー)の雷撃を強化したお陰でその雷撃による細胞の活性化。それが齎したのは驚異的な身体能力と洞察力。細胞の活性が感覚に、五感、それを超えた六感にも影響を与えていた。

 

故にアシモフの呼吸が、流す汗が、(ブラフ)でない事を知らせている。シアンによって引き出すネフィリムの細胞からの七宝剣の第七波動(セブンス)達。そしてネフィリムの細胞による驚異的な回復力。

 

本来の第七波動(セブンス)能力でない能力をシアンの抵抗を抑えながら使う事が、受けたダメージを驚異的な回復力で治っていく事が、アシモフの体力を、精神を削っているのだろう。目に見えて疲労が溜まっている。

 

アシモフはそれを悟らせない様な様子だが、今のボクにそんなものは通用しない。

 

だからこそ攻め続ける。アシモフを殺す為に。シアンを取り戻す為に。

 

そんな中、空中に浮かぶ怪物が火球を生み出し、周囲の瓦礫から炎を出させるほどの熱量を持ったものを作り出した。

 

あんな物がもし地上に撃たれれば危険だ。アシモフよりも怪物を先にどうにかするべきなのかと刹那に考えさせられる。だが、ボクは装者達がどうにかすると信じたんだ。ならば、ボクはアシモフを殺す事に専念する。

 

そして火球は空へと放たれ、宇宙空間まで達して爆発したのか、辺りを閃光が満たす。だが、ボクはアシモフを身失わず、攻防を続ける。

 

そしてアシモフと応戦を続ける中で、怪物の下に亜空孔(ワームホール)とは別の空間が歪み、別の場所へと繋がった穴が出現した。

 

下からでは分からない。だが、それでもアシモフにそんな力が残されていない事から装者達が何か策を見出し、それを為したのだろう。

 

そして怪物は七つの光に押されながら、その穴へと押し込まれ、消えていく。

 

「ッ…何処に行ったか分からないけど…必ず帰って来てくれ…みんな」

 

何処へ行ったかなど分からない。だが、この星を、世界を守る為に装者達がそれを為したのなら、ボクはそれを信じ、帰りを待つことだけだ。そして装者達の帰りを待つ間、ボクもボクでやらねばならない事を為そう。

 

アシモフを殺す事。そしてアシモフに奪われたシアンを取り戻す事。それをやらなければならない。だからこそ、応戦を続けそれをやり遂げる。それだけだ。

 

第七波動(セブンス)を多用するアシモフの攻撃を落ちゆく瓦礫を足場にして飛び移り、時には盾にして、ボクはアシモフへと雷撃を放ちながら接近する。

 

アシモフも雷撃には雷撃で応対する。だが、今のアシモフの雷撃はボクの雷撃に劣る。故に応戦したところでその雷撃は散ってアシモフに直撃する。

 

「グゥッ!」

 

そしてその隙にボクは一気にアシモフへと距離を詰めると強力な雷撃を手刀に込めて腹部へ突き出す。

 

だが、アシモフは亜空孔(ワームホール)を発生させ、その雷撃の手刀を無効化した。

 

だが、そんな無効化なんて今のボクには無意味だ。手刀が無効化されたのならもう片手の避雷針(ダート)を撃ち込む。

 

アシモフは雷撃を喰らいながらもそれを躱す。それと同時に残光(ライトスピード)の光線をボクへと放ち、距離を取らせようとする。

 

しかし、今となってはその残光(ライトスピード)にも翳りが見始めており、発射タイミングが、射線が丸わかりの為にボクは射線から外れながらも穴から抜いた手刀を再びアシモフの首へと向けて振るった。

 

雷速のスピード、アシモフも到達しているスピードではあるが、ボクの雷速はアシモフのスピードを凌駕している。

 

「グッ!?」

 

アシモフもその雷速をギリギリで躱したが、その手刀がアシモフの首の皮一枚を切り裂いた。だが、躱してもボクの手刀が纏う強力な雷撃は人体へと流れる。擦ればその纏う強力な雷撃がその身へと流れ行く。

 

強力な雷撃、何度も流し続けたアシモフの許容を超える雷撃。だが、幾らアシモフが傷付こうが、自身の許容を超える雷撃を受けようが止まらない。

 

僅かな隙を見せたとしてもほんの一瞬のみ。アシモフと言う男の持つ執念とボクに対する憎悪が、それ以上の隙を生み出さない。

 

そして薙いだ腕を掴み、自身のダメージすら恐れぬ火球を生み出して近距離でそれを爆発させた。

 

ボクは自身へと更に強力な雷撃を流し、その火球を身に受ける。強力なガードと強化された肉体に僅かなダメージを受けたがそれをすぐさま回復させる。

 

未だ黒煙にて見えない視界。だが、アシモフの掴む手でアシモフの位置をなんとなく察したボクはその腕を逆に掴んでアシモフをそのまま落ちゆくままに投げ飛ばした。

 

そして黒煙を抜けてアシモフが瓦礫へと飛ばされる。それをボクも追ってアシモフが叩きつけられたと同時にボクはそのままアシモフの腹部へと蹴りを叩き込んだ。

 

「ッ!?」

 

だが、その叩き込んだアシモフは雷撃となって消えて行った。

 

電影招雷(シャドウストライク)

 

アシモフが生み出した雷の分身を作り出す(スキル)。先程の爆発にて視界が失われた一瞬で発動させていた様で、あの一瞬で分身と入れ替わっていた。

 

そしてすぐさま背後に瞬く蒼き閃光。ボクは強化された肉体を素早く反転させて其方へと振り返る。

 

そこにあったのはアシモフの腕。亜空孔(ワームホール)から伸ばされた雷撃を纏う腕であった。

 

だがその奥から見えるアシモフはニヤリと笑い、穴から見えるもう一つの腕には既に言葉を紡ぎ終え、出現していたスパークカリバーが存在していた。

 

そして、

 

「天体が如く蹌踉めく雷、阻む全てを打ち払え!迸れ!真なる雷霆(アームドブルー)!ライトニングスフィア!」

 

同時に発動された二つの(スキル)

 

亜空孔(ワームホール)から突き出た片腕から溢れ出す雷撃が公転する雷球を三つ生み出し、そこを起点に雷撃鱗とは違う、強力な雷撃の膜が生み出される。

 

それと同時に足元の地面を突き破り、巨大な雷剣が出現する。

 

そこにいるのは勿論、出現させたスパークカリバーをボクへ突き立てようとするアシモフ。

 

電影招雷(シャドウストライク)を使い、離脱していたアシモフはボクの行動を予測して、先回りをし、ボクが雷撃の分身を叩きつけると同時に、落ちゆく瓦礫の影を利用してボクのいる場所へと回り込んでいたのだ。

 

しかし、ボクも素早く言葉を紡いだ。

 

今のボクならばアシモフの(スキル)に打ち勝てる。単体最強威力のスパークカリバーだろうとライトニングスフィアだろうと蒼き雷霆(アームドブルー)の極地の先、未踏へと踏み込みしこの(スキル)に合わさった(スキル)であれば何だろうと行ける。

 

傲慢だと言われる様な回答。だが、ボクにはそれを為す力を持っている。一人ではなく、装者みんなの歌とシアンの思いによって辿り着いたこのスキルならば。アシモフの二つの(スキル)を打ち破る事が出来る。

 

だからこそ言葉を紡ぐ。

 

アシモフが最後に紡いだ言葉によって生み出されたライトニングスフィアと同じく、ライトニングスフィアを生み出すボクの言葉。

 

「天体が如く揺蕩え雷、是に至る全てを打ち払わん!迸れ!蒼き雷霆よ(アームドブルー)!ライトニングスフィア!」

 

紡いだ言葉が力を齎し、そしてボクの纏う虹色のオーラと、アンイクスプロードヴォルトの力と呼応して三つの巨大な雷球を呼び起こし、煌めく閃光と共に、アシモフのライトニングスフィアを超える雷撃の膜を展開させた。

 

そして出現したボクの強化されたライトニングスフィア。アシモフの作り上げた公転する雷球を飲み込み、消滅させて突き出したアシモフの腕を強力なライトニングスフィアが持つ熱量でその腕を焼いていく。

 

そして未だ消えない雷球がスパークカリバーとぶつかる。

 

巨大になる事により内包するエネルギーが増している為に、その威力は絶大。だが一つ目の雷球は単体火力最高のスパークカリバーに押しやられ消えてしまう。

 

だが、アシモフのスパークカリバーもその巨大な雷球の熱量によって殆どのエネルギーを消費してしまった様に、雷剣から迸る雷撃が一気に巨大な雷球きよって削がれていった。

 

そして二つ目の巨大な雷球、次なる強力なエネルギーを持つ雷撃にアシモフのスパークカリバーは耐えきれず、砕け、霧散していった。

 

「何故だ!何故頂点(ゼニス)に!真なる雷霆へと至った私が!」

 

そしてスパークカリバーが消え、無防備となったアシモフは叫ぶ。

 

ボクを殺せるタイミング。ボクを殺せた筈の力が破れ、そう叫ばずにはいられなかったのだろう。

 

だからボクはアシモフに向けて言った。

 

「たった一人で破れる訳ないだろう!みんなの齎した歌の力が!シアンの想いが!貴方一人の執念と憎悪に負ける訳がない!それに頂点(ゼニス)と言ったその傲慢!貴方が幾らネフィリムを取り込もうがそこに至る事は決してない!天から堕ちてきた者(ネフィリム)を取り込んだ時点で頂点(ゼニス)じゃなく至ったのは底辺(ネイディア)!ネフィリムとは本来そう言う伝承の存在!堕とされた存在!だから貴方は決して頂点(ゼニス)へ至る事はない!それに底まで堕ちた貴方に!この力が!みんなの歌が!想いが破れる筈がない!」

 

そしてライトニングスフィアがアシモフにぶつかった。

 

片腕から流れ込んでいた雷撃の本丸。公転する二つの雷球がアシモフを飲み込み、強力な雷撃を流し込み、何度もその巨大な雷球がアシモフへとぶつかった。

 

「グァァ!」

 

ボクの雷撃を、そしてアンイクスプロードヴォルトによって強化されたライトニングスフィアが、アシモフに襲い掛かり、たまらず悲鳴を上げる。

 

「ハァァ!」

 

そしてその攻撃に更に雷撃を流し込み、今度こそアシモフを確実に殺す為に力を高める。

 

もう誰もアシモフによって苦しまない様に。今まで苦しめ続けられたボクや装者達、二課の分まで、そして取り戻さなければならないシアンの為に、ボクの肉体と魂に刻まれた因縁の鎖を今度こそ本当に断ち切る為に。

 

アシモフのネフィリムの細胞によって強化された肉体を壊す勢いでボクは雷撃を流し込み続けた。

 

再びの強力な雷撃。ヴォルティックチェーンには劣るものの、それをライトニングスフィアも直撃で受ければ、そして今の強化されたライトニングスフィアの熱量に、幾らネフィリムの細胞を取り込もうがその再生速度を上回る攻撃には付いていけず、その雷撃にアシモフは身体の隅々に火傷の跡を付け始める。

 

そしてその状態のまま落下し続けるボクとアシモフ。だが、その時間も長くは続かない。落下には終わりが来る。フロンティアが海上からかなりの高さに上がっていても、ボクとアシモフはそんな不安定な場所で長く戦い続けた。

 

その結果、そのままアシモフとボクは海上へと辿り着いてしまったのだ。

 

海上にそのまま落ち、海水により、ボクの雷撃が一気に霧散する。ボクは今の到達した事によって空中を浮遊して海水に落下は免れるも、アシモフへの攻撃を止めてしまった。

 

まだとどめを刺していない。その為にボクはアシモフが落下したその場を警戒しながら待機する。

 

だが、その警戒を杞憂に終わらせる様に、アシモフが浮いて来た。

 

動かないアシモフ。フェザーの戦闘服が丈夫なせいもあってその肉体がどうなっているのか分からない。

 

だが、確信出来ることが確認出来た。アンイクスプロードヴォルトにより強化された五感が、六感がボクに知らせてくれる。

 

アシモフの心臓が動いていない事を。

 

だからこそ、ボクは勝利を確信した。それと共にボクは空中を浮遊しながら、アシモフへと近付き、死体となったアシモフの腕に巻き付けられたシアンが封印された神獣鏡(シェンショウジン)のギアペンダントを回収する。

 

勝った。取り戻した。遂に因縁の鎖を今度こそ断ち切った。

 

ボクは静かにようやく手にした勝利に喜びを、だが、アシモフを殺した事で自身にまた一つの業を背負ってしまった事を何処か悲観する。

 

だが、これで世界が救われる。これ以上アシモフによって苦しむ人が居なくなる。その為にやったんだと自分自身を納得させる。

 

だが、安心しきっていたボクの予想を裏切る様に再びボクの六感が警鐘を鳴らした。

 

その瞬間にアシモフが海中に居ながらでも僅かながらに雷撃が迸る。

 

そしてあり得ない事が起きた、その僅かながらの雷撃。海中では霧散してオーバーヒートさせてしまう雷撃。だが、その雷撃は霧散せず、アシモフの体内に留まって居た。

 

そしてボクの顔面へと振るわれる拳。

 

ボクはそれを何とか空中へと飛び上がって回避する。

 

そしてボクを驚愕させる事が目の前で起きた。

 

「グゥ…ハァ…ハァ…貴様如きに…貴様如きに…殺されるか…紛い者如きに私が殺されてなるものか!」

 

目にしたのは心臓が止まった筈のアシモフ。六感が鳴らした警鐘。それは再びアシモフの蘇生を意味していた。

 

あり得ない。殺したのに。確実に心臓を止めた筈だった。だが、その考えが甘かった。

 

心臓が止まれど、アシモフの肉体にはネフィリムの細胞がある。その細胞は心臓が止まったとしてもまだ生きている。故に、アシモフの身体に無理矢理干渉して、アシモフの持つ蒼き雷霆(アームドブルー)を使い心臓を動かし蘇生させたのだ。海中にいようが肉体の中で雷撃を使えば霧散はしない。故にそれが成功し、アシモフが蘇生した。

 

アシモフがネフィリムの細胞を取り込んだ故に起こった予想外の出来事(イレギュラー)

 

まだボクはそれをやり遂げてはいなかったのだ。

 

ならボクの答えは決まっている。さっきもアシモフに向けてそう言ったのだから。

 

「何度も生きを吹き返すのならそれすら出来ない様に殺す!ただそれだけだ!」

 

そう叫び、ボクはアシモフを殺す為に雷撃を放つ。

 

今のアシモフはもうネフィリムの細胞を持つだけで力が使えない筈。シアンを取り戻したボクはそう考えた。

 

だが、ボクの予想はすぐに裏切られる事になった。

 

ボクの放つ雷撃を、アシモフは亜空孔(ワームホール)を出現させて躱したのだ。

 

「ッ!?何故!?」

 

そして躱したアシモフはそのまま亜空孔(ワームホール)をどんどんと繋げ、逃げていく様に離れて行く。

 

「ハァ…ハァ…残念だったな…電影招雷(シャドウストライク)を使用していた時、既にすり替えておいたんだよ…電子の謡精(サイバーディーヴァ)を封印しているギアペンダントと…私が使い続けた迷彩用のギアペンダントとな…」

 

そう呟きながら遠ざかるアシモフ。だが、ボクは逃しはしない。

 

「だったらまた取り返す!今度こそシアンを!貴方の手から!」

 

雷撃の速度でボクはアシモフの後を追い続けた。

 

「死に際に細胞が教えてくれた…それさえ達成出来れば…それさえ出来れば貴様を殺す事が出来る…貴様に背を向けて逃走など…許し難い事だが…貴様を殺す事が出来るのなら我慢してやる…」

 

そしてアシモフはボクに聞こえぬ声でそう呟くと蒼き雷霆(アームドブルー)が使えるまで回復したのか、更に速度を上げてボクから遠ざかる為に、亜空孔(ワームホール)の穴へ入り、陸を目指して逃走を続けた。

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