戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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9月で終わらせたかった…そして最終戦はやっぱり思ってたよりも話数が重なって終われない…
あと二話とかは無謀すぎた…
とりあえず、まだまだ続きそうです。
そして仕事がやばいほど忙しくなり執筆がままならない…
来月ほぼ出張とかどうかしてる…早出作業多すぎ…本当に死ねる…


139GVOLT

装者達が対峙する七宝剣。以前ガンヴォルトから聴いていた特徴と似た人物。

 

ただその人物達の目には生気は見られるが意志がない。言葉すら発さず、ただアシモフの命令に従い、邪魔する敵を滅ぼさんとする傀儡。

 

そしてその中で青い鎧を纏い、巨大な椅子のような物に座る少年、メラク。シンフォギアとは異なるが聖遺物に能力因子を入れて制御した筈の力を解放した姿。能力だけは知っていたが、初めて相対時する少年の異様な圧力。そんなメラクと対峙する響。

 

「この子が…ガンヴォルトさんが前に戦った…」

 

亜空孔(ワームホール)の能力者であり、味方を駒にしか思っておらず、味方共々ガンヴォルトを殺しにかかった少年。

 

「もうこんなことはやめてよ!貴方もアシモフとは敵だったんでしょ!なのにこんなことして何になるって言うの!」

 

無駄だとは分かっている。だが、響はそう叫ばずにはいられなかった。話せば分かるかも知れないと言う微かな希望を持ってそう叫ぶのだが、響の言葉にメラクは何も応えない。操られた傀儡となったメラクに意志はない。

 

生きているが、アシモフの真なる雷霆、電子の謡精(サイバーディーヴァ)の力は意志すらも塗り潰してただの殺戮マシーンへと変貌させているからだ。

 

そしてそんな響に向けてメラクが亜空孔(ワームホール)を開くと共に自身の座る椅子の様な物の巨大な拳を穴へと向けて放つ。

 

そして少し遅れて響の近くに巨大な穴が開くと同時に放った拳とは桁違いの大きさの拳が響へと放たれた。

 

「ッ!?」

 

響はそれを受け止めるが、その拳はその桁違いの大きさ同様に強力な威力を秘めており、響はその一撃を受け止める事が出来ず、押されてしまう。

 

だが、それでも今の響にはそれを押し返す力がある。

 

電子の謡精(サイバーディーヴァ)の力が合わさったシンフォギア。その決戦兵装。ソングオブディーヴァ・クロスドライブ。

 

エクスドライブ同様に強力な力を秘めた形態。故に不意打ちで押されようが、響の歌と思いに応え、メラクの巨大な拳を自身の拳を使って殴り飛ばした。

 

破壊は出来なかったものの、巨大な拳は穴へと押し戻され、メラクの座る椅子の様な物の拳が響の殴り飛ばした威力を引き継いだ様に、穴から飛び出る。

 

響もその瞬間に一瞬で自身もその穴へと飛び込み、メラクの前に出ると拳を振りかぶり、メラクの座る椅子を殴ろうとする。

 

だが、

 

「ッ!?」

 

響はメラクの元へと飛び出した瞬間に嫌な予感がし、そのまま横に大きく飛んだ。

 

その瞬間に既にメラクの座る椅子が響の方へと口の様なものを大きく開けて、レーザーを放っていた。

 

ギリギリの所で躱した響。だが、それでも響は何か危険を察知して遠くへ飛び退く。

 

その瞬間に響がいた場所には後方からレーザーが飛んきており、響のいた場所を通過する。

 

だが、そこから響も動く事を辞めなかった。理由は分かっている。動く事を辞めて仕舞えば、先程のレーザーの餌食になると分かっていたから。

 

そして動き続ける響へと向けてレーザーが再び飛んでくる。

 

亜空孔(ワームホール)を利用したレーザーの連続攻撃。動かなければその熱量をその身に受ける継続的な攻撃。

 

レイジーレイザー。

 

放ち続けるレーザーを延々と対象へと向けて放つ亜空孔(ワームホール)のスペシャルスキル。

 

響は天性の勘と亜空孔(ワームホール)の恐ろしさを聞き、体験していたからこそ、それを躱す事が可能であった。

 

だが、それを躱し続けたとしても何も変わらない。だから響は動きながら、レーザーの合間を縫ってメラクへと接近する。

 

レーザーが響を襲うが、それを上回る速度で響はメラクへと接近していく。

 

そして、

 

「ごめん!でも!こんな所で止まってられないんだ!」

 

そしてレーザーの合間を縫ってメラクへと到達するとメラクを掴み、響はアームドギアである拳を全力でメラクの座る椅子へと打ち付けた。

 

響の全力。その一撃を受けた椅子は大きくひしゃげ、メラク共々吹き飛ばし、響から少し離れて大きな爆発を起こす。

 

そして、

 

「ガンヴォルトさんと未来を手伝わなきゃ行けないんだ!だからここで眠って!」

 

そう言って響は拳をメラクの腹へと打ち付けた。

 

「ッ!」

 

強力な一撃を受けたメラク。くの字に曲がり、意識を飛ばすほどの一撃にメラクは声にならない悲鳴をあげる。

 

そして動かなくなったメラクを担ぎ、響は突入した際に残った足場にメラクを連れて降りようとした時、背後から嫌な感じがして飛び退いた。

 

「ッ!?なんで!?」

 

その爆発から再びレーザーが放たれた。

 

急いで響はそれを躱し、更に動き続ける。だが、その瞬間にかついでいたメラクが目を覚ますと同時に、響を亜空孔(ワームホール)を使い、レーザーの元へと転移させた。

 

「ッ!?」

 

響はメラクを上空へと投げ、自身はレーザーを躱す事が出来ず、その熱量を受けてしまう。

 

強化されたシンフォギアに襲う、強力な一撃。

 

なんとか飛翔してそのレーザーから抜けると、響は驚くものを目にした。

 

その爆発が晴れた先には先程のひしゃげて爆発した奇怪な椅子とそしてそれに座るメラク。

 

確かに壊した筈。なのに復活している事に驚く響。

 

メラクの座る椅子。それはメラクの第七波動(セブンス)を取り入れた機械。第七波動(セブンス)の能力因子、つまりは生きた細胞。故に、その生きた細胞ごと、生命輪廻(アンリミテッドアムニス)の力がそれを作り上げたのだ。

 

殺した能力者を宝剣ごと復活させた様に。

 

第七波動(セブンス)能力者が元いた力を出せる様に、能力者が完全に力を出せる状態で生命輪廻(アンリミテッドアムニス)がそれをなす。

 

「ッ…だったら!何度でもその変な椅子を壊すだけ!ガンヴォルトさんと未来の手助けをする為に!何回でも壊しすだけだ!」

 

そして響は再びメラクと対峙する。

 

壊れないのならば繰り返すだけ。終わりがない事なんてないと信じて響は拳を握り、メラクへと駆け出した。

 

◇◇◇◇◇◇

 

デイトナと対峙するクリス。かなりの熱量を常に纏うデイトナに不用意には幾ら決戦兵装のシンフォギアですら危険だと感じる熱量を常に纏っていた。

 

「こいつには私以外じゃ荷が重いな…あんな熱量を至近距離で受けたらたまったもんじゃねえ…」

 

相対するクリスはその熱量に顔を顰める。クリスの言う様に至近距離での戦闘は余りにも適していない。幾ら決戦兵装のシンフォギアでも長く接近戦を強いられればやばいと思える相手。

 

だからクリスがデイトナを相手にする。ガンヴォルトを除き、中距離から遠距離にかけての戦闘に特化したギアを持つのはクリスのみ。未来も行けるかも知れないが、未来には重要な役割がある為に、クリスがデイトナと戦闘するのが一番だと理解したから相対している。

 

「あんたはここで私が潰す。あいつの…ガンヴォルトの手助けをする為だ。その為に速攻で潰れろ!」

 

クリスがそう叫ぶと共にガトリングを出現させると一斉にエネルギー弾をデイトナへと向けて乱射する。

 

デイトナは意を返さず、丸で跳ね回る様に高速の動きで回避する。

 

それを追従する様にガトリングの砲身をクリスはデイトナに向けて放ち続ける。

 

亜音速の弾丸を全弾躱し続けるデイトナはガトリングの砲身から逃げながら、少しずつだがクリスへと近付いていく。

 

その事を初めから分かっているクリスは後退しながらもデイトナに一発でも多く当てようとガトリングを乱射し続けた。

 

だがデイトナにはクリスの銃弾は当たらない。だがクリスの銃弾もデイトナには一発も当たっていない。

 

付かず離れず、距離の変わらぬ攻防が暫く続く。だが、その均衡を破ったのはデイトナ。

 

未だ力を見せていないデイトナが初めて己の第七波動(セブンス)爆炎(エクスプロージョン)を解放させた。

 

デイトナの駆けた後に生まれる火球。その火球は小さいものの熱量を圧縮させ、膨大な力を持つ火球をクリスに向けて放つ。

 

だが、クリスもそれをみすみす食らう事は無く、片方のガトリングでその火球を遠距離から撃ち落としていく。

 

それを機に弾幕が薄くなる。故に隙を見逃さないとばかりに、デイトナはクリスへと一気に加速して近付いてきた。

 

「そんな事お見通しなんだよ!」

 

だが、クリスはそんな事理解している。片方では足り無いのなら更なる弾幕を呼び出すだけ。すぐさまクリスの頭部のユニットからレンズが出現し、デイトナへと視線を向けると幾つものターゲットマーカーがデイトナを捕捉する。

 

そして腰のユニットから幾つもの小型の幾つもミサイルを出現させ、デイトナに向けて放った。

 

ガトリングには及ばない弾幕。だが、ミサイルにはそれ以外のメリットがある。

 

それは先程の捕捉したデイトナには視覚で捉えた事により与えられたマーカー。そのマーカーにより、ミサイルはデイトナへと着弾するまで追尾する機能が備わっている。

 

故に捉えるまで消えない。そしてガトリングによって動きを制限すれば、そのミサイルをより確実に当てる事が出来る。

 

そして、遂にミサイルの一発がデイトナを捕らえた。

 

その一撃が起爆剤となり、連鎖する様にデイトナへと確実に着弾して小さな爆発が大きな爆発へと変化していく。

 

強化されたミサイルの威力は通常とは比較にならない。この一撃で普通ならば終わる。

 

だがその爆発の黒煙から一本の大きな炎柱が立ち上る。

 

「ッ…こんなもんで終わるわけねぇよな…あいつが居るのにこんなんで倒されてちゃ、あんなに傷つくわけねぇんだよ!」

 

クリスはそう叫び、ガトリングを、そしてミサイルをその炎柱に一斉掃射する。

 

だが、その炎柱はどんどんと増えていく。クリスの弾幕に意を返さず、増えていった炎柱は離れていたはずのクリスを囲う様に、逃げ場のない様に囲んで行った。

 

そしてその囲まれた炎柱から飛び出すデイトナと姿。

 

炎柱にいたせいか、そして自身の第七波動(セブンス)爆炎(エクスプロージョン)の力か、その纏う熱気が更に強化され、更なる温度の炎の膜を張ってクリスへともうスピードで突っ込んでくる。

 

デイトナへと向けてガトリングとミサイルの照準を変えたクリスはデイトナを倒すべく弾幕を張る。

 

だが、今のデイトナにその攻撃はなんの意味をなさなかった。圧倒的な熱量。それにより弾丸も、ミサイルも、ミサイルの爆発も意に返さずクリスへと突っ込んだ。

 

だが、クリスはそれを距離を大きく取りながら躱す。普段のシンフォギアでは出来ない機動力、それがクリスを危険から遠ざけている。

 

だが躱したからと言ってデイトナは止まらない。

 

囲む炎柱へ飛び込むと再びクリスへと向けて突進を続ける。

 

だが、それもクリスは躱す。食らって仕舞えばデイトナの身に纏う熱量がソングオブディーヴァクロスドライブだろうと大きなダメージを負う。そして紙一重で躱してもその熱量で大きなダメージを負う。故にクリスは今は全力で回避に専念する。

 

だが、そんな熱量を纏うデイトナにも常に変化が現れていた。

 

炎柱へと飛び込み、再びクリスへと突進を繰り返すデイトナ。だが、その行動で炎柱の熱と合わさり、出てくる度に纏う熱量を更に上げていたのだ。

 

そしてその目に見える程の凄まじい熱量。それを炎柱が囲むこの場で一斉にその熱量を解放する。

 

圧倒的な熱量を持った巨大な火球。

 

デイトナを基点に凄まじい勢いと数が放たれた。

 

サンシャインノヴァ。

 

デイトナの身に纏う圧倒的な熱量の火球を辺り一面へと撒き散らす(スキル)。ガンヴォルトがかつて対峙していた時にはまだ躱せる余地のある攻撃であったが傀儡となり、爆炎(エクスプロージョン)を強化されたデイトナのサンシャインノヴァにはその選択肢すらも消し去った。

 

「…やっぱりこいつの相手をしたのが私で正解だったな」

 

だが、そんな状況でもそう呟いた。

 

そしてクリスはその火球に向けて自ら駆け出す。

 

自殺行為、そう思われる様な行動であるが、それが活路を開く道。

 

そしてクリスは一旦武装のガトリングをしまうと同時に、自身の持つ防御用の結晶を自身の前に展開する。

 

それがクリスがデイトナを相手して正解と言った理由。

 

クリスのイチイバルに備えられたリフレクター。現象の攻撃を弾き返し、自身への攻撃を無効化する結晶。

 

超出力のカ・ディンギル、未来の神獣鏡(シェンショウジン)ではあまり役に立つことは無かった。だが、カ•ディンギルの時はエクスドライブではなく、通常のシンフォギアであり、今のシンフォギアよりも出力の低い為にそれを弾く事しか出来なかった。

 

神獣鏡(シェンショウジン)もその特性上、シンフォギア、聖遺物をも分解させる力の為に役に立つ事は無かった。

 

だが、今は違う。ソングオブディーヴァ・クロスドライブ。シンフォギアの力を極限まで高めたエクスドライブ、そしてその力を電子の謡精(サイバーディーヴァ)により更に強化された決戦兵装。

 

そのリフレクターの強度は堅く、強化されたデイトナの爆炎(エクスプロージョン)だろうと防いで見せる。

 

そしてクリスは火球と衝突する。とんでもない爆発と熱気がクリスに襲い掛かるもその全てをリフレクターが弾き、クリスにダメージを負わせない。

 

そして火球を物ともせずに貫いてデイトナの元へ辿り着いたクリス。

 

その姿を捉えたデイトナはクリスへと蹴りを放とうとする。

 

「おせぇ!」

 

だがそれよりも早くライフルを作り出したクリスはデイトナへと目掛けて弾丸を放った。

 

「ッ!?」

 

デイトナはその弾丸を腹に受け吹き飛ばされる。

 

それと同時にデイトナの纏う熱気が霧散し、炎柱も消え失せた。

 

その一撃によりデイトナの纏う鎧もヒビが入り、そのヒビが身体中を伝播して全身に駆け巡る。

 

そして、デイトナと内包する力のせいだろうか?それとも爆炎(エクスプロージョン)の能力の制御が効かなくなった為なのか、デイトナを基点に大きな爆発を起こした。

 

それが決着と判断したクリス。

 

すぐにガンヴォルトと未来の元へと飛び出そうとする。

 

だが、そんな中、一つの違和感により、クリスはそれを制した。

 

これで本当に終わりなのか?これで終わりであるのならばガンヴォルトは既にデイトナを倒している筈。なのに生きていた。

 

つまり、

 

「…生命輪廻(アンリミテッドアムニス)…死した者を甦らせる第七波動(セブンス)

 

それが答え。かつてのガンヴォルトと相対した七宝剣を甦らせたように、今もこの場に七宝剣がいる様に、マリアの妹、セレナを甦らせた様に、その力がある限り、終わらない。

 

その答えを教えてくれる様に、爆発して黒煙が漂う空間を猛スピードで飛び出したデイトナの姿を見てクリスは再び戦闘体勢を取る。

 

「だったら!私がここで終わらせてやる!」

 

そう叫んだクリスは再びデイトナとぶつかり合った。

 

◇◇◇◇◇◇

 

剣を構えてイオタと対峙する翼。

 

かつてガンヴォルトから聞いていた残光(ライトスピード)の本来の能力者。そしてガンヴォルトが二度も倒した能力者。

 

ただならぬ威圧感を放つ能力者。傀儡となり操られたとしてもその存在自体が重圧となって翼へと放たれていた。

 

だが、翼はその重圧などものともしていない。確かにイオタの放つ威圧感、それは普通の人であれば気圧される程のものであろう。

 

だが、今の翼にその程度の威圧はなんの意味を持たなかった。

 

それはアシモフと言う圧倒的な力を持つ者との対峙。その圧倒的な邪悪で、圧倒的な力を持つ者との対峙が、翼の心を強くしていた。

 

アシモフと比べればイオタの放つ威圧感はそよ風に等しい。そして、操られたと傀儡であるイオタに慄くほど翼の心は芯は細くなどない。

 

「私はガンヴォルトの助けに行かなければならない…貴方をここで斬り伏せさせてもらう!」

 

そして翼はイオタへと斬りかかる。

 

今までとは比べ物にならない力。ソングオブディーヴァ・クロスドライブが齎した力。その踏み込みは一瞬でイオタとの間合いをゼロに変える。

 

イオタへと振り下ろされる剣。だが、その一閃はイオタに当たることはなく空を斬る。

 

残光(ライトスピード)の能力たる光速の動き。

 

光という圧倒的な速度でイオタは翼の一閃を何事も無く躱し、姿を消す。

 

アシモフやネフィリムも使っていた光速移動。

 

光となって目にも止まらぬ速さで移動していた。

 

だが、今の翼にはその動きは捉えられなくとも、消える前のイオタの目線、そして躱した方向を見て翼はイオタが何処に行ったかを理解していた。

 

素早く翼は背後へと振り返り、そして振り向き様に剣を振るった。

 

「ッ!?」

 

そこには先程光となって消えた筈のイオタがおり、いつのまにか出現した小剣程の剣を持っており、それで翼の剣をなんとか受け止めた。傀儡となっても何故光となった動きを捉えられたか分からず、少しだけだが、イオタが動揺しているように見える。

 

だが、それでも翼はそのまま小剣を作り出すとイオタに向けて突き立てようとする。

 

だが、それよりも早く、イオタの背後にある剣のようなビットが素早く移動して翼の一撃を受け止めた。

 

そしてレーザーによる砲撃でイオタは翼を引き離した。そしてそこからイオタは再び光となって光速で動き、翼を死角からの攻撃を続ける為に幾度となく襲い掛ろうとする。

 

だが、その全ての死角への攻撃を翼は全て躱し、弾き、逸らしてしまう。

 

振り下ろす小剣の一撃を、放つレーザーを。死角からの攻撃に関わらず、光速の攻撃に関わらず、翼は全てを防ぎ続ける。

 

そんなイオタへと向けて翼が言う。

 

「確かに貴方の攻撃は光。私の、いや、人の目には捉える事の出来ない速度の動きと攻撃。初めて貴方と戦うのならば、私は貴方に負けていただろう」

 

初めてイオタと対峙する。だから初戦では負けてしまうような展開が起きていただろう。

 

だが、

 

「されど、貴方の力、残光(ライトスピード)は私は何度も経験している。恐ろしさを嫌と言うほど理解している」

 

嫌と言うほどその力を経験が翼の力になっていた。

 

本来の能力者とは違うが、その力を十全に扱ったアシモフ。その能力と併合して使われた能力と幾度となく対応してきた翼、そして今翼の纏うシンフォギアの新形態。それが齎す力によってそれを捉えられなくとも予測で対応する事を可能にしていた。

 

「だから対応出来る。貴方の力を経験させられた事で私は貴方の速度に喰らい付く事が出来る!」

 

そして躱しながらもイオタへと向けて翼は剣を振るう。当たらなくともイオタが光速で移動する先々で翼はイオタへと何度も斬撃を繰り出した。

 

光の速度にすら対応する翼。

 

「どれだけ速かろうと今の貴方の動きについて行けない訳がない!ピカピカ光るだけの派手な移動方法を捉えられないわけがない!」

 

そう叫んだ翼の一撃が遂に、イオタの鎧の一部に与えられた。

 

斬り裂いたのは鎧のみ。だが、それでも翼の攻撃はいくら光の速さで移動しようとも攻撃を与えられる程、鋭さを増していた。

 

そしてイオタの表情が初めて変わった。傀儡となり、感情は殆ど無い。だが、イオタは翼の言葉に意識がなくとも反応した。

 

それはかつてガンヴォルトに言われた言葉と重なったから。

 

感情が、意識がなくても、その言葉はイオタの魂に苛立ちを覚えさせた。感情が、意識がなくとも、深層心理にも響くその言葉。

 

その言葉を聞いた、イオタの感情が爆発したかのように、残光(ライトスピード)の力が上がった。

 

そしてその感情を爆発させるかのように、剣となっていたビットが空を駆け巡る。

 

翼へと狙いをつけて連続で連鎖のような怒涛の攻撃を始めた。

 

だが、その一撃は翼を捉える事は出来ない。

 

空中での機動力を手にした翼はそれを意図も容易く躱しているからだ。飛行能力、そしてソングオブディーヴァ・クロスドライブの齎した力。その力が、イオタの攻撃を全て躱せる程までに速度を高めていたからだ。

 

だが、それと同時にイオタも消えた。

 

ビットが常に翼を狙い、回避ばかりをさせる様に動きを取らせる。

 

そして暫く経ってから、ビットが攻撃を変えた。それはいくつものビットが一つになって空間すらも斬り裂くレーザへと変わり、翼の逃げ道をどんどんと削っていったからだ。

 

そして左右にその空間すら断絶した光が逃げ場を無くしていく。

 

そしてその瞬間に現れたイオタ。

 

その手にはその空間すら断絶した光を放ったビットが握られており、それを二度も捉えられない程の速度で振るう。

 

その攻撃を回避する翼。だが、その攻撃が完全に翼を空間を断絶したレーザーで翼を閉じ込めた。

 

そしてイオタが、その断絶された空間の唯一の出口にその巨大な剣を構えて立ち塞がる。

 

終焉ノ光刃(ゼロブレイド)

 

空間すら破断する一撃を振るうイオタのスペシャルスキル。

 

喰らえばひとたまりのない一撃を放つ為に、イオタは構えた。

 

その構えを見て逃げ場などなくなった翼も剣を構える。

 

「それが貴方のスペシャルスキル…ガンヴォルトとは違う、貴方の必殺の一撃…」

 

避けなければならない一撃。だが、逃げ場がない翼にはそれを真正面で受けて立つ事しか出来ない。だからこそ、その一撃を迎撃するべく剣を構えたのだ。

 

「だとしても!それに敗れる私ではない!この身に誓った思い!この歌に秘めた思いが!貴方の必殺の一撃を防ぎ!破る力に変える!防人の剣が簡単に折れぬとその身に刻ませる!」

 

そして迎撃するべく構えた翼はそう叫んだ。

 

そしてその瞬間にイオタが消える。だがその前に翼が、剣を振るった。

 

そして、翼の背後に剣を突き刺した様に構えて現れるイオタと、剣を振り抜いた翼。

 

その状態のまま僅かな時間が流れ、空間すら破断したレーザーが消え失せる。

 

そして、バキッと鎧が砕ける音が響く。

 

「ッ!?」

 

鎧が砕けたのはイオタの方であった。

 

光速の速度での一撃。その一撃に翼は完璧にタイミングを合わせて剣を振るう事に成功した。

 

そしてイオタの一撃を喰らわずにイオタに一太刀浴びせた翼。

 

そしてデイトナ同様にその一撃がイオタの鎧全体にヒビが伝播して内包した力が制御出来なくなったように爆発を起こした。

 

イオタを撃破した翼。だが、クリス同様にイオタを倒した翼はその場からガンヴォルトの元へ向かわなかった。

 

翼も何となく理解していた。この程度であればガンヴォルトが倒していたと。なのに何故イオタは生きていたのかと。

 

かつてガンヴォルトから聞いていた生命輪廻(アンリミテッドアムニス)の能力がそれを成しているのではないかと。

 

そしてその翼の予想は案の定当たっており、爆発から再びイオタが現れ、翼と剣をぶつけ合った。

 

「この程度では倒せないか…ならば、何度でも貴方を倒し!ガンヴォルトの元へと馳せ参じるのみ!」

 

そしてイオタの剣を弾いた翼は叫ぶ。何度だって倒し、二度と立ち上がらぬ様に。ガンヴォルトと未来の元へと辿り着く為に。

 

そして再びイオタと翼は剣をぶつけ合った。

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