取り敢えず、今度こそ後少しで終わりそう。
戦局が変えれるかもしれない調の言葉。
そしてその可能性を持つ切歌。
調の言葉の真意は分からぬとも、こんな時に調が変な事をいうはずもない事を理解しているマリアと切歌。
だからこそ、切歌の一撃を食らわせる為にマリアと調が動く。
三人のエリーゼの放つクナイを、石化の光線を躱し、反撃のタイミング、そして切歌がの鎌をエリーゼ達に与える隙を作り上げようとする。
だが、それを何度も復活を続けたエリーゼ達はマリアと調の行動を予測しそれを阻害する。
倒しても記憶は引き継がれている。故に戦えば戦うほどその人物の戦いを理解しており、戦いが厳しいものになっている。
マリアと調はそれでもなお隙を生み出そうと奮闘する。
切歌もマリアと調の後に続き、その隙を見逃すまいと戦いを続ける。
調の言う可能性が何なのかを可能性ではなく絶対的なものへとしたいが為に。
そして三人の奮闘が身を結び、この中で唯一傀儡となりながらも奇声を上げる不気味なエリーゼに僅かな隙が生まれた。
傀儡となっても本能のまま人を殺そうとするエリーゼ2。その本能が傀儡となった他のエリーゼ達とのコンビネーションの足枷となった。
アシモフの命令を忠実に全うする二人。だが、ストラトス同様に、その狂気が、本能がそれを阻害して隙を見せた。
その隙を風穴を開けるように、大きくしようとするマリアと調。
「今よ!切歌!」
「切ちゃん!」
そう叫び、調がエリーゼ1へとマリアがエリーゼ3へと向かい、突き放す。
そして開かれたエリーゼ2への道。だが、それでもエリーゼ2は他と離されても意に返すことなく、目の前から遠ざかる二人ではなく、切歌へと石化の光線を放ち、それと共にクナイを投げる。
光線を躱し、クナイを鎌で弾く切歌。そして大きく振りかぶった釜が、エリーゼ2の肉体を切り裂いた。
それと共に何度も見た能力者が爆発する光景。切歌はその瞬間に遠ざかり、調の言う可能性が、切歌のシンフォギアがこの限りなき戦いの切り札となる事が証明される。
そして訪れた転換期。
黒煙が晴れた先にはエリーゼ2の姿はなく、再びその姿を現すことはなかった。
切歌の持つ聖遺物。
イガリマ。
シュルシャガナ同様に、メソポタミア神話における戦いの神の振るったとされる二刃。
そして二刃に秘められた力。
シュルシャガナには肉体を切り刻む力を携え、イガリマには魂を切り刻む力を携えられていた。
魂を切り刻む力。それは
エリーゼの持つ
その力は魂を操り、無限の生命を紡ぐ
つまりこの
それが
そしてイガリマの持つ能力、魂を切り刻み消滅させる力。その力を持つ鎌に斬られたことにより魂は消滅する。
故に
「調の言う通りデス」
切歌は倒した能力者が復活しない事を確認してそう呟いた。
そしてそのまま今度は調が抑えるエリーゼ、エリーゼ1へと向かう。
そして調が抑えるエリーゼ1をエリーゼ2同様にその鎌で斬りつける。一撃で倒れなくとも、二対一。その切歌の一撃が起点となり、二人の猛攻にエリーゼ1耐え切れず、最後の切歌の一撃により倒される。
エリーゼ2同様に復活しないエリーゼ1。そして切歌と調は次にマリアが抑えるエリーゼ3へと向かう。
マリアと戦うエリーゼ3。そこに切歌と調の参戦。幾ら死に、復活しながら三人の戦い方を記憶していこうが、それはエリーゼが三人揃ってこそ対応出来るもの。
たった一人となったエリーゼ3はその三人の猛攻に耐えられる事は出来ず、マリア、切歌、調の攻撃で削られ、最後には切歌の一撃にエリーゼ3も遂には消滅してしまった。
「切歌のシンフォギア…
「ううん…
「私のイガリマに…私も知らなかったのに調はなんでそんな事を…ッ!?」
そして切歌は何か気が付いたのか少しバツの悪そうな表情を浮かべた。
「切ちゃんのせいじゃないよ…悪いのはアシモフ…」
その言葉にマリアもなんとなく察しが付き、そしてその力を調が知る理由も何となく理解した。
かつての切歌と調の戦闘。アシモフに操られた切歌に、調は斬られ、調は死の淵にたった。
イガリマの力で調が消えそうになった。それを救ったのがフィーネ。故にその力を調が理解している事を悟った。
「…」
理由を察して沈黙が流れる。だが、その沈黙などしている時間はないと三人は理解している。
だが、それでも、意図せずな事にしろ、調を救い、この状況を変えるキッカケを与えたフィーネに感謝する。
その想いが強い調はマリアと切歌に言った。
「早く終わらせよう。こんな戦いをみんなで…そしてフィーネから託された願いを見届ける為に」
フィーネの望みを見届けると誓った調。だからこんな所でその願いを潰える事を良しとしない。だからこそ、そう言った。
その言葉にマリアも切歌も頷く。
そしてその他の能力者達のいる場所へと向けて三人は空を駆ける。
まずは近くにいる奏。ストラトスを何度も屠っているが、エリーゼ達に手こずっていたと同様に、倒しても倒しても復活するストラトスと奏は戦い続けていた。
「隙を作れ!切歌のシンフォギアならこの戦いを終わらせられる!」
横からストラトスへと攻撃を加えたマリアが奏に叫ぶ。
「相手していた能力者をどうにか出来たのか!?」
奏は急な援軍に驚きそう言った。
だが、マリアの他に、切歌調も辿り着いた為、それを理解した奏はストラトスから無限に生み出される黒い粒子を吹き飛ばす大きな一撃を放つ。
まさに嵐と形容出来そうな一撃。
その一撃で黒い粒子はその一撃による風の刃に切り刻まれ、そしてその一撃はストラトスをも巻き込もうとする。
だが、ストラトスも何度も喰らうわけもなく、飛んでその一撃から逃れようとする。
だが、その飛び退いた方向は悪手。
既にそれを予測していた調が、ストラトスの鎧へと丸鋸で襲い掛かる。
不意打ち気味の攻撃にストラトスの鎧の一部が砕ける。
だが、それでもストラトスは新たな獲物を目にしてそんな事気にする様子もなく調を喰らおうと黒い粒子を生み出そうとした。
だが、
「そんな事させるわけないデス!」
切歌がストラトスの横から鎌を振り下ろし、それをさせなかった。
魂を切り刻むイガリマの一撃。蓄積されたダメージが限界を迎え、ストラトスの内側から命を散らすように爆発した。
その前に切歌と共に離れた切歌と調。
そして爆発し黒煙を撒き散らしたストラトス。もちろん、まだ完全には警戒を解かない。
そして黒煙が晴れてストラトスが復活していない事を確認した二人は奏とマリアの元へ向かう。
「何がどうなっている?復活の限界が来たのか?」
奏が何度も復活していたストラトスが消えた事で三人へとそう聞いた。
「いいえ、あの力に限界は無いと思う。だけど限界が来なくとも、その
「その
「魂デス。
マリアが奏に伝え、その何かを聞いた奏の質問に切歌が答えた。
「魂を操る
「違う。アシモフが持っていたあの弾…あれはガンヴォルトの
調が奏へとそう言った。
なんでそんな力があるのか?何故それを切歌ではなく調が知っているのか?
奏は深く聞かなかった。
理由はもちろん、今その説明に時間を費やしているわけにはいかないから。
「その理由は後で聞く。その力をこの目で見た。だったら、ガンヴォルトを助ける為に、その力で翼、クリス、響を助けて総力戦でアシモフを叩く!」
奏の言葉に全員が頷き、各個撃破ではなく、総力で他の
まずは翼。
イオタという、光の速さをいち早く倒すと考えた奏が、マリア達と共に向かう。
ピンチでは無いが、攻めあぐねる翼。光の速さとの戦闘でかなり精神を疲弊している。
だが、それでも喰らい付き何度も倒していた翼。
イオタとの鍔迫り合いをする中、背後からイオタへと奏が斬りかかる。
「ッ!?」
イオタはそんな奏の存在に気付いたのか、直様翼との鍔迫り合いをやめ、光となって姿を消した。
「大丈夫か!翼!」
「奏!?奏の相手していた能力者は!?」
翼は突然の援軍である奏に驚き、そう聞くが、今はそんな事している場合では無いと光となって消えたイオタの場所を把握する。
驚きはあるが、ここで来た援軍。奏と共にイオタを倒そうとする。
「翼、あいつを今度こそ倒すぞ」
「まさか…出来るの?」
「切歌のシンフォギアならね」
「切ちゃんのイガリマならこの終わりが見えない戦いに終止符を打てる」
「調が…フィーネが教えてくれたこの力…イガリマの力でセレナ達をみんなで助けに行くデス!」
そして後から現れたマリア、切歌、調。奏の他にも来たと言う事は四人が対峙した能力者は復活していないと言う事。それを理解した翼は頷き、光速で動くイオタとの戦闘に慣れた翼が、先導し、離れた所に姿を現したイオタへと駆け出す。
五対一。
戦力差が大きく開いた。
他の能力者達と比べて、多対一でもビットを使い、善戦したイオタ。
だが、やはり数の暴力、そして強化された装者達の猛攻に手数が足らず、ビットを破壊されて無防備にさせられた。
そして切歌の一撃にイオタも、エリーゼやストラトスのように倒された。
爆発して黒煙を撒き散らす。だが、その場には復活する事はなく姿を現す事はない。
「まさか…本当に…」
奏の時同様に、復活しない事に驚きを隠せない。だが、戦況は変わる。
「行こう。響とクリスを助けて今度こそガンヴォルトと一緒にアシモフを終わらせに。シアン達を救いに」
その言葉に全員が頷く。
そしてクリスの元へ全員で向かう。
クリスも奏や翼と同様の反応。だが、他の二人同様に、理由を聞かなくても、何があったかは理解出来ている。
他の装者がここにいる理由なんて他ならない。復活する能力者をどうにかした。
だからクリスは直様に動く。それと同時に、奏と翼、マリアに切歌に調。六人が一斉にデイトナへと向かう。
だが、全員で攻撃を仕掛けるが、エリーゼ達やストラトス、イオタとは違った。
本能のみで戦うストラトスやエリーゼ2、そして数で押せたイオタやエリーゼ1、エリーゼ3。だが、デイトナは違う。
身体に纏う炎、そのあまりにも凄まじい熱気に近づけないでいた。
光を操るイオタ、物質を喰らう黒い粒子を生み出すストラトス、石化とクナイを使うエリーゼ。
その三人とは違い、その身を凄まじい熱気と言う不可侵の領域を自分の周りに作り出している。強化されたシンフォギアですら防げない熱気。
遠距離も行けない事はないのだが、刃のエネルギーだけでは簡単に攻め落とせない牙城。
だが、それを攻め落とし続けていたクリス。他の装者とは違い、遠距離と言う武装を持つ故にそれを為していた。
だからこそ、クリスが主軸となってデイトナと対峙する。
遠距離からの攻撃。それをより強力にする為にクリス以外が付かず離れずで攻撃に専念する。
近づけなくとも、手段はある。
エネルギーの刃をそれぞれが振るう。
だが、その一撃はデイトナの纏う熱気に衝突し、威力を下げられる、もしくは速度を失い、避けられる。
有効打にはならない。
このままではデイトナに切歌の一撃を叩き込めない。
しかし、それでも隙を作る為にデイトナを倒しにかかる。
だが、デイトナも簡単に通すわけもない。その身に纏う強力な熱気を更に吹き出し、装者達を倒す為に奮闘する。
身に纏う熱気に耐えながら、ただデイトナを倒す為に。
苦戦しながらも、なんとかクリス以外の装者達で隙を作る。
そしてようやく生まれた隙。苛烈なる攻撃が生んだ、ほんの些細な綻び。
「その隙は見逃さなねぇぞ!今度こそ果てろ!」
そんなチャンスを見逃すはずも無く、クリスが構えたライフルを放つ。常に補足していたデイトナ。
イオタの
しかし、放ったエネルギー弾の威力は劣らない。
デイトナの生み出した不可侵の領域を乗り越える弾。乗り越えた先のデイトナの腹に見事命中し、鎧を砕く。
それと共に、能力者達が消え去る際に見せる黒煙を伴う爆発。
その瞬間に、装者達は一斉に黒煙へと向かう。
狙いはもちろん復活したデイトナ。
デイトナが一度消えた事による熱気の消失。再びそれを纏う前に、装者達はデイトナを今度こそ終わらせる為に駆けた。
そして黒煙の中へと飛び込み、奏が風圧で黒煙を吹き飛ばす。
そこにいた未だ復活してすぐのデイトナ。
そんな状態のデイトナに向けて装者達は熱気を纏う前に強襲を仕掛けた。
デイトナも復活してすぐそばの攻撃。その苛烈な攻撃に耐える事は出来ない。
そして切歌のイガリマによる一撃。
その一撃で再びの爆発。
それにより黒煙が上がる。だが、そこにはデイトナの姿はもう無かった。
残る能力者はメラク。
それを倒して終わり、ガンヴォルトと未来の元へ救援に向かう。
装者達は空を駆ける。
残るメラクと対峙する響。
その場へと辿り着いた装者達。
メラクと対峙する響はメラクを一度も倒しておらず、椅子だけを執拗に狙い、倒し続けていた。
特殊な椅子がなければ攻撃手段を持たないメラク。何度復活してもすぐに椅子は御釈迦になるために、響と一方的な展開となっていた。
故に、倒すのも容易かった。
「みんな!?」
突然の救援に、驚く響。
だが、復活しないメラク、椅子に何が何だか分かっていないが、復活しないところを見るに倒されたという事はなんと無く理解出来た。そしてそれと共にどこか悲しそうな表情を浮かべでいた。
「…本当に…これで良かったの…」
それはメラクに対して、そして復活した能力者に対して響きが思った事。
復活しない。そして消えた事。それはつまり、その能力者達を手に掛けた事。それが響にしこりを残していた。
その言葉の意味になんと無く察した誰もが、言葉を言い淀む。
確かに、響の言う通り、倒したと言う事はその能力者を殺した事になる。つまりはこの手で自分達が人を殺めたと言う事なのだから。
だが、マリアはそんな響に向けて言った。
「これでいい…何名かは本能という意識はあったにしろまともなものでは無かった…戻る可能性もあるかもしれなかった…でも、それで戻る可能性に賭けて戦って…永遠にも近い時間をかければどうなる?世界が滅ぶかもしれない…起こした奇跡が奇跡ではなくなるかもしれない」
「…でも…」
「立花、貴方の気持ちは分かる。だが、そうでもしなければならない理由がこちらにもあるんだ」
翼が響に向けてそう言った。
確かにそうでしなければマリアの言う様に洗脳が解けるまで永遠と戦わなければならなかっただろう。だが、此方にもリミットがある。
未来というシアンとセレナを救える響の大切な親友。未来にはリミットがある。だからこそ、翼の言う通りだと理解している。
大切な親友の命。そしてシアンというかけがえのない友達。そしてマリアの妹であるセレナ。
救わなければならない人達。
「すみません…みなさん…分かっていたんですけど…どうしてもそんな可能性が捨てきれませんでした…でも…そうでもしないと未来が危ない…シアンちゃんが…セレナちゃんが助からないかもしれない…自分の甘さを捨てきれませんでした…」
響はそう言った。
「それが響の良いところだ。だからそんな顔するな。でも、こうでもしなきゃならなかった…ガンヴォルトをかつて苦しめた奴らだ。どっちにしろ、救えたとしても争いは避けられない」
奏がそう言った。
奏の言う通り、かつてガンヴォルトと敵対していた能力者達。故にもし洗脳が解けたとしても、ガンヴォルトというかつて戦い、敗北している者を許さない能力者もいるだろう。
だからこうするしか無かったと奏は言う。
「はい…」
響も少しだけしこりを残しながらも仕方なかったと納得するしか無かった。救える命と救えない命。平等に助けようとしてもこぼれ落ちるものがある。
非情になるしかないのだ。
「だから、行こう。ガンヴォルトを、未来を助けに」
奏がそう言った。
「そうですね…この戦いが終わらなければ悩むことすら出来ない…納得する答えも得られない…」
響はそう言った。
この戦いを勝利しなければ、何も出せないのだから。この気持ちの整理もつかせることも出来ないのだから。
だから響はその気持ちを抑えて言う。
「終わらせましょう。みんなで。帰りましょう。みんなが待つ場所に」
そして装者達はある方向へと空を駆けて向かう。
激しい雷撃がぶつかり合い、死んだ能力者達の
最後の戦場へと向けて装者達は飛翔するのであった。