戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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142GVOLT

激しく迸る雷撃がぶつかり合う。

 

「ガンヴォルトさん!」

 

「大丈夫だ!未来はシアンとセレナを助けるのに集中して!」

 

ボクはそう叫んだ。

 

アシモフと何度も雷撃をぶつけ合い、七宝剣の第七波動(セブンス)を駆使するネフィリムからの攻撃を未来へと退かせない為に戦い続ける。

 

物理攻撃を防ぎ、向かいくる現象を未来を抱き抱え、躱す。

 

「貴様達が私に勝つ事は出来ない!電子の謡精(サイバーディーヴァ)と融合したセレナ・カデンツァヴナ・イヴ!私にこの者がいる限り、果てることの無い兵士(ソルジャー)が幾らでも湧いて出る!今装者達が抑えていようがいずれ限界は来る!生命輪廻(アンリミテッドアムニス)によってな!そして真なる雷霆に至った私が!貴様如きの蒼き雷霆(アームドブルー)に破られるわけがないのだよ!」

 

アシモフは苛烈な攻撃を続けながらそう叫んだ。

 

生命輪廻(アンリミテッドアムニス)による無限に蘇る七宝剣達。アシモフの真なる雷霆がボクの蒼き雷霆(アームドブルー)に負ける筈がないと。

 

確かに、生命輪廻(アンリミテッドアムニス)による蘇生。それがある限り、装者達は苦戦を強いられる。何より、ボクが装者達に任せた為に、装者達に殺人という罪を背負わせてしまう事になった。

 

アシモフと言う男を倒せなかったせいで。

 

だが、この戦いでボクの願いなど無謀なものでしかない。

 

それを為せなかった事が後悔でしかない。けれど今悔やんでも仕方がない。

 

今目の前の事に集中しなければならないのだから。

 

今度こそアシモフを殺す。そしてシアンとセレナを救う。ボク一人ではなくみんなの力で。

 

だからこそ何度も雷撃を纏い、アシモフとネフィリムへと立ち向かう。

 

ネフィリムの攻撃を躱し、アシモフの雷撃を弾き、避雷針(ダート)を撃ち、雷撃を流し込む為に。

 

何度でも繰り返す。

 

二つの世界を救う為に。もう一人の自分のいる世界を。装者達や二課、そして繋がりを持った人々を救う為に。

 

だが、アシモフと共にいるネフィリム。ボクの攻撃も未来の攻撃も全て躱し、阻み続ける。

 

ボクがネフィリムへと近づいたとしてもアシモフがそれを阻止し、離れれば更に離すようにネフィリムが追撃をし、その隙に未来が攻撃をすればその巨大に見合わない速度で攻撃を躱す。

 

避雷針(ダート)を撃ち込もうにも七宝剣の第七波動(セブンス)で弾いてしまう。

 

ボクのアンイクスプロードヴォルトとアシモフの真なる雷霆の出力は同等。だが、手数と手段に差があり、それを超えられない。

 

だとしても諦めるわけにはいかない。

 

目の前にシアン、そしてセレナ。殺すべき男であるアシモフがいるのだから。

 

だが、それでも超えられない。超えなければならないのだが、越えることが出来ない。

 

そしてボクは未来へと向かった攻撃を捌いてる最中、アシモフの接近を許してしまった。

 

「死ね、紛い者」

 

「ッ!?」

 

振るわれる雷撃の一撃。ボクは未来の盾となりながら、それを喰らってしまった。

 

「ガンヴォルトさん!」

 

未来は自身の代わりにダメージを負った事に叫ばずには居られなかった。

 

「自分の心配もしたらどうだ?」

 

そんな叫ぶ未来の背後には既にアシモフが移動して雷撃を纏う拳を未来に振るう。

 

だが、未来に振るわれた拳は同等の雷撃を纏うボクが腕を入れて防ぐ。

 

激しく迸る雷撃。

 

「させるわけないだろう、アシモフ」

 

ボクはダメージを受けながらもなんとか防ぎアシモフへとそう言った。

 

しかし、

 

「グッ!?」

 

背後から襲いくる強烈な熱気と殴打された衝撃。

 

それによって吹き飛ばされた。

 

そして空中で未来とと共に吹き飛ばされながらも体勢を立て直した。

 

元の場所にあるのはもちろんネフィリムの巨大な拳。その拳に纏う爆炎(エクスプロージョン)の炎で攻撃したのだ。

 

「未来…無事かい…」

 

痛みを堪え、受けたダメージを回復させながら未来へとそう問う。

 

「私が…私が足手纏いだから…」

 

しかし、未来は自身の無事よりもボクが全て受けてしまった事にショックを受けている。

 

「君は足手纏いじゃない!しっかりするんだ!シアンを救うんだろう!セレナを救うんだろう!みんなで世界を救うんだろう!」

 

ボクはそんな未来の目を見てそう叱責する。

 

この戦いにおいて傷付いてしまうのは仕方がない事。それ程までにアシモフとネフィリムは危険なのだ。

 

「だからボクの心配はしなくていい!ボクはこのくらい死なない!死にはしない!絶対に!ボクはここで死なない!だからボクの傷なんて構わなくていい!このくらいの傷はすぐに消える!未来は未来にしか出来ない事を全うするんだ!」

 

だから厳しいだろうがボクは未来に言う。これ程傷付いても自分の役目を果たせと。

 

その叱責に正気に戻ったのか、未来は頷く。

 

だが、

 

「死にはしない?いいや、貴様は死ぬ。私が殺すからな」

 

だが、その叱責の時間にアシモフはボクと未来の元へと既に辿り着いており、再び雷撃を纏う足を掲げ、ボクに振り下ろす。

 

ボクは腕を交錯させて防ぎ、自分の足元に強力な力場を作り、押し返す。

 

だが、アシモフはその反動を利用してボクから離れるとその離れた瞬間、巨大な光線がボクと未来に向けて放たれていた。

 

未来を引いてそれを躱し、その光線を放たれた方向に未来へ行くように伝えた。

 

そしてボクは再びアシモフの元へと向かう。

 

体勢を立て直していたアシモフはそれを見てボクへと接近する。

 

何度目かも分からない雷撃を纏う腕のぶつかり合い。

 

「絶対にボクは貴方に殺されない!ボクが貴方を殺す!殺してみせる!」

 

「喚くな!何度も何度も出来ない事を!貴様如き紛い者に!私が殺されるか!」

 

同様のボクとアシモフの互いへと行う殺害宣言。

 

そして再びボクとアシモフの激しい攻防が始まる。

 

強力な雷撃を纏う拳、脚、放出される雷撃に、放たれる弾丸と避雷針(ダート)

 

拳を捌き、ぶつけ、蹴りを受け、躱し、放たれる雷撃を雷撃で撃ち落とし、弾丸を掠めながらも躱し、避雷針(ダート)を掠めながらも躱す。

 

一進一退の攻防。

 

傷付こうが、そんな事気にするまもなく塞がっていく。

 

互いの力を最大限に使い、殺す為に交差し続ける。

 

装者達の歌うシアンの歌。それによりアンイクスプロードヴォルトが更なる未踏へと踏み込み、強化された蒼き雷霆(アームドブルー)。ネフィリムを取り込み、ネフィリムを抑え込み、適合した事により高められ、進化した蒼き雷霆(アームドブルー)の更に上とアシモフが言う真なる雷霆。

 

無限の可能性を持ち、最強と呼ばれた第七波動(セブンス)である蒼き雷霆(アームドブルー)。同じ第七波動(セブンス)でありながら、異なる高みへと至った。

 

その頂上決戦というべき戦い。

 

かつての紫電との戦いにも引けを取らない戦闘は続く。

 

しかし、その長らく続くと思われる戦闘はある出来事によって覆される。

 

「ッ!?」

 

突如何かを感じ取ったのか、アシモフの表情が変わる。

 

その表情はあり得ない。そんなことあるはずがないと言った表情。だが、そんな僅か隙にボクは避雷針(ダート)をアシモフに向けて放つ。

 

だが、アシモフはこの程度の事は隙ではなかったようで、避雷針(ダート)を躱す。

 

そこからボクは追撃とばかりにアシモフへと接近して再び近接戦へと持ち込む。

 

勿論、アシモフはボクの攻撃を躱し、弾き、受け流し流していく。互いの一撃では殺せないであろうが、連続して喰らえばタダですまない攻撃を捌き続ける。

 

だが、アシモフの表情は驚きから何が起きているのか分からないと言った風の表情から変わらない。

 

何が起きているかはボクも分からない。だが、アシモフのこれまで見たことの無い表情。

 

戦況が傾く気がした。勿論、ボク達が勝つ方に。

 

だから攻める手が更に速度を上げる。

 

防がれても、捌かれても、逸らされても速度を落とさない。それ以上の速度が出せなくても、更に速度を上げる様に攻撃の手を早めていく。

 

その攻撃はまさに電光石火。絶え間無い攻撃にやがてアシモフはどんどん追い詰めていく。

 

驚きと苛立ちの合わさった表情。

 

だが、そんな苛烈な攻撃をアシモフは雷撃鱗を展開して無理矢理ボクを突き放した。

 

「チッ!何が起きている…何故生命輪廻(アンリミテッドアムニス)の力が作用していない!」

 

そんな時、アシモフがそう叫んだ。

 

あの苛立ち、表情、(ブラフ)では無いだろう。

 

装者達が対峙した七宝剣の能力者達。それを何とかしたのだ。

 

生命輪廻(アンリミドアムニス)の力によって何度死んでも生き返り、立ち塞がった能力者達。

 

それをどうにかする方法はあるにはある。何度も言ったが、能力者達にとって天敵になり、実際にそれにより不死の能力者を殺す事に成功している強欲なる簒奪者(グリードスナッチャー)

 

だが、それはアシモフが使っていない為、隠し持っていないとも限らないが、重要な局面にも使わなかった為、もうこの世界には現存しない。

 

故にそれ以外の方法でどうにかしたのだろう。

 

その方法は詳しくは分からない。しかし、それを聞いてボクは戦況が傾きがどちらへ傾いたか感じ取った。

 

こちらの勝利へと。

 

だが、まだ傾いただけだ。

 

その傾きはまだ不安定。その片方にいるアシモフとネフィリム。この二つが完全に消滅しない限り、完全に勝利を確定出来ない。まだ何か隠しているのならば、傾きは再び水平へと戻ってしまう。

 

しかし、そんな事はさせない。

 

それと同じ様に、七つの光が未来が戦うネフィリムへと向けて飛んでいくのが見えた。それを見たアシモフはより驚きは消え、憎悪の表情を露わにする。

 

「巫山戯るな…私は能力者達の頂点(ゼニス)…真なる雷霆だ…こんな事があるわけが無い!無能力者如きにこの様な事態起こるはずがない!」

 

それは信じられないという否定。だが、アシモフが叫ぼうがその事実は変わらない。否定しようが、ネフィリムから力を借り受けて使っているのだろうか分からないが、変化は見られない。

 

だからそんなアシモフへとボクは避雷針(ダート)を放ちながら接近する。

 

「どれだけ叫んでも何も起こらない!それはあの子達はやり遂げたからだ!貴方の蘇らせた七宝剣を蘇生出来ない様に倒した!もう貴方の兵は存在しない!いい加減に終わりにしよう!アシモフ!」

 

アシモフは避雷針(ダート)を躱しながらもそう叫んだボクへと視線を向けてその怒りの矛先を向けた。

 

「たったそれだけの事で勝ちだと思い込むなよ!紛い者の分際で!何度も敗北した者の分際で!私の前で勝ち誇るな!勝ちを気取るな!」

 

「いいや!ボクが!ボク達が勝って終わる!貴方の思い通りになんかにはさせない!」

 

そして再びアシモフがボクがぶつかった。

 

しかし、

 

「ッ!?」

 

ぶつけた直後、脳に響く様な危険信号。ボクは素早く腕を離し、後方へと大きく距離を取ると、その瞬間に目の前が業火に染められた。

 

それと同時に業火を貫き、現れた光線。

 

見覚えのある現象の攻撃。それは第七波動(セブンス)の力であり、デイトナ、イオタの力。

 

「ッ!ここまで使えないと隠していたのか!」

 

突然使われた第七波動(セブンス)。先程までに使わなかった為に不意を突かれる形となる。

 

そして背後に感じる殺意。

 

ボクは振り向き様に裏拳を放ち、それを防ごうとする。

 

だが、

 

それと共に、放たれた石化の光線。

 

それに気付いたものの振るわれた裏拳を軌道を逸らす事しか出来ず、その光線に触れてしまう。

 

直後、物凄い脱力感がボクに襲い掛かる。

 

石化の光線によって起こされた蒼き雷霆(アームドブルー)の強制的な能力の弱体化。

 

そしてその石化の光線の先、亜空孔(ワームホール)を開き、そこから拳を弾丸を放つアシモフの姿。

 

「チャージングアップ!」

 

脳天へと向けて放たれた弾丸。それよりも早く言葉を紡いで使った(スキル)

 

ボクの皮一枚を弾丸が穿ちながらも、チャージングアップによって弱体化を解除した瞬間に展開した雷撃鱗により、弾丸が消失する。

 

「貴方に殺される訳には行かないんだ!こんなの何度でも乗り切る!」

 

ボクは開いた亜空孔(ワームホール)から姿を現したものアシモフに向けてそう言った。

 

だが、それと同時に、何とも言えない違和感に襲われた。

 

殺すなら一撃ではなく複数の攻撃を入れて来るはず。なのに、たった一撃、そして雷撃鱗を突破する筈の銃弾が一瞬で蒸発。

 

今の力であればそれは可能であるが、どうにも違和感が拭えない。

 

そしてそれを確信させる物。それは現れたアシモフの行動。怒りを撒き散らしながら攻撃をしていたアシモフ。それを今になってただボクの殺害を全うするかの様に、命令された動きを遂行しようとする動作。

 

「まさか!?」

 

そしてボクはある予想が浮かび、アシモフへと接近する。勿論アシモフも抵抗するが、その雷撃は先程と比べ遥かに弱い。

 

それがボクの予想を確信させる。

 

そんな弱い雷撃を放つアシモフをボクは一瞬でその雷撃を掻い潜り、自身の雷撃を込めた拳を振り抜く。

 

だが、ボクはそんなアシモフに目をくれず、空を駆ける。向かうのは装者達が対峙するネフィリムの元。

 

そこにアシモフが居ると確信しているから。

 

先程のアシモフ。あれはアシモフが生み出した電影招雷(シャドウストライク)の分身体。

 

本物では無い。

 

ならば消えたアシモフが何をするかなど決まっている。

 

だからこそ、ボクは空を駆け、ネフィリムと対峙する装者達の元へと全力で駆けるのだった。

 

◇◇◇◇◇◇

 

ネフィリムと対峙する未来。

 

先程と違い、アシモフという守りがなくなったネフィリム。だが、アシモフが居なくともネフィリムには力がある。未来という障害を排除出来るほどの力が。

 

一方未来もガンヴォルトという守ってくれる人はアシモフの足止めの為にこの場には居ない。

 

だが、それで未来とネフィリムには戦力というにはあまりにも差が開いていた。

 

未来にない経験と力をネフィリムは有している。負け続けていたが、かなり濃密な戦闘の経験、そして七宝剣の第七波動(セブンス)

 

そしてアシモフによって取り込まれ新生した新たなる肉体。そして電子の謡精(サイバーディーヴァ)と融合したセレナを取り込み、アシモフを除き、自身が最強と呼べる力を手に入れている。

 

そんな力の差があるが、未来はネフィリムと対峙する。

 

あまりにも無謀。先程までガンヴォルトに守られていたから無事でいられた。そんな力の差が歴然だというのに死ぬ気かと思われる様な行動。

 

だが、未来は死ぬ気など毛頭ない。そしてそんな力の差があろうと未来には諦めるという選択肢はなかった。

 

もう怖がらない。みんなと共にこの戦いを終わらせたい。

 

そしてガンヴォルトに託されたこの戦いで自分自身の役割を必ず果たす。それを守る為に恐怖を乗り越えて未来はこの場にいる。

 

何より、自分にしか出来ない事があると分かっている。ネフィリムに飲み込まれているシアンとセレナ。この二人を本当の意味で無事に救える可能性があるのは自分だけなのだ。

 

だからもう引かない。逃げない。

 

神獣鏡(シェンショウジン)のシンフォギアで二人を救い出す。

 

そうしてネフィリムと未来。互いの能力を発揮させてぶつかり合う。

 

火球を撃ち出し、未来はそれを躱す。そして残光(ライトスピード)のレーザーに対して未来は自身の周囲にビット型の鏡を出現させてそれを反射させる。

 

光を操る第七波動(セブンス)であるが故に取れる戦法。だが、未来の場合は反射に加え、その光にも分解の力を含ませる。

 

本来のLiNKERのみの神獣鏡(シェンショウジン)のシンフォギアではここまで出来ない。だが、シアンの歌により、神獣鏡(シェンショウジン)もエクスドライブとは異なる決戦兵装、ソングオブディーヴァ・クロスドライブを纏っている。

 

故にその力は強大であり、それを自動的に付与させる程の力を持っている。

 

そしてその攻撃を脅威と察したネフィリムはその巨体に見合わぬ速度で自身へと帰ってきた光線を躱す。

 

だが、その光線を躱しても、更に未来はネフィリムに向けて神獣鏡(シェンショウジン)の本来の力の光線を放つ。

 

まさにレーザーの雨。

 

その一つ一つが、ネフィリムにとって致命傷となる一撃のレーザーを未来は放ち続けた。

 

だが、その攻撃はネフィリムには当たらない。

 

雨と形容出来るほどの弾幕であろうと、ネフィリムは躱し、そして亜空孔(ワームホール)を使い、逆にその弾幕を相殺していく。

 

そして更に光を使う攻撃が不可能と判断したネフィリムはそれ以外の第七波動(セブンス)を使う。

 

爆炎(エクスプロージョン)翅蟲(ザ・フライ)。ネフィリムには光線を放てなかろうが攻撃手段はまだ残っている。

 

故に、光線を放つ未来に見えぬ様、自身の巨大なの背後から翅蟲(ザ・フライ)の能力である黒い粒子を生み出し、亜空孔(ワームホール)を開くとその中へと

流し込んでいく。

 

勿論行く先は未来の背後。気付かれぬ様に小さく。

 

そして未来へと黒い粒子が放たれた瞬間。

 

「ハァ!」

 

未来はそれを見向きもせずに、逆に利用して光線をその小さな穴へと向けて放った。

 

その行動にネフィリムは驚きつつも、自身の背後に開けた穴から飛び出してきた光線を躱した。

 

何故気付かれた?何故見てもいないのにバレた?

 

ネフィリムはそう考えた。そしてネフィリムは気付いた。

 

未来の周囲に浮かぶ鏡型のビット。

 

光線をこちらに放ち続けるビット以外の鏡が展開された配置。

 

それは未来の位置から死角を消す様に鏡が配置されていた。つまり、背後の攻撃。未来は鏡によってそれを察していたのだ。

 

力の差がありながらも未来は考えていた。負けてならない故に、どんな攻撃も事前に察知出来るように。

 

それがネフィリムの思惑を打ち破ったのだ。

 

だが、それが何だと言うのだとばかりにネフィリムは咆哮のような叫びを上げる。

 

そんな物で勝ったつもりか?とばかりに。

 

第七波動(セブンス)の不意打ちが効かないのであれば、真正面で。

 

その巨体を使い、未来を破壊しようと接近し始めた。

 

勿論、未来も攻撃をして近づけない様にする。

 

だが、未来の光線を悉く亜空孔(ワームホール)によってあらぬ方向へと逸らされ、未来とネフィリムの距離はすぐにネフィリムの攻撃範囲に入ってしまう。

 

そこから未来へと向けて振るわれる巨大な拳。膨大な熱量とその巨体に見合う威力を持つ拳。

 

死という概念が目に見える。未来もその一撃に恐怖する。

 

だが、

 

「ハァ!」

 

その振るわれた拳は何者かによって阻まれる。

 

「未来には指一本触れさせない!」

 

そう。それは七宝剣の能力者を破り、この場へと誰よりも先に辿り着いた響であった。

 

「響!」

 

その救援に未来が響の名を叫ぶ。

 

「響だけじゃない、私達もいる!」

 

その声を聞き振り返ると響だけではなく、奏、翼、クリス、マリア、切歌、調の姿もあった。

 

「みんな!」

 

「後はネフィリム!アシモフだけだ!小日向!シアンを救う為に手を貸す!」

 

翼がそう叫んだ。

 

「あいつらはもういない!だからここも終わらせて残りをアシモフだけにするぞ!」

 

クリスも未来へと向けてそう言った。

 

電子の謡精(サイバーディーヴァ)だけじゃない!セレナも一緒に救う!」

 

「もうそろそろ終わらせるデス!」

 

「うん!みんなで一緒に帰るんだ!」

 

そして近くに来たマリア、切歌、調もそう言った。

 

集まった装者。一人では難しい救出の可能性が高まった。

 

「はい!シアンちゃんとセレナちゃん!二人を必ず救い出してみんなで帰りましょう!」

 

その救援に更に鼓舞された心のままの言葉を叫ぶ未来。

 

そしてネフィリムへと装者全員で戦いに入る。未来を守る為、未来の一撃を確実に入れる為にネフィリムへと向かう、装者達。

 

これで終わらせられる。

 

そう思った。

 

だが、

 

「やらせるわけにはいかない!私の計画の邪魔をする者!そして最も障害となる貴様を初めに消去(デリート)だ!」

 

その言葉と共に未来の背後に亜空孔(ワームホール)が現れ、ガンヴォルトと戦っている筈のアシモフが現れた。

 

完全なる意識の外からの攻撃。

 

誰もがネフィリムへと向かい、未来の救援が間に合わない。

 

「未来!?」

 

その瞬間に響は止まり、叫ぶがアシモフの攻撃をどうにかする事など出来ない。

 

未来に振るわれる一撃。

 

その一撃で全てがひっくり返る。

 

アシモフの思い通りになってしまう。そう思わざるを得ない瞬間。

 

「何度も言わせるな!アシモフ!この子達を殺させはしない!」

 

雷の様な速さでアシモフと未来の間に割り込み、アシモフの攻撃を防ぐ装者達にとっての希望であるガンヴォルト。

 

「貴様ァ!」

 

現れたガンヴォルトはアシモフの攻撃を防ぎ、アシモフはそれにより、怒りを露わにして叫んだ。

 

そして弾かれるように亜空孔(ワームホール)へと再び消えるアシモフ。

 

ガンヴォルトは未来を守る様に近くに浮遊する。そして装者達がネフィリムへと接近するのをやめ、一度全員が未来とガンヴォルトの周囲に集まる。

 

そしてそのすぐ後に、アシモフもネフィリムの前に姿を現した。

 

「いい加減にしろ!貴様達の所為でどこまで私が怒りを覚えていると思っている!もうこれで終わらせる!真なる雷霆の!能力者の頂点(ゼニス)となった私の手で!」

 

「終わらせない!絶対に!貴方の思い通りになんてさせるものか!」

 

その言葉にガンヴォルトがアシモフへとそう叫んだ。

 

そしてその瞬間、ガンヴォルトと装者、そしてアシモフとネフィリム。

 

これが最後であるとばかりに、この場の全員から凄まじい力の奔流が吹き溢れるのであった。

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