戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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143GVOLT

対峙するボクを含めた装者達、アシモフとネフィリム。

 

睨み合う中、ボク達とアシモフとネフィリムとの間には互いから溢れ出る力が激しくぶつかり合っている。

 

そして初めに動き始めた、いや言葉を紡いだのはアシモフ。

 

「真なる雷霆と頂点(ゼニス)が示す破滅の波動!集いし波動が導く崩壊!今ここに黙示録を体現した波動をさししめさん!」

 

それは(スキル)を放つ為の詠唱。その言葉に紡がれると同時にアシモフとネフィリムから溢れ出る波動の奔流。

 

荒々しく、そしてボク達に対する憎悪が現れる様な波動。

 

殺意の塊の波動が鎖となり、それがアシモフとネフィリムの周りに絡まり始め、二つの存在を絡めて隠してしまう。そして七宝剣の第七波動(セブンス)達が現れ、それが鎖へと吸収されていく。

 

雷が、光が、火が、黒い粒子が、無理やり生み出されようとする存在しない生命の悲鳴が、無限に連なる穴が合わさって鎖へと吸収され、そして鎖が砕かれると共に再びアシモフとネフィリムが姿を表す。

 

アシモフとネフィリムには姿に変化はない。

 

だが、その後方。巨大な幾何学な模様が虚空に正七角形頂点に配置される様に描かれていた。

 

それが何を意味をしているかは分からない。だが、その幾何学な模様の中に見た事のあるものが二つ存在した。

 

それは蒼き雷霆(アームドブルー)を解析した結果に見た蒼き雷霆(アームドブルー)のアウフヴァッヘン波形。そして蒼き雷霆(アームドブルー)に合わさっていた様に存在していたシアンの電子の謡精(サイバーディーヴァ)のアウフヴァッヘン波形。

 

その意匠がネフィリムの背後に浮かび上がっていた。

 

となればそれ以外の幾何学な模様の正体も第七波動(セブンス)が持つアウフヴァッヘン波形。亜空孔(ワームホール)爆炎(エクスプロージョン)残光(ライトスピード)翅蟲(ザ・フライ)生命輪廻(アンリミテッドアムニス)、その第七波動(セブンス)が出しているアウフヴァッヘン波形だろう。

 

蒼き雷霆(アームドブルー)電子の謡精(サイバーディーヴァ)以外の幾何学な模様がそれを示していると思われる。

 

何故ネフィリムの背後にアウフヴァッヘン波形が現れたのか?これがアシモフの生み出したスペシャルスキルなのか?

 

「迸り、その威光を示せ!頂点と真なる雷霆よ(ゼニスアンドアームドブルー)!セプタクル・デッドエンド!」

 

そして放つスペシャルスキルの名前。七つの終焉の意味を持つスキル名。第七波動(セブンス)、そしてアシモフとネフィリム。それぞれが持ち、取り込んでいる能力。その力を、威光として、終焉を迎える為につけられた名前だろう。

 

そして波形が、爆炎(エクスプロージョン)残光(ライトスピード)と思われる波形が光と共にその力がボク達に終わりを告げる様な光景が目の前に顕現する。

 

それは地獄を体現するかの様な業火と、光線の雨。元の世界で放たれたのならばかなりの被害を及ぼしてかねない程の力。

 

爆炎(エクスプロージョン)残光(ライトスピード)、そして電子の謡精(サイバーディーヴァ)の模様が強く光を放つと出現した。

 

それを前にするボク達。だが、その顔に絶望も恐怖もありはしない。

 

「何が破滅だ…何が崩壊だ…絶対に終わらせない…終わらせるもんか!」

 

そんな中響が叫ぶ。

 

「絶対に負けない!絶対に終わらせない!」

 

それに続いて未来も。

 

「当たり前だ!あの外道にこれ以上好き勝手されてたまるか!」

 

奏も。

 

「そうだとも!それにこれ以上アシモフによってシアンを苦しい目に合わせてなるものか!」

 

翼も。

 

「んな事わかってる!だからぶち破るぞ!」

 

クリスも。

 

「それにセレナをこれ以上苦しませる訳には行かない!絶対にセレナを取り戻す!」

 

マリアも。

 

「マリアや他のみんながこう言っているのに弱音なんて言えないデス!今の私達なら出来るデス!」

 

切歌も。

 

「絶対に破る!私達なら必ず破れる!だからそのまま救おう!電子の謡精(サイバーディーヴァ)を!セレナを!」

 

調も。

 

誰もがそんな光景を生み出すスペシャルスキルを見てもそう叫んだ。

 

勿論、ボクも同じ気持ちだ。

 

終わってたまるか。負けてなるものか。シアンを、セレナを助ける為に来て敗北などしてたまるものか。

 

だからボクも叫ぶ。

 

「アシモフ!何度も言う様に貴方の願う未来は訪れない!」

 

そして、

 

「迸れ!蒼き雷霆よ(アームドブルー)!終焉の訪れを告げようとも、歌姫(装者)達の歌声と|蒼き雷霆アームドブルー》の轟雷で打ち払え!」

 

そしてボク達はその攻撃を真正面から破る為に空を駆ける。

 

無茶で無謀な行動。

 

だが、誰も無茶とも無謀だとも思っていない。

 

装者達が揃い、歌うシンフォギアと電子の謡精(サイバーディーヴァ)を繋げた輪廻祈歌(リインカーネーション・コネクト)。たった一人ではなく、七人で歌うその歌を力強く、絶対に救う、守ると思いを込めた結果更なる力を宿した。

 

地獄の光景を生み出す攻撃を防ぐ為のバリアフィールド。電子の障壁(サイバーフィールド)と合わさり、更に強力な障壁を作り出し、装者達とボクを覆い、その業火と光線の雨を防ぎ切る。

 

だが、アシモフのスペシャルスキルは終わらない。

 

今度は亜空孔(ワームホール)の悍ましい光が再び世界を照らすと共に今度は穴がバリアフィールドの中へと出現して巨大な山と思える炎の塊がボク達へと向けて放たれた。

 

バリアフィールドの内部に放たれた炎の塊。防ぎようのない攻撃が放たれた瞬間に、マリア、切歌、調が穴へと向けて動く。

 

「巨大だろうが関係ない!セレナを苦しめる奴の攻撃なんて払い落す!切歌!調!」

 

「勿論やってやるデス!こんなピンチでもなんでもないデス!」

 

「こんなものに負けてたまるか!」

 

そしてそれぞれが力を最大限に使用した一撃。短剣を、鎌を、丸鋸に集めたエネルギーを己がアームドギアを振るうと共に放つ強力な一撃。

 

そのエネルギーは目の前の巨大な山の様な炎の塊よりも小さい。

 

だが、大きさが劣っていようがエネルギーはそれを上回っていた。

 

そしてぶつかり合った炎の塊と三人の放ったエネルギーの刃。

 

その一撃は炎に飲み込まれたかと思った瞬間に、内部から弾けるように炎の塊を打ち消した。

 

だが、

 

「まだだ!」

 

そのアシモフの叫びと共に今度は翅蟲(ザ・フライ)生命輪廻(アンリミテッドアムニス)、そして再び電子の謡精(サイバーディーヴァ)が光を発する。

 

そうして出現したは黒い粒子、いや、もう粒子とも呼べない。

 

電子の謡精(サイバーディーヴァ)によって強化された蟲は巨大化しており、それが数え切る事など出来ない程の多く出現していた。

 

だがそれを放たず、蟲達は更に巨大化でもするのか集まり始めていた。

 

そしてその巨大な蟲は集い、更に巨大な塊へと変貌する。

 

そして巨大な塊となった蟲。それに向けて放たれた石化の光線。塊となっていた蟲が巨石へと変貌する。

 

そしてその巨石が亜空孔(ワームホール)を通り、こちらへと向けて放たれる。

 

再び襲い来る攻撃。

 

だが、

 

「ただの巨大な塊を岩に変えただけで止められるかよ!」

 

「そんな物!私達が斬り伏せるまで!」

 

そう叫んだ奏と翼が前に出た。

 

そしてマリア達三人が力を込めたと同様に、自身のアームドギアに集まるフォニックゲイン。

 

それが巨大な刃となり、二人はその刃を巨大な塊となった蟲達へと振るう。

 

莫大なエネルギーの刃。

 

振るわれた刃は最も容易く、その巨石を真っ二つに切り裂いた。その裂け目をボク達は突き進む。

 

だが、

 

悪手(バッドムーブ)だ!」

 

アシモフがそう叫んだ。

 

切り裂かれた巨石。その内面。

 

そこも巨石と思っていたのだが、違った。

 

石化していたのは表面だけ。中にいた巨大な蟲達は石化もせず、ただ塊となっていただけであった。

 

故に、切り裂いた巨石を通ろうとしたボク達へと向けて巨大な蟲達が襲い掛かる。

 

その蟲達はどんな物なのか先の戦闘で理解している。強度が増し、強固になった蟲達。そして巨大化した事により、更に強固になっている可能性がある。今の雷撃鱗でも倒す事は可能だろうが、雷撃鱗で倒すのにどのくらいかかるかは分からない。

 

雷撃鱗よりも強力な雷撃、避雷針(ダート)を撃ち込んだ事による強力な雷撃を流し込んで一気にカタを付けるべきだろう。

 

だが、避雷針(ダート)を撃ち出すダートリーダーの連射力、そして弾数が足りない。

 

どうするべきか、一瞬にも満たない時間で考える。

 

そんな時、

 

「足りないとか考えてんだろう!そんなの私が補う!前に進むことだけ考えろ!」

 

クリスがボクに向けて叫んだ。

 

そしてクリスの手に握られていたのはテールプラグを連結出来るの様に作られた繋がれたガトリング。

 

「あんたの雷撃を撃ち込めるように私が補助する!避雷針(ダート)はなくとも今のシンフォギアなら!私のイチイバルなら出来る!」

 

そこまで言われて無茶、出来るか?などボクとクリスの間にそんな言葉は必要ない。クリスがなんとか出来ると補助が出来ると言い切ったのならボクはそれを実行するだけだ。クリスの言葉にボクはすぐさまテールプラグを連結させる。

 

それを済ませたボクはクリスに告げるとクリスはガトリングを蟲達へと向けて一斉に掃射する。それに合わせて後退する装者達。

 

放たれた弾丸を蟲達も躱していくが、雨の様な弾丸の雨に全ては躱し切る事は出来ない。

 

そしてその弾丸はダメージの他にも更にクリスが出来ると言った事を実現させていた。

 

避雷針(ダート)を食らった時に雷撃を誘導する紋様。蟲達はそれを身体に浮かべていた。しかも、避雷針(ダート)を多く受けた時に浮かぶ赤ではなく、かつてカ・ディンギルのエネルギー供給をする台座を破壊する時にまで至った黄金の紋様。

 

赤よりも強力な雷撃を流し込める状態になっている。そして全ての蟲達へとほんの少しの時間で紋様を付け終えたクリスが叫ぶ。

 

「後はあんたの力で害蟲共をやっちまえ!」

 

「ありがとうクリス!」

 

そこからボクはすぐにバリアフィールドと同等の大きさの雷撃鱗を展開させる。

 

バリアフィールド内にいる蟲達。雷撃鱗の中に入れた瞬間に紋様の浮かんだ事で更なる雷撃が蟲達へと流れ込む。赤を超えた黄金の紋様。その紋様の浮かんだ蟲達は一気に消滅して消える。

 

そうして道が開けた事でボク達は更に突き進む。

 

「まだだ!まだ終わらん!頂点(ゼニス)の力!真なる雷霆の力はまだ終わらんぞ!紛い者!」

 

そう叫んだアシモフ。そして蒼き雷霆(アームドブルー)、そして電子の謡精(サイバーディーヴァ)が光を発した。

 

そこから放たれたのは幾つものライトニングスフィア、スパークカリバー、そしてヴォルティックチェーンの鎖達。

 

依然として開く亜空孔(ワームホール)の穴から、そしてバリアフィールド外からもそれを放った。

 

「今度こそ終焉(デッドエンド)だ!」

 

そう叫ぶアシモフ。終焉を齎す最後の一撃。

 

だが、ボク達は引かず突き進む事を選択した。

 

初めから引くなど頭にない。あるのは目の前の力を正面からぶつかって打ち破るだけ。

 

そんな時、ボクは響と未来からある提案を受けた。

 

それは破った後の話。ボクはそれを受けて本当に大丈夫なのか問いかけようとしたが、ボクはそれを了承する。

 

「響、未来。二人を信じるよ」

 

「任せてください!絶対にやって見せます!」

 

「必ず二人を助け出しましょう!」

 

そうしてボクはアシモフの繰り出したスキルを対処するかのように言葉を紡いだ。

 

数が多い事、そしてボクはアンイクスプロードを使っていようとアシモフの様に攻撃(スキル)を重複させて出す事は未だ出来ない。

 

故に最高の威力を持つ言葉を紡ぐ。

 

「閃く閃光は反逆の導、轟く雷吼は血潮の証、貫く雷撃こそ万物の理!迸れ!蒼き雷霆よ(アームドブルー)!ヴォルティックチェーン!」

 

例え(スキル)を重複しようとも、アンイクスプラード。未踏に踏み込み放ったこの(スキル)がそれを破ると信じ、ボクはヴォルティックチェーンを繰り出した。

 

そしてぶつかり合った強力な雷撃の(スキル)

 

天体を、剣を、鎖を、自身の(スキル)が打ち破ると。いや、打ち破れると確信を持って。

 

そしてぶつかり合った(スキル)がバリアフィールド内で、そしてバリアフィールドの外で(スキル)が互いに打ち負かそうと力を解放する。

 

「グッ!」

 

身体が軋む。たった一つの(スキル)でライトニングスフィア、スパークカリバー、ヴォルティックチェーンを押さえ込んでいるのだから仕方がない。

 

ボクも負けじと力を込めて拮抗させる。

 

身体の内側が焼ける様に熱くなる。

 

能力因子が限界以上の力を出し切っている為にその身をも焦がしているのだろう。

 

「だからなんだ!」

 

それが引く理由になるのか?力を込めない理由になるのか?

 

ここで終わらせると決めている。アシモフをここで終わらせてシアンとセレナを救うと決めている。

 

それなのに弱気になるなんてもってのほかだ。

 

この身がどれだけ傷付こうが関係ない。生きてアシモフを倒し、生きてシアンとセレナを救う。

 

もう二度とあんな悲劇をアシモフの手で起こされない為にも。ボクがまた倒せない事によって次なる悲劇を呼ばない為にも。

 

死ぬ程辛い経験などと比べれば些細なものだ。

 

限界を超えた雷撃を使い続ける事によって、至る所から血が流れ出る。だが、それでも込める力を緩めない。

 

「貴様如きに!頂点(ゼニス)であり!真なる雷霆である私に勝てるものかぁ!」

 

ボクが力を込めると同様にアシモフも自身の中にある蒼き雷霆(アームドブルー)、いや、真なる雷霆の能力因子に力を込める。

 

ボク同様にアシモフも血を流す。そしてその力と共にあるネフィリムも禍々しい蒼に輝く。

 

そして拮抗していた力が傾き始める。

 

禍々しい雷撃、そしてそれに呼応したアシモフの(スキル)達が、更なる力を持ち、ボクのヴォルティックチェーンを少しずつ砕き始める。

 

砕かれながらも更に雷撃を流し込み、鎖を強化させる。だが、それでもアシモフの(スキル)に押し負けそうであった。

 

ふざけるな…こんな事あって良いわけがないだろう…何も救えず、また何も出来ず、終わってしまって良いわけがない。

 

「終わって良いわけがない…ここで終わるなんて事…絶対にあって良いわけがないんだ!もうあんな悲劇を繰り返して良いわけがない!」

 

だから叫んだ。あの世界で起きた悲劇を繰り返さない為に。アシモフによって引き起こされた悲劇をもう起こさせない様に。

 

その瞬間、アシモフの背後にある電子の謡精(サイバーディーヴァ)のアウフヴァッヘン波形が光を弱める。

 

『…この…雷撃はG…Vの…お願い…負け…ないで…』

 

『もう嫌…です…貴方が思う様な世界を…私は…絶対に望まない…』

 

「ッ!貴様達!まだ意識を!」

 

アシモフがそう叫んだ。

 

シアンとセレナ。アシモフの思い通りになりそうな事態によって抵抗し始めたのだ。

 

それと同時に電子の謡精(サイバーディーヴァ)が弱まったと共に(スキル)の威力も激減する。

 

その瞬間にボクは更に血肉が沸騰しても構わない様な雷撃をヴォルティックチェーンに流し込んだ。

 

シアンとセレナが意識を取り戻し、作った隙を絶対に見逃さない。

 

そしてぶつかり合った(スキル)達は均衡が崩れ、大きな爆発を起こした。

 

互いの視界が消えた。

 

そして黒煙が上がり、見えなくなった戦場。黒煙の中、一つの蒼き光が瞬いた。

 

◇◇◇◇◇◇

 

(スキル)を終えたアシモフは依然として健在していた。黒煙により見えなくなった紛い者、そして装者の姿を確認出来ないが、あれだけの爆発をモロに受け、(スキル)の余波を食らった為に相応のダメージを負っただろう。

 

だが、アシモフはそんな事よりも苛立ち、そして怒りを募らせていた。

 

それは手中に収めている電子の謡精(サイバーディーヴァ)、そしてセレナ・カデンツァヴナ・イヴ。

 

完全にこちらの支配下に置いていたはずが、何かの拍子で再び抵抗を見せたからだ。

 

「ふざけるなよ…貴様達…本当はここで終焉(デッドエンド)だったのだ…それを貴様達が邪魔をしたせいで繰り返し(アゲイン)だ!」

 

ネフィリムの胸元に存在する者達へと向けてそう叫ぶ。

 

だが、その言葉に二人はなんの反応を見せない。

 

それがアシモフの苛立ちをより一層引き立てる。

 

再び何かを言おうとしたが、それよりも早く、何かが黒煙を貫き、飛び出してきた。

 

「やはり、貴様達のせいでこうなったか!」

 

そう叫んだアシモフは飛び出した者へと目を向けながら叫んだ。

 

それは紛い者。

 

本物を騙る偽物であった。

 

だが、その姿はボロボロ。先程の攻撃を耐え切れた事は本当に苛立たせてくるが、虫の息にも見えた。

 

そしてそれが最後の抵抗とばかりの無策の突撃。

 

故にアシモフは今の苛立ちを少しでも収める為に紛い者を殺す為に言葉を紡いだ。

 

「瞬くは雷纏いし聖剣!無慈悲なる蒼雷よ!敵を穿て!迸れ!真なる雷霆よ(アームドブルー)!スパークカリバァー!」

 

そして言葉を紡ぐと共に一瞬で雷撃を聖剣へと変え、それを紛い者に向けて振るう。

 

振るった聖剣は一瞬で紛い者を亡き者にした。

 

「ッ!?」

 

そう思った。

 

しかし、亡き者にした紛い者は雷撃となって消えてしまう。

 

アシモフが先程見せた様に、ここで紛い者は電影招雷(シャドウストライク)を使ったのだ。

 

普段であればそんな事直様気付けた。だが、怒り、苛立ち、そして紛い者との因縁を断ち切れると焦った故に、それに気付けなかったのだ。

 

そして剣を振るった無防備な僅かな瞬間、再び黒煙から物凄い速度で何かが飛び出した。

 

「ッ!?貴様!」

 

「貴方にされた事は絶対に許せない!一発くらい殴らないと私の気が済まないんだ!」

 

それは響であり、飛び出した勢いそのまま、僅かな無防備を完全に捉えた響はアシモフの顔面を思いっきり殴り飛ばした。

 

「ガッ!」

 

そして吹き飛ばされるアシモフ。

 

「そしてもう終わりです!」

 

そう叫んだ響。それと共に吹き飛ばされたアシモフは黒煙ではなく、その更に上空に既に巨大な鏡を展開して、ネフィリムへと向けて何かを放とうとしている未来。そしてその後方に立つ紛い者の姿を捉えた。

 

「ッ!ふざけるなぁ!」

 

そう叫ぼうとなんの意味もなく、アシモフは吹き飛ばされながらも未来の展開した巨大な鏡から光が放たれるのを見ることしか出来なかった。

 

そしてその光がネフィリムへと直撃する。

 

その瞬間に訪れる強大な力が抜けていく感覚。

 

アシモフはネフィリムが受けた一撃により、頂点(ゼニス)の力を失った。

 

◇◇◇◇◇◇

 

ネフィリムに放たれた光。それを直撃したネフィリムは肉体を崩壊させていった。

 

その瞬間にボクは空を駆け、ネフィリムの胸元に行く。

 

それはシアンとセレナの救出の為。

 

あれ程の力を受けたネフィリムにもう力は残っていない。それ故に取り戻そうと空を駆けたのだ。

 

そうしてネフィリムの胸元へと辿り着いたボク。セレナとシアンを救う為に手を伸ばす。

 

だが、

 

「ッ!?」

 

崩れかけたネフィリムが動き出し、ボクへと巨腕を振るい、跳ね除けようとしたのだ。

 

崩壊してもなお、アシモフの思い通りに動こうとするネフィリムに向けてボクは叫ぶ。

 

「もう終わりだ!ネフィリム!シアンとセレナは返してもらう!」

 

だが、崩壊しゆくネフィリムにボクは雷撃鱗を展開してそれを防ぐ。幾ら強力であったネフィリムも崩壊、そして未来の神獣鏡(シェンショウジン)により力が安定しないネフィリムはその雷撃鱗で巨腕は完全に崩壊する。

 

そしてボクはそんな中でネフィリムの胸元にいたセレナを掴み、ネフィリムから引き剥がすと抱き抱え、離脱した。

 

シアンの姿はない。その理由は分かっている。

 

セレナだ。シアンと無理矢理融合した事により、セレナとシアンは一つとなっている。それ故に、ネフィリムの機能が低下した事によってシアンは融合したセレナの中に戻ったのだと。

 

セレナをこんな形で能力者にしてしまった事に申し訳ないという気持ちがあるが、それ以上に今は救えなかった命をこうして救えた事。シアンを救う事が出来た事に安堵する。

 

「…あ…なたは…」

 

「セレナ…ありがとう。生きていてくれて。力を貸してくれて。君のお陰で取り戻せた…君を…シアンを」

 

かつて正面で伝えられなかった感謝をボクはセレナへと向けて言った。

 

「私も…ありがとう…ございます…救ってくれて…」

 

セレナはネフィリムによって力を使われていた為が途切れ途切れだが、優しく笑いながらそう言った。

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