戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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アシモフを殴り飛ばし、セレナをガンヴォルトが救うところを確認した響はホッとする。

 

響と未来が提案した事。

 

それは視界が切れた時、ガンヴォルトではなく自分がアシモフと対峙する。そして対峙している間に、未来がネフィリムに囚われたにシアンとセレナを救うため、強大な一撃を放ち、ガンヴォルトがその隙に救ってもらう事でであった。

 

流石にガンヴォルトは否定するだろうと思ったが、それをガンヴォルトは了承してくれた。両方しなければならないが、確実に一つでも取り戻せると判断しての事だろう。アシモフによって生み出された新たなネフィリム。そこに取り込まれた大切なシアン、そして助け出すべきセレナを救う。そしてアシモフを倒す。

 

多分、ガンヴォルトはその順序がより確実と判断したからだろう。

 

しかし、何故アシモフに響が向かったのか?

 

理由は単純である。

 

アシモフに一発入れる。今までの非道により、溜まったフラストレーションをぶつける。ただ、それだけだ。

 

そんな理由と思われるかもしれない。だが、響にとってアシモフにはかなり煮湯を飲まされている。

 

友達であるシアンを奪った。マリア達、F.I.S.達苦しめ、傷付けてきた。そして未来を奪い、操り、無理矢理戦わせた。そして装者達が戦った能力者達。意志もなく、何度も蘇らせ、死してなお、戦わされ続けた能力者達。敵と言えど、その行為に響はアシモフをやはり許せなかった。

 

だからかつて意識のない状態で入れた一発ではなく、自分の意思で、自分の思いを、怒りを乗せてアシモフを一発だけでも殴らないと気が済まなかったのだ。

 

本当なら自分でアシモフを倒したい。だが、アシモフを自分が倒せるか分からない。それに、それをガンヴォルトが許しはしないだろう。

 

アシモフと因縁が最もあり、響よりも煮湯を飲まされ続けているガンヴォルト。そしてガンヴォルトは装者達のいる世界を、そして元いた世界を救う為に。アシモフを殺す。

 

話し合いで解決出来るならばそれが良い。そう考える響だが、アシモフと言う男だけは違う。

 

生きていても響が望む更生はしない。憎む世界を変えるまで世界をアシモフの思う理想に変えるまで止まらない。そう感じている。

 

だから殺さねばならない。二つの世界を守る為にも。アシモフが起こした世界を破滅へと追いやろうとしたこの戦いを。

 

ガンヴォルトが。

 

そして響はアシモフを視界に収めながら後退しようとした。

 

その時、

 

「よくもやってくれたな!紛い者共ぉ!頂点(ゼニス)の力を!私の理想に必要な欠片(ピース)を!」

 

体勢を立て直していたアシモフがそう叫んだ。

 

だが、その姿にもう以前の様な力を感じない。電子の謡精(サイバーディーヴァ)を奪われ、ネフィリムが破壊された今、アシモフはもうただの能力者、そう思っていた。

 

だが、

 

「グッ!?」

 

その瞬間に、アシモフが悶え苦しむ。その瞬間に力の奔流の余波が離れた響にも襲い掛かる。

 

何が起こったのか響には分からなかった。

 

「響!」

 

そんな中でガンヴォルトが響の名を叫ぶ。

 

「アシモフからもっと離れるんだ!」

 

そう叫んだ。

 

そして響はアシモフから更に距離を取り、ガンヴォルトの元に向かう。

 

そしてガンヴォルトはセレナを抱えたまま、みんなの元へと戻りながら響へと言った。

 

「今のアシモフはその身に見合わない力を持っている。だから、その身に合わない力が暴走を引き起こし、アシモフを苦しめている」

 

ガンヴォルトはそう言った。しかしガンヴォルトは続ける。

 

「だけどネフィリムは消えたけど細胞は依然として残っている。シアンの力がなくても制御する事が可能なネフィリムの細胞。あれがある限り、必ずアシモフは克服する」

 

「なら、早く倒さないと!」

 

そう叫ぶ響だが、今のアシモフの周りにある第七波動(セブンス)の暴走による波動の奔流。今この場ですら押されそうな余波。故に今はどうする事も出来ないだろう。

 

だからガンヴォルトもそれをしたいだろうが近づけない為に離れるしかないと察していたのだろう。

 

そしてみんなの元へと戻ったガンヴォルトと響、そしてセレナ。

 

「セレナ!」

 

マリアがガンヴォルトの腕に抱かれるセレナを見てすぐに近付く。

 

ガンヴォルトは直ぐにセレナをマリアへと渡す。そして受け取ったマリアはもう離さないとばかりに強く。だが、セレナに負担がかからない様に優しく抱きしめた。

 

「ありがとう…ガンヴォルト…ありがとう」

 

ガンヴォルトに涙を流しながらそう言ったマリア。そしてその近くにいた切歌と調もセレナの無事に涙ぐんでいた。

 

「ボクだけじゃ無理だった。みんなのお陰だよ」

 

ガンヴォルトはそう言った。

 

そしてガンヴォルトはクリスに言う。

 

「クリス、ソロモンの杖でマリア達を元の場所へ。流石にセレナをこの戦いの決着の余波に巻き込むわけにはいかない。それに未来も」

 

「ガンヴォルトさん!私はまだ!」

 

そう言いかけた未来のシンフォギアに少し亀裂が走った。

 

「さっきの力。その力を解放した事で未来の神獣鏡(シェンショウジン)も限界だ。未来は自分の使命を、シアンとセレナを救う力になった。そしてそれを果たした。だから後は任せて」

 

そう言ったガンヴォルト。未来ももう少しで迎える神獣鏡(シェンショウジン)の限界に諦め、それ以上は迷惑になると思い、何も口にしなかった。

 

「何度も約束を破ってるけど…今度こそ、終わらせてくるよ。だから待っていてほしい」

 

ガンヴォルトは未来へとそう言った。

 

その言葉に、未来は頷き言った。

 

「今度こそ…今度こそ、約束を守ってください…私も…みんなも待ってますから」

 

「耳が痛いな…でも…それだけ破っていたから仕方ないよね…だけど…今度こそしっかりと守るよ」

 

ガンヴォルトは苦笑いを浮かべ、そう言った。

 

そしてその言葉を言い終わったタイミングでクリスがソロモンの杖で元の世界、クリス達が入ってきたと思われる海岸へと扉を開く。

 

「ありがとう…ガンヴォルト…貴方達も…必ずアシモフを終わらせて無事に帰ってきて…」

 

「ガンヴォルト…それにみんなも絶対に終わらせて帰ってくるデス!」

 

「奏さん、翼さん、クリス、響、ガンヴォルトさん。みんなが無事に帰ってくる事を信じていますから」

 

「お願い…です…無事に…絶対無事に帰ってきて…下さい…私の中にいるこの人の為にも…」

 

マリア、切歌、未来、そしてセレナがそう言ってバビロニアの宝物庫から出ていく。

 

そして、

 

「お願い…必ず無事に帰ってきて…貴方と共に歩むあの約束の為に」

 

「うん、絶対だ。ボクと調、二人で実現しないと意味がないからね」

 

ガンヴォルトと調が意味深な事を言った。その言葉に調とガンヴォルト、そして響以外がギョッとした。それと同時に全員出たことによってソロモンの杖がバビロニアの宝物庫の扉を閉めた。

 

何の話なのだろうか?と響は思ったが、何故かそれ以外の残った装者達がガンヴォルトへと少し不機嫌そうにいう。

 

「おい、ガンヴォルト…後でしっかりと話してもらうからな」

 

「ガンヴォルト…じっくりと聞かせてもらうから…」

 

「ああ、どんな約束をしたのかをな…」

 

突如として黒いオーラの様なものを見せる奏、翼、クリス。それにようやく事態を理解した響。今が戦いの最中である為に、抑えられているのだろう。嫉妬が垣間見れる。クリスがまともであれば、そう言うことは家でやれとでも言うのだろうが、クリスもあっち側なので止める者はいない。

 

ガンヴォルトがそう言う事が鈍いのが悪い為に、何故今のタイミングで聞いてくるとガンヴォルトは三人を宥める。確かに今何故と思うが何度も言うがガンヴォルトが悪いと思い、響は巻き込まれまいと少し離れようとした。

 

だが、余波が弱まるのを感じた全員が会話をやめて、その余波の元に目を向ける。

 

「ハァ…ハァ…終わってない…私はまだ…終わってない!」

 

そして目を向けた先には暴走により、肉体に多大な傷を負いながらも宙に立つアシモフの姿。しかし、アシモフの目にはそんな傷を負おうが、闘志は全く衰えていなかった。

 

むしろ、頂点(ゼニス)の力を失い、より一層憎悪が強くなっている。

 

「…そうだね…アシモフ。まだ終わっていない」

 

アシモフの叫びに、ガンヴォルトがそう返した。

 

誰もがその言葉の意味を理解している。だからこそ、二人だけの言葉だけが響く。

 

「ボクの雷撃で貴方を殺すまで…この戦いは終わらない」

 

「…貴様が終焉(デッドエンド)を…そして貴様に奪われた欠片(ピース)を…再び手中に納め、あの世界を…あの暗黒郷(ディストピア)を潰さねば終わらない…私の理想の世界が始まらない!」

 

ガンヴォルトがアシモフを殺すまで、本当の意味で終わらないと告げ、アシモフはガンヴォルトを、そして取り戻したシアンとセレナを再び奪い、そしてみんながいる世界を潰さねば終わらないと言い、そして最後に言った理想。それはアシモフが理想とする世界。ガンヴォルトや響達にとってはあってはならない世界。

 

だからこそ、ここで止める。

 

ガンヴォルトと共に。

 

◇◇◇◇◇◇

 

ボロボロになったアシモフと対峙するボク、奏、翼、クリス、響。

 

そして今度はアシモフに先手を取らせまいとボクが動く。

 

それに続くように四人も動き出す。

 

力が衰えて、頂点(ゼニス)の力を失った。だが、アシモフにはネフィリムを取り込んだ真なる雷霆がある。

 

だが、それを真っ向から打ち破る。今のボク、そして装者達にならやれると感じている。

 

だからこその正面突破。

 

そんな正面からの強襲をアシモフは腕を構え撃ち落とそうとする。

 

ネフィリムの細胞を介しての七宝剣の第七波動(セブンス)の使用。雷撃を、亜空孔(ワームホール)を、爆炎(エクスプロージョン)を、残光(ライトスピード)を、生命輪廻(アンリミテッドアムニス)を、翅蟲(ザ・フライ)を。

 

今出せる最大限の力を使い、四方八方に出現させた穴を使ってボク達へと襲い掛かった。

 

しかし、その力に先程の頂点(ゼニス)とは比べ物にならない程脆弱。

 

撃ち落とし、躱し、滅し、ありとあらゆる手段でボク達は迎撃する。

 

アンイクスプロードヴォルトを依然維持したボク、そしてソングオブディーヴァ・クロスドライブを纏う装者達にもうその力は通じない。

 

だが、侮りなどしない。

 

確実に全てを回避し、撃ち落とす。

 

「アシモフ!ここで終わりにしよう!」

 

アシモフに向けてボクは叫ぶ。

 

アシモフは顔を歪めながらも、激った憎悪を吐き出すかのように叫ぶ。

 

「紛い者ぉ!」

 

叫びと共に、大量の穴がボク達の眼前に広がり、そこから夥しい第七波動(セブンス)を使い攻撃をしてくる。

 

だが、

 

「ガンヴォルト!お前の手で終わらせて来い!」

 

奏が。

 

「貴方の因縁をここで断て!ガンヴォルト!」

 

翼が。

 

「終わらせて来い!こんなふざけた戦いを!」

 

クリスが。

 

「ここで終わらせてください!ガンヴォルトさん!」

 

響が。

 

押し寄せてくる第七波動(セブンス)達を防ぎながらそう叫んだ。

 

装者達がボクをアシモフとの決着の為に抑え込んでくれる。だからみんなの言う様にここで終わらせる。装者達の言葉を背にボクはアシモフを更に接近する。

 

そしてボクとアシモフは同時に言葉を紡いだ。

 

「閃く閃光は反逆の導!轟く雷吼は血潮の証!貫く雷撃こそ万物の理!」

 

「滾る雷火は信念の導き!轟く雷音は因果の証!裂く雷撃こそ万象の理!」

 

互いの最強の(スキル)たるヴォルティックチェーン。二度目となる雷撃の鎖がぶつかり合う為に雷撃が鎖となって出現していく。

 

そして互いの雷撃が全て鎖へと変化すると共に紡いだ言葉を締めくくる言葉を叫ぶ。

 

「迸れ!蒼き雷霆よ《アームドブルー》!」

 

「迸れ!真なる雷霆よ《アームドブルー》!」

 

「「ヴォルティックチェーン!」」

 

そしてその叫びと共に出現した鎖は殺す為に絡まろうとぶつかり合う。

 

強力な雷撃がぶつかり合う。

 

しかし、アシモフのヴォルティックチェーンを意図も容易くボクのヴォルティックチェーンが砕く。

 

だが、砕く所までは同じだが、アシモフが何度も同じ様な事を繰り返す筈もない。

 

その予想通りにボクの後方に穴が開く。それを察知したボクは素早くその穴へと身体を向ける。

 

「何度も同じで終わると思うな!」

 

そう叫びながら飛び出すアシモフ。

 

すぐ後方に開かれた為に、ボクが身体を向けたと同時にアシモフがボクに石化の光線を放つ。

 

「分かっているさ!貴方に同じ結果がない事くらい!」

 

ボクはそう叫びながらアシモフが放った光線を躱す。

 

しかし、

 

「ッ!?」

 

避け先にアシモフが穴を開く。ボクは躱した勢いのままその穴へとそのまま入り込んでしまう。

 

出た先は同じバビロニアの宝物庫。だが、それは装者達と離された場所に繋がれていた。

 

装者達と離して何をするかなど解っている。力を存分に発揮してボクを殺すつもりなのだろう。

 

「ガンヴォルト!」

 

「ガンヴォルトさん!」

 

奏、翼、クリス。そして響が遠ざかるボクを見て叫ぶ。

 

ボクも戻ろうとすぐに再び穴へと入ろうとするが、アシモフが放った光線により出口は塞がれている。

 

そして、そのまま穴が閉じ、ボクは孤立させられる。

 

だが、再び穴が開き、その穴からアシモフが出てくる。

 

「紛い者…今度こそ決着をつけよう…あの時私の怠慢が引き起こした貴様という存在を…あの時の汚点を!」

 

アシモフは手を構え叫んだ。果てしなき憎悪を込めて。そして自分が引き起こした汚点を拭い去ろうとする為に。

 

「ああ、決着をつけよう。貴方という存在を今度こそ終わらせる為に。ボクが何度も貴方を殺せなかった事によって引き起こした悲劇を終わらせる為に!」

 

そう言ってボクもアシモフへと向けて叫ぶ。今までアシモフによって引き起こされた悲劇を思い出し。幾度となく続いたアシモフとの戦いに終止符を打つ為に。

 

そうしてアシモフが構えた手から雷撃を放つ。

 

ボクはアシモフの雷撃を迎撃する為に同様に雷撃を放つ。

 

それが開戦の合図となり、ボクとアシモフの戦いがまた開かれる。

 

(スキル)が使えない故の、(スキル)以外の第七波動(セブンス)のぶつけ合い。

 

ボクの蒼き雷霆(アームドブルー)、そしてアシモフの真なる雷霆、そして七宝剣の第七波動(セブンス)達。

 

だが、その攻撃はボクは全て躱し、迎撃する。

 

今のアシモフの雷撃にボクの雷撃は劣らない。七宝剣の第七波動(セブンス)を使おうとも、今のボクにそれは通じない。

 

故にそこからは原始的な殴り合い。

 

アシモフも七宝剣の力はボクに通じないと解っている故に、接近戦に応じる。

 

だが、先程とも同様で今のアシモフでは相手にならなかった。負ったダメージが動きを鈍らせ、ボクへの攻撃が通らない。逆にボクの攻撃はアシモフに何度もヒットする。

 

だが、それでもアシモフは何があろうと止まらない。

 

そして、アシモフがボクの蹴りを喰らいながらもその蹴りを掴むとニヤリと笑う。

 

「捕まえた…これで終わりだ!紛い者ぉ!」

 

そう叫ぶと共にアシモフが内部にある全ての第七波動(セブンス)を解放した。

 

自爆に近い攻撃。だが、アシモフはその一撃で自身は死なないと知っている。だからこそ、それを使ったのだろう。

 

だけど、違う。

 

「ああ、終わりだ、アシモフ!」

 

ボクと同様に叫んだ。アシモフが終わりだという様に、ボクも掴まれたまま手を伸ばす。

 

「ッ!?」

 

そしてボクはアシモフの胸元、いや、正しくはアシモフの隠れた胸元にあるペンダントに触れて。

 

それは電磁結界(カゲロウ)を使用する為に必要な霊石が使われたペンダント。

 

つまり、それを触れているということはボク自身も再び電磁結界(カゲロウ)を使えるということ。

 

アシモフの攻撃は雷撃以外、全て無力化させる事が出来る。

 

故にアシモフの雷撃以外の攻撃はボクに通らない。

 

「貴様ぁ!」

 

そしてアシモフが叫び、腕を離してボクの手を突き放そうとする。

 

だが、そんな事をボクはさせるわけが無く、離そうと掴もうとした腕に避雷針(ダート)を撃ち込んでそれを防ぐ。

 

そして、ボクはペンダントを掴んでいる腕を引き、そして力を込めた前蹴りを叩き込んだ。

 

「ガハッ!」

 

そしてアシモフは吹き飛ばされ、そしてその勢いのままアシモフの服を千切る。だが、吹き飛ばされてもボクは一瞬で距離を詰め、アシモフの胸元へと避雷針(ダート)を何度も撃ち込んだ。

 

そして先程の言葉を現実のものにする為に、ボクはありったけの雷撃をアシモフに向けて放つ。

 

避雷針(ダート)を撃ち込んだ事により回避不能、そして更に強力な雷撃をアシモフへと喰らわせる。

 

「ガァ!」

 

そして雷撃を受けた事による硬直。避雷針(ダート)を喰らい、更に強力な雷撃故にアシモフの動きが一瞬だけ硬直する。

 

そして、

 

ボクはアシモフの胸元へと手を突きつけた。

 

時間はもう十分たった。

 

先程の言葉を現実にする為にボクは言葉を紡ぐ。

 

「煌くは雷纏いし聖剣、蒼雷の暴虐よ、敵を貫け!」

 

そしてそのまま手に集まる雷撃がアシモフと密着した手の間で形を為す。

 

そして、

 

「迸れ!蒼き雷霆よ(アームドブルー)!スパークカリバー!」

 

そしてその聖剣が出現した。アシモフの肉体は密着した状態から出現した事により、切っ先に貫かれながらそのまま押される形でボクから離れる。

 

そしてアシモフはスパークカリバーによって貫かれ、スパークカリバーによる雷撃でその身を焦がした。

 

悲鳴も雄叫びも上げられない一撃。

 

そしてスパークカリバーから伝わっていた鼓動が確実に停止した事をボクは感じる。

 

そして焼け焦げたアシモフはスパークカリバーが消滅すると共に、力なくバビロニアの宝物庫を落ちて行く。

 

長かった。辛かった。

 

だが、それもこれで終わり。ボクは動かないアシモフを見ながらそう思ったのだ。

 

◇◇◇◇◇◇

 

離されたガンヴォルトを追う装者達。場所はどこかわからなかったが、ガンヴォルトの雷撃によってその場所はすぐ特定された。

 

かなり離されていたが、今の機動力のお陰ですぐにガンヴォルトの元へと到達した。

 

そこに居るのはガンヴォルトのみ。アシモフの姿は見当たらない。

 

「ガンヴォルト!やったのか!?」

 

「アシモフはもう!?」

 

奏と翼がガンヴォルトへと問う。

 

「ああ、終わったよ…終わらせた…漸く終わったんだ」

 

ガンヴォルトもようやく自身の因縁を断ち切った事に、そして漸く戦いが終わった事に安堵していた。

 

「本当に終わったんだな…お前の因縁も」

 

「うん。本当に終わった…あの世界からの因縁も。この戦いも」

 

クリスの言葉にガンヴォルトはそう返す。

 

「なら帰りましょう!未来の元に!みんなに終わった事を伝えに!」

 

響はついに終結した戦いに喜び、そしてその終わりを全員に伝えるべく、早く帰ろうと言った。

 

「そうだね。早くみんなに知らせよう。アシモフはもういない事を。悲劇しか生まれなかった戦いが終わった事を。クリスお願い」

 

ガンヴォルトがクリスにそう言ってクリスはソロモンの杖を取り出すと元の世界へと繋いだ。

 

そしてクリスが開いた元の世界への扉を奏、翼、クリスが通る。

 

そしてボクと響が通り、もうバビロニアの宝物庫を開くことがない様に、ソロモンの杖をバビロニアの宝物庫へと放り投げ、クリスが銃で撃ち抜き破壊した。

 

これで終わりなんだ。

 

誰もがそう思い、バビロニアの宝物庫が閉じ行く瞬間を見送る事なく帰ろうとした瞬間。

 

「ッ!?響!」

 

突然ガンヴォルトが叫び、響を押した。

 

突然の事で響はそのまま地面に転ばさせられる。流石に響はガンヴォルトに文句を言おうとしたのだが、その光景を見て目を疑った。

 

それは閉じゆくバビロニアの宝物庫。その僅かながらの穴から出現した鎖に腕を貫かれ、連れ去られていくガンヴォルトの姿。

 

「えっ…ガン…ヴォルト…さん?」

 

響の困惑の声が響く中、バビロニアの宝物庫の扉は閉じて、呆然とする装者達だけがその場に残されたのであった。

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