〜お見舞い〜
「ただの栄養失調だからそんなに心配してお見舞い来なくても大丈夫なのに…」
ガンヴォルトがお見舞いに来た装者達にそう言った。
「だったら私達に心配かけ過ぎない事だな。今回どれだけ心配させていたか再認識しろよ」
「全くだ。ここ数日にお前何回入退院繰り返しているかしっかり考えろ」
「奏や雪音の言う通りだ。今回の敵がアシモフと言う強大だった故に仕方ないのかも知れない。だが、それを加味してもガンヴォルトは心配をかけ過ぎている」
「そうですよ!今回の件に関してはみんなどれだけ心配したと思っているんですか!何度も危なくなったり居なくなったりして!挙げ句の果てに決着をつけたと思ったのに消えちゃって!目の前で消えたていくのをただじっと見させられた私なんてずっと泣いてたんですからね!」
「みんなの言う通りです!心配されたく無かったら入院なんてしてません!」
装者全員に言葉の袋叩き似合うガンヴォルト。しかし、装者達の言葉は真っ当なものであるために、ガンヴォルトはただ申し訳ないと謝るばかり。
確かにガンヴォルトは今回の件に関してはここ数日で入退院を繰り返し過ぎている。その結果がこうなのだろう。
点滴を受けて快復に向かっていても今までの事態が装者達を不安にさせていたのだ。装者達が言う様に心配をかけ続けていたのだ。故にガンヴォルトはただその心配を受け入れなければならない。
「本当に悪かったよ…みんなに心配をかけすぎて…何度も死にかけたり、消えたりして…」
ガンヴォルトの本当に悪かったと謝る姿勢を見て許してしまいそうになる装者達。だが、本当にそれでいいのか?こう言う時にこそ、何か約束を取り付けるべきではないかと邪な願いを抱いてしまう装者達。
許そうか、許さないかガンヴォルトを思う装者達は悩む。
だが、その中でそんな邪な願いを持たない真っ直ぐな装者、響が言う。
「だったら今まで通り、私達が尊敬出来るガンヴォルトさんのままで居て下さい。どんな絶望にも諦めず、何があってもガンヴォルトさん自身が望む正義の為に雷撃を纏い、打ち破る姿を」
響はそう言った。
そんな真っ直ぐな言葉にガンヴォルトも約束すると言う。
そんな響とガンヴォルトのやり取りに何とも恥ずかしい気持ちにさせられる装者達。邪な願いを考えていた事を恥ずかしく思う。
「それと、私達、聞いてませんから。帰ってきたら言って欲しい言葉。あの時はシアンちゃんとセレナちゃんには言ってましたが、私達に向けて言われてないです」
響はそう言った。
「確かに…私達には言ってないな」
「帰ってきたら言うのが当たり前なのに、私達に対してそれ言ってないな」
「そうだな。あれだけ心配かけたのに一言もないなんて悲しい」
「確かに…あれだけ心配させたのに、流されるのは…」
奏、クリス、翼、未来が響の言葉にハッとなり、何かを言って欲しそうにガンヴォルトを見る。
ガンヴォルトもみんなに心配もかけてそんな大切な事にも気付かなかった事に申し訳無さそうにする。
「響の言う通りだね…帰ってきたのに…そんな単純な事だけど、大切な言葉を忘れてしまっていたよ…」
そしてガンヴォルトは改まってみんなの方へと向いて言った。
「遅くなってごめん…ただいま…心配かけたし、またこんな状態だけど…ちゃんも帰ってきたよ」
ガンヴォルトはそう言った。その言葉を聞いた全員がそれに対して笑顔を浮かべる。
「お帰りなさい、ガンヴォルト」
「お帰りなさい、ガンヴォルトさん」
その笑顔に釣られてガンヴォルトも笑みをこぼす。
「でも、心配をかけたんですから何か一つくらいは言う事聞いてもらいますからね」
そして響は後からそう言った。
まさかの言葉に響を見る装者全員。そして装者達にサムズアップする。どうやら響は他の装者達の気持ちを汲み取っていたのだろう。と言うか、なんかそんな感じの考えをしているんだろうなと思っていた為に、そう付け加えたのだろう。もしくは、先ほどの間にあっ、どうせこんな考えだろうなと察していたのか。
とりあえず、アシストした響にみんなは感謝しつつ、ガンヴォルトの答えを待つ。
「構わないよ。今回の件ではみんなにすごく迷惑もかけたし、ボクからそうさせて欲しかったところだよ。ボクに出来る範囲の事だけど、可能な限りなお願いは聞くつもりだから」
ガンヴォルトは響の言葉にそう答える。
「みんなにはすごく励まされたし、それのおかげで何度も救われたからね。ありがとう」
その言葉に照れくさそうにする装者達。
そして各自ガンヴォルトと約束を取り付けた事で心配が解消されるのであった。
◇◇◇◇◇◇
〜検査中の出会い〜
未来も今回の件で、LiNKERでシンフォギアを纏った事により、しばらくは検診を受けなくならなくなった為に、病院に訪れていた。
「未来やっぱりどこか悪いの?」
心配で付き添いで来てくれた響。響が何処か不安そうに聞く。
「大丈夫だよ。あの後に特に後遺症はないって説明あったでしょ?それに奏さんとかも受けてる検診だから問題ないし、私は何ともないんだから」
心配そうな響に未来が大丈夫と安心させる様に言う。勿論、現状ではあるのだが、今はもう何ともない。
「あっ!響!未来!」
病院の検診待ちで待機所で待っていると見知った声が聞こえた。その声の方を振り向くとシアンが嬉しそうに近づいてきているのだった。
「シアンちゃん」
そして響も声を出してシアンの名前を呼ぶ。
「あっ、未来は見えてないから響、携帯出して」
「そうだった」
そう言って響は自身の携帯を出そうとする。
「大丈夫だよ、シアンちゃんを私も見える様になっているから」
「えっ!?未来も私が見えるの!?」
「未来!シアンちゃんが見えるの!?」
「何で響まで驚いているの!?」
未来の言葉にシアンと響が驚き、何故響まで驚き、知らなかったのかシアンがツッコミを入れる。
「
「そうだったの!?と言うかそう言うことは早く言ってよ!」
「だって私もシアンちゃんが見えるの気付いたのはガンヴォルトさんのお見舞いにシアンちゃんが入ってきた時だもん。あの状況で言うのも気が引けたから」
シアンが早く言って欲しかったと未来に詰め寄るが、未来が初めてシアンを肉眼で見たタイミングが言いづらいタイミングだったために、今カミングアウトしたと言う。
「でも、それならこれからは未来も普通に接する事が出来るのね」
そう言って自分が見える存在が増えた事に嬉しそうにするシアン。
「ところでシアンちゃんがいるのにあの子は?」
響がそう言った。
それはセレナの事。シアンと融合した少女。ガンヴォルトの時とは違い、あまりセレナと距離が離れられないと聞いている故に響はそう言った。
「セレナも検査で一緒だったんだけど…」
そう言ってシアンは自分が来た方を見ると話に入るタイミングを伺いながら離れた所に待つセレナがいた。
シアンはそう言えば会った事はあっても、挨拶も交わしていない人達。響と未来に自己紹介すらしていないと思い出して、セレナを呼んだ。
「セレナ、貴方もこっちに来なさいよ」
シアンがセレナを呼ぶと話の輪に入れると思い少し急ぎ目にやってくる。
「初めまして…ではないですが、マリア姉さんの妹のセレナです」
「確かにそうだ!じゃあ改めて、セレナちゃん!私は立花響!」
「私は小日向未来です」
互いに自己紹介をする三人。
「立花さんに小日向さんですね。よろしくお願いします」
そう言って丁寧に頭を下げるセレナ。
「みなさんのお陰で私はこうしてまた生活が出来るようになりました。本当にありがとうございます」
「そんな畏まらなくていいよ!それにお礼を言うのは私の方なんだ!」
響はセレナに助けられた事があるためにかつてシアンに言ったようにお礼を言う。
「私が怒りに飲まれて自分じゃなくなった時に、セレナちゃんの言葉で助かった事があるんだよ。だから私の方こそありがとう。私を助けてくれて」
「私からも、ありがとう。響を救ってくれて」
そう言われて照れるセレナ。そんな事があったんだとセレナにやるじゃないと褒めるシアン。
「そんな事ないですよ。あの時は私も突然意識が戻って…何が起きているのかよくわからなかったですし…でもあの時はなんとかできないかって無我夢中で…」
「それでもだよ。セレナちゃんのお陰で私はなんとかなったんだもん。だからありがとう」
二度目の響のお礼。その言葉にセレナもはにかんだ。
「そこまで言われると恥ずかしいです。でも、私も皆さんに助けられたのでおあいこです」
そしてそこからは未来の検査が始まるまで四人で話し合った。マリアや切歌、調の事。今度は奏や翼、クリスの事を紹介するなどありきたりな話。
だが、そんなありきたりな話でもセレナにとってはとても新鮮なものであった。
マリアや切歌、調、そしてナスターシャ。姉と家族の様な関係であった人以外でこんなにも話をした事がなかったのだ。
新たな友人となった響と未来。そして融合してから話し相手となり、ガンヴォルトの事以外ではかなり親交の深くなったシアン。
再び生を得て、シアンと言う友人以外にもまた出来た。その事がたまらなく嬉しくなるセレナ。
そしてこれからもこういった事が続くと考えるだけでワクワクする。
手に入らないと思っていたもの。願っても叶わないと思っていたもの。それが今セレナは掴むことが出来たのだから。
だからこそ、大切にしたい。
「これからもよろしくお願いしますね、立花さん、小日向さん、シアンさん」
「何改ってるのよ?」
「そうだよ、セレナちゃん?」
「それでも言いたかったんだよ、ね?」
シアン、響がセレナの言葉に疑問符を浮かべるが未来はその気持ちを察してそう言った。
セレナも嬉しそうに頷く。
「そう言う事ね。どうせ一緒なんだから改まる事ないとは思うけど、よろしく」
「そうだね!こちらこそよろしく!セレナちゃん!」
「よろしくね、セレナちゃん」
三人もそう返して再び話に花を咲かせる。
他愛のない話でも、セレナにとってはとても有意義な時間になったことは言うまでもなかった。