戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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13mVOLT

〜再会〜

 

マリア達が二課に拘留されてから数日。その部屋に数人の来客が訪れた。

 

「マリア姉さん!」

 

「セレナ!?」

 

突然の訪問者に驚きつつ、そのまま入ってくるなりマリアに抱きつこうとするセレナを受け止めた。

 

「マリア姉さん!」

 

セレナは久しく会えなかったマリアの温もりを感じようと更にギュッと抱き付く。そんなセレナの感情に自身も感化され、マリアも涙を流してセレナとの再会に涙を流す。

 

そんな二人に切歌と調も涙ぐみながらも二人へと抱きついた。

 

「良かったデス!無事で良かったデス!」

 

「本当に…本当に良かった…」

 

セレナが蘇ってから、そしてマリア達が拘留されてからの久しくの再会。そんな四人はただ歓喜をただただ感じ続けた。

 

そしてひとしきりその再会の喜びを噛み締めた後、セレナが入って来た扉が依然として開いたままな事に気付く。

 

そしてその開いた扉からゆっくりと入ってくるある人物を見てまた涙を流した。

 

「久し振りですね…マリア、切歌、調」

 

そこに居たのはあの戦い以来、入院して会う事のなかったナスターシャの姿だった。

 

「…マム…もう大丈夫なの?」

 

セレナ同様、会えた嬉しさはあった。だが、ナスターシャは病に冒されていた為に未だ病院で検査をしているとの話を聞いていたマリア。

 

「ええ、まだ本調子とはいきませんが、あの時よりも大分回復する事が出来ました」

 

大丈夫である事を告げるナスターシャ。その事にマリア、切歌、調が更に泣きじゃくる。

 

それもそうだろう。少しでも手遅れに立っていればナスターシャは未だにICUで治療を専念していなければならなかったのだから。

 

そしてナスターシャはゆっくりと四人の元へ向かう。そして優しく四人をゆっくりと撫でた。

 

「もう全員が揃うことはない…そう考えていました…ですが、こんな奇跡が起こったのですから、私も頑張るしか無かったのです…」

 

その言葉に全員が今度はナスターシャに優しく抱きついた。

 

全員の再会に、今までの時間を埋める様に。

 

そんな五人を影から見守る二人の姿。

 

「うー…セレナの感情が私にも伝わって来て涙が出てくるよ…GV」

 

「そうだね…シアン…それだけみんな嬉しいんだよ…かけがえのない存在がこうしてみんないるから…喜びを分かち合う事ができるんだから」

 

シアンはセレナと融合している事でセレナの感情に同調して、その泣きたくなるほどの歓喜をシアンも感じ取っていた。

 

そしてガンヴォルトも。その微笑ましい涙ぐましい再会に対して本当に良かったと笑みを浮かべ、そう思っていた。

 

五人の喜びを分かち合う姿を、ただ微笑ましく、五人が気が済むまでガンヴォルトとシアンは見守るのであった。

 

◇◇◇◇◇◇

 

そしてようやく今までの時間を取り戻すかの様に喜びを分かち合っていた五人も少しは落ち着いた為、ガンヴォルトとシアンも部屋へと入る。

 

「ガンヴォルト、ありがとうございます。こうして連れて来てもらって」

 

入って来たガンヴォルトに礼を言うナスターシャ。そしてガンヴォルトの訪問にマリア達三人も驚きはしたものの、セレナとナスターシャがこうして二人で来る事は出来ないと思い、何処か納得した表情を浮かべた。

 

そして、

 

「ガンヴォルトさん!二人を連れて来てくれてありがとうデス!」

 

「ガンヴォルトさん!ありがとう!」

 

切歌と調が嬉しそうにガンヴォルトの方へと駆け寄る。

 

その後に続く様にセレナもガンヴォルトの元へと駆け出して抱きつく。

 

ついでにナスターシャには見えないが、セレナが抱きつくのを見たシアンは何度目かも分からない抗議をセレナにしている。

 

そしてそんな様子を不思議そうにする切歌と調。そしてあまり関わりは無かったが、シアンに興味を持ったのか色々と切歌と調はシアンへと話かけていた。

 

そしてその様子を離れたところで見るナスターシャ。

 

セレナはもう見ている為に分かっているとして、切歌と調の姿を見て少し驚くナスターシャ。かつて敵ではあったが、ガンヴォルトの人柄をこの数日間で知ったナスターシャはどこか納得はしていたが、ここまで二人が懐いている姿を見て不思議そうにする。

 

「ガンヴォルト…不思議な人ですね…あの二人がもうあれ程懐いているなんて」

 

「ガンヴォルトの人柄もあるでしょうけど、助けてもらったってのも大きいと思う」

 

ナスターシャの言葉にマリアがそう言った。

 

「そうですね。ガンヴォルトには多くの助力をしていた出しましたし…」

 

ナスターシャはガンヴォルトと見えてはいないがシアンと会ってはしゃいでいるセレナと切歌と調を見ながら微笑みながらそう呟いた。

 

切歌と調。アシモフに命を握られた所を救ったのがガンヴォルトなのだ。二度も救ってもらい、今でも自分とマリアも含めて罪を償う事を条件にある程度の自由を務めているガンヴォルト。

 

それに、助けられた事もあるが、今までにナスターシャ以外の信頼出来る様な大人と出会ってこなかった二人。

 

そんな中で家族の様な人を除いて初めて信頼出来ると二人が思ったのだろう。だからこそ、二人はガンヴォルトを信頼し、そしてそんな二人を受け入れてくれるからこそ、二人もガンヴォルトに懐いているのだろうとナスターシャは考えた。

 

そんなガンヴォルトに懐いている三人の微笑ましい光景に癒されるナスターシャ。だが、セレナだけ。ガンヴォルトに抱きついて幸せそうにするセレナを見てナスターシャは含みのある笑みを浮かべている。

 

「どうしたのマム?確かに微笑ましい光景だけど、それ以外の何か含みのある様な嬉しそうに笑みを浮かべて?」

 

そんな中、唯一隣にいたマリアがナスターシャに向けてそう聞いた。

 

「いえ、私は生きている間、可能な限り罪を償い続けなければならない。だからこそ、少しでも長く生きなければならないと思っていました」

 

ナスターシャはマリアに向けてそう言った。

 

「そんな悲しい事言わないでよ!マムにはまだ返せてない恩が沢山ある!」

 

「そんな悲しい事を考えていたつもりはありませんよ」

 

マリアの慌て様にナスターシャは悲しい事を考えていたわけじゃないと伝えた。

 

「なら…なんでそんな事を…」

 

「我が子の春が来るかも知れないのに…そんな嬉しい事を見ないで逝くなんて嫌ではないですから」

 

「はっ?」

 

ナスターシャの言葉にマリアが素っ頓狂な声をあげた。

 

そうしてマリアはガンヴォルト達の方を向く。

 

ガンヴォルト達も既に先程からマリアの慌てようから何が起こったのか離れたところで全員が頭に疑問符を浮かべていた。

 

マリアはなんでもないと慌てながらも大丈夫だと知らせる。

 

そして疑問を持ちながらも再度ガンヴォルトと話を続け始めた。

 

「ちょっとマム!?幾ら何でもあの子達には早すぎない!?と言うか、なんであの子達の誰かとガンヴォルトが!?」

 

「ありそうな事ではありませんか?セレナなんて特に。助けられた事もあってガンヴォルトにセレナは熱を上げているみたいですし、ガンヴォルトも拒まない所を見ると脈がない事は無さそうですよ?」

 

「だからってダメよ!いくらなんでも今のセレナには早すぎるわ!あの子は歳は近いかも知れないけど見た目はまだ子供なのよ!ガンヴォルトと不釣り合いじゃない!」

 

小声でナスターシャへとそう言うマリア。

 

「ですが、私からしたら気がつけば子供は成長するものです。いつの間にかお似合いな二人になるかも知れないじゃないでしょうか?」

 

そう楽しそうに言うナスターシャ。

 

「でもダメよ!いずれそうなるにしてもガンヴォルトだけは絶対に!いくら恩人だからと言ってもそれはダメよ!確かに彼の様な人なら安心出来るけども!大それでもまだそんなのセレナには早いわ!」

 

その言葉を聞いて何か気付くナスターシャ。

 

「なぜそこまで…もしかして…貴方もですか?」

 

「な、なんでそうなるの!?」

 

狼狽えながら言うマリアに笑いながら言う。

 

「何年一緒にいると思っているんですか?慌て方やそこまで頑なに認めない所を見るに貴方もなのでしょう?マリア?」

 

何処か悪戯っぽく笑うナスターシャ。

 

「貴方も助けられた身。貴方を絶望から救い出してくれた、貴方を命を、大切な家族を救ってくれた。そんなガンヴォルトに恋心を抱いてもおかしくはないでしょう?」

 

「…」

 

その言葉に顔を赤らめてそっぽを向くマリア。

 

確かにガンヴォルトに助けられて、そして大切な家族を救ってもらった恩は感じている。だからと言ってすぐにそう決めつけられたのにマリアは拗ねてしまう。

 

だが、そうであってもマリアの本心は確かにガンヴォルトに惹かれているのもナスターシャの言葉通りであった。

 

マリアからしたら男性は、研究対象としてしか見てこない人。歌手としてデビューして言い寄ってくる男いたにはいたが何処か下心を持っていそうな人が多かった。まともな人もいたかも知れないが、そう言った男性に出会わなかった。

 

故に、一切の下心もなく、ただ真っ直ぐに言葉を伝え、敵であっても救ってくれ、現在も尚、自分達の為に動いてくれているガンヴォルトにマリアは言葉では否定しても、惹かれている自分の思いだけは否定出来なかった。

 

「頑張りなさい。セレナもそうですが、あの方は多分ライバルが多いことでしょう。ですが、可能性は無きにしも非ずです」

 

マリアへとそう言ったナスターシャ。

 

「なんならマリア、既成事実でもいいですよ?春に加えておめでたい事も起こるなら私としてもとても喜ばしい事ですから」

 

「なっ!?何を言ってるのよマム!」

 

突然の言葉にマリアは二度目の素っ頓狂な声を上げた。

 

そして小声から大きな声に変わってナスターシャにマリアは色々と言い続けていた。

 

「マリアが何かマムに言っているけど本当に大丈夫なのかな?」

 

「でもマリアは大丈夫って言ってたデスよ?」

 

「流石に止めた方がいいのかな?」

 

そんなマリアの様子を見て切歌、調、ガンヴォルトが少し不安そうにしている。

 

その三人とは別に何かを感じていた二人。

 

「むむむ…なんかあっちはGVが居ないのに嫌な感じしかしないんだけど…」

 

シアンが不機嫌になりながらそう言った。

 

「マムとマリア姉さんの話は聞き取れませんが…嫌な予感しかしないです」

 

何処か不安と不満を持ちながら言うセレナ。

 

こう言う時に限っては何故か二人はかなり鋭くなるのであった。

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