戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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最近小説を書いててあれ?このGVってシアンの行方不明、奏とか翼とかが昏睡状態になってしまったって中々ハードな展開になってしまっているのに書いてて思ってしまった。当初はもっとソフトに考えていたのになんでこんなことになってしまったんだ。まあ、原作よりは重くないし、いいかなと思っている自分がいる。
多分、書く前にやった白き鋼鉄のXことアキュラの探し求めるバタフライエフェクトのせいだと思う。


27VOLT

一課や二課に所属するエージェントと共に少女の痕跡を探したが何の手掛かりも得る事は出来なかった。そして、その件についての報告は慎次に任せたボクは翼の眠る緊急治療室の前に居た。

 

「すまない…翼…ボクが…ボクがもう少し早く着いていればこんな事に…」

 

ガラスの向こうで医療器具に繋がる翼に向けて呟くように言った。だが、その問いに翼は答える事はない。

 

「警戒していればシアンの時のように君をこんな苦しい思いにならなくて済んだのに…なんでボクは何時も護りたいと思った人達は手遅れになってしまうんだ…」

 

かつてのシアンが拐われた時もそうだ。ボクがもう少し警戒していればあの時もシアンを拐われる事もなく、逃げ切れたかもしれない。そして救った後でもあの凶弾から彼女を庇いながらも逃げ切れたかもしれない。

 

「やっぱり、ここに居たか。ガンヴォルト」

 

急に声を掛けられる。見知った声、顔を向けずとも分かる。

 

「弦十郎…」

 

ボクは弦十郎に返答するが顔を上げる事はなかった。

 

「報告会、お前の代わりに慎次がしてくれたから当面の方針は決まった」

 

その言葉に被せるようにボクは言った。

 

「少女の正体の調査、それに内通者の捜索だよね?」

 

「…何故報告会で話した内通者をお前が知っている?と言いたい所だが事情は友里や藤尭から聞いている」

 

弦十郎はその事に対して少し驚いた声音で聞き返すがその事を既にあの二人から聞いたようだ。

 

「テロリストが…内通者の疑いは二年前のあの事件からボクは考えていた。雪音クリスの誘拐のあの時からボクは政府を…いや、二課内部にも少し疑いを持っていた。だけど、その時は言えば狙っていると思われるテロリスト達の思う壺と思って二人にも黙ってもらっていた。それにあの時はライブの事件のせいで…奏の昏睡でボクはそれどころじゃなかったから…。だけど今回の件ではっきりしたよ。二課に内通者が居て、ボクの居ない時を狙ってあの少女を翼と響に仕掛けた」

 

「ああ、その通りだ。響君によると狙いは二課ではなく響君、彼女自身だそうだ」

 

「響が…?それは彼女がシンフォギア装者だから?」

 

「そこまでは分からん。そうなると翼や病院内の奏も対象になるはずだ。だが、響君個人を特定され狙われるとなった今、出撃をどうするか考えている所だ。翼もこんな事になって狙われている響君を出撃させるべきか迷う所だ。だが、そうなるとお前には多大な負担を強いる事になってしまう。我々としても…いや、俺個人の意見としてもそんな事をしたくない」

 

弦十郎の意見にボクは言った。

 

「狙いが響と分かったなら、響の家族、交友関係のある人物を今すぐに安全な場所に移すんだ。弦十郎、貴方だけにしか分からない所にだ。内通者がいる以上、この事を二課全体に伝えるとバレる可能性がある。ボクは貴方が信用に足る人物だから貴方だけに言う。ボクはどうなっても構わない。たとえ一人だろうが蒼き雷霆(アームドブルー)で事態を収束してみせる」

 

「ガンヴォルト!」

 

そう叫ぶ弦十郎。その声には怒気が孕んでいる。

 

「俺が言っていた事を聞いていたのか!?俺はお前に負担を強いたくないと言ったんだ!なのに一人でもやっていくだと?ふざけるな!」

 

ボクは今まで伏せていた顔を上げ弦十郎に向かって叫ぶ。

 

「響が狙われている以上、それが最善の策だ!そんな事、貴方でも分かるだろう!これ以上、ボクは何も出来ないまま、目の前で傷付いていく人達を増やせとでも言うのか!そんなのボクは耐えられない!翼や奏のように、響も仲間だからこそボクは言っているんだ!ボクはノイズ如きにやられない!それにネフシュタンの鎧だろうが…その裏にいると思われる組織だろがなんだろうとボクの雷撃で倒してみせる!ボクにはそれしか出来ないんだ!」

 

ボクの言葉に弦十郎は何も分かっていないという風に返す。

 

「お前は何も分かっていない!一人で本当に出来ると思っているのか!未だに力の底が分からないネフシュタンの鎧の力を!ノイズを発生させるあの杖のような物の力を!本当に一人でどうにかなると思っているのか!」

 

「どうにかしてみせるに決まっているだろ!ボクは今までそんな相手と何度も戦ってきたんだ!ボク同様に第七波動(セブンス)を持つ能力者達を蒼き雷霆(アームドブルー)で退けてきた!例え、相手がどんな能力者であろうとボクは能力で…蒼き雷霆(アームドブルー)の力で戦ってきたんだ!」

 

「お前が能力者達との戦闘で連戦連勝であったとしても、ここはお前のいた所とは別の世界であって、状況が違う!それにお前は一人と言ったが、決してお前一人の力なんかじゃない!前の世界じゃシアンという子に何度も助けてもらった!そう言ってただろ!」

 

シアンの事を口に出され、ボクは弦十郎に対して何も言う事は出来なかった。確かに、弦十郎の言う通りだ。今まで確かに一人で戦っていた。しかし、それはシアンのサポート、それに元々いた組織の人達に支えられてこそ、能力者達を倒す事が出来ていた。

 

「でも…ボクはこれ以上…ボクの身近な人をこれ以上失いたくないんだ…。翼を…奏を…もうこれ以上、ボクの親しい人達が消えていく苦しみを味わう事なんて無理だ…」

 

ボクの悲痛な声が廊下に響く。シアンを見つける事の出来ない苦しみ。奏が昏睡状態になり、奏の父親との約束を守り通す事が出来なかった苦しみ。そして、ボクに対して守ると誓ってくれた翼が奏同様に意識を失くして眠り続けてしまうんじゃないかという不安。その全てが今のボクの心を蝕んでいく。

 

「ガンヴォルト、お前は決して一人じゃない。例え、お前が自分を一人だと思い込んでも、俺達二課の皆が、お前をサポートしてくれる一課の皆がいる。それにお前が助けた人達がいる。その繋がりがある限り、お前は一人じゃない。それに響君もだ。彼女の出撃に関しては今の所はまだ決定していないが、今のお前がこんな状態のまま逃げる様な答えを彼女は持っていない。今の響君はこれまでと違った覚悟で…力を持ってしまって流されたままの覚悟ではなく、翼やお前に認めてもらう為に新たな覚悟を決めている。だから、一人で戦おうとするな」

 

弦十郎の言葉にボクは心が揺らぐ。本当にそれでいいのか。弦十郎の通りボクは彼らを信じても。だがそれで信じた結果が最悪の結末になるかもしれない。だけど、ボク一人がワンマンでやったところでもっと恐ろしい結末が起きてしまうのではないかと負のスパイラルの思考に嵌ってしまう。

 

「そんな深刻に考えるな。そうならない為にも俺達がいるんだ。…全く、お前は会った頃からそんなネガティブな事ばかり考えるのはちっとも変わらんな。安心しろ、お前は決して一人じゃない」

 

「弦十郎…ありがとう」

 

ボクは弦十郎の言葉に勇気付けられる。確かに、ボクは今までずっと最悪な事ばかり考えていた。悪い事とは言わないが、その考えを表に出したところで逆にその様な事になってしまう事になってしまえば目にも当てられない。

 

「礼なんていらん。大人として当然の事だからな。お前もいつまでもしょぼくれてないで辛いなら俺達に頼るんだぞ。それに、そんな酷い顔だと翼や奏が目を覚ました時に心配されるぞ」

 

弦十郎の言葉にボクは翼のいる集中治療室のガラスに映る自分にピントを合わせる。弦十郎の言う通り、ボクの顔は側から見たら心配されるくらい血色が悪く見える。

 

「そうだね…こんな状態じゃ起きた二人に逆に心配される。ボクも少し休むよ」

 

「そうしろ。それと最後に一つ。お前はもっと翼以外にも人を頼る事を覚えろ。戦闘のフォローは俺達には出来ないかもしれないが、それ以外ならお前をサポートする事ぐらい出来るんだからな」

 

「分かったよ。心配ばかり掛けてごめん」

 

「分かればいい。しっかり休め。休んでいる間に俺達が色々と調べておいてやる」

 

弦十郎は困った顔をしてそう言った。ボクは弦十郎の言葉に甘えて休む事にする。最後に翼のいる病室へと一度顔を向ける。

 

「翼…君を信じて待ってるよ」

 

ボクは翼に向けてそう言って、その場を後にした。

 

◇◇◇◇◇◇

 

響は報告会に参加した数日後、学園内にある広場で一人浮かない顔をしながら考えていた。自分の守りたい物を守る為、そして翼の覚悟を見て自分の決めた答えを出す為、そして慎次との約束であるガンヴォルトを支える為。

 

覚悟をした事と既に具体的な方針を決めた事までは良かったがそれ以降がどうすればいいか思い浮かばない。

 

「こんな所にいたんだ」

 

声の方に視線を向けると親友である未来の姿があった。

 

「最近一人でいる事が多くなったけど何かあったの?」

 

心配そうに尋ねる未来。

 

「…ちょっとね。考えなきゃならない事が出来たの」

 

響の何処か真剣そうな表情に未来は事情を知らないなりに何か察したのか、隣に座って言った。

 

「私には話せない事?じゃなきゃ響は私に相談せずに迷ったりしないものね」

 

「…うん。今考えているのは私が考えて答えを出さないとダメな気がするの」

 

未来は響の表情を見て少し翳りを見せ、心配そうな響に言った。

 

「分かった。もし話せる時が来たら話して欲しいな。今の悩んでる響を見てるとまた一人にしちゃうんじゃないかって心配になるから」

 

中学の頃の事を引き合いに出され、響は未来に今でもどんなに心配を掛けているかを改めて実感する。

 

「ごめん」

 

「別に響に謝って欲しくて言ってる訳じゃない」

 

未来は首を振るう。

 

「今の響は辛そうに見える。今悩んでる事のせいで…話せない事で悩んでいる響を見てると私も辛くなっちゃう。無理に笑ってなんて言わないよ。無理に笑っても響の場合、直ぐに分かるんだもの」

 

「未来…」

 

「だから、響には心から楽しそうに笑って欲しい。今悩んでいる事の答えに正解がないのかも知れない。だけど、それでも響ならなんとか出来ると思ってる。だって私の知っている響ならどんな答えを出そうとも出来るって信じてるから」

 

響を信じてくれる未来。響は親友にこんなに心配を掛けているのにも関わらず、響自身を何処までも信じてくれている。

 

だからこそ響は未来を、親友を守りたい。大切な陽だまりを。響の帰る場所を。

 

「ありがとう、未来。未来のお陰で少しやる事が見えてきた気がする」

 

信じてくれる未来を心配させたくない。そして、今集中治療室で眠る翼が起きた時に同様に心配を掛けたくない。そして、ガンヴォルトを支える為に起こす行動は自ずと出てきた。

 

「よかった。いつもの響の顔に戻って」

 

未来はそんな響を見て微笑む。

 

「ごめんね、未来。心配掛けて」

 

「気にしないで。私も響の手助けが出来て良かった。でも、お礼として一つ約束してもらおうかな」

 

そう言って未来は携帯を取り出すとカレンダーを開き見せてくれる。そこには次の流れ星の流れる日とカレンダーのメモ欄に書かれていた。

 

「今回は一緒に見れなかったけど、次の流れ星の日は必ず予定を入れないようにしてね」

 

「うん、次は絶対一緒に見よう!」

 

響は未来に向けて言う。だからこそ、響は誓う。次こそは必ず、未来と流れ星を見るために。この戦いに決着をつけると。

 

後日。響は未来を守るため。翼の目が覚めた時、認めてもらうため。そして、大切な人が長い眠りにつき、精神がボロボロになっているガンヴォルトを支える為、響はシンフォギアと生身の身体で戦う事の出来る弦十郎に師事を受けるようになった。

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