戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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週明けの平日の昼。留置所から何回か取り調べを受けている中、遺留品の中にボクの持つダートリーダーの口径に合う弾がなかった事、蒼き雷霆(アームドブルー)を使用しなければ絶対に撃つ事が出来ない銃であった事、そして一課や二課の擁護により証拠不十分となり、釈放となった。昨日は慎次が来てくれたそうだが結局取り調べ中で面会出来なかった。弦十郎の同僚に聞いたら、所内に押収されていた装備の回収が目的だったらしい。ついでにあって近況の報告もしたかったそうだが、慎次も忙しかったらしく、そのまま帰った様だ。

 

「少しばかり窮屈な思いをさせて済まなかったな」

 

弦十郎の同僚が留置所の扉を開けながらそう言った。

 

「いや、元よりこっちのミスが原因でこうなってしまったんだ。済まない」

 

ボクは頭を下げて謝ると同僚は肩を叩き、顔を上げるように促す。

 

「それならとっとと例の件を解決してくれ。今はこっちも色々調べているが進捗はお前達の方が良いと思う」

 

テロリストの件を知っているのはこの男だけの為、他に聞こえないように小声でボクに言う。

 

「分かった。こっちで出来る限り早めに何とかする」

 

そしてボクの言葉に頼んだと言うと、留置所からボクを出してくれた。

 

二課の方にも連絡をしてくれたようで今広木防衛大臣の式に参列していない弦十郎の代わりに慎次が署の前に待機していた。

 

「ガンヴォルト君、良かった」

 

「慎次、ごめん。皆に心配を掛けて」

 

「仕方ない、とは言えません。今回は君の連絡が遅れたせいこんな事になったんですから」

 

ボクは慎次に頭を下げて謝る。慎次も今回の事を気にしているようで厳しく言ってくるがそれでも、ボクが犯人ではない事がほぼ決まったようなので安堵した表情をしてボクの肩を叩く。しかし、直ぐに表情を切り替える。

 

「とりあえず、ガンヴォルト君がいなかった間に起こった事の報告書を本部に戻りながら確認して下さい。君の装備も今は二課に保管されているので急ぎましょう」

 

ボクは頷いて慎次の乗ってきた車に乗り込む。そして報告書が入っているタブレット端末を貰うと、ボクは直ぐに読み進める。

 

「デュランダルの移送失敗原因はノイズによる襲撃で、例の如くあの子に邪魔された…」

 

「はい。幸い、響さんの迅速な対応のお陰で建物の被害は大きかったですが、デュランダルの奪還は阻止は出来ました」

 

「極秘のはずのデュランダル移送ルートの特定…やっぱり内通者」

 

「はい。そう思って間違いないでしょう」

 

慎次は運転しながら答える。そして報告書の下部に書かれた響の歌の力、フォニックゲインによって覚醒したデュランダル。

 

「デュランダルの覚醒…テロリストの思惑通りなのか、偶然なのか」

 

「偶然だと思いたいんですけど、こう次から次へと問題事が増えていくと何かの因果なのか思惑なのかが働いているんじゃないかって思って頭を抱えたくなりますね」

 

慎次が苦笑いをしながら答える。

 

「そうだね」

 

ボクは報告書を頭に叩き込んでからタブレット端末をスリープモードにすると慎次に聞いた。

 

「報告書の事は理解出来た。他に何か近況であった?取り調べ中に面会に来てもらってたらしいけど」

 

「ダートリーダーなんかの回収を、それと貴方の状況確認の為です。それと、嬉しい知らせは一件あります。翼さんが目を覚ましてICUから出ました」

 

「それは本当!?」

 

ボクはその事に驚き、慎次に問い返すと嬉しそうに頷く。

 

「…良かった…翼は目を覚ましたのか…」

 

ボクは安堵の表情を浮かべると、慎次はボクへ言った。

 

「翼さんもガンヴォルト君の事を聞いてとても心配していましたので無事を伝えれば喜びますよ」

 

「うん。翼にも目を覚ましてボクが捕まっている事を聞かされて心配を掛けたし、今日の帰りにお見舞いに顔を出すよ。奏は?」

 

慎次に聞くと表情を曇らせて首を振る。ボクはそれを察してそうか…と短く答えると、奏にも早く目を覚ましてくれる事を祈る。

 

「ガンヴォルト君。僕はまだ少し別の件で君を送った後に行かなきゃいけない場所があるので、司令達にももう一度謝っておいて下さい」

 

「分かった。ボクもその後慎次に合流した方が良いかい?」

 

「いえ、今回は大丈夫です。ガンヴォルト君は休んでノイズ達との戦闘の時にその力を発揮して下さい」

 

ボクは慎次の言葉に頷いた。

 

◇◇◇◇◇◇

 

ボクは慎次と別れ、二課に帰還すると一度汗を流す事と、スーツを新しいものに着替えてから司令室へと向かう。

 

司令室に入るとオペレーター、そして装者を除いた主要メンバーがいた。ボクが入ると重要な話をしていたと思われるのにボクの方に何人も駆け寄ってくる。

 

「よく帰ってきた!」

 

「無事ですか!?ガンヴォルト君!?」

 

「お前があんな事する訳ないって信じていたぞ!」

 

古参メンバーの皆は近付いてきてボクへ小突いたり、背中をバシバシと叩いてきたりして歓迎してくれる。ボクはそのメンバーに心配掛けてごめん、と謝って司令室の中央にいる弦十郎の方へと向かう。

 

「よく帰った、ガンヴォルト」

 

「迷惑掛けてごめん」

 

「気にするな。お前は何もやっていないんだ」

 

弦十郎はそう言ってくれた。しかし、ボクの方を訝しげ見る友里や朔也、そして何名かのオペレーター達がいる。

 

「どういう状況?」

 

少し不安な雰囲気を察して弦十郎に確認する。

 

「…二課の全員にお前から聞いていた過去を話した」

 

それを聞いてボクはこの状況を理解する。先程寄ってきていたのは全員古参のメンバーであり、寄らなかったのはボクの過去を話した当時に居なかったメンバー達であった事を察した。

 

「そう…」

 

ボクは短く答えると、友里と朔也が代表してボクへと問いかける。

 

「ガンヴォルト、貴方の過去を聞いたわ。なんでそんな事をしたのか私達は知りたいの」

 

「今まで一緒に仕事していた中でそんな重要な事を隠してるなんてどういうつもりだったんだ?」

 

怒りを孕んだ口調の二人。過去の件、そして弦十郎達に話している事から、殺人の件だと直ぐに分かる。

 

「俺や話した当時のメンバーはお前を信用しているが、他はお前がどうしてそういう事をやらざるを得なかったか話してもらわないとこの調子でな。だが、事情が事情だ。俺もお前がどうしてそうしなければいけなかったかもう一度確認したい」

 

ボクは少し考える。確かに聞かれなかった事もある。そこは多分弦十郎も掘り返して欲しくないと思って深く聞かなかったと思っている。しかし、この状況になったのなら話さないという選択肢は潰されたようなものだろう。

 

「…その話をするとなるとボクがこの世界に至る経緯も話す事になる。少し長くなるけどそれでも良いなら話す。でも話すのは翼が退院した時にだ。過去を知っている翼にもこの事を話さなきゃいけない。それに響にも話さないといけない。だけどボクもこの話を何回もするなんて気分の良いもんじゃ無いからなるべく皆が集まった時にしてくれると助かる」

 

「分かった。他の皆もそれでいいか?」

 

弦十郎が今いるメンバーに確認を取る。話してくれるならいいとの事であおいも朔也も、そして古参メンバー以外のオペレーターも納得してくれる。

 

「それでも構わないそうだ」

 

「ありがとう」

 

「とりあえず今日はお前は休め。狭い留置所じゃしっかり休めなかっただろう。ダートリーダーとテザーガンは技術班がメンテナンスしてる筈だ。メンテナンスが終わっていれば直ぐ受け取れるだろう」

 

「分かった。悪いけど少し休ませてもらうよ」

 

そう言ってボクは一度司令室から出る。休む前にとりあえず武器の回収と翼の病室に一度顔を出して謝らないといけないとこれからのスケジュールを考えながら技術班の部屋に向かった。

 

◇◇◇◇◇◇

 

技術班からメンテナンスを終えたダートリーダーとテザーガンを貰うのに釈放されて良かったなどの言葉を頂いていると少し時間を掛け過ぎた様でボクは少し急ぎ目に翼の入院しているリディアン学院の隣の病院へと向かう。

 

念のために近くの店でお見舞い用のフルーツを見繕ってもらった。

 

「寝てなければいいんだけど…」

 

ボクは院内を歩きながら、翼のいる病室へと足を進める。

 

「ガンヴォルトさん!?」

 

不意に背後から響の大きな声が聞こえて来る。振り返ると響がこちらに向けて小走りで駆けて来ていた。

 

「ガンヴォルトさん!釈、むぐ!?」

 

ボクは響が心配している事は伝わるのだが病院内で大きな声を出される事と、多分釈放と言いたかったんだろうが、病院内であまりそういうのは声に出さないで欲しい。変な目で見られそうだ。

 

「病院内は静かに」

 

ボクはそう言って翼に悪いと思ったが、響を病院の中央の広場へと一旦連れ出す事にした。

 

翼の病室から結構離れているがあそこで騒がれるよりマシだろう。響にも心配を掛けた為謝る。

 

「ごめんね、響。ボクが捕まったせいで大変な任務を一人でさせてしまって」

 

「私の方こそごめんなさい!せっかく師匠やガンヴォルトさんがあんなに強くなれる様に手伝ってくれたのにあんな結果しか残せなくて…」

 

響は悲しそうにそう言うがボクは首を振る。

 

「いいや、あんな結果なんかじゃ無いよ。輸送は失敗したかもしれない。でも、響はあの子と競り合ってくれたからデュランダルをあの子に奪われる事がなかったんだ」

 

「でも…」

 

それでも響は何か言おうとしていたため、ボクは奏が翼によくしていた事を倣い、響にデコピンを入れる。

 

「あう!?」

 

急に走る痛みに響は仰け反り、そしておでこを抑えてボクを見上げる。

 

「あまり悲観し過ぎなくてもいいよ。君はよくやったんだ。それにそんな悲しそうな顔でお見舞いにこられても翼にも迷惑が掛かるよ?」

 

ボクの言葉に響は少し考えると今度は両頬にパチンッと手のひらで叩いた。

 

「そうですね!とにかく、今はその話は無しにして翼さんのお見舞いに行きましょう!」

 

そう言って響はボクの手を握り、走って行こうとする。ボクは溜息を吐いて響が走るのだけは危ないからやめなさいと注意した。

 

そんなこんなでとりあえず響が手を離して二人で翼の病室の前に着く。響は翼にどういう顔で会えばいいのか迷っている様だが深呼吸して意を決してスライドドアに付属されているブザーを押して翼の名を呼ぶ。

 

「すみません翼さん、お見舞いに来ました」

 

しかし、中から返事は帰ってこない。寝ているのだろうか?と響と顔を見合わせる。何処か行っているのかもしれないと思い、ボクは時間を少しずらそうと響に話そうとしたが、響は病室の部屋の扉を開けていた。

 

「響…いくらでなくても勝手に開けるのは…」

 

響に注意するが、響は持っている鞄を落とした。

 

「そんな…」

 

ボクは響の視線の先、翼の病室を確認するとそこはまるで強盗にでも入られて荒らされた様な部屋となっていた。

 

「響、落ち着いて。直ぐに弦十郎に連絡するから近くの看護師を呼んで...」

 

「ガンヴォルト!?」

 

響に看護師を呼んでもらおうと思い、響に指示を出すと同時に翼の声が廊下に響く。声のした方を向くと翼が点滴を垂らすスタンドを握りながらふらふらと急いで近付いて来る。

 

「翼、無事かい!?」

 

「貴方こそ捕まったって!私も目が覚めた時に逮捕されてるなんて聞いて心配したんだから!」

 

怒りを抑えずに翼は涙を浮かべながらボクを責める。

 

「ごめん。でも、翼も目を覚まして本当に良かった」

 

ボクは本当に良かったと安堵の表情を浮かべる。翼はボクの表情を見て怒るに怒れないじゃないと言って落ち着いてくれた。

 

「それより二人ともお見舞いで来てくれたようだけど、何でこんな所に立ち尽くしていたの?」

 

翼がそう言うと響が部屋の現状を説明する。

 

「私達、お見舞いで部屋に入った瞬間、この状態だったんで翼さんに何か起こったんじゃないかって心配で弦十郎さん達に連絡しようとしてたんですよ」

 

それを聞いた翼は顔を赤く染め俯いてしまう。響がそんな翼の様子を見て何か理解したようで響は翼に耳打ちでボクに聞こえないように話している。ボクは未だに分からないがとりあえず本当に誰かが翼を狙って攻め込んだ可能性も考えた為弦十郎に連絡をしようとする。

 

「ガンヴォルトさん!師匠への連絡は大丈夫です!これは翼さんが」

 

「響、何を言っているんだ。この荒れようから考えて誰かに何か盗まれた可能性があるんだ。テロリスト達の動きが分からない今、前みたいにボクも捕まって動けなくなるのは避けたいし、何か弱みを握られるものを盗られていたら不利な状況になってしまう」

 

響はそれでも連絡は大丈夫と言うがこんなに荒れているとなるとボクは荒らされたという点を気にしてしまう。

 

結果的に響の口伝と忙しい中悪いと持ったが

慎次の連絡により翼の整頓能力のなさが引き起こした勘違いという事で幕を閉じた。

 

響は翼を援護する形で忙しくて片付ける事が出来なかったと言い訳を通したという形にしたが、ボクの過剰な翼へと世話焼きも問題があるんではないかと思い、翼や奏の過剰な援助も問題ではないのかと考えてもう少し自分での整頓能力を上げるべきではないかと考えて過剰に翼への介入を慎むべきなのではないかと考えるべきではないかと思う出来事であった。

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