戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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響は街に着くとノイズを雷で倒しているガンヴォルトに合流した。ガンヴォルトも何か焦っている様子で響に駆け寄る。

 

「響!雪音クリスを見なかった!?」

 

「クリスちゃんもここにいるんですか!?」

 

この場にクリスがいる事に驚くが見ていないと告げる。どうやらクリスもこの場にいてノイズの掃討に協力しているようだ。

 

「ガンヴォルトさん!私も聞きたいんですが、この前ガンヴォルトさんが助けてくれた人を見ていませんか!?リディアンの制服を着た人です!」

 

「君の親友も…ごめん、ボクも見ていない。でも、今回はクリスの捜索で散らばっていたエージェント達のおかげで被害も最小限に抑えられている。もしかしたら何処かのシェルターに避難しているかもしれない」

 

ガンヴォルトはそう言いつつもダートリーダーを構えては周囲のノイズに向けて撃ち、雷撃でノイズを倒す。響も近付いてくるノイズを片っ端から倒して、ノイズの数を減らしていく。

 

「でも、もしかしたらまだ逃げ遅れている可能性もある。響はこのまま、捜索してくれ。ここのノイズはボクが片付ける」

 

そう言うとガンヴォルトは空となったマガジンを捨てて、新しいマガジンを再装填する。

 

そして雷撃鱗を展開しながら次々とノイズ達を殲滅していく。

 

「ありがとうございます、ガンヴォルトさん!」

 

響は礼を述べるとその場から飛んで、現場を離れた。未来を探しながら、まだ残っているノイズを倒して街を捜索する。

 

しかし、未来の姿も他の生存者の姿も見えない。未来の事だ。危ない事をせずになんとか逃げ切れているのかもしれない。だが、万が一。未来が巻き込まれて何処かに取り残されている可能性があるかもしれない。

 

だから響は探し続ける。未来の無事を確認出来るまで。

 

しかし、捜索途中で響はなんとも得難い倦怠感に襲われる。今まで感じた事のない倦怠感に響は呼吸を荒げる。

 

「何だろう…急に身体が重く感じてきた…」

 

響はそれも気にせず捜索を続ける。だが、その倦怠感は響が今進む方向に行くに連れ増すばかりであった。そして、気が付くとシンフォギアが消えてしまい、響は制服姿に戻ってしまう。

 

その瞬間から先程まであった倦怠感も消えて、嘘だったかのように身体が軽くなる。

 

「なんでシンフォギアが!?」

 

響もその事に驚くが幸いにも辺りにはノイズはおらず、そのまま捜索を継続させた。今何故シンフォギアが解けたのかは報告すればいい。

 

「はぁはぁ…」

 

響は近くにある建物の内部をくまなく探していく。

 

依然、見つける事の出来ない未来の姿。弦十郎やガンヴォルトからも連絡がない。響は未来を探す。

 

そんな時、聞き慣れた未来の叫び声が響の耳に届いた。

 

「未来!?」

 

響は声のした方向へ走る。見えてきたのは解体途中であった建物。響はなんの躊躇いもなくその中に入る。

 

「未来!?」

 

建物の内部に入り、未来の名を呼ぶ。しかし、返ってきたのは未来の声などではなく、見慣れた色の触手のような攻撃であった。響はそれを躱して、攻撃の元へと目を向ける。

 

今まで見た事のないタコのようなノイズ。響は声を出しそうになるが、その前に響の口が誰かの手によって塞がれる。

 

その方向に顔を向けると探していた未来の姿があった。

 

「み…」

 

未来は響が何か喋る前に口元に人差し指を当てて静かにするようジェスチャーする。

 

そして、スマホを取り出すとあの目の前にいるノイズは音を感知して襲い掛かる事、音を出さなければ襲われないのだが今この場には響もよく行くお好み焼き屋のフラワーのおばちゃんも気絶しているとの事。

 

響もスマホを取り出してそれならば自分が何とかしてみる、未来はあのノイズの気を引いている間に逃げてくれと書いて見せる。

 

しかし、未来はその文面を見て首を振り、再びスマホで文字を打つ。

 

スマホにはそんな危ない事、響にさせられないと綴られていた。

 

響はスマホで未来に抗議しようとしたが、その前に未来が響を抱きしめる。

 

「ごめんね、響。今まであんな酷い事を言ったのに…響は私とまた仲良くしたかったのに私の方から遠ざけて…」

 

響の耳にしか届かないか細く、震えた声。

 

「私がした事を響に許される事じゃない事も分かってる…響が何で隠していた事は分からないけど、響も話したくても話せない理由があったと思うの…それなのに私は一方的に響を傷付けた…」

 

違う、傷付けたのは自分の方なのに。それなのに何故そんなに未来が謝るの。

 

響は違うと思い、未来に抗議しようとしたが、遮る様に未来が続けた。

 

「こんな事で許してなんて思うのも烏滸がましいのかもしれない。でも、私も響ともう一度仲良くしたい。だから、おばちゃんの事頼んだよ」

 

響にそう告げると未来は響を離して出口に向けて走り去る。

 

そして、

 

「こっちよ!」

 

未来の叫びと共にノイズは未来へと向けて襲い掛かる。しかし、それを既に予見していた未来はノイズの攻撃の届かない、そして響とおばちゃんの被害が出ない外へと走り出していた。

 

未来を追い掛けていくノイズ。

 

取り残された響は歯を噛み締めて呟く様に言った。

 

「私はそんな事、気にしていないのに…」

 

響は叫んだ。

 

「私はそんな事で謝られて…許してなんて思ってないよ!何で勝手に行っちゃったの、未来!」

 

響は叫んだがそれは建物内に木霊するだけであった。

 

だが、響は直ぐに立ち上がり、おばちゃんを見つけるとおぶって外へと駆け出す。

 

「未来も自分勝手過ぎるよ…私もまた未来と仲良くしたかっただけなのに…」

 

外に出て姿の見えなくなった親友の名を呟くが、誰も答えない。

 

「早くおばちゃんを安全な場所に連れて未来を探さないと!」

 

響は直ぐに安全なシェルターへと足を進めるのであった。

 

◇◇◇◇◇◇

 

その様子をビルの屋上から眺める一人の男の姿があった。

 

「…どうやらこれはシンフォギア装者に対してそれなりの効果は見れる様だな…いかんせん量がそこまで確保出来ていない現状ではやはり閉鎖空間でないとそこまで機能しないか」

 

男の手には大きなグレネードの様なものが握られており、既にピンが抜けている事から既に使用済みの物を回収したものと思われる。

 

「まあいい、元はシンフォギア装者を呼び出して効果を確かめる為だけだったが、ちょうどよく来た立花響で効果がどれくらいかは確認出来た」

 

そう呟くと同時に男の持つ通信機から何者から連絡が入ったのかノイズが入る。

 

『どうだい、アッシュ?Anti_LiNKERの効力は?』

 

「Dr.ウェル。効果覿面だが、やはり閉鎖空間でしか使えないな。もう少し、このサイズでも広範囲且つ、状態を保持し続けていなければ実戦では使い物にならないだろう。改良は可能か?」

 

『やっぱりアッシュもそう思うんだね。流石は僕と運命の赤い糸で繋がれた人だよ。でも大丈夫。現段階では試作品だから、幾らでも改良は可能さ。アッシュから優秀な機材を沢山提供してもらったからね。時間をかければ今持っているものより強力な物を作る事は可能だよ』

 

研究結果を聞いて上機嫌な通信先の相手。

 

「…そうか。君には期待しているよ。その為の投資さ。君と私が英雄になる為のな」

 

運命と大それた言葉を使う通信相手に辟易しながらそう言うと、さらに通信相手は上機嫌になったのか高笑いが通信機より響く。

 

『全く、アッシュの様に僕の事を分かってくれる人が現れた事自体が僕を世界が英雄にする為に仕組んだ運命なんだよ!』

 

「上機嫌な事は何よりだが、私もこの場を直ぐに離れなければ君と私の英雄譚(サーガ)も始まらないだろう。どうやらこの近くにあの男がいる様なのでな」

 

そう言うと通信相手は高笑いを辞めて、憎々しげに言った。

 

『ガンヴォルトという奴かい?なんでアッシュはそんな男の事を構うんだい?君ならそんな奴簡単に殺せるだろう?』

 

「簡単に殺せないんだよ、Dr.ウェル。奴が本当に何者なのか、正体を知るまでな」

 

第七波動(セブンス)という謎の力の事かい?僕も知りたいけどそんな事の為に僕等の英雄譚(サーガ)を不透明にするのかい?』

 

何処か拗ねている様な言い方でそう言う。

 

「私達の英雄譚(サーガ)に問題はないさ。寧ろ奴がいてこそ我々の英雄譚(サーガ)が完成するかもしれないのだからな。我々が英雄足らしめるには強大な敵、それに事柄があった方が箔がつくだろう?」

 

そう言うと先程拗ねていた通信相手はテンションが高笑いの時と同じ様に高くなる。

 

『流石アッシュだ!そこまで見越しているなんて!』

 

そう言うと君が安全に帰ってくる事を願って通信を切るよと言って通信が途絶えた。

 

「全く、Dr.ウェルのご機嫌をとるのも苦労する」

 

そう言うと街中の方に目を向けて雷撃が落ちる地点を見つめた。

 

「お前は何者かは分からない…だが、その力、その名前、そしてその出立。私の知るお前でない事を祈るよ」

 

そう呟くと男はビルの屋上から姿を消した。

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