戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

55 / 246
55VOLT

ショッピングモールに移動したボク達はゲームセンターへと来ていた。元の世界でもこういう所に詳しい仲間によく連れ回されたり、高校の頃に友人達と遊ぶ時には来ていたが、久々に足を入れた。

 

「久々だな、ゲームセンターなんて」

 

「そうなんですか?ガンヴォルトさんってこういう所にあまり来ないというよりゲームセンターみたいな所には行かない方だと思っていたのですが」

 

「そうだね、あまり自分から進んで行く事は全くないけど、高校の頃とかに友人達と何回かね」

 

未来の質問に答える。

 

「せっかくですし楽しみましょー!」

 

テンションの上がる響が翼と未来の手を引いてゲームセンターの中へと連れ込んでいくのを微笑ましく見た後に、ボクはその後について行った。

 

かと思うと翼が入り口付近にあるUFOキャッチャーの景品に目が留まって歩みを止める。それを見た響と未来は足を止める。UFOキャッチャーの景品に目を向けると猛獣などをデフォルメにした可愛らしいぬいぐるみであった。

 

「翼さんもこういうものが好きなんですか?」

 

「なっ!?私でもと言うのはどういう事だ立花!」

 

可愛いもの好きが意外に見られた事に反論する翼。確かに、業界などではクールな姿や可愛らしいよりも綺麗と捉えられる翼が可愛いものが気になれば少し意外に思われるだろう。

 

「響、翼さんだって女の子だよ。こんな可愛いぬいぐるみなら誰だっていいと思うよ」

 

未来が翼のフォローを入れる。すると響が直ぐ様UFOキャッチャーにスマホで入金すると動かし始める。

 

「すみません!それだったらお詫びにこれ取るので許して下さい!」

 

そう言ってUFOキャッチャーで景品を取ろうとする。だが響は何度も挑戦していくがなかなか景品を掴む事が出来ない。

 

「全然取れない!」

 

「立花、さっきの事はそこまで気にしていないからそうまでして取る必要はないわ」

 

翼もどんどん入金していく響を心配してそう言うが響は絶対に取って見せますと何度もUFOキャッチャーを動かし続けた。

 

「……」

 

ボクもその様子を見ていたが、一向に取れる気配がない。そしてあまりにお金を使い過ぎているのでそれ以上やると無くなっちゃうよと未来が注意する。それでも響は挑戦していくが取れる気配がないのでボクは入金しようとする響を止めて、ボクの端末で入金した。

 

「それ以上使うと買い物とかする分のお金がなくなるよ。ボクも手伝うから」

 

「ガ、ガンヴォルトさーん!」

 

目に涙を浮かべた響が縋るようにボクの方を向いた。ボクは響と変わり、UFOキャッチャーを操作していく。

 

この手の景品は仲間の男にうんちくのように取り方を教わっていた為その通りにやる事にする。

 

仲間曰く、こういうのは景品自体ではなく、タグなどの引っ掛けられる箇所を狙い、持ち上げていくのがベストと言っていたのでそれを実行する。

 

ただ、この手のものも上手い人でないとなかなか狙いをつける事が難しいとは聞いているが、コツさえ掴んでいれば行ける、というのが仲間のアドバイスだったが、何とか一回目に成功して、景品を落とす事は出来なかったが、後一回触れば落ちるような箇所まで持っていく事に成功する。

 

「ガンヴォルトさん凄い上手!」

 

「偶々だよ。ほら、響。一回残っているから頑張ってやってみて」

 

「えっ?でもガンヴォルトさんがここまで」

 

「響が翼の為にやってたんだから、ボクが最後までやったら申し訳ないしね」

 

そう言って操作を響に進めると、響はアームを操作して景品を落とす事に成功する。

 

「やった!」

 

「おめでとう」

 

響は景品を取り出して近くにかかっていた袋に景品を入れると翼にそれを渡した。

 

「翼さんどうぞ!と言ってもほとんどガンヴォルトさんのおかげですけど…」

 

「そうかもしれない。でも、取ったのは立花だ。ありがとう」

 

「翼さーん!」

 

響は翼の言葉に嬉しそうに抱きついていた。

 

「いいんですか、ガンヴォルトさん」

 

未来がそう言ったがボクは二人を見ながら言った。

 

「いいんだよ、これで。あそこまで頑張っていたのに横から手柄を横取りする程野暮な事はしないよ」

 

「ガンヴォルトさんは優しいんですね」

 

「そうでもないよ。これ以上響があそこで続けていると響のお金が消えていくのが目に見えていたからね。遅かれ早かれ、未来やボクに助けを求めていたさ。そうでもしないと高校生のお財布事情だとこれ以上の出費は厳しいと思うし」

 

ボクは苦笑いを浮かべる。

 

「確かに、響なら取るかお金が尽きるまで取ろうとしますね。ガンヴォルトさんが早めに手を貸してくれて助かりました」

 

未来もボクに釣られて苦笑いをする。そんな様子でようやく翼から離れた響がガンヴォルトに近付いて手を握る。

 

「ありがとうございます!ガンヴォルトさん!お陰で取れました!」

 

「気にしなくていいよ。それよりも他にも何かやりたいものとかある?ボクもこういう所は久々だからあまり詳しくないから案内してよ」

 

「はい!」

 

そう言って響はボク等を先導して奥へと向かっていく。

 

「全く、立花は忙しい奴だ」

 

「そうですね。私達も行きましょう」

 

そう言って未来は響の後を追う。

 

「立花も言っていたが、景品の手助けありがとう、ガンヴォルト」

 

「翼も気にしなくてもいいのに」

 

「そういうガンヴォルトこそ、謙遜し過ぎなのよ。こういう善意は素直に受け取ればいいのに」

 

翼は拗ねるようにボクに告げた。ボクはそんな様子を見て肩を竦める。

 

「分かったよ」

 

「ガンヴォルトさーん!翼さーん!四人で出来るレーシングゲームとかありましたー!一緒にやりましょう!」

 

 

奥でボク達に向けて響が手を振っている。

 

「せっかくの休日だし楽しみましょう、ガンヴォルト」

 

そして翼がボクの手を取り、響と未来の元へ向かうのであった。

 

◇◇◇◇◇◇

 

「ガンヴォルトさんにこれが似合うと思うんです」

 

「いいや、立花。こういう服の方がガンヴォルトに似合うと思うんだ」

 

「こっちもいいんじゃないでしょうか?」

 

翼、響、未来がそれぞれ男物の服を持ちながらあれやこれや言っているのを見ながらボクは少し疲れた表情をする。

 

ゲームセンターで満足するまで遊んだ後、三人の意見で服屋を覗く事になった。と言ってもレディース専門店の為にボクは入るのを遠慮したのだが、男性からの意見を聞きたいという事でボクは三人に連れ込まれて様々な服に着替えた三人を褒めていたら、何故か次はボクの服を選ぶという事になり、そのまま流れるようにメンズ専門店に詰め込まれて三人が持つ服を着るよう強制されてしまった。

 

店員や周りの客からの視線も痛く、これ以上目立ちたくないので直ぐにと言うが三人は何故か楽しくなったのか次々に服を選んでは持ってきて、試着するよう頼んでくる。

 

ボクも悪いのだろうが、断ろうとすると三人が本当にしょんぼりして悲しそうな目で見てくるので断る事が出来ず、結局流されるまま三人の着せ替え人形の様にされる。気付けば女性店員数名も入っている事に驚きつつ、翼の正体がバレないかヒヤヒヤしながらもボクはされるがままに渡された服を着ていく。

 

「三人とも、そろそろお店の方にも迷惑がかかるからやめに」

 

「ご心配ありません、こちらとしても目の保養、ではなく最大限に配慮を行なっておりますので問題ありません」

 

店員がそう言うが周りからの視線はそんな生優しいものではないだろう。というよりこの店員は完全に目の保養と言い切った事に更に頭を抱えたくなる。

 

「そういう事みたいなので次はこれをお願いします!」

 

「待って、響!さっき響が渡した服を着たんだから今度はこっちを着て下さい」

 

「二人とも落ち着いて」

 

翼が二人を戒めるのでボクはほっと胸を撫で下ろす。翼としてもそろそろ自分の事がバレる事を危惧してくれたのだろう。

 

「ここは先輩の意見を尊重して私の選んだ服から着てもらうべきであろう」

 

違った。先輩権限とでも言うのだろうか。二人を差し置いて自分の服を優先させるという暴挙に出ていた。

 

「勘弁して欲しいよ…」

 

溜め息を吐き、近くにいた男性店員に着た服を全て包んでくれる様お願いする事と三人の持つ服はまた今度という事を伝える。

 

三人も店員も残念そうにするが、これ以上は居続けるのも迷惑だと思い、精算して服を受け取るとその場を後にした。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。