戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

56 / 246
56VOLT

ショッピングモールでの買い物途中で翼の正体がバレたのか翼のファンが追い掛けて来た事によって逃げ回るのだが、気付けばかなりの人数が翼を一目見ようとショッピングモール内を散策している為、未来の提案でショッピングモールから離れたカラオケへと足を運んだ。

 

「まさか、あんなにも人が集まって来るなんて」

 

「トップアーティストが近くにいるとなると一眼でも見たいっていうのは仕方ないのかもしれないからね」

 

「だからってオフの時くらいはゆっくりと買い物させて欲しいものなんだけど」

 

「そうですね。やっぱりオフくらいは休ませて欲しいものですからね」

 

カラオケの部屋に入り、三人がぐったりとソファーに腰を下ろした。見つからずに逃げて行くのには流石に疲れたのだろう。

 

「しばらくはここにいた方がいいね。皆ゆっくりしてていいよ。ボクは何か飲み物を取って来るから何がいい?」

 

各自欲しい翼と響はボクに飲み物を伝え、未来は一緒に来てくれるという事なので、ドリンクバーに二人で向かう。

 

「翼さんも大変ですね。休日にゆっくりと買い物も出来ないですし」

 

「ゆっくりさせて欲しい所だけど、こればっかりはね。人気アーティストの困る所だね。せめてアーティストの時と普通の時で姿が違えば気にせずに外に出れるんだけどね」

 

翼もシアンの様にアーティストと普通の時と違う姿であれば楽なんだろうなと思いながら言う。

 

「そうだったら翼さんの良い所が隠れてしまう様な気もしますけど、そうであったら翼さんも気兼ねなく遊べますし」

 

「そうだね。今までこういった遊びもあまりしてこなかったのがあって心配だったけど、未来や響がいてくれたおかげで助かったよ」

 

正直な所、翼がこうやって友達と遊びに行く所を今までで見たと言えば奏がいる時くらいでそれ以外はボクは知らない。

 

だから、遊びに誘ってくれた未来や響には感謝している。

 

「ガンヴォルトさんって翼さんの保護者みたいな人なんですね」

 

ボクの話を聞いて未来は笑いながら言った。

 

「保護者って…ボクよりも適任者の慎次とか弦十郎がいるんだけど…」

 

「お二人もそうかもしれませんけど、ガンヴォルトさんも同じように私には見えますよ?」

 

「…ボクってそういう風に見えるの?」

 

「はい。あのお二人はお父さんみたいな感じですけど、ガンヴォルトさんは過保護なお兄さんみたいな感じに見えますよ」

 

未来はボクに笑いかける。父親に見られないだけマシ。ここで父親のようと言われたら、あの時のあの人のようにボクも困惑していただろう。

 

「もちろん、悪い意味じゃないですよ。私一人っ子なんでガンヴォルトさんみたいなお兄ちゃんがいたら良いなーって思って」

 

「ボクって未来から見たらどんな印象なの?」

 

未来の言うボクのような兄がいれば、というより、傍から見たらボクはどういった印象を持たれているのか気になって聞く。

 

「ガンヴォルトさんってとても優しい人ですよ。私達が遅刻しても責めなかったり、選んだ服を褒めてくれたり、重そうな荷物をさりげなく持ってくれたり、さっきみたいに皆疲れているからこうやって皆の分の飲み物を取ってこようとしたり、そのさりげない行動を素でしてることって結構凄いと思いますよ?」

 

「そうなのかな?」

 

「そうだと私は思います。って言っても私も男の人と出掛けるなんてお父さん意外、久々なんでこういった事を言うのも恥ずかしいですけど」

 

少し照れながら未来は話す。

 

「別に思った事を口にするのはいいんじゃないかな?ボクも未来にそうやって言われて三人を困らせていなかったのかなって不安もあったし、ボクみたいな女の子の遊びについて来て本当に大丈夫だったのかなって思ってたけど、未来はそう思っていなかったのなら良かったよ」

 

「響も翼さんもそんな事思っていませんよ。それにそんな事思った事なんて私はあり得ませんし、二人もそう思ってませんよ」

 

「それならよかった」

 

未来に笑いかけ、悪く思われていなかったようなので胸を撫で下ろす。ドリンクバーについて未来と話しながら、それぞれの飲み物を注いで、部屋に話しながら戻るとマイクを握った響が机にうつ伏せになっているのを見て驚く。

 

「ボクと未来が飲み物を取っている間に何が起きたの?」

 

響がなぜこうなっているのか分からない、ボクと未来は翼に問いかける。

 

「せっかくここに来て休んでるのももったいないから、立花に歌ってもらっていたんだが、精密採点?というものを入れて歌ったらしいんだが、二曲とも自信のある歌を入れたらしいんだけど思うような点数を取れなくてこうなったとしか言いようがないんだけど」

 

翼も困惑しながらも伝えてくれたのでなんとなく察したが、響の歌はそこまで酷かったのだろうか?と思い、翼と響に飲み物を渡してデンモクを確認するとツヴァイウィングの曲とその前に入れられた精密採点の種類を確認する。

 

「これって、ボクの知る限りじゃ相当厳しい採点をするものだったんだと思うんだけど…そんなに低い点数だったの?」

 

机にうつ伏せになり、未来に慰められている響に問いかける。

 

「今の私ならその採点でも高得点を狙えると思って選んだんですけど、あまり変わらなかった事に気が滅入ってしまいました…」

 

「そんな厳しい採点なの?」

 

翼がそれを聞いてボクに聞いてくる。

 

「ボクも詳しく知っている訳じゃないけど確かかなり辛辣なコメントをするものだった気がするよ」

 

「この採点、相当厳しい事で有名なんですよ。厳しい採点するし、コメントがあまりにも酷いから歌手の方達が歌わないとあまり良い点数を取れなくて」

 

翼がボクと未来の説明を聞いて納得する。響の歌の得点と共に出るコメントを見てなんとなく察したのだろう。

 

「今なら良い点取れると思ったんですよ!それなのに、相変わらずコメントが辛辣過ぎて泣きそうです!」

 

机にうつ伏せになりながら、響はマイクを持つ手で机を叩く。そして、翼に向けてマイクを向けて言う。

 

「機械に負けないんだから!翼さん!頼みます!」

 

「結局人任せにするんだ!?」

 

潔く翼にマイクを渡す響に向けて未来がツッコミを入れる。

 

「任せろ、立花!お前の仇は私が取ってやる!防人たる私達がこんな所で負けていいはずがない!」

 

「翼さん!やっちゃって下さい!私達の歌はこんなもんじゃないってこの機械に教え込みましょう!」

 

劇団でもやっているのだろうか?とボクと未来はそんな翼と響の仲の良さそうな様子を微笑ましそうに見ながら翼の選んだ恋の桶狭間に耳を傾ける。

 

採点で高得点をマークして機械も悔しそうなコメントを残した事を見て、響と翼は勝利したと喜びを分かち合っている。

 

「楽しそうで何よりだ」

 

「ガンヴォルトさん、そういう所が私が保護者って思う所なんですよ?」

 

未来が何処か不満そうに言う。

 

「そうかな?」

 

「そうですよ。もっと楽しんだらいいんじゃないですか?折角遊びに来ているんですし、という事でガンヴォルトさんも何か歌ってみて下さい」

 

そう言って未来がデンモクを手渡す。

 

「うーん、ボクもあまり得意じゃないし、そこまで知っている曲も少ないし」

 

デンモクを操作しながら、知っている曲を探す。この世界で知っている歌は基本的に翼や奏が歌っていた曲くらいで後はテレビなどのCM曲のサビくらいだ。

 

その事を未来に伝えると、それならばデュエットをしようという事になり、未来と共にツヴァイウィングの曲を共に歌う事になった。

 

結果的にはそこまで悪い点数ではなかったのだが、響や翼にもデュエットをせがまれる形となり、今までで一番歌を歌った。

 

◇◇◇◇◇◇

 

場所は変わり、響と未来がオススメの場所にボク達は足を運んだ。

 

そこは見晴らしの良い公園の展望台であり、街を一望出来る場所であった。

 

響や未来、そして翼も楽しそうに話しているのを見ながら夕暮れの街を見渡している。

 

こんな日常も悪くない。そう思える。だからこんな日常を目を覚ました奏、シアン、まだこの街の何処かにいるクリスにもこういった日々を過ごせるようになって欲しい。

 

本当にそう思った。

 

だけどボクはこの楽しい日々が続くようになった後、帰る手段が見つかればボクは元の世界に戻ってやるべき事をしなければならない。

 

そう思うと同時に、だからこそ、今の現状を改善しておきたいと強く思うのであった。




ガンヴォルトに歌わせる曲を考えていて、中の人関連でマッチョアネーム?を歌わせようかと考えていましたが、ガンヴォルトと言うキャラが崩壊しすぎるのでボツにしました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。