戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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アニメも後約三話分、ようやく終わりが見えてきました。
一日で二話投稿は結構キツイ…
でも終わりが近づくにつれて乗ってきたのかタイピングが早くなってきた気がする。
とりあえず一期は後十話から二十話くらいで終わると思います。
長引いたらごめんなさい


60VOLT

クリスを仮の家に案内した。クリスにとって久々の暖かい布団とお風呂の為なのか嬉しそうにボクに本当にいいのか?と聞いてOKを出すと直ぐに風呂場へ向かって行った。

 

ボクはとりあえず最近あまり使っていなかった為、上着を脱いで軽く掃除と換気をしておいた。

 

そしてソファーに腰を下ろすと弦十郎に向けて通信を入れる。

 

「弦十郎、今大丈夫かい?」

 

『ガンヴォルトか。大丈夫だ。何か見つかったか?』

 

「クリスが教えてくれた事を伝えておくよ。まず、あの屋敷に隠し部屋があってフィーネはなんらかの研究をそこでやっていたみたいだ。多分、聖遺物の事だと思う」

 

ボクは部屋の事だけを話し、あの謎のアウフヴァッフェン波形の事は話さなかった。あれは今は翼とボクのみしかまだ知ってはいけないだろう。何の波形なのか知る事は出来ないかもしれない為、話した方がいいかもしれないが、翼と話してからどう対処するか検討しようと考える。

 

「後、クリスから聞いたんだけどカ・ディンギルって知ってる?」

 

『何の事だかさっぱりだ。カ・ディンギルか…お前は何か知っているか?』

 

「言葉の意味だけなら。メソポタミアの都市の名前で意味は神の門。でも、これだけじゃ何の事なのか分からない。ボクの世界ではそういう風に語られているよ。もしかしたらこっちでは違うのかもしれないからこういう事は了子の方が詳しいはずだよ」

 

『そうだな。それより、クリス君はどうしたんだ?』

 

「雪音クリスなら今仮住まいに連れてきたよ。前みたいに廃マンションに住まわれて身体を壊されたら大変だからね」

 

弦十郎にそう言うと、それもそうだな。と言って、そこに住まわせてやってくれとお願いされたので了承した。

 

「また何か分かったら連絡をお願い。こっちも新しい情報が入ったら連絡するよ」

 

『分かった』

 

そう言って通信を切ると同時にリビングにシャワーを浴び終えたクリスがリビングへと入ってきた。

 

「…あんがとよ、スッキリした」

 

「気にしないで。ここを使っていいと言ったんだから好きに使ってくれて構わない」

 

そう言って上着を着るとクリスにゆっくりしていてもいいと言う。

 

「何処に行くんだよ?」

 

「お腹も空いているだろ?買い出しに行ってくるからテレビでも部屋にある本でも読んで待っていて。それとリクエストがあるなら言って」

 

「…あの時のサンドイッチが食いたい…」

 

ボクはクリスのリクエストを聞いて分かったと言うと買い出しの為に部屋を出た。

 

◇◇◇◇◇◇

 

クリスはガンヴォルトが出て行ったドアを見ながら何処か一抹の不安を覚えた。

 

フィーネに裏切られて、縋るものが無くなったクリスにとって今唯一信じられるもの。

 

それがガンヴォルトであり、敵だったはずなのに何故かクリスを救いだそうとしてくれた男。

 

あの男の何処までも真っ直ぐな言葉と行動でクリスは信じた。

 

だからこそ、ここでまた一人になった事でガンヴォルトはまたちゃんと帰ってくるのだろうか、本当にまた一人になってしまうんじゃないだろうかと思ってしまう。

 

不安だけがクリスの頭を支配していく。

 

その不安に押し潰されそうになり、クリスは自身の体を抱いてなんとか振り払おうとする。だが、一度思ってしまった不安は簡単には振り払う事は出来ない。

 

そしてクリスは部屋の中にある先程ガンヴォルトの座っていたソファーに目を向けるとガンヴォルトが座っていた場所に座る。

 

少ない時間だがガンヴォルトの座っていた事によって温もりが残った場所はクリスにとってはその不安を拭うには十分であり、落ち着く事が出来た。

 

「…早く帰ってきやがれよ…馬鹿…」

 

そう呟くと同時に何処か安心出来たのかクリスは目を閉じて眠りについた。

 

◇◇◇◇◇◇

 

買い物も終了し、クリスの待つ家へ帰る途中、ボクは翼へと通信する。

 

「翼、今大丈夫かい?」

 

『ガンヴォルト。さっき、全体の会議が終わったから大丈夫よ。会議の内容を貴方に伝えようと思っていたの』

 

「大丈夫だよ。これから少し用事があるからそれを済ませたら本部で資料に目を通すさ」

 

そう言ってそのまま本題に入る。

 

「それよりも翼から聞いた、電子の謡精(サイバーディーヴァ)を持つ何かを見つけた。どうやらボク達が響だと思っていた予想とは違った」

 

『何ですって!?立花じゃないなら一体!?』

 

「聖遺物だった。フィーネが住んでいたと思われる街外れの屋敷の中で、それだと思われるアウフヴァッフェン波形が映された絵を見つけた」

 

『そんな…』

 

「とにかく、何の聖遺物か分からない以上、フィーネを見つけ出して聞き出すか奪還しなければならない。それに聖遺物となるとボク等だけじゃどうする事も出来ない可能性もある。ここは二課と協力してやるしかないと考えているんだけど、どうする?」

 

『…そうするしかないわね…。教えてくれたあの子には悪いけど、そうしなきゃもっと悪い方向に進む可能性があるわ』

 

「分かった。ボクから弦十郎に伝えておくよ。それと、ボクにもこの情報をくれた人物について教えてくれないかい?」

 

『ごめんなさい…。それだけは本当に教える事が出来ないの』

 

翼の言葉にボクはそれ以上何も聞かなかった。気になる所だけど、その聖遺物を奪還出来れば分かる事だ。

 

「分かった。それじゃあ、弦十郎達に伝えておくよ。翼もその人からまた何か情報が入ったら教えて」

 

『分かったわ。それじゃあ』

 

翼の通信が切れたのを確認すると、次は弦十郎へと通信を行う。

 

「弦十郎、新しい情報が入ったから伝えるよ。フィーネは他にも聖遺物と思われる物を所持している。アウフヴァッフェン波形がプリントされた絵を見つけた」

 

『なんだと?その資料は?』

 

「ボクが持っているよ。データだけは通信後に送らせてもらう。それと、その波形はボクにも関係しているから何か分かり次第、直ぐに連絡を頂戴」

 

『お前に関係している?まさか、お前がこの世界に来た原因か?』

 

「分からない。だけど、このアウフヴァッフェン波形にボク同様にシアンの第七波動(セブンス)電子の謡精(サイバーディーヴァ)の波形が確認出来た」

 

『本当なのか!?』

 

「了子が以前見せてくれたボクの波形にも出ていた電子の謡精(サイバーディーヴァ)の波形が出ている。合わさっているのが何かは分からない。だけど、第七波動(セブンス)が関係してるのならボクがこの世界に来た関係、もしくは原因が分かる気がするんだ」

 

弦十郎は少し考えてから、了承してくれた。そして、分かり次第、対処もボクに任せたいと。

 

「ありがとう、弦十郎。後、さっき翼から聞いた会議の議事録を作っておいてくれると助かるよ。後で確認したいから」

 

『分かった。手の空いた者に作る様、頼んでおく。それと、お前にだけ伝えたい事がある』

 

一拍置いて弦十郎が言った。

 

『了子君を調べてくれないか?彼女が内通者の可能性がある』

 

「…その根拠は?」

 

『さっきの会議の時、ビデオ通話で行なっていたのだが、彼女だけが音声通話だった。その時多分、慎次と俺だけは気が付いたんだが、息遣いがいつもと違い、おちゃらけた雰囲気の了子君だったが違和感がな。それに彼女が本部にいない間に、色々な出来事が起こっている時が多い。フィーネのアジト襲撃、それにフィーネの邂逅。何故か彼女がいない時に起きている』

 

「確かに。でも根拠としては少ないかも知れない。だけど、さっき手に入れた謎のアウフヴァッフェン波形が電子の謡精(サイバーディーヴァ)、つまり第七波動(セブンス)が関係しているから、了子自身がボクに対して力の事を何度も調べさせてくれと言うのが興味なんかじゃなく、その聖遺物の制御の為と考えれば、おかしくもない」

 

『そうだ。俺も彼女が内通者だとは信じたくはない。だが、ここまで重なるとどうしても疑ってしまう』

 

ボクは弦十郎の推測はほぼ間違いないと思う。だが、確信出来る証拠がない。だからボクに調べてもらう。

 

「分かった。こっちは了子の身辺調査をしてみるよ。弦十郎は気付かれない様にして」

 

「助かる。それとカ・ディンギルについても了子君から情報を貰った。どうやら、出典はお前の話してくれたメソポタミア神話同様で、その南部のシュメールで伝えられる物らしく、意味は高みの存在。転じて天を仰ぐ程の塔という意味らしい』

 

「ッ!?」

 

その言葉を聞いて、ボクはかつて命を懸けて戦った男、紫電の通り名を思い出す。そして、フィーネが持つシアンの電子の謡精(サイバーディーヴァ)を宿す聖遺物がなんなのか、そして何故それに電子の謡精(サイバーディーヴァ)が宿っているのかなんとなくだが予想してしまう。

 

『何か知っているのか?』

 

「弦十郎!了子の調査はもういい!了子が来たら直ぐに拘束してくれ!もし違ったら、ボクが全部責任を被る!フィーネが何をしようとしているのかは知らないけど、あの力を扱える様になって仕舞えば必ず良くない事が起きる気がする!」

 

『なんの事だか分からんが、了解した。お前がそこまで焦るのなら相当危険な代物なのだろう。だが、後で必ず説明してもらうからな』

 

そして弦十郎との通信を終える。

 

第七波動(セブンス)自体は悪いものではない。だが、もし。その力を持ち、かつての紫電のように管理した世界こそが平和という皇神(スメラギ)の様な発想が生まれて仕舞えば、第七波動(セブンス)があるにしろ無いにしろ、ボクのいた世界の様な結末があるかも知れない。

 

急いでクリスの待つ家へと足を早める。

 

家に帰り、クリスがソファーで寝ていた。悪いとは思うが、起こして、料理が作れない事を伝える。

 

「な、何かあったのかよ、そんなに慌てて」

 

「フィーネについてまた新しい事が分かった。とにかく、ボクは一度本部に戻らなきゃならない」

 

「…分かったよ。また今度食べさせてくれ」

 

「ありがとう。何かあれば通信機にボクの周波数を合わせてるからそれで連絡してくれ」

 

そう言って直ぐに家を出る。

 

そして、急いで本部に向かう途中、街でノイズが発生した事が通信で分かった。

 

「なんでこうタイミングよくっ!」

 

ボクは唇を噛みながら、クリスに街の方にノイズが出た事を連絡して、クリスがそれに出てくれる事を了承してくれたので、街は他にも出撃した翼と響に任せる事にする。

 

とにかく、今は本部へと向かわなければ。

 

ボクは本部へと全力で駆けて向かった。

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