反動がありそう…
ガンヴォルトが本部へと向かっている中、クリス、翼、響の三人は街に出現したノイズの掃討を行っていた。
「クリスちゃん!そっち行ったよ!」
「分かってる!」
響は取り逃したノイズがクリスに向けて攻撃していくが、クリスの銃により炭と変わる。
そんな背後からクリスに向けて攻撃をし始めるノイズは近くにいた翼により斬り伏せられる。
「油断するな!」
「気付いてたっつうの!」
そう叫ぶと同時にクリスはガトリングに切り替えて、周囲のノイズに向けて乱射して一掃する。
翼と響はクリスの参戦に驚きはしていたものの、遠距離で戦える装者が現れた事により、ガンヴォルトと戦っている時と同様に安心感が増していた。
「凄いよ!クリスちゃん!」
「褒めなくていいから、他のノイズを叩け!空に浮いているのはあたしがなんとかしてやるからお前達は地上にいるノイズを私に気がつかないように倒しておけ!」
そう言ってクリスは空に浮かぶノイズ達を掃討するべく、空に向けてガトリングを掃射する。
「全く、戦わなくなって協力してくれると思えば、指揮官気取りとはいかなるものか…」
「まあいいじゃないですか翼さん。私達はクリスちゃんに任された、地上のノイズをどうにかしましょう」
響がそう言うと、二人はクリスに気が向かない様に派手に、そして広範囲の敵を屠る様に大技を連発する。
お陰でクリスへと向かう攻撃は目に見えて減り、クリスは上空に浮かぶノイズ達の掃討に専念でき、通常の戦闘よりも早く、終わらせる事が出来た。
「ありがとう、クリスちゃん!協力してくれて!」
「ああ、空飛ぶノイズに関しては私と立花だけではうまく立ち回れなかっただろう。ガンヴォルトがいれば別だが、ガンヴォルトはまだ本部に到着してなかったし、本当に助かった」
「な、なんだよ!お前は!」
感謝の言葉に慣れていないクリスは二人の言葉に戸惑いを隠せない。
「私はあいつから頼まれたから来ただけだ!それに、これ以上フィーネの好きにさせたくねぇっていうだけだ」
その言葉に翼と響の二人は初めの言葉で引っかかり問い返す。
「フィーネさんの好きにさせたくないのは分かるけど、なんでガンヴォルトさんが出てくるの?」
「なんでって…私はあいつだけは信用出来るから協力してるだけだ」
それを聞いて響はガンヴォルトが気付かずにまた翼さんの危惧する様な事を起こしたのではないかと考えた。それと同時に翼の方を見ると、眉をひくひくと動かして狼狽えていた。
「確かにガンヴォルトは信用出来るのは一番近くにいる私が良く分かっている」
一番近くにいるを強調して言ったのをクリスは分かっていなかったが、かつてあおいに事情を聞いている響はあはは、と引きつった笑顔を浮かべる事しか出来なかった。
「それで何故貴方にガンヴォルトが頼むのかしら?探してたとは言え、貴方の居場所をガンヴォルトが知っていたのかしら?それとも何処か出会ってたまたまその事を伝えられたのかしら?」
「伝えるも何も、あいつから渡された通信機に連絡が来たからだよ。ったく、あいつも急がずに一緒にいればすぐにこっちに来れたのによ」
その言葉に翼の眉間に青筋が浮かぶ様な気がした響は翼の方を見る。翼の額には青筋は浮かんではいないが、雰囲気だけでもかなりご立腹だと分かった。
「なんで貴方がガンヴォルトと一緒にいたのかしら?というか、貴方はこの場に来るまでガンヴォルトと何していたのかしら?」
「何ってあいつの家を使わせてくれるって事でそこで休ませてもらってただけだ」
その言葉を聞いた瞬間、翼は崩れ去り、地面に手と膝を突いた。
「なんで…なんで私ですら入った事のないガンヴォルトの部屋に…」
そこですか、と響は思いながら、クリスの言っていた部屋はリディアンの近くであった為、到着が早かった事に疑問に思い聞いた。
「でも、クリスちゃん私達が来て間もない時に来たよね?ガンヴォルトさんの家ってリディアンから近いし、それなのにこんなに早く来れたのって?」
「近くにあんだよ。あいつの別邸だったか?なんか友人とかが来る時に見られたらまずいものがいっぱいあるから他で借りてるらしい」
「あー、確かに。ガンヴォルトさんの部屋って綺麗だったけど、別部屋にいつも着ている蒼のコートとかブーツとか玄関に置かれてたし、あの部屋に上がったら確かにまずいね」
クリスと響の会話に更に絶望する翼。
「…帰ったらガンヴォルトには幾つか聞かないといけない事が出来たわね…」
何処か黒い笑みを浮かべる翼にクリスと響はガンヴォルトに対して合掌した。
どうか無事であります様にと。
そんな時、響の通信機に未来からの連絡が入った。
「大変よ、響!リディアンがノイズに襲われてるの!直ぐに…」
途中で通信が切れた為、響は慌てて未来の名前を連呼するが応答がない。翼もクリスも響の慌て様に何か大変な事が起きた事を察して、表情を切り替える。
「大変…リディアンがノイズに!」
「なんだと!?」
「クソッ!とにかく急いで向かうぞ!あっちにはあいつがいるにしろ、数が多ければ戦闘が長引いて被害が増える!」
三人はシンフォギアを纏ったまま、リディアンに向けて駆け出した。
◇◇◇◇◇◇
翼、クリス、響が街でノイズの戦闘を行なっている中、ボクはリディアンに到着する。
そこではノイズと戦闘する一課の人間がおり、生徒達に被害が出ない様戦っていた。だが、ノイズに既存の兵器は役に立たず、次々と一課の人間が犠牲になっていく。
その姿を見たボクは直ぐに言葉を紡いだ。
「煌くは雷纏いし聖剣、蒼雷の暴虐よ、敵を貫け!」
その瞬間に雷撃が剣を象り、一振りの巨大な剣が出現する。
「迸れ!
巨大な剣を掴み、襲い掛かるノイズ、そして巨大なノイズを切り伏せる。
「た、助かった!」
「ここはボクがなんとかする!数名は二課に向かってボクの戦闘服を!他はリディアンの生徒の避難誘導を!」
スパークカリバーを構え、ノイズに向けて駆け出し、切り伏せる。スパークカリバーの出力が落ちて消える前に数を減らさなければ。
とにかく、周りにいるノイズは一番の危険因子がボクと判断したのか、他の戦う隊員達より優先してボクを狙い始めた。
ボクは近くにいるノイズをスパークカリバーを振るい、片付け始める。
振るう巨大な剣により、近くのノイズを切り伏せ、逃したノイズは剣から迸る雷撃により倒していく。
ノイズはどんどん出現していくが、それよりも早く、ノイズが出た瞬間に切り伏せ、他のノイズを生み出していく最初に倒した巨大なノイズを屠る。
「ここは終わった、次だ!」
「ガンヴォルト君!」
スパークカリバーが消え、次の現場へと向かうおうとした矢先、聞き覚えのある声に呼び止められた。
そちらを向くと車が止まっており、慎次が降りてきた。
「慎次!どうしてここに!?」
「ボクも調査帰りでしてね。それよりもこれ」
そう言って戦闘服の入ったアタッシュケースを渡してくれる。一旦車に乗り込んで素早く着替え始める。
「ありがとう、助かった。でもここもまだ危険だ。早く、二課に戻ってそっちの対応を」
慎次はつい先程判明した事をボクに伝えた。
「カ・ディンギルの正体が分かりました。確証はありません。でも巨大な塔の様な建造物、地上ではバレる可能性があります。そうなると作るとすれば、地下へと伸ばすしかありません。つまり…」
「地下に伸びた…まさか、あのエレベーターシャフトが!?」
「その通りです。とにかく、ボクは早く戻って司令にこの事を伝えます。さっきからこの辺では妨害が発生しているのかうまく連絡がつきません」
「分かった。ボクは外のノイズを出来るだけ片付ける。慎次はその事を弦十郎に!」
車で急いで着替えたボクは慎次にそう伝えて、
車から降りるとノイズとの戦闘があると思わしき、場所へと駆け出した。
「ガンヴォルト君もどうかご無事で」
そして互いにやるべき事をやるべく、ボクと慎次は別れた。
◇◇◇◇◇◇
未来はリディアンにて他の生徒をシェルターへと一課のメンバーと共に誘導していた。
付近にノイズが出現してそこまで経っていないが、外は既にノイズにより建物や、木々が破壊されているせいで、黒煙が空へと向かって上がっている。
「なんでこんな事に…」
避難をさせながら外を見て呟く。響は先程街にノイズを倒しに行く為に向かって行った。そしてそのタイミングにこの襲撃。
このままだとシェルターにいても危険なのかもしれない。そんな中、何人かの隊員がこちらに近付いてきた。
「避難誘導の手伝いに来た!状況は!?」
「馬鹿野郎!お前等が外でノイズを抑えてなきゃこの子達が大変な事になるんだぞ!」
「安心してくれ!今あの人が到着して外のノイズを倒してくれている!俺達はその人から避難誘導を頼まれたんだ!」
「っ!?本当か!?」
未来はその言葉、あの人の事が誰なのか直ぐに理解した。
「ガンヴォルトさん…」
ガンヴォルトがここに来てノイズの侵攻を抑えてくれている。それならば未来も出来る事をしなければ。響達が皆の為に戦っている様に、ガンヴォルトが時間を稼いでいるうちに。未来も多くの命を救う為に動き始めた。
シェルターに向かう人達を自衛隊に任せて、未来は他にも誰か残っていないか捜索に向かおうとする。
「小日向さん!」
未来は自分の名前を呼ばれた方に視線を向けると心配そうな表情の詩織、弓美、創世の三人がいた。
「どうなってるの?学校が襲われるなんて…現実なの?こんな状況アニメでしか見た事も聞いた事もないよ…」
「本当に現実味がありません。それよりも私達も早く避難した方が…」
弓美も詩織も今起こっている事が本当に現実なのかうまく飲み込めていない様だ。
「ごめん、皆は先に避難してて。私はまだ誰か残っていないか、探してくる」
そう言って未来は今度こそ捜索に向かった。
「ちょ!?ちょっとヒナ!?」
創世の言葉を無視して未来は残っているかもしれない生徒を探しに駆け出した。
◇◇◇◇◇◇
「ヒナ…」
創世は走り去って行った未来の後ろ姿を見送る事しか出来なかった。
「とにかく、ここは危険です。私達も早くシェルターに逃げましょう」
「で、でも小日向さんが!?」
詩織の言葉に弓美が反応する。
「君達!早く避難するんだ!ここもいつノイズが現れるか!?」
三人に気付いた自衛隊の隊員が急いで近付いてくる。
その直後、窓ガラスが突き破られ、一匹のノイズが入り込んできた。
「に、逃げるんだ!」
隊員もいち早く銃を構え、ノイズに応戦するが、銃弾はノイズをすり抜けていくばかりで当たりはしない。
そしてノイズは弾切れになったと同時に隊員に向けて襲い掛かる。
「うわぁ!?」
その瞬間、またもやガラスが割れ何者かが侵入してくる。隊員の前に着地した何者かは蒼い雷の膜を発生させるとノイズはその雷に触れた瞬間に炭へと変化した。
「全員無事!?」
入ってきた人物は身長の高い男で、蒼いコートを着ており、長い金髪を三つ編みに束ねている。
そして隊員が無事な事を告げると、三人をシェルターに逃げる様に言う。
「あ、あの!助けて頂いてありがとうございます!」
詩織がその男に向けて頭を下げてお礼を述べる。
「気にしないでいいから、早くシェルターに避難を」
「あ、あの!それよりも私達以外にも小日向さんが…もう一人友達が避難出来ていない生徒がいないか探しに行っちゃったんです!」
「まさか、未来が!?」
未来の存在を知っている目の前の男は慌て、どちらに行ったのか問いただす。
創世がその方向を教えて男は頷くと、隊員に三人を無事にシェルターへと連れていく様伝えると未来が消えて行った方向へ駆けて行った。
「あ、あの人は一体?」
唐突に現れた謎の人物に対して詩織はそう呟いた。
「ノイズをあんな風に倒すなんて都市伝説の《雷人》かもしれない…本当に今私が見ているのは現実なの?」
「夢じゃない事は確かだよ。ヒナの事はあの人に任せて私達も早く逃げよう」
創世の言葉に二人は頷き、隊員と共にシェルターへと向かった。
三人娘はトラウマを回避