戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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反動もなく衝動が上回り書き上げました。
本日はこの後もう一話投稿します。



62VOLT

ノイズが現れる直前の時、了子はとある場所に訪れていた。

 

「機は熟したとは言い難いが、今のタイミングであれば何の支障もないだろう。問題があるとすれば、ガンヴォルト。未だに力の底を見せない未知数のお前だけだ」

 

そう呟くと同時に白衣のポケットから何かを取り出す。

 

それはクリスや翼が持っているのと同型のギアペンダントであった。

 

「お前達は既に私がフィーネだと考えには至っているだろう。となると私一人で対処し切る事も可能であるかもしれないが、不安要素はなるべく摘みたいんだ」

 

そう言って、その場に眠っているもう一人の人物に手を翳してその人物を紫色の光で包んでいく。

 

「役に立ってもらうぞ…天羽奏」

 

その言葉と共に今まで目を覚ます事のなかった奏の眼がゆっくりと開いて行った。

 

◇◇◇◇◇◇

 

未来の友人の女の子達から、避難がまだ出来ていない人を探しに行ったらしい未来の捜索をしていると聞いたボクは、未来を探していた。

 

「何処にいるんだ…」

 

教室を一つ一つ開けて内部を確認しながら、未来を探す。

 

しかし、一向に見つからない。廊下の方で急に窓ガラスの割れる音、そして未来の悲鳴が聞こえた為、その方向を目指し駆け出す。

 

直ぐにその現場に到着すると、未来がノイズに襲われかけている所であった。

 

ダートリーダーから避雷針(ダート)を撃ち出し、ノイズに紋様を浮かばせると腕から出した雷撃でノイズを未来の前から排除する。

 

「未来!」

 

「ガンヴォルトさん!」

 

間一髪の所で未来を救い出す事は出来たが、今度は未来の背後にある窓ガラスを破り、ノイズは未来目掛けて突撃してきた。

 

急いで未来とノイズの間に入り、雷撃鱗を展開してノイズを倒す。

 

「ガンヴォルト君!未来さん!」

 

「慎次!未来をシェルターへお願い!ここはボクが何とかする!」

 

ちょうどいいタイミングで現れた慎次。それと同時に窓ガラスが次々と割れて廊下にノイズが雪崩れ込んでくる。慎次に未来の事を任せ、慎次と未来にノイズを近付けないようにする。

 

「でもガンヴォルトさんは!?」

 

「ボクなら大丈夫!だから早くシェルターへ!」

 

未来の心配の声が聞こえるがノイズを排除しながら問題ない事を伝える。

 

「行きますよ、未来さん!ガンヴォルト君!貴方もどうか無事で!」

 

慎次はそう言って未来の手を引き、シェルターへと続く、エレベーターへと走り出した。

 

「来いっ!ここから先は絶対に通しはしない!」

 

次々乱入してくるノイズ達にダートリーダーを構えた。

 

◇◇◇◇◇◇

 

エレベーターに無事乗り込んだ慎次と未来は、長いエレベーターシャフトを降下し、シェルターへと向かう。

 

「ガンヴォルトさんは無事でしょうか?」

 

未来は一人残り、ノイズを食い止めるガンヴォルトを心配する。

 

「大丈夫ですよ。ガンヴォルト君はノイズになんて負けませんから」

 

慎次は心配ないと言ってくれるが、慎次も何処か不安そうにしている。しかし、自身のするべき事を考えて、行動に移す。

 

通信機を取り出し、弦十郎へと繋ぐ。

 

『慎次!無事か!?』

 

「僕は何とか!それよりもカ・ディンギルの正体を憶測ではありますがお伝えしておきます!」

 

慎次は早口だが正確にカ・ディンギルについて伝える。

 

『カ・ディンギルが本部へと続くエレベーターシャフト…これで完全に了子君の疑いが完全な黒に変わった…彼女自身がこの二課の設計に携わっている…そう考えれば何故、この様な長いエレベーターシャフトを建造した事も説明がつく』

 

何処か悔しそうに、そして辛そうに呟く弦十郎。

 

「櫻井さんがフィーネ…。とにかく、今は避難と櫻井さんを見つけ次第拘束しないと」

 

『ああ、ガンヴォルトにも言われている。ガンヴォルトからの連絡も以前ないままだ』

 

「ガンヴォルト君はボクと未来さんを逃す為に地上でノイズの進行を食い止めています」

 

『それでシェルターへの避難がスムーズだった訳か』

 

「とにかく、ボクはシェルターまで未来さんを見届けた後、本部へ向かいま...」

 

その瞬間にエレベーターの天井が割れてクリスが以前纏っていたネフシュタンの鎧を纏った女性が慎次の通信機を破壊して首を掴み壁へと押さえつける。

 

「緒川さん!?」

 

「あれだけの情報でよく気付いた。私も二課の情報網をなめていたようだな」

 

「櫻井さん…いや、フィーネ!何故こんな事を!?」

 

「私は元より目的の為に事をなしていたに過ぎない。そして、二課というのは私の目的によく役に立ってくれそうだと思い、櫻井了子を演じていたに過ぎない」

 

フィーネはそう言って手に更に力を込める。

 

それと同時にエレベーターが目的階層に到着を告げる音が鳴ると同時に扉が開き、慎次は拘束を抜け出して、取り出した銃を心臓めがけて三発放つ。

 

しかし、その弾丸は命中したが、鋼鉄にでもぶつかった如く、ひしゃげてその場に転がる。

 

「ネフシュタン…!」

 

「無駄だ。通常兵器では今の私に傷付ける事など出来はしない。それかあの男でなければな!」

 

フィーネはそう言うと同時にネフシュタンの鎧の鎖を操り、慎次を拘束して締め上げる。

 

「ぐぁ!?」

 

絡みつく鎖が慎次の身体を強く締め上げ、痛みに声を上げる。

 

「緒川さん!」

 

「に、逃げて下さい、未来さん…」

 

「でも!?」

 

未来は自身だけ逃げる事を躊躇してしまう。響ならこういう時、ガンヴォルトならどうするか?そう考えてしまった瞬間に、未来の身体はフィーネに向けて体当たりしていた。

 

「未来さん…」

 

「こいつの言う通り、逃げれば良いものの…自分の命を縮める行動をするとは…」

 

そう言って未来を掴み持ち上げる。

 

「やらせるかよ!」

 

突如響く弦十郎の声。フィーネと慎次の間の天井が抜けて、弦十郎が飛び出してくる。

 

「司令!?」

 

「弦十郎さん!?」

 

唐突な乱入者に素っ頓狂な声を上げる二人を無視して弦十郎は慎次の拘束していた鎖を引き千切り、フィーネへと近付く。

 

フィーネは弦十郎の拳に当たる事をまずいと判断して、未来を捨て去り、避ける。

 

拳は空を切るが、弦十郎は未来を地面に落ちる前に、抱え上げ、慎次の元へ戻り、フィーネと距離を取る。

 

フィーネは拳を避け切ったはずであったがひび割れた鎧を見て言う。

 

「貴様、本当に人間か?」

 

「人間だとも。人類は限界の時こそ力を発揮するんだ」

 

鎧を修復される様を見ながら未来を下ろして下がるように指示すると、弦十郎は拳を構える。

 

「了子君、何故こんな事を?」

 

「まだ私をその名前で呼ぶか…。お前の思う了子という偶像は私の演技であり、今はもう存在しない。了子という存在は風鳴翼が聖遺物を起動するまであったが今となっては私と一つとなった。そして、私がお前達に協力していたのも、私の目的の為に過ぎない」

 

そう言うとフィーネは鎖を操り、弦十郎へと向けて投げる。

 

「何が目的だ!?」

 

鎖を避けてフィーネに向けて接近する。

 

「世界を一つにするだけだ!この混沌とした世界を元の形に戻す為に!」

 

「それでどうしてこんな真似を!?」

 

接近した弦十郎は拳を振るいフィーネに問う。フィーネも先程の弦十郎の拳の威力を理解している為最小限ではなく大きく避けて、拳の余波を避ける。

 

「お前達が何も知らないだけだ!世界が、どんな形だったかを!どんなものだったかを!」

 

フィーネは思いの丈を吐露するかのように叫びながら弦十郎と応戦する。聖遺物を纏っていても人である弦十郎にここまで苦戦すると思っていなかったのか、フィーネは憎々しげに再び弦十郎に言う。

 

「もう一度聞くが貴様は本当に人間か!?」

 

「飯食って映画見て寝る!漢の鍛練はこれで十分だ!後の事はじっくりと拘束してから聞いてやる!」

 

そして、その言葉に狼狽るフィーネの隙を突き、目にも留まらぬ速さでフィーネに接近すると拳を構えた。

 

「弦十郎君!?」

 

フィーネが突然言い放つ。その言葉は了子そのもので弦十郎は一瞬、拳を緩めてしまう。

 

その瞬間、フィーネは口角を上げると同時に鎖で弦十郎を貫いた。

 

「りょ…了子…君…」

 

「甘いな、かつての偶像に手を緩めるとは…」

 

そう言って貫いた鎖を弦十郎の身体から抜くと血が吹き出し、フィーネの身体を濡らしていく。

 

「司令!?」

 

「弦十郎さん!?」

 

見ていた慎次と未来も倒れゆく弦十郎の名を叫ぶ。

 

「ここで貴方は終わり。貴方程の達人、この程度で死ぬとは思えんが、かつての礼として、世界が一つになるのを見せてあげる」

 

そう言うと、フィーネはデュランダルの保管されたアビスの入り口へと足を進める。

 

慎次も止めようとしたが、司令が敵わなかった相手にどうにか出来るのかと考えてしまい、動く事が出来なかった。

 

「お前達にも情けをあげる。そいつを手当して世界が一つになる瞬間を見物してるといいわ」

 

そう言って扉を開けると、フィーネはアビスへと姿を消していった。

 

「し、慎次…」

 

弦十郎の言葉に我に帰り、弦十郎の元に駆け寄る。

 

「司令!喋らないで下さい!とにかく今応急手当をしないと!」

 

「いや、お前は了子君を追え…」

 

「しかし!」

 

その瞬間に、エレベーターの天井から雷撃を迸らせたガンヴォルトが降りてきた。

 

「ッ!?弦十郎!?慎次、未来!どんな状況なんだ!?」

 

ガンヴォルトは弦十郎を見て、慌てて近付く。

 

「ガンヴォルトさん!了子さんが!?」

 

慎次と未来が了子がフィーネである事、そして扉の奥に保管されているデュランダルの元へ向かった事を告げる。

 

「やっぱりか…ボクは了子…いや、フィーネの後を追う!二人は弦十郎の手当てが出来る場所へ連れてって!それと、街へノイズの対処をしている装者達に連絡を!」

 

「た、頼む…ガンヴォルト。了子君を止めてくれ…」

 

弦十郎の言葉に頷き、ガンヴォルトはフィーネの消えていったアビスの扉にダートを撃ち込んで雷撃を流し無理やり開けると扉の奥へと消えていった。

 

「ガンヴォルトさん…どうか無事で」

 

未来はガンヴォルトの背中を見て無事であるよう祈るしか出来なかった。

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