戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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一期終了に向けて投稿頻度を上げてきましたが流石にきついですね。
終了まで光速い投稿とモチベーションを落とさないように頑張っていきます。


66VOLT

死んだと思われていた奏の存在に驚くフィーネ。確かに殺してはいない。だが、気を失った以上、シンフォギアも解け、アビスの深淵にてガンヴォルトと共に瓦礫に埋もれ死んだはずと思っていた。

 

三人も奏の登場にかなり驚いている。

 

だが槍に貫かれたフィーネは痛みを感じていない様に振り返り、槍を突き刺す奏に向けて言った。

 

「まさか、お前が生きているとはな、天羽奏。ガンヴォルトと共に地下深くで眠っていればいいものを」

 

「黙れ!眠ってなんかいられるかよ!あんたのせいで…あんたのせいでガンヴォルトが死んだ!私の大切な…大切な恩人を!」

 

「その原因を作ったのも、殺される様になるまで戦ったお前の責任だ」

 

「確かに、あんたのせいで私はあの時の衝動に呑まれて、ガンヴォルトを傷付けて、そして原因を作った…でも、あいつはそれでも私を許してくれた。それなのにあんな最後にさせて…絶対にあんたを許さない!」

 

「責任転嫁が過ぎるな、天羽奏。結局お前は自分自身の罪を私に押し付けて正当化しているだけであろう!」

 

腹から突き出た槍を押し戻しながらフィーネは振り返ると同時に奏を鎖を使って絡め取り、三人の元へと投げつけた。

 

奏は今までに蓄積されていたダメージにより受け身をとる事もままならず、地面へと叩きつけられそうになる。

 

だが、そんな奏を翼と響が受け止める。

 

「…つ、翼…それにお前は…」

 

「奏…やっと目を覚ましてくれたのね…」

 

「奏さん…よかった…」

 

よほどの戦闘であったのかそれとも目を覚まして急激な負荷がかかったせいかギアインナーは血で濡れており、立っていられるのが不思議で仕方ない。

 

「ごめん…私のせいで…私のせいでガンヴォルトが…」

 

奏は翼を見て涙した。その理由はガンヴォルトであり、奏自身が過去の憎しみに捕らえられずに戦わなければ、奏を守らなければ死なずに済んだ事を。

 

だが、翼はガンヴォルトの死を否定する。

 

「奏、ガンヴォルトは死んでない」

 

「いや、あいつは私の目の前で剣に貫かれたんだ!それなのに、そんな身体でも私を守る為にあいつは瓦礫の降り注ぐあそこで血反吐を吐きながら雷撃で私だけでも助けようと破壊してくれていたんだ!私が目を覚ました時、私の所だけ、瓦礫が破壊されていたから分かるんだよ!あいつが自分の命を犠牲にしてまでも、私を守ったんだ!」

 

泣き喚く奏に翼は怒鳴った。

 

「いい加減な事を言うのはやめて、奏!ガンヴォルトは死んでいない!何でガンヴォルトはそんな行動を取ったのか分からないの!?ガンヴォルトは自身が助かる方法があるからこそそうやって奏を守ったの!貴方はその場でガンヴォルトの死体を見たの!?ガンヴォルトが息絶えた所をしっかりと見たの!?そうでもないのにガンヴォルトを勝手に殺さないで!ガンヴォルトは必ず生きている!」

 

根拠の無い、翼の言葉。それでも奏にとってはガンヴォルトは生きているという事実が、少しでも希望があると知り、更に涙を流す。

 

「全く、前とは逆じゃない…いつも泣いたり凹んだりしてるのは私だったのに…これじゃ立場が逆転したわよ」

 

翼も涙を流しながら立ち上がり、奏に手を差し伸べる。奏は涙を拭うと翼の手を取り、立ち上がる。

 

「そうだな!翼の言う通り、あいつは生きている!あいつはどうせ何処かで傷を癒して待っているはずだ!だから今度は私が助け出す!」

 

そう叫び、奏は槍をフィーネへ向けて構える。

 

「全く、何処まで茶番を見せられれば済むかと思えば、死んだ者の幻影に追いすがり、希望を見出して奮起しようとするとは…何処までも愚かであるのやら…それにお前達だけで私を止める?笑わせるのもいい加減にしろ!死に体の装者が一人増えたくらいで、私を止められると思うなよ!」

 

傷をゆっくりと再生させながら、フィーネは叫んだ。

 

「絶対に止めてやる!もうこれ以上お前の好きにさせてたまるかよ!」

 

「うん!もうこれ以上、了子さんに罪を重ねさせない!私達が絶対に止める!」

 

「これ以上貴方の好きにはさせない!」

 

「ガンヴォルトを助け出す前にチャチャっと終わらせるぞ!」

 

四人は各々の武器を構え、フィーネと対峙した。

 

◇◇◇◇◇◇

 

シェルターの内部、本部からこちらへと避難した弦十郎達二課のメンバーはどうにかして外部の様子を確認する為に忙しなく動き回っていた。

 

「急げ!とにかく、生きてる回線を辿って生きているカメラを探すんだ!」

 

「口を動かす前に手を動かせ!それと、アビスの内部の様子を確認出来そうな生きているカメラもだ!ガンヴォルトがどうなっているかも確認急げ!」

 

オペレーター達が怒号を上げながら各々の持っているパソコンでどうにか外部への接続、そしてアビスの内部を確認出来る生きているカメラを探している。

 

「弦十郎さん、ガンヴォルトさんは?」

 

「さっきの振動からすると、間に合わなかったと思われる。だが、それでもあいつがそんな簡単にくたばるとは思えないし、何も出来なかった事は考えられない」

 

未来は心配そうにガンヴォルトの安否について弦十郎に問うが、弦十郎も生きているとは言っているものの、不安を拭い切れていない。

 

「ッ!?アビス内部に生きているカメラを発見しました!」

 

朔也が唯一生きているアビスの内部のカメラを見つけ出し、それを自身のパソコンに映し出すと弦十郎へと見せる。

 

「これは…!?」

 

そこに映し出されていたものは酷く壊れたアビスの防壁、そして崩れ落ちた瓦礫の山。先程の振動で落ちたにしては数が多過ぎるし、ガンヴォルトが戦闘を行なった後と思われる雷撃による亀裂と焼け焦げた後も確認出来た。

 

「いったいここで何があったんだ!?ガンヴォルトと了子君は!?」

 

弦十郎は叫ぶが、朔也は首を振るい分からない事を告げる。ドローンなどで捜索出来ればいいのだが、今となってはアビスへのルートは全て何処かへ持ち上げられて、行く事すら叶わない。

 

そんな中、シェルター内部で使えるものを捜索していたあおいと慎次が戻ってきた。

 

「すみません、シェルター内部には食料や懐中電灯などの避難用の道具しか見当たりませんでした」

 

「こっちもです。念の為にアビスへの道を探したのですが、シェルター以外の場所の構造が変わっていて行く事すら叶いませんでした」

 

打つ手なし。そう言わざるしか言いようのない状況。

 

「仕方ない。現状の設備で何とかするしかあるまい。とにかく、優先事項を伝える。まずは外部の状況把握とガンヴォルトの安否の確認だ。ガンヴォルトがいればこの状況も何か変わるかもしれない」

 

オペレーター達は頷いて各々持ち込んだノートパソコンのキーボードを叩く。

 

「ヒナ!?」

 

突如声がしたのでそちらを向くと創世、詩織、弓美が部屋へと入ってきた。

 

「良かった、無事だったんだ!という事はあの人は間に合ったんだね!」

 

「本当に無事で良かったです」

 

「それよりも小日向さんは何でこんな所に?小日向さんが避難していたシェルターも崩れそうになったの?それにこの人達は?」

 

三人に二課の事を説明しようか悩んでいると弦十郎が代わりに答える。

 

「申し訳ない。未来君は我々、特殊な機関の協力者として、こちらに来てもらっていたんだ」

 

三人は救助の時に率先して動いていた事を思い出し、何となく察した。

 

「それよりもあの人は?小日向さんが助かっているのならこの何処かにいるの?助けてもらったからお礼を言いたくて」

 

弓美の言葉に誰一人声を上げる事が出来なかった。

 

依然安否の分からないガンヴォルトの事を三人に伝えるべきなのか、弦十郎も未来も悩んでしまう。

 

「生きている回線を見つけました!」

 

あおいと朔也が同時に声を上げる。そして他のオペレーター達の画面にもその痕跡を伝え、全てのパソコンに唯一外へと繋がったものを共有する。

 

そこに映し出されていたものは先程対峙したフィーネと戦うシンフォギア装者である、翼、クリス、響。そして未だ眠り続けているはずの奏の姿があった。

 

「奏!?何故あいつがあの場所に!?」

 

弦十郎はありえない状況に声を荒げた。弦十郎の記憶では奏は未だ病院のベット、もしくはシェルターに避難させられて眠りについているはずと思っていたからだ。

 

「分かりません。でも、奏さんは目を覚まして戦ってくれているのならもしかしたら...」

 

朔也の言葉に弦十郎は怒鳴り声を上げた。

 

「馬鹿野郎!二年も眠り続けていた人間だぞ!?身体機能が衰えた状態でシンフォギアを纏っての戦闘だ!体が無事であるはずがない!」

 

弦十郎の言う通り、奏のギアインナーは他の装者と比べて血が滲み、白い部分や黄色の部分を赤く染めていた。

 

「司令!それよりも外にガンヴォルト君の姿は!?ガンヴォルト君はどうなっているんですか!?」

 

慎次が叫び、稼働出来る範囲の少ないカメラを動かして、辺りの状況も確認するが、ガンヴォルトの姿は見当たらない。そして、ガンヴォルトではないが、危惧していたものが聳え立っている事も確認出来た。

 

「これがカ・ディンギル…外に了子君と装者が戦っている以上、ガンヴォルトはあの場で了子君を止める事は出来なかったって事か」

 

弦十郎は自身の膝を強く叩きつけた。

 

「ねえ、これってビッキーだよね?何でビッキーが戦っているの?」

 

映像を見た創世が未来に問う。

 

だが、未来は何も答える事が出来ない。非常時だからと言って話してもいいのか。

 

だが、そんな様子を察した創世は言う。

 

「前にビッキーとヒナが喧嘩していた理由ってこの事が関係しているんじゃ?」

 

未来はしばらく沈黙した後、静かにこくりと頷いた。

 

そして三人はそれ以上何も聞かず、全員がモニターに映る装者達の戦闘を静かに見守った。

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