戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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ボクが二課に所属して2年の歳月が経った。

 

未だ、シアンの情報は全くない。だが、了子の言っていたボクに宿る彼女の第七波動(セブンス)は健在している。第七波動(セブンス)が消えてないならば彼女は生きていると思う。その根拠のない希望を抱き続ける事は本当に正しいのだろうか。あの時、ボクが撃たれ気を失った時には彼女は既にもう…。

 

最悪の考えを振り払うように首を振る。今やるべき事に集中する。

 

ボクは今、とある場所に来ている。

 

長野県の聖遺物発掘現場。そこに聖遺物があるとされ、国が総力を挙げて調査している場所だ。

 

ボクがこの場に来ている理由は、任務やノイズ発生などではなく、シアンや元の世界の手掛かりを探すためである。全く情報が見当たらず、どうしようもないボクに出来る事はほとんどない。

 

だから、ボクは前に弦十郎の言っていた別の世界に繋ぐ聖遺物を探している。

 

この2年で幾つもの日本にある採掘現場を回ったが、何の成果も得られていない。二課にはシアンの捜索をしてもらっているため、完全にボクが個人的に行なっている調査となっている。ただ、聖遺物を見つけたとしたら二課に渡さなければ調査しようがないので、その時は二課にお願いしようと思っている。

 

発掘現場に赴く。休みのため人が閑散としている。ボクは、発掘現場の一般開放された部分以外を二課のメンバーだと身分証明書を出し、難なく入る事が出来たため、そのまま発掘現場にて調査を開始する。

 

ボクのような素人では、どれが聖遺物なのか皆目見当もつかない。だがそれでも何もせずにはいられなかった。最悪、聖遺物とは古代の聖遺物のため、それらしき物を見つければ何とかなるのかもしれない。

 

ボクは坑道などを徹底的に調べながら発掘現場を回っていた。

 

だが、しばらく探してもなんの成果もない。まだそこまで日も落ちている訳でもないため、一度休憩でもしようと考えた矢先、少し離れた所から爆発音と悲鳴が聞こえる。その悲鳴の聞こえる方に向かって走り出した。同時に持っていた通信端末に連絡が入る。

 

『ガンヴォルト!ノイズが出現した!今すぐ本部に向かい、ヘリへと急げ!』

 

「ごめん、弦十郎。こちらもトラブル発生だ。二課に行く事が出来ない。悪いけどこっちの指定した場所までヘリを飛ばしてもらえる?それで、ノイズの出現場所は?」

 

『長野県の聖遺物発掘現場だ。なら、翼を先行させる。ガンヴォルトは後で合流してくれ。それで、お前のいる場所は?』

 

ノイズの出現。しかし、運が良いのか悪いのか、出現したと言われる場所は多分さっきの悲鳴からして、この場所で間違いなさそうだ。

 

「ヘリの迎えは必要なさそうだ。今回のトラブルがそのノイズだと思う。ボクはその場にちょうどいるから翼は一応待機させておいて。こっちはボクがなんとかする」

 

『なんでそんな場所に赴いているか知らないが、分かった。装備はあるのか?』

 

「アンダーウェアは着ているし、ダートリーダーも持ってるからなんとかなるよ」

 

『そうか。だがガンヴォルト。無茶だけはするなよ』

 

「分かってるよ」

 

ボクは通信端末をしまい、ダートリーダーを取り出して蒼き雷霆(アーマードブルー)で生体電流を活性化させ、ノイズ出現場所まで駆け抜ける。

 

ノイズは既に何人かの人を炭へと変えており、辺りにはかつて人であったであろう炭の塊が確認出来る。その中を未だに標的を探しているノイズ達が彷徨っている。

 

ノイズ達はボクという消滅対象を認識すると身体の形状を変化させて襲い掛かる。

 

雷撃鱗を展開し、襲い来るノイズを炭化させる。ボクは離れているノイズに向けてダートリーダーを構え避雷針(ダート)を撃ち込み、展開している雷撃鱗から出る雷をノイズへ誘導させ、炭化させる。

 

ノイズを掃討する中、二つの人影がこちらへと助けを求めてやって来た。翼と同年代くらいの少女とその父親だろうと思われる男性。しかし、その男性は爆発に巻き込まれたのであろうか、満身創痍で、歩くのがやっとの状態。少女はそんな男性の肩を支え、助けを求めている。

 

直ぐに二人の安全確保をするために、駆け出す。だが、非情にもそんな彼らの存在に気付いたノイズがボクから標的を変え、襲い掛かっていく。

 

彼らを救おうと襲い掛かるノイズに向けて避雷針(ダート)を撃ち込み炭化させながら近付く。

 

だが、無情にも一体のノイズが二人の後ろに出現し、襲い掛かる。男性は支えていた少女を突き飛ばし、少女を守るように身体を盾にしてノイズに貫かれる。

 

「いやぁぁぁぁ!」

 

少女はその光景を目の当たりにし、泣き叫ぶ。男性は炭化して崩れ行く身体を動かし、こちらに向けて言う。

 

「…娘を救ってくれ…」

 

男性はその言葉を言い終えると同時に炭となってノイズと共に崩れ落ちた。

 

「お父さん!お父さん!」

 

泣き叫ぶ少女は炭となった父親の亡骸に縋るように近いて、父親だったものをかき集める。

 

そんな中、ノイズ達は少女へと襲い掛かる。だが、既に少女の確保を出来る距離にいるボクは雷撃鱗を展開して少女を守る。

 

雷撃鱗によって炭化していくノイズ。残りのノイズを殲滅するようにボクは泣き叫ぶ少女を守りながらダートリーダーを構え、避雷針(ダート)を撃ち込んでいく。

 

瞬く間にノイズは炭化していき、この場に出現していたノイズはいなくなった。

 

通信端末を取り出し、二課へと連絡をする。

 

「こちらガンヴォルト。見える範囲のノイズを片付けた。他に反応は?」

 

『辺りにノイズの反応はないです、戦闘お疲れ様でした』

 

オペレーターの友里あおいから応答があった。

 

「了解。それと生存者が一名いるからヘリの」

 

言葉を言い終える前にボクに向けて振るわれる拳を回避する。拳を振るったのは唯一生存している少女だ。

 

少女はその炭で真っ黒になった拳を握り、ボクに殴り掛かる。

 

「なんでだよ!なんでお父さんを助けてくれなかったんだ!」

 

少女は泣き叫びながら拳を振るう。行き場の無い怒りの矛先をこちらに向けて。

 

「さっきのはなんなんだよ!ノイズをぶち殺す力があるのになんでもっと早く来なかった!そしたらお父さんは…家族やここにいたみんなが死ぬ事なんてなかったのに!」

 

そんな少女に対してボクは何も言う事が出来ない。もっと早く、確かにこの場にいたボクが探索場所が違う所、少女達と同じ場所にいれば父親も、家族も多くの命を助けられていたかもしれない。だがそれは理想であり、現実では無い。

 

「お前が!お前が!」

 

少女は何度もボクの事を責め立てる。ボクは落ち着かせるために言葉を掛け続けるが、少女は聞く耳を持たず、ボクに拳を振るう。ラチがあかないと思い、少女に向け、かなり出力を抑えた雷撃を当てる。

 

「がっ…」

 

少女は雷撃が迸ると同時に意識を失い、倒れかける。そんな少女を支えて、ボクは握っていた通信端末へ再び声を掛ける。

 

「ごめん、生存者が暴れて抑えが効かないからやむなく雷撃で気を失わせた。ヘリの要請と治療出来るように手配して欲しい」

 

『分かりました。すぐにそちらに向かわせます。ガンヴォルトは到着までの時間他の生存者がいるかどうか確認をお願いします』

 

通信端末を切り、ボクは少女を抱えて他の生存者がいるかどうか探し始めた。

 

◇◇◇◇◇◇

 

ガンヴォルトが生存者を探す中、彼を遠くから見つめる存在が一人いた。

 

「ノイズが急に消えていくから、何事かと思ったけど、彼がいたのね。何でここにいるかは知らないけど、大方、熱心に探している女の子の捜索…もしくは並行世界へと繋がると言われているギャラルホルン探し、てとこでしょ」

 

見つめる人物、了子の腕の中には既にこの場で手に入れた聖遺物が抱えられていた。

 

「運良く彼に会わなかったから良かったけど、見つかったら、計画が台無し。消したいのは山々だけど、あなたがいないとあの聖遺物も分からなくなるからね。本当に厄介よね、彼」

 

目的である聖遺物の回収は既に終わった。他の生存者を捜索しているガンヴォルトに見つかるとまずいだろうと彼女はその場から立ち去った。

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