戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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ガンヴォルトの出たシェルターは先程まで満たしていた絶望が無くなり、カ・ディンギルをガンヴォルトに託し、動こうとしていた。

 

「今度こそ絶対に了子君を止める!ガンヴォルトは俺達に響君を起こすよう頼んだんだ!全力でやれる事をするぞ!」

 

弦十郎の言葉に絶望に囚われていたオペレーター達は活気付く。

 

「司令!俺はなんでもやってやる!ガンヴォルトが復活したのならやれる!あいつならどんな事でも打ち砕いてくれる!」

 

朔也は先程まで意気消失していたがガンヴォルトという一人の男が再び立ち上がった事により希望を抱き、声を上げる。

 

「よく言った!ならば急ぐぞ!今俺達のやるべき事は地上にいる響君を起こす事だ!案があればとにかくどんな小さな事でもいい!思いつくだけ早く言うんだ!カ・ディンギルの発射までどのくらいか分からない!ガンヴォルトなら必ず成し遂げると思うが絶対に止められるという保証はないんだ!俺達はどんな事でもいいから響君に歌を届かせる為に動く!」

 

弦十郎の言葉に動き始めていくオペレーター達。

 

「司令!非常用の電源を動かせばなんとかなるかもしれません!シェルターに設置されている電源を生かす事さえ出来ればもしかしたら外まで声を届ける事も出来るかもしれません!」

 

慎次が直ぐに言葉を発して、対応出来るかもしれないと案を出す。

 

「可能です!シェルターの非常用電源は系統図を辿ればリディアンの校内にも続いています!非常用電源さえ入り、こちらからリディアンの校内の生きている機材へと繋ぐ事が出来れば、響さんへと声を届ける事が可能です!」

 

朔也が図面を素早く開いて、リディアンへと繋げられる事を告げる。

 

「よし!ならば俺達は電源を生かすように動く!場所は分かるか慎次!」

 

「既に使える物を探していた際に見つけ出しています!ですが…」

 

慎次は既に場所を把握している事を告げるが、申し訳なさそうに答えた。

 

「僅かにしか扉が開いておらず、我々大人では通る事は不可能です。通ろうと思っても我々ではどうする事も…」

 

「なら私が行きます!行かせて下さい!」

 

未来は慎次に懇願して言う。

 

「未来君…いくら協力者だからと言って、君を危険な場所へと派遣する事は出来ない」

 

「それでもやらせて下さい!私だって響やガンヴォルトさんの役に立ちたいんです!ガンヴォルトさんは言ったはずです!響の事を頼むって!頼まれたのに何も出来ない、やらない!そんなの私は嫌なんです!」

 

未来は弦十郎に懇願した。

 

「私からもお願いします!私達だってこんな状況でやれる事があるのにただ何もせずに助けられて全部あの人に任せる…押し付けるような真似なんて事したくありません!あの人はあんなになるまで戦おうとしているのに、ただ救ってくれるのを待つなんてもうしたくないんです!そのサポートの為なら私も行きます!」

 

「そうです!それにあの人は言いました!皆で立花さんへと歌を届けてって!歌を届ける方法が直ぐそこにあるのに、それを諦めるなんてしたくありません!」

 

「私も同じ気持ちです!小日向さんが名指しで頼まれたかもしれません!でも私達にだって何もしないままあの人に希望を託すなんて事したくない!アニメだってどんな状況でも何とかしてくれるのは主役かもしれませんが、脇役でも脇役なりに主役の役に立てる時だってあるんです!」

 

創世、詩織、弓美が未来の隣に立って弦十郎に頼み込む。

 

「確かに…我々では行けないかもしれないが君達ならばどうにか出来るかもしれない…だが、我々は君達を守る為に存在している組織であって危険な目に遭わせる訳には…」

 

「司令、ここはこの子達に任せましょう。勿論この子達を死地に向かわせる訳にはいきません。でもこの子達なら…ガンヴォルト君を信じてくれるこの子達ならこの状況をどうにか出来るかもしれません。勿論、この子達の安全は僕の命に替えても保証します」

 

弦十郎に向けて慎次も頭を下げた。弦十郎は五人のそんな様子を見てダメだと言う事が出来ず、折れて言う。

 

「分かった、電源は君達に任せる。ガンヴォルトが未来君…それに俺達全員に託したんだ。ここで俺が首を縦に振らなきゃ変えられる状況も変えられない…未来君、それに君達も頼んでもいいか?」

 

弦十郎の言葉に四人は頭を上げて頷いた。

 

「慎次、全員を頼んだぞ。危険に遭わせるような真似はするな。四人を必ず無事に目的を達成させろ。響君の為に…俺達に響君を任せたガンヴォルトの為に」

 

「司令とガンヴォルト君とどれだけ長い間いたと思っているんですか…そんな事僕が絶対にさせません。必ず守り通して見せます」

 

慎次のその言葉を聞いた弦十郎も覚悟を決め、五人に告げる。

 

「非常用電源は君達に任せる!ここでこう言うのは何だが、これは遊びでも夢でもない!現実だ!君達にはかなり重要で危険な任務を押し付ける事になる!それもここにいる全員、そしてこの国の行く末にも関わる可能性もある!それでも君達はやってくれるか!?」

 

本当に遂行する事が出来るか、そして逃げ出す事はまだ出来る事を告げる。

 

たが四人は誰も首を横に振るう事はない。

 

覚悟を決め、実行しようとする四人にもう確認など不要。

 

「よし、ならば君達に託す。響君を救う為に頼んだぞ」

 

四人は頷き、慎次の案内で電源の復旧を行う為に走った。

 

◇◇◇◇◇◇

 

「ようやく辿り着いた…」

 

カ・ディンギルへの道は閉ざされていた事により、雷撃で無理矢理道を作り出して隔壁を破壊しながら進んだボクはやっとの事でカ・ディンギルの中へと潜り込む事に成功した。

 

内部はパステルカラーの障壁により囲まれており、以前のエレベーターシャフトの面影を残している。

 

そしてその中央に鎮座する光り輝く剣。

 

デュランダル。

 

響の歌により覚醒し、フィーネによってこのカ・ディンギルのエネルギー源となっている完全聖遺物。

 

「ここには紫電の宝剣の姿はないか…となるとまだフィーネが」

 

デュランダル以外の剣。天叢雲、黒豹、八咫烏の姿はここにはない。あれらを破壊しなければいけない。

 

それでも優先してやる事は忘れてなどいない。

 

ボクはデュランダルの元へと足を進める。

 

進むごとに溜まりゆくエネルギーの余波に束ねた髪が、コートが揺れる。

 

「もう貴方の好きにはさせない…貴方の悲願をここで止める!」

 

ボクはデュランダルを支える台座に向けてダートリーダーを構え、弾倉の避雷針(ダート)を全て撃ち出す。

 

紋様は青、黄、赤へとどんどん変化して全ての避雷針(ダート)を撃ち込まれた台座には金色の巨大な紋様が浮かび上がる。

 

それと同時にデュランダルにエネルギーが溜まったのか光がさらに強くなる。

 

「止まれぇ!」

 

ボクはボク自身が出せる限界を超えた雷撃をデュランダルへと向けて放った。

 

◇◇◇◇◇◇

 

デュランダルの充填が間もなく完了する。そして今度こそ月へ向けて放たれる。

 

フィーネは間もなく世界が一つになる事を思い、にやける。

 

「もう誰も止める者はいない!装者!それにガンヴォルトのいない今!これで私の悲願が達成される!長く苦しい時間はここで終わりだ!」

 

叫ぶと同時にデュランダルがエネルギーの充填を終えて、砲口に再び緑色の光が輝き始める。

 

「やれ!カ・ディンギル!私の悲願を成してくれ!バラバラとなった世界を一つにするんだ!」

 

高笑いを浮かべ、発射される一撃を見守る。

 

その時、

 

ズガンと蒼い雷撃がカ・ディンギルの方向に向けて落ち、その瞬間、緑色の光ではなく、蒼い雷撃が砲口から散るように放出される。

 

「まさか…!まさか!?」

 

フィーネは謎の現象に戸惑いを覚えるが、あの蒼い雷撃には嫌という程見覚えがあり、ありえないという風に言う。

 

それと同時にカ・ディンギルに集まっていたエネルギーの消失を感じる。

 

「何故だ…何故貴様も生きている!?ガンヴォルトォ!」

 

ありえないという風にフィーネは叫ぶ。だが、ありえないと思っていた人間が生きているのは現実であり、カ・ディンギルの機能は停止された。

 

「馬鹿な…馬鹿な馬鹿な!私の…私の悲願が!」

 

そして機能を停止したカ・ディンギルを見ながら膝を突く。

 

それと同時にカ・ディンギルの砲口に現れる一つの影。

 

登りゆく朝日を背に立つその姿にフィーネは憤りを覚える。

 

「何処まで邪魔をすれば気が済むのだ!ガンヴォルトォ!」

 

フィーネは朝日を背に佇む影、ガンヴォルトに向けて叫ぶ。

 

「言ったはずだ、フィーネ!ボクは貴方を止めると!どれだけ傷付いても、倒れそうになっても這ってでもボクは貴方の悲願を止める!」

 

ガンヴォルトも叫び、雷撃を身体から迸らせ、フィーネに向けてカ・ディンギルの砲口から飛び降りた。

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