「ノイズ!」
ボクは現れる膨大な数のノイズを見て驚く。それと同時にフィーネはボクに向けて杖を振るうと、ノイズはボクへと向けて突撃してくる。
雷撃鱗を張って突撃してくるノイズを全て炭へと変える。だが、炭のせいで視界が全て黒く染まり、何も見えなくなる。
「ッ!?」
そんな視界が黒く染まった中を切り開いてデュランダルを構えたフィーネが現れる。振るわれるデュランダルは雷撃鱗に阻まれる事なく、雷撃を切り裂いてボクへと迫る。
ボクはデュランダルを避けて一旦距離を取る。
「まずは貴様だ!ガンヴォルト!貴様だけはただでは殺さぬ!手足を砕き、目の前で自身が守ろうとした者を全て殺す瞬間をその眼に刻みつけて殺す!」
「そんな事させる訳にはいかない!絶対に!貴方の事を止める!」
フィーネへと叫ぶ。フィーネはボクに向けて剣を突き立てんが如く、接近しようとした。
「ガンヴォルトは殺させない!」
奏と翼がボクとフィーネの間に入り、デュランダルを槍と剣で受け止める!
「奏!翼!」
「死に損ない共が!」
フィーネは叫び、デュランダルに力を込める。だが、受け止めた二人の槍と剣はびくともしない。
「ッ!?死に損ない共の何処にこんな力が!?」
「もう死に損ないなんかじゃない!」
「この力はみんながくれた!歌の力だ!もうお前には負けない!」
そしてデュランダルを押し返した奏と翼は息の合ったコンビネーションでフィーネを押し込む。
だが、フィーネはそれを何とか躱し、もう一方の手に持つソロモンの杖でノイズを操り、奏と翼を襲うように仕向ける。
「させるかぁ!」
だが、ノイズ達は奏と翼へと向かう前に、クリスの持つ機銃により吐き出された弾丸によって奏と翼に襲い掛かる前に炭へと変わる。
「クリスッ!」
「させてたまるかよぉ!敵だった私を受け入れてくれたこいつ等を!信じてくれたこいつ等を死なせてたまるか!」
クリスがフィーネに向けて叫ぶ。
「おのれぇ!」
奏と翼のコンビネーションに押されるフィーネは叫び、苦戦をしている。
だが、
「この程度でどうにかなったと思うなよ!」
更なるノイズを召喚して、今度は装者ではなく、出てきていたリディアンの生徒。そして二課のオペレーター、弦十郎達に向けてノイズを差し向ける。
「閃く雷光は反逆の導、轟く雷光は血潮の証、貫く雷撃こそは万物の理!」
ボクは叫び言葉を紡ぐ。雷撃が鎖へと変わり、更にその鎖も分裂させてその全てをドーム状に纏め、全員を守る盾へと変える。
「迸れ!
そして鎖から迸る雷撃がぶつかるノイズを全て消滅させる。
「ガンヴォルトォ!」
「言った筈だ!そんな事させないって!もう誰も死なせない!倒れさせない!貴方がやろうとする事はボクの雷撃と装者達で止める!」
「もうやめて下さい!了子さん!こんな事したって了子さんが辛いだけです!」
響もノイズと戦いながらフィーネへと声を掛ける。だが、響の言葉は最初からフィーネには届かない。
「黙れぇ!」
フィーネは叫び己から溢れ出す先程までの淡い光はドス黒く濁り禍々しさを感じさせる。その光は危険に感じる。
奏と翼はフィーネから距離を取る。それと同時にフィーネは自身の腹へとソロモンの杖を突き立てた。その瞬間に集まり出すノイズ。
フィーネを取り込むようにノイズは重なり、融合するように繋がっていく。
「奏、翼!もっと離れるんだ!」
ボクの言葉に二人は更にフィーネから距離を取り、ボクの元へ集まる。クリスも響も全てのノイズがフィーネの元へと向かい、解放された事により全員が集まった。
「フィーネは何をしようとしてるんだよ!」
「私達にも分からない!これもソロモンの杖の力なのか!?」
「何をしようとしているかなんて関係ない!何がなんでも止めてやる!」
「もうこれ以上、了子さんの好きにさせません!」
各自が蠢いている何かに向けて叫んだ。止める。ボク等はそれ以外の目的など今はありはしない。
ノイズ達が集い、何かの形へと変化していき、やがてカ・ディンギルと同程度、いやそれ以上の一体の巨大な竜の様な物となった。
「黙示録の赤き竜!ネフシュタンの鎧、デュランダル、ソロモンの杖!完全聖遺物の力で作り上げたこいつで全てを無に変えてやる!」
轟くフィーネの声と共に竜の様な存在は何か光を集める。
「ッ!?」
ボクは危険を感じるがその一撃に物凄い質量のエネルギーを感じ取り、直ぐ様動き始める。
カ・ディンギルの壁へと駆け、その外壁を蹴り上がり、竜の口元らしき場所へと到達すると同時に、ダートリーダーを構えて弾倉が空になるのも構わず、
雷撃が誘導され、口元に集う強大なエネルギーの塊へとぶつかる。
そして巨大な爆発が起き、ボクはその衝撃で吹き飛ばされる。
「クッ!?」
空中で体勢を立て直したが、あまりの衝撃に為す術もなく吹き飛ばされる。
「ガンヴォルトさん!?」
ボクの元へと飛んだ四人が吹き飛ばされるボクを何とか受け止めた。何とか立ち上がって赤き竜へと視線を戻す。
「ありがとう、皆…弦十郎!全員地下へと避難させるんだ!地上は危険だ!どんな被害が出るか分からない!安全の為に全員地下へと戻れ!」
ボクは叫び、この場が今まで以上の戦闘になる事を告げる。
その言葉に全員が再びシェルターへと逃げていく。
「もう貴様等も終わりだ。逆鱗に触れた貴様等にもう勝ち目などない。完全聖遺物と聖遺物の欠片。例え限定解除しようが完全なる聖遺物の集合体である赤き竜には敵わない」
「そんな事やってみないと分かりません!」
そう言って響は赤き竜へと飛び出して拳を叩きつける。それと共に大きな爆発が起き、赤き竜の身体を破壊する。だが、直ぐにその傷は蠢いて元の形へと戻ると同時に響へと向けてレーザーのようなものが放たれる。
「ッ!?」
響は腕を交差して防ごうとするがあまりの数にガードを剥がされて吹き飛ばされる。
「だったら!」
「これならどうだ!」
翼と奏が共に飛び出し、翼が巨大な剣を出現させて蒼ノ一閃。奏は槍の穂先を高速で回転させて竜巻を起こし、その竜巻を相手へとぶつけるLAST∞METEORを放つ。合わさる蒼のエネルギーの刃と竜巻。混じり合った二つの攻撃は赤き竜を吹き飛ばした。
だが、それも響の一撃同様、傷付けるのだが、完全に破壊する事は出来ず、再生されると反撃を喰らい二人共吹き飛ばされる。
「どうすればいいってんだよ!あんなの!?」
クリスはボクの隣で叫ぶ。
「どうする事も出来ないなんて事はないよ、雪音クリス。聖遺物がダメならボクの力で…
「その力があってもどうにか出来るか分からないだろ!」
叫ぶクリスの頭に手を置いてボクは言った。
「そんなのやってみないと分からない。ボクの力が及ばなくても雪音クリスなら…奏や翼や響なら...皆なら何とか出来るって信じているさ。聖遺物を持つ君達なら、歌の無限の可能性を持つ君達なら絶対に何とか出来るよ」
「でも…」
「心配しないで、雪音クリス。ボクは死にに行く訳じゃない。君達なら必ずやり遂げてくれる、そう信じてるからボクは行くんだ。だから、ボクが戦っている間に、皆で出来る事を考えてくれないか?」
そう言ってボクは赤き竜へと駆け出した。
ボクにどうにか出来る相手じゃないかもしれない。でも諦めるなんて事は二度としない。
だから叫ぶ。
「迸れ!
◇◇◇◇◇◇
ぶつかり合う蒼き雷撃と赤き光線。
その激しい余波にクリスはただ見守る事しか出来なかった。
「クリスちゃん!私達はどうすればいい!?いくらガンヴォルトさんでもあんなのどうにか出来るか分からないよ!」
「立花の意見ももっともだ!だが、ガンヴォルトなら!」
「ガンヴォルトなら出来るかもしれないけどあいつだって病み上がりなんだ!私達も何かやらないと意味がない!ガンヴォルトから何か託されなかったか!?」
響、翼、奏がガンヴォルトの元で最後までいたクリスに詰め寄る。
「あいつは私達にどうにかしてくれって信じてくれている。でも、どうすればいいって言うんだよ!フィーネの言う通り、私等のシンフォギアじゃあの竜には敵わない!完全聖遺物でもない限り、私達に出来る事なんて!」
その瞬間に響が叫んだ。
「あるよ!ガンヴォルトさんは私達に託したのなら!」
「そうだ、雪音。ガンヴォルトが無謀に立ち向かう訳ない。私達を信じて戦ってくれているんだろ?ならば私達もガンヴォルトを信じて早くガンヴォルトの助けになるべく、答えを出さないと」
翼は喚くクリスを落ち着かせるように言った。
「ガンヴォルトが信じてくれたのならやらないといけないな。こんなとこで喚いても仕方ないだろ?」
奏がクリスの肩に手を置きニカっと笑いかける。
「お前等…私だってあいつの為になんとかしたいに決まってるだろ!でもこんな状況じゃ...!?」
クリスが言い終える前に、起きる巨大な爆発音と爆風。そちらに目を向けると巨大な剣を出現させたガンヴォルトが、竜の身体を突き破り、フィーネのデュランダルに雷の剣をぶつけ、鬩ぎ合っていた。
「ッ!?見つけた!」
全員の言葉が重なる。
限定解除した聖遺物でも赤き竜を、フィーネを倒す事は不可能かもしれない。
でも、同じ完全聖遺物なら。取り込まれていない、デュランダルならどうにか出来るかもしれない。
四人は互いの顔を見合わせて頷き、行動へ移した。