戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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真・最終決戦開幕
紫電の宝剣解放の姿を思い出せない方はシデトラマンで検索


74VOLT

「紫電ってガンヴォルトが倒したって話じゃなかったの!?」

 

翼が叫ぶ。

 

「倒したはずだ。でもなんで紫電があの時の姿で…」

 

ボクの疑問に答えるように紫電が言う。

 

「そう。僕はあの時倒された。アメノウキハシで。衛星軌道上のあの場所で僕は君と戦い、命を落としたはずだった」

 

何処か懐かしそうに言う紫電。

 

「僕も不思議でならないよ、ガンヴォルト。君に殺されたのにこうして生き返った事が。でも君になら分かるはずだ。僕同様にシアンの力を借りていた君ならね」

 

電子の謡精(サイバーディーヴァ)!何故君がその力を持っている!それに何故その力を使う事が出来た!?」

 

「力の使い方は分からないよ。でも君達が歌ったおかげでこうやって生き返る事が出来た。君達の歌によって、集まったフォニックゲインにより、僕の中に宿る電子の謡精(サイバーディーヴァ)が宝剣の中にあった僕の意識から肉体をも再生させた」

 

自身の体を見ながら言う紫電。

 

「生き返った事はとても喜ばしい事だけど、何故僕は別の世界であるここに来たのか?」

 

ボクを指差して紫電は言った。

 

「僕を殺した存在である君が何故この世界にいる?何故君までこの場にいる?(テロリスト)である君が何故国の為に、世界の為に戦っている?本当に訳が分からない。でも僕はこの世界に来た事は必然であり、やるべき事は直ぐに理解出来たよ」

 

紫電は指をボクから逸らし、奏、翼、クリス、響、そしてフィーネへと順番に刺した。

 

「聖遺物。第七波動(セブンス)とは別の危険な存在。そんな物があるからこそ、僕等のいた世界同様、いずれ混沌に包まれる。そこにいる装者の様に、フィーネの様に。世界すらも脅かし兼ねない危険な力。第七波動(セブンス)同様に管理しなきゃ行けないんだよ」

 

「何を言っているんだ!その為に二課という管理、保護する為の組織があるのに!」

 

「何も分かっていないのは君だよ、ガンヴォルト。聖遺物、それに適応する人材は危険だ。歌という誰もが口に出来る物で誰しもその危うい力を使う事が出来る可能性がある。そんな力が存在するんだ。もし、その力が君の様な(テロリスト)に渡り、危険な思想を抱き、世界を破壊する為に使われたら?君はフィーネを通して感じたはずだ」

 

「だから、それをさせない為にボク等が存在していると言っているだろ!」

 

「その中に混じり、計画を為そうとした危険人物を特定出来ない組織の何処を信用出来るっていうんだい?それも(テロリスト)である君を何処までも信じ続けるその組織の何処を信用すればいいんだ?」

 

「ガンヴォルトはそんな奴じゃねぇ!」

 

奏が紫電に向けて叫ぶ。

 

「ガンヴォルトは誰もが平和の為に戦い続けたんだ!それなのにいきなり現れてお前は何を言ってやがる!お前にガンヴォルトの何が分かる!?どれほど辛い思いをしてきたガンヴォルトの何が分かるっていうんだよ!」

 

「君の方が何も理解していないよ。そこにいるガンヴォルトこそが、僕のいた世界で国を、民を傷付け、皇神(スメラギ)の作り上げた平和から混沌へと変えようとした諸悪の根源であるというのに」

 

「ガンヴォルトはそんな人じゃない!貴方が何を言っているの!貴方のせいでどれほどの罪のない、ガンヴォルトと同じ力を持った人達が苦しめられたと思っているの!?ガンヴォルトまでも苦しめていたというのに!」

 

「そうです!ガンヴォルトさんはそんな人じゃない!ガンヴォルトさんから聞いた過去の話じゃ君の方がやっちゃいけない事ばかりしていたのは君の方じゃない!同じ人間なのに!ただ力を持つというだけで捕まえて酷い実験をしていた君の方が!ガンヴォルトさんはそれを止める為に!誰もが笑っていられる世界の為に戦っていたんだ!」

 

「君達もか。何処まで君が自分の行ってきた事を美化して話したのかは分からないね。それとも、君には人を洗脳する力でもあるのかい?その力があるのならばますます君の持つ蒼き雷霆(アームドブルー)は君の様な人物が持ってはならない力だ。その力は世界の為、人類の平和の為に使われなければならない」

 

「何が平和だ!テメェのやろうとしているのはただ世界を自分の思い通りにさせたい!それだけだろ!そんな事で本当に世界が平和になると思っているのか!私はそう思わない!それも全てこいつが…ガンヴォルトが教えてくれた!」

 

紫電はクリスの言葉に何処か面白くなさそうに言う。

 

「違う。僕がやろうとしている事こそが正しい。誰に恨まれたっていい。僕が作り上げた時は恨まれても構わない。でも、それ以降の事を考え、事を為せばいずれ誰もが理解出来る事になる。そして僕が正しかったと考えるようになる。でも、ガンヴォルトは真の平和というものを何も分かっちゃいない。危険なものを野放しにし続け、聖遺物という危険な力を何も考えず与えて守ろうするガンヴォルトに本当の平和を理解出来るはずがないんだよ。だから僕が管理して平和を作らなければならない。この世界でこの場で蘇った事が、あの時、あの場所で為せなかった役目なのだから」

 

「何が平和だ!管理して、聖遺物を持つ人達を…そんな人達をまたあの時の様に…皇神(スメラギ)の様にする気か!」

 

「聖遺物という危険な力も僕という管理する者がいれば正しく運用出来る。以前の第七波動(セブンス)のように。僕の力、念動力(サイコキネシス)電子の謡精(サイバーディーヴァ)の力があれば可能なんだよ」

 

「そんな事間違っている!あの時の様に…シアンの様に苦しむ人をまた作り出そうというのか!?」

 

ボクは否定して紫電に向かって叫ぶ。

 

「何かをなす為には犠牲は必要なんだよ、ガンヴォルト。何の犠牲も無しに平和が作れるとでも思っているのなら君は何処までも愚かだ。何の犠牲も無しに作り上げる事など不可能な事なのに。出来たとしてもそんな儚い瞬間は砂で出来た城のように直ぐに亀裂が入り、跡形もなく崩れ去る。そんな事は分かりきっている事だろう?」

 

ボクに対して問い掛けるように言葉を掛ける紫電。だけどそんなもの間違っている。誰かの犠牲の元に作り上げられる平和なんて本当の平和だと言えるのか?

 

違う。誰かを犠牲にしてまでも作り上げる平和なんて悲しい運命を背負った人達が苦しむ世界でしかない。ボクはそんな人達すらも救いたいんだ。例え、その行いがかつて紫電に言われた通り、悪《テロリスト》と言われようと。

 

「そんな事はない!犠牲がある平和こそが幻想だ!誰も悲しまなくていい!苦しまなくていい事こそが本当の平和なんだ!能力者も能力を持たない人達も…この世界でも装者とそうでない人達が、皆が手を取り合い、協力してこそ真の平和が生まれるんだ!管理された世界が本当に真の平和というならボクは君をもう一度止めてやる!」

 

「全く。君は何も変っちゃいない。あの時と同じで君は何も分かっていない」

 

そして紫電はカ・ディンギルの砲口から立ち上がると空に手を翳す。

 

その瞬間に現れる天叢雲、八咫烏、黒豹。三つの宝剣。

 

「分かり合えない君と話しているだけ無駄だ。だったら僕達は戦うしかない。そうだろう、ガンヴォルト?」

 

そう言うと紫電の出現した宝剣が光りだし、紫電の身体を包んでいく。

 

そして現れる、七年前シアンを助ける為に戦ったモザイク体の鎧を纏う巨大な紫電の姿。その姿は以前と変わらず、両隣に浮かぶ二体の機械の様な姿をした八咫烏と黒豹の姿。

 

「なんだ…これは!?ガンヴォルト!あれが宝剣と言うものの力なのか!?」

 

弦十郎が叫んだ。

 

「今度こそ負けない…今度こそ勝って僕の理想を…真の平和を築くんだ!」

 

そう叫ぶと同時に紫電から溢れ出る第七波動(セブンス)の余波。装者ですら地に伏す程のその余波を受けながら、ボクは軋む身体を無理やりでも立ち上がらせて紫電に向けて叫んだ。

 

「やらせない!絶対にやらせない!」

 

「絶対にやり遂げる!今度こそ!僕が理想の世界を!皇神(スメラギ)を作り上げる!」

 

そう言って、紫電は巨大な手を翳すと、倒れるフィーネを紫色の光で包み込み、空へと持ち上げた。

 

「フィーネ!?」

 

「な、なんだこれは!?」

 

フィーネは突然の事に驚きの声を上げる。

 

「ありがとう、フィーネ。僕を拾ってくれて。でも貴方の持つ力も危険だ。だからその力は僕が管理するよ。だから安心して眠るといい」

 

紫電がそう言うとフィーネは苦しみ出した。

 

「ガァァ!?」

 

そしてフィーネが輝きだすと共にフィーネの身体から砕けそうな程崩れたネフシュタンの鎧と無傷のソロモンの杖が取り出され、フィーネは力を失った様に身体が崩れ始める。

 

「完全聖遺物。これは僕が責任を持って管理するよ」

 

そう呟く様に言うと紫電はフィーネを包む紫色の光を解いた。そのまま落ちてゆくフィーネ。ボクは駆け出して地面にフィーネが叩きつけられる前に受け止める。

 

「フィーネ!しっかりするんだ!」

 

だが、フィーネの身体は朽ちようとしており、ボロボロと崩れていく。

 

「ガンヴォルト…ごめんなさい…まさか、こんな事になるなんて…」

 

「喋らないで!貴方は罪を償おうと改心したのにこんな所で倒れていい人間じゃない!」

 

「もう…無理よ…自分がもう死ぬくらい…こんな状況だからこそ分かるわ…だからお願いガンヴォルト…私の生み出してしまった罪を…あれを止めなさい…そして…次に私が現れた時に見せて頂戴…貴方が作ろうとした世界を…全員が手を取れる様になった…平和な世界を…」

 

そう言い残し、フィーネの身体は完全に砕け散り、灰となって消えていった。

 

手に残るフィーネの残した灰。

 

折角改心して罪を償おうとしていたのにこんな最後になってしまうなんて。

 

「絶対に許さない!紫電!君だけは絶対に!」

 

ボクはフィーネの残した灰を握り締めて叫んだ。

 

「許さない?僕は世界を危険に晒した根源を絶っただけだよ。改心しても人間の本質は変わる事はない。誰しもそうさ。その場凌ぎの言葉を並べたところで、いずれ牙を剥く。ならばここで倒しておく事が最善の選択だろう?君が以前していた事と同様の事をして何が悪い?」

 

「違う!フィーネは本当に罪を償おうとしていた!君達と違って…皇神(スメラギ)にいた能力者達と違って!」

 

「違わないさ。もう君と話しているだけ無駄だね。始めようか、ガンヴォルト。僕の正義と君の浮かべる儚くも愚かな正義!どちらが正しいかを!」

 

紫電はそう叫び、ボクを念動力(サイコキネシス)で宙へと浮かべた。

 

「ッ!?」

 

「ガンヴォルト!?」

 

倒れる装者、オペレーター達、そして弦十郎がボクの名を叫ぶ。装者達は立ち上がり、ボクの方へと飛び出す。だがその瞬間に全員を覆い尽くす程のドーム状のフィールドを作り上げた。

 

電子の障壁(サイバーフィールド)!?」

 

「僕と君との決戦に誰も邪魔はさせないよ。舞台は既にフィーネが用意してくれた」

 

そう言ってボクは紫電と共に上空へと向かっていく。

 

「ガンヴォルトォ!」

 

装者達は立ち塞がる電子の障壁(サイバーフィールド)へと攻撃するがそれは全て無意味であり、攻撃から反転して放たれるクリスタルの様なものに撃ち落とされた。

 

「みんな!?」

 

「無駄な事を…まあいいさ。さて、行こうかガンヴォルト。僕と君にふさわしい戦場へ」

 

紫電の言葉と共にボクは空へと消えていく。

 

そして地上はもう見えなくなり、空は黒くなり、ボクは宇宙へと到達する。

 

そして地球が完全に見える所まで到達する。

 

「僕と君との決戦の場。懐かしいだろう?」

 

そう言って紫電は崩れて分裂した月の欠片を呼び寄せると、月の欠片を覆う程の電子の障壁(サイバーフィールド)を出現させるとボクを欠片の月面へと下ろした。

 

「あの時の様には行かない!今度こそ僕が勝って成就させる!真の平和を!皇神(スメラギ)の作り上げようとした理想を!」

 

「管理された世界が真の平和なんてない!そんな物の何処に理想があるって言うんだ!」

 

ボクは雷撃を迸らせて叫んだ。

 

「君が何を考えようと勝手だが、そんな物ボクの雷撃でもう一度打ち砕く!」

 

そして紫電へと向かってもう一度叫んだ。

 

「迸れ!蒼き雷霆よ(アームドブルー)!偽りの平和を掲げし者よ!ボクの雷撃でもう一度眠りに就け!」

 

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