戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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月面で衝突する巨大な鎧を纏う紫電と蒼き雷光。ボクは以前紫電を倒した時の様に飛び回る八咫烏と黒豹に向けて避雷針(ダート)を撃ち込んで、紫電の宝剣の核となる胸に浮かぶ弱点へと雷撃を放とうとする。

 

だが、

 

「以前の様には行かないぞ、ガンヴォルト!」

 

以前まで組んでいた腕を振るい、ボクの撃ち出した避雷針(ダート)を弾いていく。

 

「クッ!?」

 

そして弾くと共に背中にある四本の腕が飛び回り、ボクへと拳を振るう。

 

巨大な拳の連打。ボクはただひたすら月面を走り、全てを躱していく。そして拳が止むと同時にボクを挟む様に現れる八咫烏と黒豹。

 

その口は大きく開き、ボクに向けて黒い光線と白い光線を放つ。

 

何とか躱す事は出来たが、コートの端を擦り、放たれた熱量に溶かされている。

 

「今度こそ君を完膚なきまで叩き、二度と立ち上がれない様に倒す!そして皇神(スメラギ)を再建して僕の思い描いた理想を成就させる!」

 

「何度も言っているだろ!そんな事させない!そんな世界の何処に平和があるって言うんだ!辛い思いをする人達がいるのに何が平和だ!そんな理想はあってはいけない!」

 

「君に何が分かる!あの世界でも平和を齎した皇神(スメラギ)を潰そうとした君に!(テロリスト)である君に何が分かるって言うんだ!君も理解しているだろう!第七波動(セブンス)の危険性を!聖遺物の危険性を!だから管理しなければならない!君の様な人に聖遺物を渡してはならない!そんな事も分からないのか、ガンヴォルト!」

 

「それは君の様な危険な思想を持つ人達にだ!ボクは…二課は違う!確かに二課も聖遺物を使おうとした。でもそれはノイズという害悪な存在から皆を、世界を守ろうとする為だ!」

 

ボクを挟む八咫烏と黒豹へ避雷針(ダート)を撃ち込んで雷撃を放つ。放たれた雷撃は八咫烏と黒豹へと迸り、紫電の弱点へと避雷針(ダート)を撃ち込んで雷撃を放つ。

 

「僕と何が違うと言うんだ!自分なら上手く出来る、扱えるとでも思っているのか!?ならば僕の意識が覚醒した二年前に起きたあれは何だったんだ!ライブ会場で起こった悲劇!それも全て君達がしでかしてくれた事だろう!何の罪のない人間を犠牲にして、何を守ろうとしたんだ!ノイズの脅威からか!?それともフィーネからか!?成功すれば脅威を減らせた、いいや、あんなものは成功しない!上手くいくはずはない!そして犠牲を増やしたのは誰でもない、君等だろう!」

 

放たれた雷撃を受けながら叫び続ける紫電。確かに紫電の言う通りだ。あんな実験しなければ何万人もの人達を失わずに済んだ。奏を眠らせずに済んだ。響も装者にならなくて済んだ。ボクは紫電の言葉に何も言い返せない。

 

「そうだろう、ガンヴォルト!君達のせいでいずれ国は、世界は混沌へと変わる!だからこそ!僕が正しく導かなくてはならない!ノイズの脅威から!聖遺物の危険性から!全てを守る為に僕がしなきゃならないんだ!」

 

「確かに、ボク達は何度も国を人々を危険に晒してしまった…二課にも大きな罪はある。それでも!」

 

ボクは紫電へと雷撃を放ちながら叫ぶ。

 

「それでもボク達は守る為に平和の為に事を為そうとしているんだ!誰も苦しまなくていい様に!誰しも手を取り合って笑い合える日々を願って!」

 

「自分の過ちを認めても、重ねられた罪は軽くなる事はない!君達のせいでどれだけの犠牲が生まれた!?そしてこの先もどれだけの犠牲を増やそうというつもりだ!?それなのに真の平和を説く君の姿は本当に愚かで害悪な存在でしかない!だからこそ僕が君をここで倒して、世界を救う!そうすれば誰もが望む本当の平和が、理想郷が築かれるのだ!」

 

「そんな事はない!管理された世界の何処が理想郷だと言えるんだ!そんな物苦しむ人を生み出し続ける暗黒郷でしかない!」

 

「黙れ!君に何が分かる!(テロリスト)である君に!僕の理想の何を理解出来るって言うんだ!ガンヴォルト!」

 

そう叫び、八咫烏と黒豹を消して再び弱点に電子の障壁(サイバーフィールド)を展開させて雷撃を防ぐ。

 

そして背中の腕が飛び回り、僕へと掌を構え、月面を破壊する程の衝撃を発生させて、ボクを吹き飛ばす。

 

「真に国を守ろうとしている僕こそが正しいんだ!国を、世界を危険にさらそうとする君達こそが間違っている!」

 

紫電の攻撃が叫びと共に速く、激しくなって行く。だが、ボクだってただで喰らう訳もなく、雷撃鱗で拳を防ぎ、荒れ狂う念動力(サイコキネシス)の衝撃を避ける。

 

「正しい事なんて誰しも最初から分かりなんてしない!だからこそ手探りで正しい事を探しているんだ!それに間違っているなんて君には言われたくない!何が真の平和だ!君は国を守ろうと言いながら、総てを自身の思い通りにしたいだけだろう!」

 

「あの時の様に否定するか!ガンヴォルト!ならばあの時の言葉をそっくり返すよ!そんな事を否定する権限は誰にもない!」

 

「何処までも神経を逆撫でする言葉を言えばいいんだ!」

 

「その言葉もそっくりそのまま君に返すぞ、ガンヴォルト!君こそ僕をどれだけ逆撫でる言葉を並べる!?何処まで僕を否定すれば気が済む!?もう沢山だ!君との無駄な会話も!ここで終わらせる!神に近付いた…いや、神となった僕がこの世界の脅威から総てを護る!僕こそが皇神(スメラギ)であり、この世界の秩序を保つ象徴となるんだ!」

 

紫電は叫び、ボクへと拳を振り下ろした。

 

◇◇◇◇◇◇

 

「ガンヴォルト!」

 

奏は紫電により作られた電子の障壁(サイバーフィールド)を攻撃しながら叫ぶ。

 

だが、その攻撃で電子の障壁(サイバーフィールド)は壊れる事はなく、傷一つ入らない。

 

そして反撃の様に飛び回るクリスタルが奏の鎧に傷を付けていく。

 

「奏!もうやめて!それ以上続けたら奏が死んじゃう!」

 

奏を拘束して叫ぶ翼。しかし、それでも奏は止まる事はない。

 

「離せ、翼!ガンヴォルトが!ガンヴォルトが戦っているんだ!私も行かないと!」

 

「私だってガンヴォルトの助けになりたいよ!でも、いくら攻撃しても砕けないこれを考えなしに攻撃したってガンヴォルトの助けになれない!」

 

翼の言葉にようやく奏も攻撃を止める。奏も落ち着きはしたものの、まだ翼が離せば再びガンヴォルトの元へと向かう為攻撃を再開するだろう。そして地面へと降り立つ奏と翼。

 

「どうすればいいって言うんだよ!終わったと思ったのに!フィーネも殺されて!あいつは一人でまだ戦い続けているのに、私達はただ待つ事しか出来ないのかよ!?」

 

クリスが地面へと拳を何度も打ち付けている。響と未来はそんなクリスへと駆け寄り、行動を止めさせる。

 

「クリス、落ち着いて!ガンヴォルトさんなら何とかしてくれる!絶対に無事に帰ってきてくれるよ!」

 

「そうだよ!クリスちゃん!ガンヴォルトさんなら絶対に大丈夫だよ!」

 

そう言う二人だが、その顔に笑顔はない。あれほどの強大な力を見せ付けられ、この空間を作り出した紫電という少年。そして、宝剣という力。それを本当に一人で止められるのか?ガンヴォルト一人でどうなるものなのかと考えてしまう。

 

「ガンヴォルトならやってくれる。絶対にだ。あいつは一度あの少年を倒していると言っていた。ならば今度も勝ってくれるはずだ。そして無事に戻ってくる」

 

装者達へと向けて言う弦十郎。だが、その顔は未来や響と同様に曇っている。

 

本当に大丈夫なのであろうか?あれほどの強大な力を前にガンヴォルトならどうにか出来るのだろうか?

 

弦十郎はその不安を振り払う様に首を振るう。

 

「絶対に勝って帰ってこい、ガンヴォルト。フィーネの為に…了子君の願いの為に必ず勝ってくれ、ガンヴォルト…」

 

弦十郎は空高く浮かぶ欠けた月の欠片を覆う巨大な電子の障壁(サイバーフィールド)を見上げながらガンヴォルトの無事を願った。

 

◇◇◇◇◇◇

 

そして欠けた月の月面ではボクは紫電を倒す為に走り続ける。

 

ボク目掛けて振り下ろされる拳、掌から放たれる衝撃を躱して紫電の元へと駆ける。

 

空中を飛び回る八咫烏と黒豹はボクを屠らんがためにレーザーを撃ち続け、月面を砕いていく。

 

ボクは砕けた月面に足を取られぬ様に躱して、避雷針(ダート)を八咫烏と黒豹へと撃ち込み、雷撃鱗を展開して二機の宝剣を停止までは行かないものの、動きを鈍らせる。

 

それと同時に紫電の弱点を守る堅牢な電子の障壁(サイバーフィールド)は消える。だが、紫電はそれでも止まらない。弱点が露出しようと関係なくボクへと向けて拳を振るう。

 

「いい加減に倒れろ!ガンヴォルト!」

 

だが、その拳をも躱し、躱した拳を駆け上がり、紫電の露出する弱点である球体へとボクは辿り着く。

 

ボクは避雷針(ダート)を撃ち込んで雷撃鱗を展開したまま、球体へとぶつかった。球体の中に紫電が見える。

 

「絶対に倒れない!ボクは絶対に!君が倒れろ!」

 

「喚くな!害悪である君が倒れなければ世界が混沌と化す!そんな事僕がさせない!僕こそがこの世界に秩序と安寧を齎せるんだ!君達の様な存在と違って確実に!」

 

「違う!君の様な思想を持つ者こそが危険なんだ!君の思い描いたそんな世界に何の救いがある!」

 

「あるからこそ、僕はやるんだ!やらなければならないんだ!作り上げなきゃならないんだ!だからこそここで消えてくれ!ガンヴォルト!」

 

そう言うと同時に紫電が球体の中からボクに手を翳して円状の紫の光線を放つ。

 

ボクは雷撃鱗を解いて、それを落下と共に躱して、月面へと降り立つ。

 

その瞬間に四本の飛来する拳が、ボクを殺さんと振り下ろされる。

 

再び雷撃鱗を張って拳をいなすとボクは紫電の巨大な鎧を駆け上がる。

 

「君が止まれ!紫電!」

 

ボクは駆け上がる。それを払う様に両腕を振るい、ボクをはたき落とそうとする。それも躱して、腕へ移るとボクは腕の上を走り、紫電の胸元に向けて飛んだ。

 

それと共に紫電を守る様に現れる八咫烏と黒豹。その口は大きく開き、ボクへと白と黒の光線を放った。

 

「死ね!ガンヴォルト!」

 

交わり、重なる白と黒。だが、諦めない。ボクは言葉を紡ぐ。

 

「煌くは雷纏いし聖剣、蒼雷の暴虐よ、敵を貫け!」

 

そして腕へと雷撃が集まり、迸る雷撃が剣の形へと収束していく。

 

「君が倒れろ!紫電!迸れ!蒼き雷霆よ(アームドブルー)!スパークカリバー!」

 

収束した雷撃が剣の形をなすと同時にぶつかり合う剣と光線。光線と剣が拮抗する。

 

「これで終わらせるんだ!」

 

ボクはスパークカリバーへと雷撃を更に送り込んで強化していく。そして拮抗していた剣が光線を切り裂き、八咫烏と黒豹をも貫いて紫電のいる球体を貫いた。

 

「ガァァ!?こんな…こんなはずじゃ…!まだまだ終われない!僕はまだ死ねないんだぁ!」

 

そして貫かれた紫電は球体ごと爆発する。ボクはその衝撃に吹き飛ばされて月面を滑る様に倒れる。

 

「やったのか?」

 

爆煙で見えなくなった紫電の姿。だが、それでも油断はしない。その瞬間にボクへと向けて八つの光線が放たれる。

 

「なんだっ!?」

 

紫電を貫いた感触はあったのにこれは?疑問が浮かぶがそんな事を今は考えている場合じゃない。その光線を全て避けきり、晴れていく爆煙を見上げる。

 

そこには依然変わらず浮かぶ紫電の姿。だが、今まで戦っていた紫電とは違う。紫電の背からは腕が無くなり、黒と白の八体の蛇の首が蠢き、ボクを睨み付けている。そして、その身体は紫電の体に合わせる様に形成された新たな鎧が纏われている。

 

「ネフシュタンの鎧!?」

 

「漲る…力が漲るよ!ガンヴォルト!完全聖遺物…これは素晴らしいものだ!宝剣の核になるだけの事はある!電子の謡精(サイバーディーヴァ)によってネフシュタンと僕の宝剣、天叢雲が死を拒み、融合した!本当に素晴らしい!無限の再生能力、つまり不死身の力があるネフシュタンと念動力(サイコキネシス)そして電子の謡精(サイバーディーヴァ)も持つ僕は完全な神となった!この力があれば本当に事を為せる!僕は神になったんだ!」

 

土壇場で発動した電子の謡精(サイバーディーヴァ)により融合を果たしたネフシュタンの鎧と天叢雲。破壊された八咫烏と黒豹の代わりに得た新たな力を前にボクは挫けそうになる。

 

勝てるのか?ネフシュタンの鎧、念動力(サイコキネシス)電子の謡精(サイバーディーヴァ)。この三つを持つ紫電に。

 

だが、諦めたらそこで紫電の目的が達成される。そんな事はやらせない。させてはならない。

 

「生憎、不死の存在なんてものと戦うのは三度目だ!だけど、ボクの雷撃がその不死すら破壊する!」

 

「戯言を!君には二度も殺されかけた!でも、もう僕は負けない!新たなるこの力で!天叢雲を取り込み、ネフシュタンが作り上げた新たな鎧!オロチとでも言おうか?君に教えてあげよう!神に歯向かうとどうなるかを!?神罰を下してあげるよ、ガンヴォルト!」

 

紫電の叫びに呼応して八つの首が咆哮を上げる。

 

「何が神だ!君が神だとするのならばそれは悪神であり倒さなきゃならない存在だ!」

 

「ほざくな!」

 

そしてボクへと八つの首から咆哮と共に光線が放たれた。

 

光線を避けて、ボクは紫電と対峙し再び叫ぶ。

 

「今度こそ最後にして見せる!迸れ!蒼き雷霆よ(アームドブルー)!新たな鎧を纏いし悪神を打ち勝つ力を!ボクと紫電の因縁を終わらせる為に!」

 

ボクは紫電へとダートリーダーを構えた。

 




紫電の宝剣開放第二形態は誰しもわかるオリジナルです。
真・最終決戦もガンヴォルトシリーズを軸にしているのでラスボスは二形態用意してました。
天叢雲とネフシュタン。日本神話と旧約聖書と全く関係ないですが、蛇と剣であれば何とか繋がりを作り出して紫電の理想と生への執着で顕現したのがオロチ。そんな感じです。

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