長かった一期もようやく完結します。
宇宙で衝突する蒼き雷光と紫の閃光。
ボクの
「死ね!君はここで死ね!ガンヴォルトォ!君は死ななければならない!君がいるからこそ常に危険にさらされる!世界に君の様な人がいるから世界は争いが絶えないんだ!」
「黙れ!その原因を作り上げたのは
「そんな事は僕だって分かっている!だけどその犠牲があったからこそ!あの国は平和が保たれていたんだ!能力者達を管理したからこそ!平和が作られていたんだ!」
「ふざけるな!そんな犠牲の上に出来た平和なんて本当の平和とは言えない!」
雷撃をボクへと向けて迫る蛇の頭へと攻撃しながら、紫電へと叫ぶ。紫電もボクを否定する様に叫び続ける。
「もういい!君も、君に付き添う装者達も!聖遺物も!ここで全て潰す!ここで終わらせる!僕の為すべき世界に君達の様な害悪な存在はいてはならない!」
紫電は叫び、身体中から紫色の光を放出させて、ボクと装者達は大気圏付近まで吹き飛ばされる。それと共に月の欠片を覆う
「くっ!?」
ボクは息が出来なくなるが、直ぐにシアンがボクの周りに
「シアン!」
「GV!私が絶対に貴方を助ける!だからお願い!絶対に勝って!」
「シアン」
そして装者達もボクへと向けて言う。
「ガンヴォルトさんなら絶対にあの子には負けない!私だってもうガンヴォルトさんを助けられるくらい強くなったんですから!」
響もガッツポーズを決めて言う。
「貴方なら絶対にやれる。私だって手伝う。これ以上貴方にばかりに任せていると私はいつだって追いかけたままになってしまうもの。私はもう貴方の背後に引っ付いて回る様な人じゃなく隣に立って貴方を支えたい」
「ガンヴォルト、私だってあんたならどんな状況でも絶対にやり遂げるって信じている。だから一緒に帰ろう」
「私だってあんたに助けられっぱなしだからな。こんな私でもあんたの助けになれるんなら手を貸してやる。それにあんたに教えられたのに、あんたが為さないなら私はあんたの描く、私のしたかった平和が見れないだろ?」
翼も奏もクリスもボクへと言った。
「みんな…」
ボクは全員の覚悟を聞いて頷く。
「全員で帰ろう。皆が待つあの場所に」
「何をほざいている!君達はここで消える!君達にはそんな未来はありはしない!」
ボク等へと向けて紫電は視線を移すと、手を翳して月の欠片を動かしており、言葉を紡いでいた。
「まさか月の欠片を!?」
かつての紫電なら星をも動かす力を持っていたとしても月を動かせなかったであろう。だが、今の紫電にはそれを可能とする力がある。
「天を統べる神の怒り!月の欠片が砕きし害悪!ここで消えるは神に背きし、理想を語る愚者達に神罰を!」
そして動かした月の欠片に
「鳴動の宇宙、裁きを下す神の一撃!」
言葉と共に速度を増し迫る、月の欠片。
「死ね!ガンヴォルト!ここで跡形もなく消えてしまえ!」
「言ってる事とやろうとしてる事が矛盾してるじゃねえか!」
「このままだと私達だけじゃなく、地上にいる人達まで!」
「やらせる訳ないだろ!絶対に!」
「やらません!諦めない!こんな事を起こす君を絶対に止めて見せる!」
「私はGVが思う事を手伝うよ」
皆が守る為に歌う。そしてシアンの問い掛けにボクも皆の様に答える。
「やらせない!絶対にやらせない!」
「だったら私も手伝うよ、GV。私が貴方の
そしてシアンも装者達に混じり歌を歌う。皆が紡ぐ輪廻の歌。歌の力がシアンへと集まり、シアンを通してボクの中に流れ込んでくる。
力が、波動が呼応してボクの
「絶対に君をここで倒す!」
そしてボク等は月の欠片へと向けて飛ぶ。各々のアームドギアが強化されており、剣が、槍が、銃が、拳が月の欠片を穿たんと輝き始める。
「私が貴方達の
「言われなくても元よりそのつもりだ!」
「当たり前だ!絶対にガンヴォルトと帰るんだからな!」
「言われなくても頑張っているこいつの為に手伝うに決まってるだろ!」
「絶対に帰りましょう!皆で!」
そして各々のアームドギアから出る光は纏まり、月の欠片に向けて光を放つ。
ぶつかり合う光と
「元は私の力をこんな事に使わせない!」
シアンが叫ぶと共に
「馬鹿な!?僕の力を!?」
その瞬間、
「シアンの力を自分の力だと思うな!紫電!」
「ガンヴォルトォ!」
紫電は叫び、向かいくるボクに向けて蛇の頭から光線を放とうとする。
だが、それを止めたのは装者の出現させた光。光は蛇の頭を飲み込み、消し去る。
再生を試みようとする紫電だが、既にボクは紫電へと近付いており、腕を構え言葉を紡ぐ。
「煌めくは雷纏いし聖剣!蒼雷の暴虐よ!敵を貫け!」
そして出現する眩い雷光を放つ巨大な剣。
スパークカリバーは以前のものと比較にならない程巨大で雷撃を放電させている。
「迸れ!
スパークカリバーをそのまま紫電へと突き立てようとする。だが、紫電はそれを拒み、
「神は負けない!神は絶対的な支配者なのだから!こんな攻撃で倒れない!」
「君が神だとしても絶対に倒す!シアンが…皆がくれた力で!」
そして拮抗する聖剣と
「下らないわね。貴方が神なんてあの人への冒涜よ」
突如響くフィーネの声。
「フィーネ!ネフシュタンに残る僅かな残滓如きが今頃なぜ!」
紫電がフィーネの名を叫ぶ。
「ガンヴォルトに私は頼んだのよ。ガンヴォルトの作った世界を見せてと」
「フィーネ!無事なのか!?」
ボクもフィーネの名を呼ぶ。
「いいえ。この子の言う通り、私の魂は既に殆ど残っていない。でも、こんな所で彼の方を何処までも貶めるこの子を見ていると居ても立っても居られなくなったのよ。私は消える。でもただで消える訳じゃない。この子からネフシュタンを切り離すわ。だからガンヴォルト、今度こそ本当に貴方の思い描く世界を私に見せなさい」
その言葉と共にフィーネの声も聞こえなくなる。そして同時にネフシュタンの鎧が紫電から切り離され、モザイク体の鎧へと変化させた。
「フィーネ!君までも!残滓如きで何処まで邪魔をしてくれるんだ!」
「フィーネは託したんだ!ボクの願いを…フィーネ自身の願いをボクに託して!」
ボクは未だにスパークカリバーを受け止める紫電へと叫んだ。それと共にスパークカリバーへとさらに雷撃を流し込む。
「もう終わりだ!紫電!ボクの雷撃で再び眠れ!」
その叫びと同時に紫電の腕を弾き飛ばし、
「馬鹿な!?神であるボクが!?こんな所で…!こんな所でぇ!」
そして貫かれた紫電と宝剣は凄まじいエネルギーを放ち、ボクと装者達を光で包み込んだ。
◇◇◇◇◇◇
装者が飛び立った後、全員は空に浮かぶ月の欠片を見上げていた。
「響…ガンヴォルトさん、クリス、奏さん、翼さん…絶対に…絶対に帰ってきますよね?」
未来は見上げた月にいる全員の無事を祈っていた。
だがその祈りを拒む様に再び、カ・ディンギルから紫色の光が放たれる。
「そんな!?」
再び放たれる光に誰もが絶望に陥る。あの攻撃を耐えれるのか?月をも穿つあの攻撃に。
絶唱であるならもしかするが、それは装者一人が、誰かが倒れる事になる。だが、その絶望も蒼き雷光が照らし出す。
「ガンヴォルトさん!?」
紫の光を押し返し、蒼き雷光がカ・ディンギルを飲み込んだ。それと共に起きる衝撃に全員が立つ事が出来ず、膝を突く。だが、その揺れは絶望をも振り払う力であり、ガンヴォルトが生きている証明でもあった。
「ガンヴォルトさん!」
浮かぶ月にいるガンヴォルトがまだ生きて戦っている。その事を知ると未来は叫んだ。
「ガンヴォルトさん!絶対に響と!皆で無事に帰ってきて下さい!」
未来の叫びに乗る様に全員がガンヴォルトや装者達の名を呼び、叫び続けた。
絶対に帰ってきてと、あの少年を倒してくれと。
だが、その叫びが続く事はなかった。月の欠片が動き出し、こちらへと向けて落ちてこようとしていたのだ。
だが、誰一人絶望はしていない。
ガンヴォルトなら装者達ならやれる。やってくれると信じているから。
その瞬間、光によって月の欠片が破壊された。
それと共に各地に降り注ぐ様に散らばる月の破片。だが、その破片も大気圏で燃え尽きる如く淡い光を放ち消えていく。
そして、その淡い光よりも眩い光が、上空を照らし出す。その光が地上を照らすと共に
「勝ったのか?」
弦十郎が本当なのかと自身の言葉を問い掛ける様に呟いた。その言葉を起点にこの場は安堵と歓喜に満たされる。
でも未だ未来は喜ぶ事が出来なかった。響もガンヴォルトも皆がまだ帰ってきていない。
「響…ガンヴォルトさん…みんな…」
装者とガンヴォルトの無事を願う未来。
だが、装者とガンヴォルトは未来の元へと帰ってくる事はなかった。