戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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長くなりましたが気にしない


3mVOLT

〜少女達はようやく行動制限解除される〜

 

ガンヴォルトと慎次、そして朔也の三人は何故かエプロンを付けて二課の施設内にある調理室でそれぞれ料理を作っていた。

 

「なぁ、何で俺まで作る側に回っているんだ?ガンヴォルトと緒川さんならまだ分かるんだけど…」

 

朔也が材料を包丁で刻みながらそう言った。

 

「料理が出来るからじゃない?朔也も自分が美味しい料理が食べたくて作ってるって言ってたし」

 

ガンヴォルトがコンロの前でフライパンを握りながら照り焼きを作っている。

 

「まあいいじゃないですか。折角のクリスさんの歓迎会という事なんですし、美味しい物を作りましょう」

 

慎次もガンヴォルトの隣でフライパンにお酒を入れてフランベしながらそう言った。

 

「いや、俺はあんた等にほぼ拘束されて無理矢理作らされてるんですけど!?」

 

ガンヴォルトと慎次に向けて叫ぶ朔也。何故この三人が料理を作っているかというと、少し前まで遡らなければいけない。

 

◇◇◇◇◇◇

 

数時間前ーー

 

「という事で雪音クリス君を正式に二課のメンバーに加える事になった。兼ねて歓迎会を開催しようと思う」

 

「師匠!賛成です!いっぱい美味しい物を用意して盛大にクリスちゃんを歓迎しましょう!」

 

「うむ。折角新たな仲間として雪音にも頑張ってもらいたいものだから、景気付けは必要だろう」

 

「賛成!美味いもんが食いたい!入院食はもう飽きた!肉が食いたい!」

 

「奏は何で病室を抜け出してこんなとこまで来てるの?身体を休ませないといけないし、いきなり重たい物ばかり食べたら身体に悪いから奏だけは別の物だよ」

 

「ガンヴォルトのケチ!私だって頑張ったんだからそれぐらい良いだろ!というか食わせろ!」

 

響は食について考え、翼はクリスを仲間として迎え入れる景気付けとして賛成する。

 

奏は二年ぶりに美味しい物が食べれると期待していたのだが、ガンヴォルトに注意されて、ブーブーとガンヴォルトに文句を言っている。

 

「奏、今回はクリスが仲間になるその歓迎会であって奏の食べたい物を食べる事じゃないんだから」

 

「そうだぞ、奏。頑張ったのは俺達も分かっているが今回は我慢してくれ」

 

「旦那までー…」

 

「今回は我慢してもらうけど、奏が快復したら好きな物食べさせてあげるから、その時にまた快気祝いを開こう」

 

「本当か!?だったらガンヴォルトに美味いもん作ってもらうからな!絶対だぞ!?」

 

奏は痛む身体なのに何処にそんな力があるのかと車椅子をボクの方に近付けて目を輝かせる。

 

「ちょっと近いわよ、おっぱい魔人一号!GVも何でそんな簡単に口約束しちゃう訳!?絶対変な要求をされるに決まってるじゃない!?」

 

シアンが現れてガンヴォルトに対して言う。シアンの存在が認知出来ないあおい、弦十郎、朔也、慎次はガンヴォルトと響達が表情を変えるのを不思議そうに見ていた。

 

「シアン…奏にまで変な渾名をつけて…それに食べ物なのに変な要求される訳ないじゃないか…」

 

「いいえ!絶対にこの女ならやりかねないわ!私の勘がずっと危険な信号を出してるもの!どうせGVに変なお願いをするに決まってる!」

 

「馬鹿な事を言わないでくれ、奏がそんな事する訳ないだろ」

 

ガンヴォルトはそう言って奏の方を見ると奏は何やら考え込みながらぶつぶつと呟いている。

 

「なるほど…そういう事も出来たのか…だったら何を頼もう…」

 

「奏もシアンの言葉を本気にしなくていいから…」

 

ガンヴォルトは溜息を吐く。

 

「おい、それならお前は私のリクエストなら聞いてもらえるんだよな?」

 

ガンヴォルトのスーツの袖を引くクリスが言う。

 

「もちろん。クリスが食べたい物があれば遠慮なく言ってくれれば作れそうな物なら作るよ。あまり凝ってる物じゃなければ助かるんだけど」

 

「…ならあの時食い損ねたもん…お願いしてたもんを作ってくれ…」

 

クリスは少し恥ずかしそうにそう言った。ガンヴォルトもそれを聞いて嬉しそうにクリスの頭に手を置いた。

 

「もちろん、それくらいなら作るよ。となるとボクはクリスのリクエストと他に簡単な物を作るとして後はデリバリーか何か頼んだ方がいいかな?」

 

「すまんな、ガンヴォルト。だが、現在復興の影響でデリバリーなんてものは機能していないに等しい。という事で、二課のメンバーでクリス君の歓迎料理を作ろうと思うのだが、いかんせん量もそれなりに必要になるだろうから人手が必要だろう。慎次、ガンヴォルトの手伝いを頼む」

 

「任せて下さい。でもいくらなんでも二人で料理となると少しばかり時間がかかる気がするので人手が欲しい所なんですが…」

 

そう言って弦十郎は独断と偏見で料理が出来そうな女性、あおいに目を向ける。

 

「…司令…ごめんなさい。私、あまり料理をしないもので簡単な物しか作れません…というかその二人のスペックが高過ぎて私の料理が霞んで見えるので辞退したいです…」

 

何処か女として悔しそうな表情を浮かべながらあおいはその申し出を断った。

 

「でも、代案があるのでそちらでお願いします。という事で藤尭君、後は頼んだわよ」

 

朔也の肩に手を置いて清々しく他人任せにするあおい。

 

「俺かよ!?というか、何で俺!?」

 

「そう言えば、前話してた時に料理が出来るって言ってたね。よかったら手伝ってよ」

 

「それなら話が早いですね。なら行きましょうか」

 

慎次とガンヴォルトは朔也を拘束するとそのまま部屋から出て調理場へ向かおうとする。

 

「いや、俺一言も了承してないんですけど!?というか二人とも離して下さいよ!?オペレーターである俺が戦闘要員であるエージェント二人に敵う訳ないでしょ!?というか話くらい聞いて下さいよ!」

 

朔也の叫びが木霊するが誰一人として朔也の拘束を解こうとする者はいなかった。

 

「…本当にあいつ等に頼んで大丈夫だったのか?」

 

弦十郎は少し不安そうに呟く事しか出来なかった。

 

という事もあり、現在三人はクリスを祝う為に料理を作っていたのであった。

 

「というか、俺の予想だとガンヴォルトの料理にしか殆ど興味が向かない気がするのに作る意味があるのかと思うんだけど」

 

「そんな事ない気もするんだけど…」

 

ガンヴォルトはクリスのリクエストした物、どうやらサンドイッチの様でそれを丁寧に作っていた。

 

「お前…まさか気付いていないのか?」

 

朔也は戦闘であればピカイチの才能を見せるガンヴォルトがここまで鈍感なのかと驚くが、以前から好意を向けている翼の事を考えるとどうしてこんな奴がモテるんだと感じ、隣に立つガンヴォルトに蹴りを入れる。だが、見てもいないのにガンヴォルトはそれを躱して言う。

 

「何をするの、朔也」

 

「ウルセェよ」

 

この鈍感は装者の気持ちを知っているのだろうか。知っていてこんな態度を取っているのならとんだクソ野郎だなと思いつつも、ガンヴォルトはそんな奴ではない事を知っている為にそれ以上何も言わなかった。

 

「とりあえずこんな感じでいいですかね?それじゃあ持って行きますか」

 

慎次の言葉にガンヴォルトと朔也は最後に綺麗に盛り付けた皿をカートの上に乗せるとそれぞれカートを押して装者や弦十郎達の待つ部屋へと向かった。

 

◇◇◇◇◇◇

 

「やったー!豪華なご飯だー!」

 

「うむ、少し心配だったがまさかこれほどまでに作り上げるとは…情報収集以外にも出来る男だったんだな、藤尭」

 

「俺だってやろうと思えば出来ますよ。というか、俺にそれしか無いみたいに言わないで下さいよ」

 

「ははは、悪かった。ちょっと今度のペイを色付けて振り込んでやるから勘弁してくれ」

 

朔也は不服そうだったが臨時のボーナスが出る事を聞いてガッツポーズを取っていた。

 

「さて舞台も整った事だ。これより雪音クリス君の歓迎会を始めるぞ!という事でこれより我々の仲間となってくれる雪音クリス君だ」

 

「ど、どうも…」

 

急に始まった歓迎会にも対応していくクリスの姿を見て今この場にいる全員が拍手を送る。

 

「ついでに嬉しい知らせもあるぞ。本日を以て君達装者の行動制限も解除される!」

 

「本当ですか!?師匠!?」

 

響もその言葉に驚きつつも嬉しそうに声を上げた。

 

「やったー!ようやく未来に会える!ってあれ?そう言えば私達は行動を制限されてたのにガンヴォルトさんが制限されてないのっておかしくないですか?」

 

「ガンヴォルト自身は制限をかける訳には行かなかったんだ。何せ、復旧するに当たって色々と必要な電力を賄わなければいかなかったからな。あのカ・ディンギルを壊したガンヴォルトの一撃でそこらの電力は根こそぎ使えなくなってしまったからな。そこでガンヴォルトには電力源として役に立ってもらった」

 

「ガンヴォルトさんの能力は万能なんですね…という事はここの電力も?」

 

「一応ね。昔は難しかったけど電圧や電流、複雑な制御も出来るようになってね。そういう事で救助作業や瓦礫の撤去に協力していたんだ」

 

「万能過ぎて一課に一人はガンヴォルトが欲しいと言われたな」

 

「だからってボクの能力をこういう風に使うのはもう勘弁願いたいね」

 

ガンヴォルトは弦十郎の言葉に溜息を吐きつつそう言った。

 

「さてクリス君も仲間になるに当たって住む所を準備させてはもらった」

 

「えっ?いいのか!?」

 

「勿論だ、とは言っても俺達二課の管理する物件が軒並みお釈迦になっているからガンヴォルトの別宅に居候という形になるが」

 

「ほ、本当か!?」

 

クリスは本当なのかと嬉しそうに声を上げる。

 

「司令!ちょっと待って下さい!何故雪音をガンヴォルトと一緒に住まわせるのですか!?」

 

「仕方ないだろう。ずっと二課でプライベートのない生活をしてもらう訳には行かないし、ガンヴォルトと一緒に暮らして貰えば、ある程度安全面も保証されるし、それに健康面も保証される。装者の健康管理も我々の仕事だからな。それにガンヴォルトと装者達を一緒の部屋にしていたのはガンヴォルトの素行調査もある。全く以て問題なかったがな。寧ろ俺は女性と同じ部屋で一夜過ごすのになんの緊張もしないこいつを本当に男なのかと疑った所だが」

 

「あれにはそんな意味が…と言うよりもボクの知らない所で弦十郎もそんな事思ってたの?言っとくけどボクも男だから少しくらいは緊張するよ。だからこそ、ダートリーダーの調整とかして気を落ち着かせてたんだから。翼、この事についてはボクは了承してるよ。既にクリスに鍵も渡してるし、好きに使っていいって約束してるし」

 

「違うわ、ガンヴォルト!私が言っているのはそういう意味じゃない!何故だ!何故こんな事に!?というかシアン!貴方がいながら何故こんな事になっているの!?」

 

そう言うとシアンが現れて罰の悪そうな顔をする。

 

「私だって反対だったよ!でもGVがそう言うから仕方ないじゃない…。おっぱい魔人二号がGVと一緒に住むなんて絶対危ない…特にGVが…」

 

「シアン。君と住んでいたんだから変わらないって言っただろ。それに流石に同じ部屋で寝る訳じゃないんだからって納得してくれたじゃないか?って奏!話し中に食べようとしない!君はそっちは食べちゃダメだよ!」

 

そう言ってガンヴォルトは奏がカートに乗るサンドイッチを食べようとしていたのでそれを止めに行った。

 

「シアン…ガンヴォルトの貞操が雪音に奪われる危機を見過ごすとは…貴方には失望したわ…」

 

「だから私だって反対だったって言ってるでしょ!?それにそんな事絶対に私がさせる訳ないでしょ!」

 

シアンと翼は互いに想い人と同居が決まったクリスを見る。

 

クリスも二人の視線に気付き、ガンヴォルトの別宅の鍵を取り出して、これみよがしにドヤ顔を浮かべる。

 

「雪音ェ!貴方を仲間と思った私が馬鹿だったわ!貴方は依然私と敵対するというのか!?」

 

「こんのおっぱい魔人二号!絶対にあんたをGVに近付けないんだから!というか近付くな!」

 

「…シアン君もいるのはなんとなく話の流れで分かるが、何故翼はあそこまで激昂するんだ?」

 

「さあ?まあ、あの鈍感が気持ちに気付けばこんな環境も変わるんじゃないですかね?」

 

「藤尭君の言葉にごもっとも」

 

弦十郎の言葉に朔也もあおいも興味がなさそうにというより、あの争いに入りたくないとばかりに傍観する側に回っていた。

 

そんな中、響は待ち切れないとばかりにカートの上にある食べ物を慎次に取ってもらい、奏はガンヴォルトに車椅子を押されながら、奏専用に作られた質素な入院食の所まで連れて行かれる。

 

「奏はこっちだよ」

 

「目の前にある美味いもんが食えないなんてとんだお預けだ…」

 

「仕方ないよ。今の状態で味の濃い物とか重たい物とかだと奏の胃が受付けないんだから」

 

そう言いながら奏はガンヴォルトに入院食を食べさせてもらうと少し機嫌が良くなる。

 

「なあ、ガンヴォルト」

 

「なんだい?」

 

「私もあんたの家に住んでいい?」

 

「…なんでそんな事を?」

 

「いや、今まで旦那の家…というか翼の実家に住まわせてもらってたけどこの期に心機一転して新しい場所に住もうと思って」

 

「…心構えはいいと思うけど…いや、ボクと同居するとなるとシアンが居るにしても男のボクと過ごすクリスにとって精神的な不安があるかもしれないし…奏も住んでもらえばそれも無くなるのかな?」

 

ガンヴォルトは何やらぶつぶつと考え込んだ。

 

「分かったよ。でもそれならちゃんとお世話になった弦十郎やお手伝いさんにお礼を言うんだよ。それとしっかり許可も取ってね」

 

「サンキュー!」

 

その会話にシアンと翼、そしてクリスは気付いていなかった。そして、奏がガンヴォルトの家に居つく事を知ったシアンと翼とクリスは再び言い合いになる事となった。




自分のしないフォギアは響以外(主にシアンと翼)が全力ヒドインムーブを決めるのはお約束なんです。
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