戦姫絶唱シンフォギアAB   作:株式会社の平社員

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〜少女達は思わぬ伏兵に焦りを感じる〜

 

「ガンヴォルトさん本当に良かった…」

 

未来がガンヴォルトに撫でられながら涙を流し続ける傍ら、それを見るガンヴォルトに想いを寄せる者達は複雑そうな表情をしていた。

 

「GV…今度は響の友達にまで手を出して…」

 

「シアン…小日向だってガンヴォルトを心配していたんだ…私達もこの状況に変に首を挟むのはよそう…」

 

「翼…」

 

シアンは少しだけ自分よりも冷静な翼を少し尊敬する。

 

だが、

 

「…翼…良い事言っている事は私にも分かるけど、表情と言葉が何一つ一致していないんだけど」

 

翼の表情は何処か羨ましそうに歯軋りをして未来を見続けていた。シアンも何処となく同じ気持ちであったが、翼のこの姿を見て自分もここまでならないと心に誓う。

 

「全く、あんた等こういう時ぐらいは何も言わずに黙って見てられないのかよ」

 

「黙りなさい!おっぱい魔人二号!大体あんたも余裕そうにしてるけど口角がピクピクと動いているくらい私にはお見通しなんだから!」

 

「うるさい!私はなんとも思ってねぇ!」

 

クリスは顔を赤くしてシアンに言う。だが売り言葉に買い言葉、シアンとクリスの言い合いは酷くなる一方であった。

 

そんな中、翼は目が死んで譫言の様にぶつぶつと呟いている。

 

「私が一番ガンヴォルトと一緒にいるはずなのに…最近現れたぽっとでの雪音に最近素直になった奏もぐいぐいとガンヴォルトにアタックをかましているのに…私は一体どうすればいいというのだ…」

 

そんな様子を側から見ている響はガンヴォルトと未来の再会に涙ぐみながらも、寂しかったのか未来へと抱きついた。

 

「良かったー!未来もガンヴォルトさんと再会出来て良かったよ!」

 

未来に勢いよく抱きつく響に押されてガンヴォルトに寄りかかる事となる。ガンヴォルトはそんな二人を倒れない様にしっかりと支える。

 

響の不意打ちによろめきながらガンヴォルトに受け止められた未来は顔を真っ赤にしてガンヴォルトを見上げた。

 

「大丈夫?響、嬉しいのは分かるけど、不意打ちみたいにそういうのはやめようね」

 

「だってガンヴォルトさん…私だってもっと未来と抱き合いたかったのにガンヴォルトさんばっかりなんですもん!」

 

「気持ちは分かるけど危ない事はダメだよ」

 

「わ、私はこういうのは慣れてますから大丈夫です!で、でもい、今の状況は少し緊張するというかドキドキするというか…」

 

未来はあわあわとガンヴォルトに抱かれながら言う。

 

「未来ー!ガンヴォルトさんばっかり構ってないで私にも構ってよー!」

 

響は拗ねながら未来を更に強く抱きしめ、押される形でガンヴォルトに更に密着する様な形となる。

 

未来は更に顔を赤くすると耐え切れなくなったのか頭から煙を上げる様に意識を失った。

 

「未来!?未来しっかりして!?」

 

「未来!?どうして急に意識がなくなるんだ!?」

 

ガンヴォルトも響も急に意識をなくした未来にオロオロと戸惑い始める。未来の表情は何処か満足している様に見えるのは気のせいなのだろうか。

 

それを見て血涙を流す勢いで歯軋りをするシアンと翼。何処となく羨ましそうに見るクリス。

 

「ガンヴォルト…シアンといい、翼といい、相当の女誑しなんだな」

 

奏はベッドの上で静かにそう呟いた。

 

「!?」

 

ガンヴォルトは初めの方は聞こえてない様で何か言ったかは理解していなかったが、奏に助けを求める様に奏とアイコンタクトをする。

 

「自分で考えろよ」

 

奏は何処か羨ましそうに、そして自分も身体がしっかりと動く様になればやろうと思い、その状況をニヤニヤとして見ていた。

 

◇◇◇◇◇◇

 

〜初任給と彼の懐事情〜

 

「二課ってこんなに貰えるのか!?」

 

「もちろんだ。命を懸けて人類を守る君達には正当な報酬だ。だからと言って無駄遣いするんじゃないぞ?」

 

クリスは自身の為に作られた通帳の中に入っている金額を見て何度も自身がこんなに貰っていいかという事を弦十郎に言う。

 

弦十郎もその事を何度もクリスに一からしっかりと説明をしてくれている。

 

そしてクリスは自身の通帳を眺めながら何を買うか迷いながら二課の廊下に設置されたベンチに腰掛け考えに耽る。

 

「とは言ってもこんなにあって何に使うって言われてもな…あいつ等は何に使ってるんだ?」

 

以前より二課で働いている装者達の事を考える。

 

響の場合だと見た事のない金額に目が¥マークに変わり、ご飯が何杯食べられるかを即座に計算している事は目に浮かぶ。そしてご飯だー、ご飯だーと言っているに違いない。

 

翼だと、二課の給料を貰うと趣味のバイクへと手を出しているそうで、それ以外であるとガンヴォルトへの弁当代で消えているらしい。その他のお金は弦十郎や慎次が管理していると聞いている。

 

奏はまだ目を覚ましたばかりでよく分からないが、少し話した限り、変装用の服や両親の墓参りで減る以外は貯金とお世話になっている人達への簡単にでもいいからプレゼントをしていたと聞いた。

 

クリスは意外に堅実な奏には驚いたが、二人と違ってしっかりと管理している部分には共感を持てた。

 

となると、残るはガンヴォルトだが、彼のお金の使い道はよく分からない。一緒に住む予定になっており、お金に関しては家賃ぐらい出すと言ったが、まだそんなにある訳じゃないし、みんなよりもかなり多く貰っているとの事。給料をクリス達以上に貰っているにも関わらず、あまり散財する様な姿を見た事がない。むしろ話を聞く限りかなりの倹約家であり、一スーパーに行こうものなら、なるべくお買い得品や割引品などに手を出していたりするらしいので彼がどんな事にお金をかけているかが全くの謎だ。

 

「あれ、クリス?」

 

考え事をしていると、不意に声を掛けられる。その人物はまさに今考えていたガンヴォルトであった。

 

ガンヴォルトはクリスの元へ近付いて通帳に気付いた様だ。

 

「クリスも給料を貰ったんだ。何を買うか悩んでたの?」

 

ガンヴォルトもクリスの隣に座ると言った。

 

「そうなんだけど…こんな沢山のお金を貰ってこのままにしてるのもなと」

 

クリスはガンヴォルトにそう言ってガンヴォルトが何にお金を使っているのか気になり聞いた。

 

「なあ、お前が私くらいの歳でこんなお金を貰った時に何に使ったんだ?」

 

「ボク?うーん、どうだったかな?基本的には貯金かな?翼みたいにバイクに乗る趣味もないし、奏みたいにお世話になっている人には定期的に何か渡しはしていたけど、そんな高価な物を渡しても断られるからね。それなりにもらって嬉しいものを渡していたくらいかな。それ以外に使う事は個人的な聖遺物探しとかの移動費や光熱費なんかの支払いぐらいしか使ってないよ。殆ど通帳の中に入ってる」

 

予想通りの答えにクリスは何処となく安心する。

 

「あっ、でも最近は物凄く減ったな」

 

その言葉にクリスは驚く。ここまでの話からかなりの倹約家が散財したのだ。気にならない方が不思議じゃない。気になったクリスはガンヴォルトへと聞く。

 

「あんたみたいな奴が何でそんなに散財したんだよ?」

 

その使い道が気になったクリスはガンヴォルトに問うとガンヴォルトは頬を掻きながら少し恥ずかしそうに言った。

 

「この前の戦いでダートリーダーを二丁も破損させちゃってね。あれはボク専用と言っても差し支えないものだけど、二課の備品でね。壊した分の請求がボクの所に来たんだ。元の世界でも結構貴重なものだったから高いとは思ってたけどあんなにするなんて思わなかったよ。それに技術班にも傑作を二丁も壊されたって嘆かれたよ。まあ助かったから今回は許してくれたけど」

 

ガンヴォルトは乾いた笑みを浮かべて話してくれた。だが、面白い使い道でも無かった事にクリスはがっかりする。

 

「壊すあんたが悪いんだろ?」

 

「まあそれで紫電を止められたなら安いものさ。あっ、でももう一つお金を使いそうな事があったよ」

 

今度こそクリスは面白い回答が来ると期待してガンヴォルトに聞く。

 

「クリスと一緒に住むんだから今度家具でも買いに行こう。ボクはあんまりそういうの詳しくないんだ。好きな家具が有れば言ってくれれば買ってあげるよ。初給料ぐらい、ボクもクリスには好きに使ってもらいたいからさ」

 

ガンヴォルトはクリスに微笑んでそう言った。

 

クリスはその言葉とガンヴォルトの笑みに頬を赤くしてこれ以上見ていると心臓が破裂してしまうと感じ、目を逸らした。

 

「そ、そんな事に使わなくていいだろ!?」

 

「意味はあるよ。ボクだってクリスには不自由なく生活してもらいたいし、その手伝いが出来るならそのくらい惜しくはないさ」

 

ガンヴォルトという男はこういう事を素で言うのだからクリスにとって心臓にとても悪かった。だが、ガンヴォルトがそこまで自身の事を考えていてくれると思うと何処か暖かいものを感じる。

 

「…あんがと」

 

「気にしないでいいよ。奏も住む事だし、皆で見に行こう」

 

奏の名前が出た瞬間にクリスは顔が無表情となり、ガンヴォルトへと恨めしそうな目を向ける。

 

「何であいつも住む事になってるんだよ!?」

 

「奏が住んだ方が、ボクと二人っきりっでいるよりもいいと思ってね」

 

「ちょっとGV!?おっぱい魔人二号はいいとしてもおっぱい魔人一号と住むなんて私も聞いてないんだけど!?それにそんな甘い言葉で誘惑するの禁止!」

 

その言葉に釣られる様にシアンも姿を現した。

 

「甘い言葉って…」

 

「それよりもあいつも住むのかよ!?」

 

「もう決まった事だよ。部屋も空いてるし」

 

「私が言いたいのはそういう事じゃない!」

 

「そうよ、GV!不本意だけどこの女の意見に賛同するわ!」

 

二人の異様な様子にガンヴォルトは混乱しているが、タイミングよく慎次が現れる。

 

「ガンヴォルト君。ちょうどいい所にいました。技術班が新武装の開発に当たって君に幾つか試してもらいたいものがあるそうなので、直ぐに来て欲しいというお達しがありました」

 

「新武装…あまり良い予感はしないけど…前みたいにゴテゴテのパワードスーツとかじゃないよね?まあ何にしてもちょうど良かった。ごめん、クリス。話はまた今度で!」

 

「あっ、おい!話はまだ終わってねぇぞ!」

 

「ちょっとGV!逃げるな!」

 

ガンヴォルトは足早に去っていく。クリスもシアンも呼び止めたが、既にガンヴォルトの姿はもう見えなくなっていた。

 

「シアンさんもいると思いますが…何というかごめんなさい」

 

憤る二人に対して慎次はとりあえず謝っておこうと頭を下げるのであった。

 

ついでにガンヴォルトが向かった先で技術班が用意していたのはガンヴォルト専用に作成されたダートリーダーと響同様近接格闘出来る様に作成された特殊な銃であったが、耐久に問題がある様で結局ガンヴォルトに破壊され、ガンヴォルトはまたしても技術班に怒られる事となった。

 

◇◇◇◇◇◇

 

翼は風鳴邸にあるキッチンに立つガンヴォルトの姿を見て驚く。

 

何故ガンヴォルトが風鳴邸に来ているのか?そして何故ガンヴォルトが風鳴邸のキッチンに立っているのか分からなかった。

 

「ガ、ガンヴォルト!?な、なんで家にいるの!?」

 

「お帰り、翼。なんか今日料理担当のお手伝いさんが体調を崩したみたいでね。慎次も翼のライブや奏が復帰出来る様に各局との打ち合わせ関連で抜け出せないらしくてボクに頼んできたからさ」

 

ガンヴォルトはそう言いながら冷蔵庫の中を確認した。

 

「この家のキッチンに上がるのなんて久しぶりだけど配置が変わってなくて良かったよ。それに手入れも行き届いてあの頃と使いやすさも変わってないね」

 

ガンヴォルトは調理道具を見ながらそう言って調理に取り掛かる。

 

「ガンヴォルト…私も何か手伝おうか?」

 

「いや、大丈夫だよ。翼は座って見ておいて」

 

少しだけガンヴォルトの顔が苦い物に変わったが、翼はなんでそんな表情になったかは少し疑問であったが、ガンヴォルトがそう言うので素直に従う。

 

しかし、翼はこうやってガンヴォルトの背中を見ながら待っていると何処か新婚の様な感じだと考え、少しにやけてしまう。

 

「翼…その顔気持ち悪いわ」

 

「シアン!貴方もいたの!?」

 

突如声がしたと思うとシアンが現れる。

 

「いるも何も私とGVは一心同体なのよ。いるに決まってるじゃない。大体こんな危険な場所にGVを一人で行かせる訳ないでしょ!」

 

「危険なはずないでしょ!」

 

「いいえ危険ね!翼というGVに邪な感情を持った人と一緒なんて一体翼が何を起こすか考えれば直ぐ分かるわ!」

 

「シアンは何を言ってるの?ボクはこの家に前に何度も来ているしその時も何もないよ。それにここは防人というこの国を守る組織の邸宅だよ。危険なんてそうそうあるはずないじゃないか」

 

「GVは鈍感過ぎるのよ!本当にGVは自分の事を本当に分かってない!」

 

「いや、自分の事は自分が多分理解していると思うんだけど…それにボクは鈍感なの?」

 

調理中のガンヴォルトは手を止めて、シアンと翼を見る。

 

二人はそんなガンヴォルトに溜息しか出なかった。

 

シアンの言う通り、この手の事は何処までも鈍感なガンヴォルト。だが、その鈍感のおかげか奏やクリスの好意にも気付かないのが幸いである。そしてこの前ガンヴォルトと再会した未来も怪しくなってきた。

 

「全く、本当にガンヴォルトは…」

 

「不本意だけど翼の言葉と同じ意見よ…」

 

ガンヴォルトは二人に疑問符を浮かべながら、再び調理に戻るのであった。

 

しかし次に勃発したのはシアンと翼の食べ物の取り合いである。

 

シアンは食べれないのだからそこまでしなくてもいいと思うのだが、どうも見せつける様に食べる翼にムカついただそうで、本当に会わない内にシアンはどうしてここまで変わったんだろうとガンヴォルトは溜息を吐くのであった。

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