上空に現れた新たなノイズへと攻撃を始める三人。奏と響はクリスの援護を受けながら、一番の障害となると感じる、オレンジと青の鎧の様なものを纏うノイズに向けて槍と拳を振るう。
だが、今まで出現していたノイズと違い、奏の槍も響の拳もノイズの鎧に弾かれる。
「硬った!?」
「嘘!?」
二人は弾かれた槍と拳を再びノイズに向けて振るうがその攻撃もノイズの纏う鎧の様なものに傷を付ける事なく弾かれてしまう。
「だったらこれでどうだ!」
列車の天井でクリスが叫ぶと巨大なライフルを出現させて鎧の様なものを纏うノイズへと放つ。
だが、その攻撃もノイズは素早く身体を動かして躱す。
「機動力もあるのかよ!」
「全くだな!厄介な奴が出てきたもんだ!」
奏は落ちながらも周囲のノイズを槍を振るいながら倒して、列車の上に着地する。
「でもあれをどうにかしないとソロモンの杖が!」
響も空中から列車の上にノイズを蹴り貫きながら降り立って言う。
「とにかく弱点でも見つけないと話にならなそうだな」
「だからってあいつにばっか気を取られてもダメだろ」
「でも、あれが一番厄介だし…」
三人はノイズを見据えつつも、どうすればあの特殊なノイズを倒せるか考える。
だがそんな時間を与えないかの様にノイズ達が身体を槍の様に尖らせて雨の様に降り注ぐ。
「しゃらくせぇ!」
クリスがそれを対処する為にガトリングで降り注ぐノイズ達へと向けと撃ち、ノイズの攻撃による列車に被害が出ない様相殺していく。
そして、遂に見据えたノイズが動き出し、他のノイズの様にその巨体を列車に向けて突撃を始める。
クリスも応戦する為に特殊なノイズに向けてガトリングを掃射するが全てを鎧な様なものに弾かれてしまう。
「こんの!」
クリスは集中的に一点を狙い鎧の様なものを破壊しようとするも歯が立たない。そして既に目の前まで迫る巨体。
「響!合わせろ!」
「分かりました!奏さん!」
迫る巨体に奏と響が飛び出す。奏は槍をバットの様に握り、響は拳を握り、同時にノイズへとありったけの力を込めて振るう。
「ぶっ飛べー!」
雄叫びを上げ、ノイズへと槍と拳をぶつける二人。だが、落下による威力も加わったノイズには敵わず、弾き返されてしまう。だが、ノイズにも装者二人の力を受け止める事は難しかった様で、列車へと向かい落ちる巨体は軌道を変え、脇の線路へと落下した。
「今のでも倒せないか…」
「どうすればいいんでしょう…このままじゃジリ貧ですよ」
弾かれながらも体勢を立て直し、列車の天井へと降り立つ。
「どうこう言ってる場合じゃねぇ、やらなきゃならないんだよ」
クリスがガトリングを収納して銃を取り出して言う。しかし、こちらの攻撃を物ともしない程の強固な鎧を纏うノイズにどう対処すればいいのか三人は頭を悩ます。
「二人ともやばいぞ!?」
奏が叫び、危険だと感じた二人は構える。だが未だ空に浮かぶノイズに脇へと落ちたノイズは再び浮上し始めて攻撃する様子はない。
何処かおかしいと思い奏を見て、視線の先を追う。
その先には既に目と鼻の先に山を通過する為に作られたトンネルがあり、大きな口を開けているが、天井すれすれに作られたトンネルは今立っている場所までゆうに飲み込む程のスペースなどなく、このままだと激突してしまう。
「うわぁぁ!」
「響!クリスを任せたぞ!」
叫びを上げる響と冷静な奏。奏は響にクリスの事を頼むと、槍で列車の天井部に裂け目を入れるとそれを踏み抜いて、一両全体の天井を破り、列車内に押し込んだ。
それと同時に間一髪三人は列車の中に落ちる事でトンネルへの激突を回避する事が出来た。
「危ねぇだろ!やるなら事前に言えよ!」
クリスは突然の事に響に抱えられながら奏に文句を言う。
「気付いたのがさっきなんだから仕方ないだろ?まあ三人ともトンネルにぶつからずに済んだんだし、結果オーライだろ」
「そうだよ!クリスちゃん!全員トンネルに叩きつけられるなんて事があったら大変だったよ。あんな速さでぶつかったらシンフォギアを纏っててもぺしゃんこになっちゃうよ」
「そうだけどよぉ…まあ、助かった…あんがと」
響から下されながら、奏の機転がなければ三人ともトンネルに激突している未来を想像して少し言い過ぎたと思い、奏に礼を述べる。
「でも、このままトンネルを抜けるまでノイズとの戦闘が出来ないと厄介だな…どうせあのデカブツが先頭で来てるはずだし、あいつに攻撃が効かない以上どうするかな?」
「確かに、こんな狭い場所じゃ向こうの方が有利だ。あいつ等物体をすり抜ける事が出来るし、どうすればいいのやら…」
奏もクリスも現状では上手く立ち回れない事を嘆きつつもどうやってノイズ達を倒すか方法を模索する。
「はいはい!私に良い方法があります!」
響が勢いよく手を挙げて奏とクリスに発言権を求める。
「何か良い方法でも思いついたのか?」
「ふふん!こういう時は列車の連結部を壊してノイズ達にぶつけるっていうのはどうでしょう?」
「おー!それはナイスアイデアだ!響!」
「馬鹿か!?さっきも言った様にノイズは物体をすり抜けるんだぞ!?そんな相手に列車をぶつけたってなんの意味もないだろ!?話聞いてたのか!?」
クリスは突拍子のない響の案に叫ばずにはいられなかった。
「私は良い案だと思うんだけど…」
奏も響の作戦に賛成の様でクリスはその事に私がおかしいのかと自身の考えを疑い始める。
「まあまあ、クリス。落ち着いて響の案を最後まで聞こう。響もそんな事は百も承知で案を出したんだ。それ以上の成果を出すに決まってるだろ?」
奏はクリスを落ち着かせながら響に聞く。
「もちろんです!師匠から借りた戦術マニュアルでもこういう時はそうやってましたから!それに勿論!ノイズがすり抜けるなんて百も承知です!その後が大事なんです!」
「結局おっさんのおもしろ映画じゃねぇか!」
クリスはそれについて激昂するが奏に宥められ落ち着き、響に問う。
「で、その後がどう大事なんだ?」
「それはね...」
クリスと奏に響は自分が出した考えを擬音も交えて説明する。だが、そのせいでクリスにとってはさっぱりと理解が出来なかった。
「お前…私にはその説明じゃどんな事をしようとしてるのか分かんねぇだろ…」
「えぇ!?そんな!?奏さんは分かりましたよね!?」
「あぁ、響がやろうとしている事はしっかりと分かったぞ」
「なんであんな説明で理解出来るんだよ…私がおかしいのか…」
クリス以外に伝わる響の説明に本当に自分だけがおかしいんではないかと本当に思い悩み始めてしまう。
「まあまあ、クリスも悩んでないでとりあえず響の案に乗ってみればいいじゃん。それがノイズを片付けるのに丁度いい戦法だし、一網打尽に出来る可能性があるんだから」
奏はクリスの頭にポンと手を当てて、槍を担いだ。
「任せて下さい!とにかく、急いで列車の連結部を壊しましょう!後は私と奏さんがそれに合わせてデカイのをお見舞いしてやりましょう!」
そして三人は一番後部の車両へと向かい、連結部を破壊する。
「本当に大丈夫なのかよ?」
クリスは二人に聞く。
「まあなる様になるさ」
「大丈夫だよ!師匠と私の見る映画の人も言ってたんだ!考えてばかりでは何一つ成し遂げられない!だったら思い立ったが即行動!そうすれば道は開かれる、ってね!」
「結局おっさんのおもしろ映画じゃねぇか…」
「なんか台詞が色々と混じって違う気がするけど、まあいいか。とりあえず自信があるなら良い事じゃないか。やらないで後悔するよりもやって後悔だろ?まあ私と響がなんとかしてやるからクリスは成功でも祈っててくれよ」
奏はそう言って、響と共に迫りくるノイズに向けて後部車両をノイズへと向けて蹴り飛ばす。
そしてレールに沿ってノイズへと向かう後部車両。
「はあ、まあいい。あんた等を信じるぞ」
そして護送列車は長いトンネルを抜ける。
それと共に響と奏が、列車から飛び降りるとトンネルの前で待機する。
「奏さん!」
「任せとけ!」
響が奏を呼ぶと共に奏は槍を前に構える。
すると槍の穂先が巨大化し、トンネルと同等の大きな槍へと変わる。そして奏が持つ柄の部分は地面に固定する様に前後に四本の支える為の脚が出現すると地面へと突き刺さる。更に石突きが巨大化して円盤の様な形へと変化する。
「響!タイミングは任せるぞ!」
「合点承知です!」
響も奏に合わせて自身のアームドギアに巨大な羽の様なものを生やし、そして杭打ちのような機構が現れた。
そして切り離した後部車両をすり抜けて現れるノイズの群れ。その先頭には先程の鎧の様なものを纏うノイズが見える。
「いっけぇ!」
その瞬間に奏と響が吼えた。
それと同時に響は奏の支える槍の石突きを力の限り、思いっきり殴りつける。
殴りつけると共に合わせる様に杭打ちも下され、更なる力を拳に伝えて、石突きへと叩きつける。
石突きは崩れ去るが、その威力は槍全体へと伝わり、威力をそのままに奏が出現させた槍がノイズへと向けて撃ち出される。
高速を超え亜音速の一撃は車両から飛び出したノイズを捉える。ぶつかり合う鎧と槍。だが、亜音速まで加速した槍は更に威力を上げる様に砕けた石突きを切り離し、ブースターを出現させると貫き倒さんとばかりに爆発を撒き散らした。
拮抗などせずに亜音速の槍は鎧を砕き、更に巻き起こす爆発が周囲にいた全てのノイズを巻き込んだ。
トンネル内で崩落する程の爆発。
その威力は絶大でトンネルを塞ぐ瓦礫の山のみが残され、ノイズ達はそこから現れる事はなかった。
「やりましたよ!奏さん!」
「よくやった、響!」
二人はハイタッチを交わす。
クリスはそんな様子を見て驚愕以外の言葉が見当たらない。
ついこの前までようやく動ける様になった奏。そして異常な成長力を見せる響。この二人の持つ聖遺物の力なのだろうか。
あまりの事態にクリスはただ二人を眺める事しか出来なかった。
◇◇◇◇◇◇
「ふむ、この国の装者はこれほどまでに成長していたか…」
山頂にて護送列車に乗った装者達を眺める様に双眼鏡で見るアッシュボルトはそう呟いた。
「だが、それでも目的に支障はない。あるとすれば貴様の存在なのだが…貴様は出てこなかったか…日本政府に未だ匿われているのか?」
アッシュボルトはガンヴォルトの姿が見えない事に少し残念そうにそう言うが、焦りの表情は全く見られない。
「まあいい、ソロモンの杖の効果はどれほどの物かは確認出来た。後はあれの起動をする事さえ出来ればどうでもいい。そして貴様の持つ
そう言ってアッシュボルトはその場から去る。
その手には日本政府が回収して現在目の前を通り過ぎた護送列車にあるはずの。一つしか存在するはずのないソロモンの杖を握りしめて。
「手始めにDr.ウェルを米軍基地より回収する。精巧な
そう呟くとアッシュボルトは未だ深い闇が支配する森の中へと消えて行った。