選ばれし英雄と悪魔の娘 with極東の魔法使い達 作:Quick
後半からは、日本にいるある魔法使いの話です。
魔法戦争が終結し、ヴォルデモートについた名家は次々と没落していく中、マルフォイ家は健在だった。
司法取引やコネクションを活用した根回しで、どうにか没落せずに魔法界の表舞台へ帰って来たのである。
しかし、仮にも闇の帝王の側近として活動をしていたルシウス・マルフォイに対する厳しい視線を緩めなかった者達もいた。
そんな雑音を気にもとめないルシウスでも、弱いものがある。
それは、2人の愛する子だ。
大切なマルフォイ家の跡取りとなるドラコ。
そして、最愛の娘であるカリーナである。
普段は名家というプライドと共に威厳を見せるマルフォイ家も、家で4人で過ごすときは庶民と変わらない幸せな家族のように見えた。
だが、マルフォイ家には最大の秘密がある。
カリーナの正体である。
カリーナの父親はあの闇の帝王ヴォルデモート、母親はアリエス・ブラックだ。
つまり、ナルシッサから見ると、カリーナは姪に当たる。
そんなカリーナはアリエスやヴォルデモートに万が一何かあった場合、マルフォイ家の養子となるという契約を交わされていた。
そんなカリーナをナルシッサは実の娘の様に可愛がり、ルシウス自身も自分の娘として育てることを決断した。
ところで、アリエスはどうなったかというと、
ピーター・ペテグリューを主人を破滅に追い込んだとして粛清しようと試みたのだが、ペテグリューが自爆したのだ。
無関係のマグル13人を道連れにして。
アリエスは大きな傷を負い、聖マンゴに入院。
闇祓いが監視する中、アリエスの治療が続いたのだが、数日後に亡くなった。
そして、アリエスのもう1人の娘、ライラは未だに消息不明。
ナルシッサは悲しみに暮れた。
最愛の姉を失い、その姪の1人は未だ行方知れず。
だが、そんな暇はなかった。
最愛の息子、そして、姉の忘れ形見であるカリーナを守るため、夫を待ち、そして、自身の家族がバラバラにならないために・・・
彼女は気丈に振る舞い、夫を立てた。
そして、2人の子供に愛情を注いでいた。
「・・・」
ナルシッサは、ドラコとカリーナが部屋で遊んでいるのを見守っていた。
例えどんなことがあっても、2人を必ず守ると・・・
「!?
どうしたのカリーナ!?」
カリーナが転んで泣き出し、ナルシッサは直ぐに駆け寄りあやしている。
この様子を見る限り、本当に何処にでもいる幸せな家族にしか見えない。
これからもそうであって欲しいと、ナルシッサは祈っていた。
「・・・」
イギリスから遠く離れた日本。
アルデバラン・ブラック、今は高島アルと名乗る魔法使いは、あのイギリス魔法界の出来事に考えていた。
(確かに、ヴォルデモートは姿を消した以上、戦いは終わったと考えていいだろう。
だが、遺体は未だに見つかっていない。
1人の赤ん坊にやられたといっても、幾らなんでもあの男を消すほどの魔力を持っているのか?
・・・
やはり、まだこの戦争は完全に終わったとは言えない。
今後、何かしらの波乱は起きるはずだ・・・)
高島アル。
ウィング・ブラックの2番目の兄で、ホグワーツではスリザリンの秀才として、同学年のルシウス・マルフォイと双璧を成す程の実力の持ち主だった。
ミコト・ブラックの子供の中では唯一純血主義の思想を持っていたが、マグルに関しては完全排除という思想を持ってなく、純血を如何に増やせばいいのかという考えであった。
マグルを一気に排除したら、純血の状況次第では純血どころか魔法界が破滅しかねないという考えもあったからだ。
それでも、親友であるルシウスとは考えが違えど、純血を今後如何に発展させるべきかを長年討論している。
また、魔法戦争後のルシウスの裁判でも弁護をし、無罪への協力もしている。
ホグワーツに留学していた日本の名家の魔女と卒業後に結婚し婿入り。現在は日本の魔法大学校で講師を務めている。
(日本の魔法界に影響は少ないとはいえ、その赤ん坊は確かウィングの妻の甥に当たる・・・
大丈夫なのかウィング・・・)
難しい表情をしながら書斎で考えていると、
「あなた、どうなさいました?」
妻である高島まゆみが声をかける。
「ああ、ちょっと考え事をな」
「コーヒーが入りましたよ。
あなた、イギリスのことを心配しているようですけど」
「あ、ああ…
子供達がホグワーツに行く可能性があるからな」
「ですけど、ヴォルデモートは倒されたと聞きますし、心配はないでは?」
「確かにそうだが…
いや、何でもなんでもない」
「貴方はいつも心配性なのですから。
大丈夫ですよ。きっと、あの子達がすくすくと成長する間に、イギリス魔法界は元の良い世界に戻るはずです」
「ああ、そうだな」
遠い世界の出来事であまり実感の湧かないまゆみに対し、アルはイギリスの行く末の事で憂いていた。
どうしても、この戦いは完全に終わってないとではないかという疑念に。
続く
闇陣営側だったマルフォイと、日本にいる1人の魔法使い視点の話でした。
次回は、ハリー達の日常を書ければと思います。