Fate/WizarDragonknight   作:カラス レヴィナ

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三章初期__二章で大活躍したし、三章は友奈はお休みでしょ
今_____友奈出番増えたなぁ


”エガオノキミへ”

 友奈の拳と、美森の銃。

 かつての世界で交わることがなかったのは、仲間たちが代わりに美森と戦ったからに他ならない。

 今、この世界に、あの時の仲間たちはいない。

 だから今。

 

「東郷さあああああああああん!」

「友奈ちゃああああああああん!」

 

 美森と美森の間に立つ者はいない。

 美森の銃撃を拳で弾きながら、友奈は接近する。

 

「……っ!」

 

 友奈は唇を噛みながら、友奈へ拳を放つ。

 だが、美森は長い銃でその軌道を反らす。非常に頑丈な作りで長い銃身を誇るそれを、彼女は近距離では棒型の武器として使用しており、友奈に対抗する。

 

「っ!」

 

 固い銃身に防がれ、友奈は攻めあぐねる。

 しかも、反動でのけ反った瞬間を狙って、美森は銃撃で狙ってくる。

 リーチが長い分、友奈は徐々に追い詰められていった。

 

「くうっ!」

「友奈ちゃん! これは、私の想いの強さ! 友奈ちゃんを、これ以上戦わせない!」

 

 友奈が防いだ長い銃。美森はそれをテコのように動かし、銃口を友奈の顔に向ける。

 

「!」

 

 友奈が咄嗟に屈む。一瞬でも遅ければ、額に穴が開いていた。

 

「どうして友奈ちゃんは、この世界でも戦わなくちゃいけないの!? この世界は、私達の世界じゃないじゃない! 神樹様の世界でも、私がいない世界でもいい、友奈ちゃんは、平和に暮らしてよ! どうして自分で自分を苦しめる生き方をするの!?」

 

 棒術のように日本の長銃を振り回しながら、発砲を続ける美森。友奈は手のひらで受け流し、ステップで少しずつ離れていく。

 

「これが私の生き方だよ、東郷さん! 例え何回生まれ変わっても、例えどれだけ苦しんでも、私は生きている人みんなを守る! そのために私は生きているんだよ!」

 

 刹那、避け切れない銃弾が飛んできた。

 友奈は迷わず手を伸ばし、銃弾を掴む。右腕に走った痛みとともに、銃弾が手のひらに収まった。

 

「勇者だから? 御役目だから!? そんなのいらない! 友奈ちゃんが苦しむ必要なんてない! 友奈ちゃんが戦い続けるなら、私も何回だって、勇者システムを壊してやる!」

 

 美森はそう言いながら、体を回転させる。乱発射されたそれは、友奈ごとムー大陸の遺跡を射撃していく。

 友奈はたまらず、走りながらそれらを回避。その足元には、次々と銃弾が埋め込まれていく。壁の裏側に隠れたと同時に、壁に無数の弾丸が刻まれる。

 

「はあ、はあ……」

 

 友奈は息を切らせ、膝を折る。

 その時。青い光が、視界の端に発せられた。

 

「友奈ちゃん……私は、絶対に友奈ちゃんの戦いを終わらせる!」

 

 その美森の姿は、まさに方舟だった。

 巨大な白い船が台座となり、その周囲には巨大な砲台が備え付けられている。彼女の背後には金の輪が日輪のように美森を飾り、友奈を見下ろしている。

 服も白を基調とした和服となっており、大和撫子の権化であった。

 

「だから……だから私に負けてよ!」

 

 無数の砲台が一斉に友奈へ向けられる。青い光線が同時に発射され、ムーの遺跡を壊していく。

 だが、友奈は止まることなく、美森の周囲を走る。

 

「ダメだよ……東郷さん、何回言われても、何度止められても! 私は、止まらない!」

「また生き地獄の中に囚われるの!? 私がいない、地獄でも……!?」

 

 その言葉に、友奈は唇を噛む。

 その隙を、じっと友奈を見つめる美森が見逃すはずがなかった。

 友奈の足元を徹底的に砲撃し、その体を吹き飛ばす。

 

「うわっ!」

 

 数回地面をバウンドし、友奈の体はムーの地に投げ出される。

 変身が解除され、全くの生身となった友奈。その傍らには、妖精である牛鬼も投げ出される。

 

「牛鬼……ゲホッゲホッ……」

 

 出てくる血塊。ボロボロになった生身の体。

クラクラする頭を抑えながら、友奈は言葉を紡ぐ。

 

「地獄……うん……多分、この世界は、私達の世界と同じくらいの地獄だよ……」

「友奈ちゃん……そうでしょ? だったら、ここで私と一緒にいよう? ずっとずっと……そうすれば、もう友奈ちゃんも苦しまずに済むから」

「でもっ!」

 

 友奈は、大声を上げながら美森を見上げる。

 友奈の視線の先の美森は、少し驚いたように後ずさった。

 

「何も知らない人たちが、怪物になった! 私は何もできなかった! 友達になった人を救えなかった!」

「それは、友奈ちゃんのせいじゃない! 友奈ちゃんは悪くない……!」

 

 美森は、ため息とともに首を振った。

 

「なら、もう友奈ちゃん、少しだけ痛い思いをしてもらうしかない……だから、もう戦いを止めて!」

 

 美森はそう叫んで、散弾を放つ。

 雨のように降り注ぎ、友奈を襲う無数の銃弾。だが、もう友奈は止まらない。

 

「もう嫌なんだ……誰かが傷つくこと、辛い思いをすること……」

 

 友奈は生身のまま走り出す。

 いつしか、友奈の背後には、銀の巨大な両腕の装置が現れていた。それは四方八方の銃弾を防ぐ傘となり。

生身のままの右腕の拳を、正面から襲ってきた銃弾に放つ。

 そして。

 桃色の閃光とともに、左腕が白とピンクの物へ変化する。

 

「皆がそんな思いをするくらいなら! また誰かが、こんな苦しみを味わうくらいなら! こんな痛みを、これ以上繰り返すくらいなら!」

 

 友奈は、さらに銃弾を蹴り落とす。それに使われた両足もまた、白とピンクの衣服になっていく。

 

「私がッ! 頑張るッ!」

 

 そのままジャンプ。銃弾の雨をかいくぐり、一気に美森との距離を詰める。

 そして。

 

「満開! 勇者アアアアア、パアアアアンチ!」

 

 最後に変身した右腕、胴体と同時に、白い武装もまた拳を放つ。

 それは、とっさに出された美森の光線と相殺され、爆発を引き起こす。

 

「友奈ちゃん……」

 

 そして。

 友奈の全身を、無数の花びらが覆いつくす。

 舞い散る花びらの中、満開___鋼の拳を持つ機械を纏った友奈は、しっかりと美森を見ていた。

 

「たとえ地獄でも、私は、勇者でい続ける! 今までも、これからも!」

 

 銀色に輝いた花が、ムーの闇を彩る。

 

 

 

 方舟と鋼の剛腕が激突する。

 そのまま、二つの神の御使いは、戦いを繰り広げる。

 遺跡を破壊しながら、それらは互いを狙う。

 美森の光線が乱れ打ちされ、貴重な遺跡を次々と砕いていく。爆炎を突き抜け、友奈は美森の前に躍り出た。

 

「千回連続! 勇者パンチ!」

 

 友奈の拳より放たれる、超高速連打。目にも止まらぬ速さの連撃だが、それに対して美森は、焦ることなく友奈の一撃一撃を打ち落としていく。

 

「……!」

「見えてるよ。友奈ちゃん!」

 

 美森は目を鋭く告げる。

 

「友奈ちゃんの動きも、呼吸も、体温も、脈拍も心臓も瞳孔も何もかも! そんな友奈ちゃんが、私に勝てるわけがないんだよ!」

 

 美森の方舟が唸り声を上げた。全ての銃口が友奈へ向けられる。

 

「だから、私に負けてよ! 私と一緒に、このムー大陸で暮らそうよ!」

 

 友奈の拳が千発なら、美森の発射もまた千発。拳一つ一つと打ち消し合い、消滅していく。

 

「友奈ちゃんが笑顔になってよ! 誰かのために戦うんじゃなくて、君は笑顔になってよ!」

「できない……できないよ!」

 

 友奈は跳び上がる。機械の剛腕が齎す起動力が、さらに続く美森の攻撃からの退避を可能とした。

 だが、それをみすみす逃す美森ではない。方舟が轟音とともに、動きを表していく。

 

「また誰かのため!? 友奈ちゃんは、少しは自分のことを考えてよ!」

 

 美森の方舟より、無数の光線が発射される。動き回る友奈を狙って、縦横無尽に好戦が発射される。

 これ以上は避けられない。友奈はムーの天井を蹴って、一気に美森との距離を詰める。

 だが、美森も咄嗟に長銃を向ける。友奈の拳とタイミング相まって、それぞれの武器が横に反らされ、体と体がぶつかる。

 

「っ!」

 

 方舟の甲板で転がる友奈。さらに、美森は追い打ちとばかりに、両手の銃で狙ってくる。

 

「させない!」

 

 友奈は体を大きく傾けて、美森との距離を保ちながら避ける。そして、一気に甲板を蹴り。

 

「満開! 勇者パンチ!」

 

 友奈自身と、備え付けられた剛腕。その両方の拳が、美森の銃を砕き。

 その体を貫いた。

 

「……っ!」

 

 痛みで歪んだ美森の顔。

 背けたい。決して背けてはならない。

 もたれかかる美森を、友奈は抱き留めた。

 

「友奈ちゃん……!」

「東郷さん!」

 

 美森の顔が近くになる。彼女の顔に、涙が走った跡が残っていた。

 

「私は、何度でも! 生き死にを繰り返しても! 東郷さんも、どこかの誰かも! 助けるために! ……でも……っ!」

 

 桜が、吹雪となる。

 

「どれだけ傷ついても、私は東郷さんのことを、置いて行ったりしないよ! この世界に来てからも、東郷さんのことを忘れたことなんてない!」

「嘘……嘘っ……!」

 

 頬の後には、さらに川が流れる。

 

「私を置いていったくせに……! 友奈ちゃんだけは、どこにもいなかったくせに……!」

「……」

 

 美森が破壊した粉塵たちは、やがて高度を下げていく。友奈たちがいる美森の方舟には、軌道音の他、彼女の嗚咽だけしか聞こえなかった。

 

「なんで……なんで……なんで一緒にいてくれないの……!? 私が……」

 

 美森は、友奈の胸元に顔を埋める。彼女の鼓動___それが自身の記憶の再現でも、本物と寸分変わらない___が伝わってくる。

 

「私が、壊しちゃったから!? 四国を……みんなの世界を……!」

「……」

 

 その言葉に、口を閉ざした友奈。数秒固まった友奈は、そのまま美森を抱きしめた。

 

「違うよ。あの時……神樹様の結界が壊れて、バーテックスがやってきて、何もかもが終わったとき、願っちゃったんだよ。私……」

 

 友奈は天を仰いだ。ムー大陸の遺跡、その暗い天井。その遥か先にある空を。

 四国にいた時と、何一つ変わらない空を。

 

「また、皆で……樹ちゃん、風先輩、夏凛ちゃんと……東郷さんと、一緒にいられたらなって」

「願った……?」

「そしたら、気付いたら、こっちの世界にいて……何か、変な願いを叶えるための戦いに参加させられちゃって……。でもさ」

 

 友奈は美森を抱いていた手を放す。肩を掴みながら、静かに拳を開け閉めする。

 

「この世界……私達の世界と同じで、何も知らない人たちが、あり得ない危険に晒されて。それで、勇者の力はあったから、誰かを守れる。……守り続けられる。でもね」

 

 友奈は改めて、美森の体を抱擁する。徐々に体の輪郭がぼやけていくが、その中で彼女は確かに友奈にしがみついていた。

 

「大丈夫。もう、置いて行かないから」

「友奈ちゃん……」

「私もすぐにそっちに行くから。だから、風先輩に樹ちゃん、夏凛ちゃんにも伝えておいて」

「いや……」

「大丈夫。またこうして隣同士いられたんだから。私、本当はとっても嬉しかったんだよ? だから、きっと大丈夫。私も、少ししたら、もう離さないから」

「友奈……ちゃん……」

 

 すでに美森の顔は、涙でぐちゃぐちゃになっていた。大和撫子と呼ばれていた彼女は、もう面影のない、ただの女の子だった。

 やがて、美森の姿は、粉々になっていく。水に溶ける塩のように、徐々に影が薄くなっていく。

 

「東郷さん。少しだけ。少しだけ、待ってて」

「友奈ちゃん……うん。待ってるから……もう二度と……置いて行かないで」

 

 その言葉を最後に、美森の姿は消えていった。

 方舟もともに消滅し、友奈は空中からムーの地表に着地。

 立ち上がり、変身を解除。

 嗅覚のなくなった鼻を擦り、静かに呟いた。

 

「うん。ずっと一緒だよ。約束する。だから……待っててね」




マーメイド「はあ……はあ……」さやか
さやか「あの化け物たち、まだ出てくるの……? もう勘弁してよ……」
ムーの怪物たち「ぶらああああああああああ!」
さやか「っ……! 正義の味方って、姿じゃないと思うんだけどなあ、今のあたし!」マーメイド
マーメイド「チェストおおおおお!」
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