Fate/WizarDragonknight   作:カラス レヴィナ

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プロットだと半分しか進めていないのに、もう五千字に……ストーリーに関係ない話なのに……


流される……時代の流れに……

「ん……」

 

 ハルトの目覚ましは、朝日だった。

 ダークカブトとの戦闘より一夜明けた朝。全身が訴える疲労感を抑えながら、ハルトは部屋のドアを開ける。

 

「やあ。おはよう」

 

 目をこするハルトへの挨拶をしたのは、ラビットハウス店主のタカヒロだった。

 

「あ、おおはようございます。タカヒロさん」

 

 顔を努めてシャキッとしなおし、タカヒロに頭を下げた。

 夜勤明けだというのに、タカヒロは疲れ一つ見せずに、にこやかな表情を見せる。

 

「今日はラビットハウスは休日だ。君は何かすることはあるのかい?」

「え?」

 

 そう言われて、ハルトは今日が週に一度のラビットハウスの休日だと思い出した。

 

「そっか……今日、休みなんだ……」

「おや。ここに来てからしばらく経つと言うのに、休みの日を忘れてしまうのかい?」

「あはは……まあ、予定という予定はありませんけど……」

「何も後ろめたさを感じる必要はない。君は今、立派にここの従業員として働いているよ。休みを得るのは当然の権利だ」

「あ、ありがとうございます。……と言っても……」

 

 ハルトは頬をかく。

 

「ハルト君は、休みはどうしているのかい?」

「今のところ、見滝原のどこかで大道芸ですけど。今日はどこでやろうかな……?」

「それなら、見滝原公園の噴水広場はどうだろう? あそこなら人も集まるだろう」

「公園か……はい。ありがとうございます」

「頑張ってくれ」

 

 タカヒロはサムズアップをして自室に戻っていった。

 予定が決まったハルトは、そのまま一回のリビングルームへ入る。

 

「あ、おはよう」

「おはようございます」

「おはよー」

 

 すでにテーブルには、先客がいた。

 それぞれ学校の制服に着替え終えているココアとチノがいた。

 チノは黙々とフレンチトーストを食しており、その隣ではトーストを口に加えながらココアがウトウトとしている。

 

「あれ? ココアちゃん起きてる?」

「おひてふひょー」

「なんて?」

「多分、起きてるよだと思いますよ」

 

 チノが咀嚼のスピードを緩めずに答えた。

 まるでココア翻訳機だなと思いながら、ハルトは皿にトーストを乗せて座る。

 

「チノちゃんたちは、今日は学校?」

「はい。ラビットハウスの休日といっても、平日ですから」

「学生は大変だね。勉強とか色々あるでしょ?」

「はい……ココアさん。起きてください」

 

 チノはココアの袖を引っ張る。ココアの顔がクラクラと揺れるが、彼女の変化は口に挟まったパンが皿に落ちただけだった。

 

「おひてふひょー」

 

 通訳すると、起きてるよ。そんな説得力皆無なココアを、チノが懸命に揺らしている。

 やがて大きな欠伸をするココアを見て、「はあ。ココアさんはいつまでもココアさんですね」と呆れながら、両手でコップの牛乳を口に運ぶ。小動物のような動きを目で追っていると、チノが「何です?」とジト目で見てくる。

 

「いや。なんか、本当に姉妹みたいだなって」

「!」

 

 軽く言った言葉が、ココアの目をキラキラに輝かせる。

 

「チノちゃん! 聞いた? ハルトさんが、私たちのこと姉妹みたいだって!」

「ココアさん! 引っ付かないで早く朝ごはん食べてください」

「チノちゃ~ん」

 

 ものすごい勢いでチノに抱きつくココア。ハルトがそれを眺めていると、いつの間にか朝食が胃袋の中に収まっていた。

 

「おやおや」

 

 じゃれ合っている二人を横目に、ハルトはそのまま食器を片付ける。

 

「あれ? そういえば可奈美ちゃんは?」

 

 ハルトの問いに、チノがココアに抵抗しながら答えた。

 

「もう出ていきましたよ。可奈美さんはいつも朝六時には出ていますから……ココアさん、抱きつくより先に顔洗ってください」

「え? 大丈夫だよ。ね、ハルトさん。まだ時間あるよね?」

「えっと……ココアちゃんの学校って、確か八時半にスタートだよね?」

「うん」

 

 今日も昨日も明日も眩しい柔らかい笑顔で、ココアが頷いた。

 ハルトは続ける。

 

「で、ここから大体歩いて三十分だっけ?」

「そうだよ?」

「今八時十分だけど」

 

 ココアの笑顔が固まった。まるで彫刻のように固い表情は、だんだん青ざめていく。

 やがて。

 

「ヴェアアアアアアアア‼」

 

 卒倒した。

 顔文字にすると0言0って感じかなと思いながら、ハルトは「急いでね」と、二人の食器も回収したのだった。

 

 

 

「もう……! チノちゃん!」

 

 ラビットハウスの玄関には、まどかが迎えに来ていた。

 チノと同じ見滝原中学の制服を着た彼女は、その場で足踏みしており、そのまま走り出そうとしていた。

 

「あ、ハルトさん。おはようございます」

「まどかちゃん。おはよう。……大丈夫? 時間」

「遅刻ギリギリです。というか、もう遅刻です」

 

 まどかが少しふくれている。そこへ、ハルトの背後から準備を終えたココアとチノがやってきた。

 

「ごめんなさいまどかさん。遅れました」

「うえええええん! ごめんねチノちゃんまどかちゃん!」

 

 両手で目を覆いながら、ココアと肩がぶつかる。バランスを崩したハルトは、そのまままどかと頭をぶつけた。

 

「痛っ!」

「きゃっ!」

 

 哀れ、まどかの手にあった鞄は、その際に投げ飛ばされ、チノの顔面に見事命中。

 

「ガッ」

 

 可能な限り頭に乗せておきたかったアンゴラウサギ、ティッピーはそのまま……

 

『流される……時代の波に……』

 

 謎の渋い声を発しながら、川に流されていく。

 

「「「「ティッピー⁉」」」」

 

 ティッピーは、どんどん下流の方へ小さくなっていった。

 

 

 

 遅刻確定した三人と別れたハルトは、引き揚げたティッピーを胸に抱いた。

 

「さてと。今日は公園で大道芸をしようと思っているんだけど」

 

 タカヒロに紹介された公園の入り口に設置されているベンチで、ハルトはティッピーを見下ろした。

 

「お前、大道芸のアシスタントとかできるか?」

 

 アンゴラウサギの頭を撫でても、この毛玉はこちらをつぶらな瞳で見返すだけだった。

 

「まあ、出来ないよね」

 

 ハルトは微笑し、ティッピーをチノのように頭上に乗せてみる。だが、意外とバランスが取れず、ティッピーは頭上から零れ落ちた。

 

「チノちゃんってもしかして、バランス感覚最高か?」

 

 ハルトは胸に抱えたまま、公園の中心の噴水広場へ移動した。

 

 

 

「ふう。ここでいいかな」

 

 ハルトの見滝原での生活が始まってからしばらく経った。秋も過ぎ、冬を迎える準備として、まず木々が赤く染まり上がっている。

 落ち葉が水面を漂うのを見下ろしながら、ハルトは呟いた。

 

「噴水か……今時噴水があるなんて珍しいよね」

 

 ハルトがバイクを止めたその場所は、見滝原の繁華街の中心地だった。クリスマスにはツリーが噴水の中央に飾られるとココアから聞いたそこで、ハルトは荷物を取り出した。

 

「さってと。久しぶりにやりますか」

 

 準備完了。ハルトはシルクハットを被り、咳払いをした。

 お金入れを置いたところで、ハルトはティッピーに語り掛ける。

 

「そういえばここ、水場だけど、お前は濡れたらしぼんだりするの?」

 

 ティッピーは怯えたように、全身を震わせる。

 

「冗談だよ、そんなことしないから。ま、バックの近くにいてよ」

 

 するとティッピーは言葉を理解したのか、空っぽのバックに収まる。

 もしかして、言葉通じているんじゃないと思いながら、ハルトは通行人たちへ向き直った。

 

 

「さあさあ皆さんご注目!」

 

 平日の昼間ということで、観客はそれほど多くない。サボっている外回りのサラリーマンや、買い物帰りの主婦、授業がない大学生、

 興味ありげな視線を送ってくる立花響だった。

 

「って君はこの間の……たしか、響ちゃん⁉」

「あ、どうも!」

 

 一瞬顔を忘れたハルトは、元気に挨拶をしてくる彼女に唖然とする。

 先日会った時とは違い、ラフな黄色い服装の彼女は、ジロジロと並べられた物々を見物している。

 

「へえ。ねえ、これから何かやるの?」

「ああ。今から大道芸をやるところ。響ちゃんはどうしてここに?」

 

 前回会った時、高校生くらいだと思っていたが、学校はないのだろうか。その疑問をぶつけると、彼女は「私、今フリーターで、コウスケさんの研究を手伝っているだけだよ」と答えた。

 

「いやあ、コウスケさんが『今日はお休みでいいからな。オレは大学に行かなきゃなんねえし』って言ってたから、暇で暇でしょうがないんだよね。ねえ、良かったら手伝うよ?」

「ん? ホントに? 助かる……いや、ちょっと待って」

 

 ハルトは準備の手を止めた。

 

「今日はせっかくの休日なんでしょ? なら、響ちゃんがやりたいことすればいいんじゃない?」

「え? でも私とくにやりたいこと……あ、ご飯食べたい!」

「うん、ファミレスに行きなさい」

「ええ……潮対応……私、呪われているかも」

「なぜそこまでダメージ受ける? ……ねえ、手伝わせるのはちょっと抵抗あるから、見ていかない? あ、あとついでにティッピー預かってて」

 

 ハルトは響に、ティッピーが入ったバックを渡した。響はしばらくティッピーを撫でていたが、ハルトが咳払いをすると、こちらに向き直った。

 

「はい。それでは皆さん。ただいまより、わたくし松菜ハルトによるショーを開演します!」

 

 響の他には、数名の人が足を止めた。

 

「それではご覧ください。まずは、この水晶玉」

 

 ハルトは、手のひらサイズのガラス玉を取り出した。

 

「私はこれより、この玉を動かします。簡単なものですが、取り落とさずにパフォーマンスを成功いたしましたら、どうか拍手をお願いいたします!」

 

 ハルトは、水晶玉を中心に両手を動かした。まるで胸元に浮かんでいるように見せているものだが、その実は指で支えている。だが、それを高速で入れ替えることで、浮かんでいるように見せているのだった。

 理屈は初見で分かっても、簡単に真似できるものではない。物珍しさから、少しずつ人が集まっていく。

 

「すごいハルトさん! どうやっているの⁉」

 

 響はネタが分からないようだった。

 

「はい、次の芸をお店します!」

 

 粗方終わらせたハルトは、水晶玉をしまって、ハンカチを取り出す。何もないところからリンカーネーションを取り出し、一部の観客がどっと沸く。

 

「何よ、その程度!」

 

 その時。水を差す声が聞こえた。

 

「それ程度の芸なんて、大したことないわ!」

「おい、止めろよ! 邪魔するなよ!」

 

 甲高い女性の声が、ハルトのパフォーマンスを止めた。

 群衆が分かれ、その正体が明らかになる。

 

「そんなものより、もっとすごいものを見せてあげるわよ!」

「おい、よせって!」

 

 見事な青い髪の女性が、こちらに自信満々な顔を向けていた。彼女の隣には、緑のジャージを着た少年が連れとこちらを見比べている。

 

「ああ……すんません、すんません! ウチの連れが、ほんっとうにすんません! おい、お前も謝れって!」

「アンタは黙ってて! この程度のレベルの芸なんて、この私に喧嘩を売っているようなものよ!」

 

 そのままパフォーマンス執行妨害の女性は、大股でこちらに歩いてくる。響を押し分けて、

 

「皆さん。この女神たる私が、真の芸ってものを見せてあげるわ!」

 

 何を言っても止まらないな、とあきらめたハルトは、噴水の前を彼女に譲る。どや顔を浮かべた自称女神は、

 

「いよっ! 花鳥風月~!」

 

 両手、右足(どうやったのかは不明)に持った扇子より、小さな噴水を引き出させた。

 

「……へ?」

「うわあ!」

 

 響が目をキラキラさせて、自称女神の芸に拍手を送っている。

 それだけでは終わらない。彼女はそのまま動いて見せた。

 様々なポーズを取り直し、右足に持っていた扇子を蹴り上げて頭上でキャッチ。再び扇子から噴水が湧く。

 と思ったら、今度はハルトを扇子で指した。

 すると、ハルトの頭上からどこからか扇子が置かれた。

 

「え? これどこから?」

 

 ハルトも理解できぬ間に、その扇子から水が噴き出す。

 

「んな⁉」

「どう? 理解できないでしょ? これが本当の芸ってやつよ」

 

 天狗になった自称女神は、ハルトをどや顔で見下ろした。

 

「アンタの、そんな陳腐なものじゃ、芸って呼べないのよ。もっと女神たる私のように人知の外の技術を身に着けて出直してきなさいな」

「……どこの誰かは知らないけど」

 

 大道芸は副業。本業はファントム退治の魔法使い。

 それでも、プライドを傷つけられたハルトは、少し燃えていた。

 

「それは俺に対する挑戦状ってことでいいんだよね?」

「ええ。この公園は、私の縄張りなの。ほら、だから出てって! お客は全部私のだから、早く出てって!」

「……いいでしょう。なら、お……わたくしにも考えがあります」

 

 頭に血が上ったハルトは、堂々と彼女を指差した。

 

「この場所をかけて、大道芸対決だ‼」

「望むところよ‼」

 

 

 

「……なんか、ほんっとうにすいません……」

 

 四つん這いになっている彼女の連れの少年の背中を、響が優しくさすっていた。




キャスター以外の敵そろそろ出したいなあ

時々ダークカブトみたいな処刑人イベントは必要?

  • いる
  • いらない
  • ストーリーに関われば
  • そのまま巻き込まれた奴倒しちゃえ
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