Fate/WizarDragonknight   作:カラス レヴィナ

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ゼンカイジャー! に、バングレイが出る!
どうせブラジラも蘇るでしょう……
バングレイとブラジラが1カットだけでも一緒に映ったら自分は喜びます


青い影

「う……酔ったよ……」

「あははははは! 楽しかった! るるるんって来たあああああああ!」

 

 これが、手漕ぎボート優勝者コメント。

 目を回している友奈が、可奈美に背中をさすられている。優勝の功労者である日菜は、パートナーとは逆に元気に笑い声を上げていた。

 

「ねえねえ! 何でも命令していいルールだったよね!?」

「うん。そうだよ」

 

 日菜は次着のモカに、目をキラキラさせて確認している。確認を取れた日菜は大喜びで、ハルトに続いてボートを降りた紗夜に目を向けていた。

 

「っ……!」

 

 紗夜が明らかに嫌がっている。どうやって取り持つかなあと考えていると、真司がハルトに耳打ちした。

 

「なあハルト」

「どうしたの?」

「あれ、何とかならねえかな?」

 

 真司が指さす方向。

 見れば、二人が仲良く四つん這いになって沈んでいた。

 

「またお姉ちゃんに負けたまたお姉ちゃんに負けたまたお姉ちゃんに負けた」

「皆まで言わせろよ……オレだって参加させてくれたって良かったじゃねえか……」

 

 敗者(ココア)不参加者(コウスケ)

 近づきたくないまでの負のオーラを放っており、思わずハルトも顔をしかめた。

 

「……放っておけばいいんじゃない? なんか絡んだら面倒になりそうだし」

「そ、そうか?」

 

 真司が困惑の表情を浮かべている。

 

「みんなー!」

 

 その時、響の声が聞こえてきた。

 見れば、チノと二人でこちらに歩いてきているところだった。

 

「飲み物買ってきたよ! 皆疲れたでしょ? 一緒に飲もう!」

「響さん、素敵です!」

 

 チノがここまで笑顔になっているのをハルトは見たことがない。

 もう彼女は、響がいてくれれば何でもいいんじゃないかとさえ思えてきた。

 

「なあ、ハルト。チノちゃんはなんであんなに響にゾッコンなんだ?」

「ほら、俺たちが最初に聖杯戦争に巻き込まれた時あったでしょ? アサシンの時の」

「ああ。お前の偽物が出たやつな」

「あの時さ、チノちゃん響ちゃんに助けられたでしょ?」

「そういやそんなこともあったなあ」

 

 コウスケが頷く。

 

「その時に惚れたんだってさ。まあ、響ちゃん下手な男性より漢らしいからね」

「正直オレの立つ瀬がねえんだよな」

 

 コウスケが頭をかく。

 

「オレ、色んな意味で響に負けてねえか?」

「まあまあ」

「二人とも何の話してるの?」

 

 話題の人物、響がハルトとコウスケに割り込んできた。

 

「はい、コーラ」

「おお。サンキュー」

 

 コウスケが少しぎこちなくそれを受け取る。

 

「ハルトさんも」

「ありがとう」

「それで、何の話だったの?」

「ああ。響がすげえって話」

 

 コウスケがコーラを口にしながら答えた。

 響は「えへへ……」と照れ、そのままコーラを配っていった。

 

「かぁーっ! 疲れ果てた五臓六腑に沁みる~!」

「仕事明けのおっさんか」

「授業明けの学生だ。ハルト。お前飲まねえのか?」

 

 コウスケが、ずっとコーラを持ったままの手を指して尋ねる。

 

「お前、ずっとここまで漕いできたんだし、水分補給はしておけよ」

「あ、ああ」

 

 ハルトは少し顔をしかめながら、コーラを口につける。

 

「ハルト、お前もしかして炭酸苦手か?」

「あ~……得意ではないかな」

 

 ハルトはそう言って飲み干した。

 

「まあ、嫌いでもないし、別にって感じ」

「ほーん……」

「正直言って生も欲しいな。お前もそう思わねえか?」

「俺まだ未成年」

「ああ、わかるわかる。俺も生ほしいぜ」

 

 そう言い出したのは、真司。彼もまた、チノからもらったコーラを飲み干し、口に炭酸の泡を付けながらコウスケに賛同する。

 

「この世界に来て、ほとんど飲む機会がねえんだよなあ……なんか、物価高くねえか?」

「ビールなんてそんなもんだぜ。つーかハルト、お前いくつだったか?」

「十九」

「かぁーっ! まだだったかーっ! 真司、今度飲み明かそうぜ!」

「お? いいねえ。コウスケの奢りだな?」

「いや、お前の奢りだろ」

「いやいや。こちとら別世界の人間なもので、手持ちの金があんまりないんだよ……」

「いやいや。こちとら学生なもんでさあ? バイトしてても、金もそんなねえんだよ」

 

 酒を巡る戦いを始めた二人に背を向けて、ハルトは静かにコーラを口につける。

 

「……」

 

ハルトは空になったペットボトルをコネクトの魔法陣に押し込む。そのあと、保登姉妹とチノが見ていないかどうか、事後確認をした。

 背後では、へこむココアをモカとチノが慰めていた。

 

「また……お姉ちゃんに負けた……」

「おーおー。世界の破滅みたいな顔してるね」

「あ、ハルトさん」

 

 チノがこちらに駆け寄り、コーラを差し出した。

 

「よかったらどうぞ」

「あ、大丈夫。さっき響ちゃんからもらったよ。それより、すごいなココアちゃん……」

 

 ハルトは、先ほどにも増して暗くなっているココアの姿に言葉を失った。

 

「あれ……どうするの?」

「モカさんに任せましょう。姉のお手並み拝見です」

「姉のお手並みってなに? あとどうしてチノちゃんそんなにどや顔なの?」

 

 チノにツッコミを入れていると、モカの声が聞こえてきた。

 

「そんな顔しないでよ。帰りにスーパー寄ってこ。ココアの好きなもの、何でも作ってあげる」

 

 すると、落ち込んでいたココアがぱあっと顔を輝かせた。

 

「じゃあ、お姉ちゃんの特製ハンバーグが食べたい!」

「お姉ちゃんに任せなさい!」

「……こうやってすぐ甘えちゃうからお姉ちゃん越えができないんじゃない?」

 

 失言だったと後悔した。

 するとココアは、あたかもこの世の終わりのような顔をして嘆く。

 

「ヴェアアアアアアアアアアア!」

「ココアさんがハルトさんの言葉で死んでます!」

「さてと……」

 

 そのまま逃げるように、優勝者の方へ歩くハルト。

 もっとも、友奈はまだ可奈美に背中をさすってもらっている状態なので、日菜にしか話を聞けないが。

 

「それで? えっと……日菜ちゃん、だったっけ? と友奈ちゃんは、何するの?」

「なせば……」

「ん?」

 

 さすられたままの友奈が、絞ったような声を上げた。

 

「なせば大抵……なんとかなる……ガクッ」

「友奈ちゃんが倒れた!」

「きっと日菜ちゃんのるんるんコンボに耐えられなかったんだ!」

「いやハルトさん、冷静に分析しないで!?」

 

 可奈美が白目で叫ぶ。

 結局、今無事な日菜がお願いすることになった。

 

「うーん……それじゃあ! るんって来た!」

 

 日菜の頭上に電球が灯る。

 

「お姉ちゃん!」

「嫌よ」

 

 紗夜が有無を言わさずに否定した。

 この場が一瞬凍り付く。

 

「……ごめんなさい」

「ごめんなさいって……」

 

 どうしたの?って聞き返そうとしたハルトは、口を噤んだ。

 (日菜)といる時間をあえて取りたくないのだろう、と理由を推測してしまったのだ。

 紗夜も、思わず空気を悪くしてしまったことに気まずさを感じているようだった。

 

「ごめんなさい……保登さんも。私、先に失礼します」

 

 紗夜はそのまま、そそくさと立ち去っていった。遊歩道を歩いていく彼女の後姿を、日菜は残念そうに見送った。

 

「ええ? お姉ちゃん、待って!」

「来ないで!」

 

 紗夜が叫ぶ。

 その声に、日菜もまた思わず足を止めていた。

 

「お姉ちゃん……?」

「……ごめんなさい」

 

 唖然としている日菜を置いて、紗夜は走り去っていった。

 そんな彼女を追うべきかどうか。ハルトも、他のみんなにも分からなかった。

 

 

 

「……最低ね……私」

 

 成り行きで参加したとはいえ、皆の空気を悪くしてしまった。

 公園の遊歩道は、赤い空に染め上げられている。

 休日の見滝原公園は、もう大勢が帰り始めている。親子連れが通過するのを、紗夜は黙って眺めていた。

 やがて、目の前に幼い姉妹が駆けていく。仲が良さそうに、互いに笑顔を向け合う姉妹を見て、紗夜はさらに気分が落ち込んだ。

 

「待っていたよ。氷川紗夜さん」

 

 突如として呼ばれる自分の名前。

 聞いたことのない声に、紗夜は思わず振り返る。

 人気のない、夕方の公園の茂みの中。

 そんな闇を背景に、右手の森からそれは現れた。

 

「……誰?」

 

 左右を白と黒のツートンカラーがデザインされた服の人物。

 髪の一部にはメッシュが入っており、見ただけで中々強い印象を与えてくる。

 それだけでも強烈なのに、さらに彼は、日傘を刺していた。

 すでに空も赤く染まっている時間帯なのに、それでも尚日傘を使っている人を紗夜は見たことがなかった。

 

「綺麗な夕焼けだね」

「え?」

 

 思わず紗夜は、夕焼けの方角を見てしまう。冬の乾いた空気を、赤い光が照らしていった。

 彼は続ける。

 

「この時間帯、人々は逢魔(おうま)(とき)と言うんだろう? 知っているかい?」

「名前だけなら」

 

 紗夜は警戒しながら答えた。この男を不審者として通報するべきか否かを考えていたが、彼はそんな紗夜のことなど気にせずに続けた。

 

「面白い考え方だ……この世と異世界との境目。幽霊、妖怪、悪魔、災厄……そんなものと遭遇する時間帯」

「……」

 

 思い出した。

 紗夜は、一度彼に会ったことがある。

 以前、見滝原中央駅で、日菜に連れられていた時、駅前の噴水広場にいたのだ。

 覚えていてかおらずか、彼は紗夜に向き直る。

 

「もしかしたら、この時間帯に君と出会った私も、そんな悪魔だったりして……ね?」

「貴方、誰なんですか? 不審者なら、通報しますよ」

 

 考えていたことを直接ぶつけた。

 すると、彼はほほ笑みながら、紗夜に背を向ける。そのまま背中を曲げて、背後の紗夜を逆さ向きで見つめた。

 

「いやいや。不審者だなんて心外だな。私は……」

 

 彼はそのまま、腰から群青色の道具を取り出す。ボタン一回でアイマスクの形に変形するそれは、紗夜には底知れぬ不気味さを感じさせた。

 

「君の……味方だ」

 

 彼は、そのままアイマスクを被る。すると、マスクより青黒い闇が溢れ出し、白と黒の体を青く染め上げていく。

 やがて彼は、変わった。

 群青色の体を全身にまとい、胸元の十字に組まれた拘束具が特徴。顔を面で隠し、その奥の赤い双眸が冷たい人物。

 

「!」

 

 紗夜は思わず尻餅をつく。

 目の前で変わった異形。それは、聖杯戦争参加者がフェイカーと呼ぶ人物だった。

 フェイカーはそのまま、紗夜へ指を向ける。

 

「私はトレギア。君の願いを叶えるためにやってきた」

 

 フェイカー___真名トレギア。偽りの仮面(フェイカー)が、じっと紗夜を見つめていた。

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